各団体の採点
タイトル通り、男性7人による勢いと熱のこもった60分強。
母が亡くなり、実家へと帰ってきた「俺」。久しぶりの景色に少年時代を共にすごした仲間たちとの思い出がよみがえり……。
物語の軸はもちろんあるのだが、そこから良くも悪くも切り離したところで繰り広げられるパフォーマンスが見物。テンション高めの音楽が鳴り響く中、身体を駆使し、終始笑いを生み出すということに徹底している。時にはアドリブも含んだ、コントのような展開に客席は大いに沸いていました。キャストの一体感も◎。
ただ、そのパフォーマンス部分に重点を置きすぎているためか、シーンによっては長く感じられ、ダレる箇所があったのも事実。
会話→激しい音楽→パフォーマンス→会話……と良いリズムではあるのだが、単調でもあり、60分とはいえもう少し変化をつけても良かったのでは?
「舞台はライブ。観客を楽しませてナンボ!」という姿勢が貫かれた“王道エンターテイメント”でした。もう1つの劇団キャッチコピー“分かりやすいのに奥深い”も、しっかり織り込まれていたと思います。
『男の60分』は愛知公演のために作られたツアー向けの短編なので、舞台美術はダンボール箱のみというミニマムなもの。その分、役者さんが全身を使って魅せてくれました。私は上手通路際の席だったので、全力で走る役者さんが起こす風が体に伝わってきました。スリリングで、思い切りの良さも感じて爽快でした。
出演者7人全員が劇団員。男優ばかりの劇団なんですね。登場するのは、自然がいっぱいの昔の田舎町を舞台に、川や空き地などで暴れまわる少年たち。ギャグは堂々とやりきってくれるし、ダンス(組体操)も肉体を鍛えていることがわかるキレの良さ。モノマネや客いじりなど、観客を意識した前向きなエンターティナー精神にも好感を持ちました。
自らが見世物であることを自覚して、堂々と自分をさらすことができている役者さんを見られるのは、観客としてとても幸せなことです。
初日は終演後に、劇場4階の稽古場にて打ち上げの飲み会がありました。一般客も参加可能なものだったので少しお邪魔したところ、カッパ役の石黒圭一郎さんと作・演出の柿ノ木タケヲさんとお話ができました。ありがとうございました。