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- 応募作品
ぼうだあ
ほろびて/horobite(東京都)
公演に携わっているメンバー:8人
- 【団体紹介】
- 俳優の細川洋平によるソロ・カンパニーです。かつてあったものが1度、滅び、新しく立ち上がる、という思いを込め団体名を「ほろびて」としました。2009年に立ち上げ、2010年に旗揚げ公演をしてから休止し、2015年に再始動しました。
再始動以降、5回公演を行っているのですが、振り返ってみれば“誰かにとっての不在”をテーマにした作品作りをしてきました。記憶に残ったあの人やあの人。さまざまな理由でもう会うことのない存在は、ひとりひとりの脳に記憶として保存されています。その記憶たちとどう折り合いを付けるのか、を今は描き続けています。
“演劇”である意味はあるのか。映像やマンガ、小説でもいいじゃないか、と自分でも考えたのですが、マイムや見立てといった「ないものをある」とすることができる“演劇”は、「あったものがない」=不在の反転でもあり、同一の空間にそのふたつ(「ない」と「ある」)を共存させることができます。目の前の舞台空間=視界を越えた、より広い世界を作り出すことができる貴重な表現方法だと実感しています。それを不条理劇とせず、現代的な、日常的なやりとりの中に織り込むことで違和感や不可思議さ、得も言われぬ感情を創出したいと考えています。
- 【応募公演への意気込み】
- 2015年以来、スタジオ空洞(東京)を公演会場としてきたほろびてが、10年ぶりの劇場公演を行います。スタジオ空洞でも、場を最大限活用した公演としておりましたので、今回も、OFF・OFFシアターだからこそ、といった舞台作りを考えています。また、これまで宣伝活動も弱かった反省を活かし、見てもらいたい!という強い思いを持ってより充実した告知を続けていきます。
「ぼうだあ」というタイトルは、ボーダー、棒打、滂沱といった意味を含めた言葉として付けました。分断や差別は、そもそも線を引くという行為や意識とは不可分であり、国、会社、家族、性別など、何かに属することは、自分が属さないものをどうしても作ってしまいます。また、「踏み越える」「跨ぐ」といった行為は、線を境にした変化を表します。社会に偏在する、また発生する、「なぜ」からはじまりました。
本公演では、家庭内に境界線が突然発生し、向こう側が視認できなくなった父親の姿をひとつの軸に、状態や行動の変化、あるいはそれに対する抵抗などを縦横、複数の軸を置いて描いていけたらと考えています。
観劇環境としては、観劇後、作品について意見交換できるような場を設けたいと考えています。
- 【将来のビジョン】
- 実現可能性の高い順に列挙します。
・観劇後のサロン、場を作る。
→観劇後に、肯定的な意見だけではなくて、純粋な疑問や、お客さんが感じた事を共有したり、自分の観劇体験を深める場を作りたいです。これは継続しかないと思いますので、実行して続けていきます。
・制作周りの充実。
→お客さんが、その作品に関わったと実感できるような、“お土産”作り。グッズであったり台本などの販売。また、アクセスしやすいアンケートの実施や直接いただく感想などを経て、ニーズも把握して反映していきます。
・新作上演と同時に、これまでスタジオ公演で上演してきた演目の再演によるブラッシュアップ。
→縮小再生産のためではなく、再発見と再発信のために、再演も重ねていきます。
・CoRich舞台芸術まつり!を通じたゆるやかな繋がり。
→個々が個別に進むのではなく、本コンテストのような場を活かして、「こんにちは」「はじめまして」からでも繋がり、(創作部分以外での)情報交換を続けていくことで、業界全体の有機的な底上げ・価値創造を試みたいです。もしそういうものが既にあるのなら、ほろびても混ざりたいです。
・地域や特定施設と一体になった創作活動、学習活動、WSなど。
→技能やノウハウを共有するためでもあり、俳優やアーティストたちがその経験を元に生活できるくらいの稼ぎを作るという、両方の視点で、探していきたいです。
・長期的なクリエイションが可能な場の獲得。
→固定の稽古場や長期的でゆるやかな稽古に参加する俳優の確保。それによって、1ヶ月稽古の公演では作り得ない、俳優と演出と劇作がより有機的に働く作品作りができると考えています。やりたいです。
・ツアー。
→日本各地や各国を回り、作品がどんな受けとられ方をするのかを経験し、創作へフィードバックしたいです。
公演に携わっているメンバー(8)