
少女罰葬
劇団亜劇
アトリエファンファーレ高円寺(東京都)
2022/11/30 (水) ~ 2022/12/04 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
「罰葬」という言葉が何を表すのか、それが物語の肝になっている。そのまま解釈すると、犯した罪〈罰〉を葬ることになるが、描かれている内容からするとニュアンスは違う。少しネタバレするが、表層的には訳ありな全寮制の女子高イメージであるが、ここは異世界である。舞台美術は怪しげな雰囲気を醸し出し、物語の概観を表している。
ラストの解釈は 観客に委ねたかのようで、受け止め方によって印象が異なるかもしれない。同時に気になることも…。
(上演時間1時間40分 途中休憩なし)

夜明けの寄り鯨
新国立劇場
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2022/12/01 (木) ~ 2022/12/18 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/12/01 (木) 19:00
iakuの横山拓也の書き下ろしを大澤遊の演出で上演する。横山らしい作品だが、ちょっといつもと違う感触もある。97分。
和歌山県の捕鯨で有名な(太地町がモデルの)港町を訪れた真知子は、25年前の大学生の時にこの町を訪れた時に消えた友人の男性が書いた手書きの地図を元に、その男性についての記憶を辿りつつ探す。出会ったサーファーの若者に励まされ、記憶を辿るが…、の物語。回想シーンを交えるなどの丁寧な物語作りで知られる横山だが、嫌な人が出ない、という特徴が今回はちょっと違って、鯨に関する議論の部分で紗里がちょっと嫌な人になっていたように思ったけれど、それは私の価値観からで、多様な考え方を提示する、横山らしい劇作だったなと思った。美術が素晴らしく、終盤は照明と相まって美しい舞台を作っていたと思う。

テアトリアンナイト
演劇実験室◎万有引力
座・高円寺2(東京都)
2022/11/30 (水) ~ 2022/12/02 (金)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
第二夜《地下水道をいま走り行く暗き水のなかにまぎれて叫ぶ種子あり》
昨夜も観るべきだったと痛切に後悔。どうでもいい舞台を選んだ自分を責めた。これぞ自分が観るべき世界。
髙田恵篤氏が現れ、挨拶をするとステージを降り、無人の一列目センターに腰を下ろす。そこから始まるJ・A・シーザー氏(歌&ギター)のLIVEと寺山修司作品の名場面の切り抜き。ピンク・フロイドの初期衝動。背景に映し出される天井桟敷の鮮烈な日々。小山由梨子さんのソプラノのコーラスが効いている。個人的にはパーカッションではなく、強いドラムのリズムが欲しかった。ゲストの根本豊氏が語る『奴婢訓』世界ツアーの思い出。伊野尾理枝さん(世界中誰もが知っているTVから這い出してくる貞子役!)の貫禄。髙橋優太氏と三俣遥河(みつまたはるか)氏の定番の掛け合い〈寺山問答〉。毛皮のマリー役の飛田大輔氏の美しさ。下男役にステージに上がる髙田恵篤氏。森ようこさんのコミカルな舞踏、よくもあんなに動けるものだ。
『巴里寒身(スーザン・フェリア、サジャよ永遠に)』が今回の核。『奴婢訓』世界ツアー、貧乏旅行。電熱器と鉄板だけを命綱に食材を炒めては口にする日々。小銭稼ぎに大道芸宜しくジャパニーズ・アングラで盛り上げるも、成果は電話を掛けるコイン一枚。芸術も糞もなく、皆ただただ腹が減っていた。シーザー氏の異国の女との仄かなロマンス。蚤の市で仕入れた仔犬が鳴いている。
「パリさみ パリさみ パリさみさみさみさみさみ」
キング・クリムゾン、筋肉少女帯、言葉と想像力だけを武器に新たな世界を創造していくルサンチマンの系譜。
J・A・シーザー氏と高田恵篤氏の間に“世界”は存在す。

少女罰葬
劇団亜劇
アトリエファンファーレ高円寺(東京都)
2022/11/30 (水) ~ 2022/12/04 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
カーテンコールであかりちゃんが本編とは全然違う(いや、違わないのかも)キャラで「解釈は皆さんにお任せします」というような事を言っていましたが、まさにそんな感じです。
「少女罰葬」というタイトルと・・・以下ネタバレ
チケットがあまりに小さくて無くしてしまいそうでした。
簡単で良いのでキャスト表が欲しかったです。

長い墓標の列
明後日の方向
インディペンデントシアターOji(東京都)
2022/11/22 (火) ~ 2022/12/04 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/12/01 (木) 13:00
価格4,000円
個人的には、今年観た小劇場系の中でかなりの当たり!!
表面的なリアリズムを排した舞台美術・衣裳・小道具(スマホやPC)・キャスティングによって、かえって台詞の内容や起こっていることの意味がよりダイレクトに現代の観客に伝わります。逆に、この戯曲を今の日本でト書きの指定通り従来のリアリズムで上演するというのはあまりに楽観的すぎるかも。
(アンケートに書ききれなかったこと、ネタバレBOXにだいぶ書きました↓)

マジの宅急便
カラスカ
シアター・アルファ東京(東京都)
2022/11/30 (水) ~ 2022/12/04 (日)公演終了

アベベのベ 2
劇団チャリT企画
駅前劇場(東京都)
2022/11/30 (水) ~ 2022/12/04 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
思ったよりマイルドなブラックユーモアだったが面白かった
コンビニが舞台で様々な事情のバイト達が繰り広げるコメディ
店長候補白川と昼間バイト上田のケンカのシーンはなかなか迫力あった

無情
MCR
OFF OFFシアター(東京都)
2022/11/30 (水) ~ 2022/12/07 (水)公演終了

ハーツ・ハート・ハード!
イノチガケ
ステージカフェ下北沢亭(東京都)
2022/11/29 (火) ~ 2022/12/04 (日)公演終了

- うやむや -
COoMOoNO
ギャラリーLE DECO(東京都)
2022/12/01 (木) ~ 2022/12/04 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
豊かな時間-
久保佳絵さんと新宅一平さんがとにかく可笑しい。
とても敷居が低いコンテンポラリーダンスと生演奏、そして演劇との融合。お勧め。

どっか行け!クソたいぎい我が人生
ぱぷりか
こまばアゴラ劇場(東京都)
2022/11/24 (木) ~ 2022/12/06 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
共依存症の話である。舞台は広島の小さな地方の都市の母子家庭の家族物語だが、見ているうちにいまこの社会に瀰漫している世界が広がっていく。岸田戯曲賞を受賞した作品は見ていないが、正当な演劇の伝統も感じさせる新人の爽やかな初見であった。現代版・「欲望」のブランチである。
夫と別れた母44歳(占部房子)は娘(林ちえ)を引き取って暮らしている。別れた夫のことは気になるが知りたいような知りたくないような。密かに弟(富川一人)に聞いたりしている。弟が妻(岡本唯)とともに姉の近くに住んで、なにかと面倒を見ているのは、この姉には、ちょっと病的な依存症があって、霊的な存在や占いを信じて生活の指針にしてしまうからだ。娘を溺愛して、大学三年生になっても手元から離せない。占部房子演じるこの母の造形が、新鮮で、まずこの舞台の第一の見どころだろう。こういう人物は、今の社会のどこにもかなりいるが、今までは都合のいい脇役でしか舞台に出てこなかった。
この舞台はそれを正面に据えて、今の社会の鏡にしている。
この母の誕生日。娘は、母のためにイヤドロップを買ってきた。冒頭で、二人の共依存が日常の一コマとして描かれる。母の働く場の若い労働者(阿久津京介)や弟夫婦を招いての誕生日パーティ。娘の自立や、弟夫婦が交通事故にあう事。近所で起きた同年齢家族の殺人事件の噂話、父が実は死亡していたことなどをめぐって、家族関係が微妙に変わっていくのを面白く見せる。ダレない。
最近の若い演劇人も劇団も、威勢よく踊ったり歌ったりしたり、したり顔でスローガンを叫んだり、自分本位の身辺雑記をやって見せたりするだけでは、やっていけないことが分かってきて、芝居でリアルを求めるようになった。この新人福名里穂もこの家族の表現はリアルで、かつ、新鮮、面白く見られる。先に言ったように、見ている間は笑っているが実際はこういう人間関係の不調は今この社会に上から下まで溢れているのだ。占部房子はそこをユニークに演じる。新劇系のうまいとされている女優なら出来る役だろうが、愛嬌もある独自の世界を開いて、この女優らしい実績を一つ積んだ。占部以外のよく小劇場で見るが俳優たちも、役を把握して的確に演じている。
人物の配置はいいのだが、この後物語の推移が、普通の運びであるのが物足りないが、ここをユニークにすると、普通の社会の話でなく共依存症の病気の話になってしまうのでやむを得ないところだろう。
昨年の岸田戯曲賞と言うのはよくわかった。だが、このタイトルは下手だなぁ。

高野聖
エイチエムピー・シアターカンパニー(一般社団法人HMP)
ウイングフィールド(大阪府)
2022/12/01 (木) ~ 2022/12/04 (日)公演終了
満足度★★
まずランタイムが短い…50分で、この値段は…
セリフはほとんどなく、身体表現というか、滑稽な動きで何が言いたいのか…(言いたいことがないのかも…)
コスパ悪すぎます😒

シーラカンス・アピアランス
朝倉薫演劇団
シアターブラッツ(東京都)
2022/09/27 (火) ~ 2022/10/02 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
通常の台詞以上に心に感情が届くビートワードを全編にわたって使用された、野心的な演出をされていたミュージカルでした。
永野希さんの演じられたシャーリーの、魅力的で重厚なまでに複雑な女性の芝居の凄みに圧倒されました。彼女の生は永遠に私の心に残るでしょう。
またビートワードのミュージカルを観たいと希望しています。

ハーツ・ハート・ハード!
イノチガケ
ステージカフェ下北沢亭(東京都)
2022/11/29 (火) ~ 2022/12/04 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
初めは何が起きた?でしたが、話が進むにつれ面白くテンポ良くであっという間でした。ラストの迫力は凄く見に行って良かったと思える舞台でした。

長い墓標の列
明後日の方向
インディペンデントシアターOji(東京都)
2022/11/22 (火) ~ 2022/12/04 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/12/01 (木) 13:00
福田善之が1957年に書いた「古典」を黒澤世莉が演出。興味深い舞台だった。67分(休み10分)100分。
東大教授の河合栄治郎をモデルとする1938年頃からの実話を元にした戯曲だが、男女を入れ替えたことや、何もない舞台で上演する、などの工夫が興味深く見せてくれた。衣装は男女を入れ替えることなく現代的な装いで、小道具も現代的な部分(スマホ,PC)を取り入れているが、そのことでの違和感はなく自然に観た。何しろ長いので疲れるが、そんなことを気にせず緊張感を持って観ることができた。
2013年に新国立劇場での上演を観ておりそのときの主演・村田雄浩の演技が印象に残っていたのだが、今回の辻村の演技も別な意味で印象的だった。

千一夜
ONEOR8
新宿シアタートップス(東京都)
2022/11/26 (土) ~ 2022/12/04 (日)公演終了

ハーツ・ハート・ハード!
イノチガケ
ステージカフェ下北沢亭(東京都)
2022/11/29 (火) ~ 2022/12/04 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/11/29 (火) 19:00
価格4,000円
時事ネタを盛り込んだ世相を皮肉るような話しなのかなと思ったら、それは誘い水で、臓器提供が絡む死の選び方の話しです。
だからといって、しんみりするかというとそうでは無く、声を張り上げドタバタして面白い。
演技も熱くて楽しさが伝わってくる。

『アワヨクバ ~Toinen rivi vasemmalle~』 『レジデンス』
カカフカカ企画
オメガ東京(東京都)
2022/11/30 (水) ~ 2022/12/04 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/11/30 (水)
価格4,500円
ノンストップ2本立ての115分間、11月30日の初日舞台を拝見。
Aキャストで観た前半の「アワヨクバ」は、今の季節に相応しいファンタジー。
客席との距離が近いオメガ東京の舞台で観る前田友里子さんが、とても映えていた。
後半の「レジデンス」は、複数のサブストーリーが互いに絡みながら大団円へと向かっていく、いつものパターン。
出演者では、初参加?のチカナガチサトさんが印象的だった。

アベベのベ 2
劇団チャリT企画
駅前劇場(東京都)
2022/11/30 (水) ~ 2022/12/04 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/11/30 (水) 19:30
「ふざけた社会派」劇団の2006年初演、2016年再演作の再々演。初演を観てる。面白い!93分。
コンビニのバックヤードを舞台に、さまざまな個性のバイト・パートタイマーが描く群像劇。いかにもありそうなユルイ会話や出来事で、ちょっとずつ笑わせながらもシリアスな問題も感じさせるあたりのバランスがよい。初演は第1次安部政権の時期で、近未来の憲法改正国民投票の前日、という設定だったが、今回は安倍元総理が殺された日という設定になっていて、同じく投票をどうするか、という話題にはなっている。大宮という微妙な土地を選んだこともいいバランスだと思う。
私がこの劇団を初めて観たのが本作の初演なのだけれど、社会派コメディとして面白く観たのを思い出す。

戰御史 -Ikusaonshi-
壱劇屋
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2022/11/23 (水) ~ 2022/11/29 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
再演ではあるけれど、初演の時からキャストが変わって一部得物も変わってたりしたので、別作品のような気持ちで見てました。
事前にツイッターで「残留思念」の説明があったり、演出的にも初演よりは分かりやすくなってたような気がしますが、それでも初見で理解するのはやっぱり難しいかも。もともと初演の時の大熊さんがマイムのスペシャリストなので、劇中にもマイムがたくさん出てくるし、世にも奇妙なストーリーは大阪時代の壱劇屋のテイストを残していて、それが今では東京支部の他の作品とは異才を放ついい味を出しているようにも思います。
ただ、初演の時よりはもっと殺陣がフィーチャーされている感じで、特に主演のお二人の「でかい!!速い!!上手い!!」の殺陣は圧巻!!
化け物じみた跳躍力には驚かされたし、身体能力お化けの超人的なアクションは見てて気持ち良かったです。
それに何といってもオールスター戦!!初演よりも尺が長くて、じっくり楽しめました。それぞれ違う得物をもったキャラ達が戦うところがちょっとした
格闘ゲームみたいな要素があって見てて楽しかった。個人的には鉄砲を側転で回避して接近戦を挑む丹羽さんのアクションが好きだった。
最後に、何より一番面白かったのは、おかこばの戦い。今まで竹村さんVSおかこばのどちらかというのは比較的見たことがあるのですが、壱劇屋でもトップクラスの殺陣スキルを誇るこの二人の戦いをじっくり見れたのは本当に面白かった。また他の作品でも対戦してるとこがあれば見てみたい。
次の荒人神も楽しみにしています(*^_^*)