★★★★現代の大人たちのHOPE(希望)を表現した作品

古びた喫茶店久世を舞台に、そこに集まる人々の複雑に絡み合った人間関係を、いかにして解きほぐし、ささやかかもしれないが、誰もが持つHOPE(希望)を見い出すかを描いた、上質な作品でした。

★★★脚本の確かな力

細々と経営している喫茶店を舞台に、店長とその家族、出入りする客同士の人間模様……など、13人もの登場人物それぞれに、きっちりとドラマをもたせていました。物語のテンポも良く、そこに役者の適度な熱を帯びた演技が重なり、時に笑い、時にじんわりとする、うまくまとまった作品だったと思います。
ただ、これはあくまでも個人的な意見ですが、40歳前後の葛藤を抱えた人物たち全員に”幸せになりそうな”着地点が用意されていたことが、かえって物足りなかったというか。

★★★たっぷり!

古びた喫茶店を舞台に、そこに集う人々の悩みと絆、再生を描く物語。

「失われたご近所」を描く物語でもあり、そこでは「ここも!? あなたも!?」と驚いてしまうほど誰もが問題とドタバタの種を抱いています。

あまりにもてんこ盛りなので、そのぶん、せりふまわしや設定、モノの扱いなどに「素直(シンプル)すぎるな」「もうちょっと細部を見せてほしい」と感じる部分もありました。でも、大人になっても決して「オトナ」にはなれない人々の心情をこねくり回さずに描く筆致はむしろ気持ちのよいものとも言えますし、スピーディーで巧みな展開(これは脚本のセンスですよね)と俳優たちの熱演には飽きさせない魅力があり、素直に笑い、楽しめます。

てんこ盛りなだけにすべてのエピソードを着地させるのには多少時間もかかり……2時間をちょっと超える、その「ちょっと」ぶん、スマートでもよかったかもしれません。この芝居には合わなかったかもしれませんが、敢えて閉じない話があるのも個人的には好きです。


★★★★もっと大きな劇場で観てみたい、歌あり踊りありの家族ドラマ

 年季の入った小さな喫茶店を舞台に大勢の登場人物が派手に動き回る、笑いあり涙あり、歌あり踊りありの人間ドラマでした。一見平凡そうな日常会話に13人もの登場人物の背景や、後からつながる伏線がしっかりと書き込まれており、ベタだけど思わず微笑んでしまう温かいエピソードもたくさん盛り込まれていました。決して幸福だとは言い切れない状況にいる、さまざまな夫婦、家族のカタチが示され、軽快な人情喜劇に終わらない深い味わいがありました。

 文脈の通った戯曲を感情熱い目の演技でにぎやかに見せていくお芝居ですが、舞台に誰もいない無言の間(ま)も大切に演出されていました。ただ、そうやって成功している場面があるがゆえに、舞台からの出はけや移動の必然性などの細かい齟齬が気になったりも。
 また、大勢の登場人物およびそこに生まれる関係性を、2時間におさめるのはもったいない気がしました。内容も規模もスケールアップさせての再演が期待できる戯曲だと思います。
 
 役者さんの中では、自分の仕事もしながら母が残した喫茶店を切り盛りする息子役の川本裕之さんが良かったです。バンドマン(安東桂吾)の出戻りの妹を演じた眞賀里知乃さんも印象に残りました。

★★★★家族の絆をていねいに描く!

 どこか懐かしい感じでいっぱいの喫茶久瀬、そこで巻き起こる様々な人間ドラマを若干ノスタルジックに描いている。

 人には歴史がある。登場人物はそれぞれいい人ばかりだが、それぞれが悩み事を抱え、もがきながら生きている。そんな辛いどうしようもない人生だけど、もう少しがんばってみればいいことだってあるさ、とすべてのことを前向きにとらえる気持ちを与えてくれるドラマ。

 作演の三谷智子の人を見る目が温かく、登場するエピソードのひとつひとつがそれぞれ素敵だ。

 役者陣では店長を演じた川本裕之とその友達役の安東桂吾に魅力を感じた。

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