
どっか行け!クソたいぎい我が人生
ぱぷりか
こまばアゴラ劇場(東京都)
2022/11/24 (木) ~ 2022/12/06 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
静かな演劇系の一つだろうと(見てないのに)認識していたが、今回初観劇にて、思っていたより中身が詰まっていると感じた(風景描写に終わる「静かな演劇」系作家も多いが)。
占部房子演じる母が、やや「迷惑がられ」なキャラで、愛すべきキャラでもあるがスピリチュアルに依存する(ゆえに)忙しない。娘や弟、その妻という親族が彼女の能動性に対する受け手となっているが、第三者的存在として母の職場のうんと若いバイト青年がいる。家庭の事情で苦労して育った変わり種で、繊細さと豪胆さを同居させたマイペース人間。母と職場で会話をし、近々誕生日だというその日、気さくなバイト青年は母とお出かけ(デート)に付き合い、その足で自宅に連れて来る。誕生日のケーキを持って来た弟夫婦と、娘が居る。全く物怖じしないバイト青年と、親族それぞれのキャラとの接触によるリアルな化学反応が良い。母はバイト青年に運気を宿す的な腕輪を贈るが、少しスピリチュアルに傾きかけている弟の妻も「私ももらっていい?」と欲しがり、母は一瞬止まるが気前よく差し出す。バイト青年が母に対し分け隔てなく、遠慮もなく、この日は母の存在も受け入れられた良き日。だがバイト青年と娘が出くわし、カメラマンを目指して東京に行くというバイト青年の話から、娘は自分の中に興味を芽吹かせる。バイト青年がカメラの学校の関係で単発の仕事があるので近々東京に行く、という話を聴いて娘は思わず「自分も行きたい」、と言う。その後母の不調が始まり、一悶着の末、どうにか東京行きは叶うが、「母には自分が必要」という観念に囚われていた娘がそれを一枚一枚剥ぎとる過程もそこに挟まり、劇の最後には母に自分の意思を伝えるに至る。
母は別れた夫が娘を奪いに来る、という強迫観念に常に囚われ、元夫の状況を探るよう弟に依頼してもいたが、終盤、元夫は数か月前に病院へ運ばれ亡くなっていた事を知る。夫が娘を奪いに来る・・被害妄想に駆られテンパり、風水やスピリッツの雑多な知識を自分流に解釈し、誕生日に娘からもらったルビーのピアス(冒頭、娘の愛情の証を母が受け止める心温まるシーンがある)をゴミ箱に捨ててしまう。そしてそれを「こうするしかないの」とわざわざ娘に告げる母(深層心理で娘を憎んでいるといった線はなく、娘との二人暮らしの継続だけを願いとする母の「苦渋の決断」として演じている)。娘を背中からハグする場面が何度かあるが、占部は精神状態の振れ幅の大きいこの人物を双極性障害や多重人格のようには演じず、愛=依存感情の多面的な表われ方として滑らかに演じ、存在感があった。ルビーのピアスをゴミ箱に捨てたと聞いた娘は母の行為を「症状」として受け止め切れず、娘の反応を見て「まだゴミ箱に入ってるから(大丈夫)」と告げるも娘は不満を露出させ、出て行く(娘にとってここが母との関係における許容限度である事が如実に判る場面を作っている)。
共依存の母娘の関係が断ち切られる大団円は、すっかり静かになった母親が東京から戻って来た娘を迎え入れ、彼女の吐くだろう言葉をとうに分かっているようにソファに座って正面を向いている。一筋の涙が見えたと思うと暗転。美しいラストである。
福名理穂・ぱぷりかを随分前に検索して確か中国地方だった記憶。それを思い出したのは広島っぽい方言で芝居が進む。この方言の味もいい。
ハッピーエンドではあったが、ディテイルが物を言う芝居である。弟は元々姉の持つ弱さを見て育ったのだろう、障害児の兄弟姉妹を持つ子どもを「きょうだい児」と呼ぶらしいが形象にその面差しがあり、心根の優しさと同時に、姉を良く知っているからこその用心深さもある。その優しさと、彼の妻がスピリチュアルにハマる素養のある人、という取り合わせがまた「ありそう」(生涯苦労を背負うタイプの人ってのがいる)。バイト青年はその飄々とした風情が現代の達観した若者のある種の典型にも見える。どの役も好演していたが、中心となる母の存在感がやはり大きかった。
一点、未回収というか疑問が残ったのは、終盤の母親は社会性をも疑いかねない状況になるが、バイト青年も居るスーパーには出勤している日常が、欠勤続きになっているといった説明はなく、状況は変わっていないという前提で良いのだろうと思いつつ観ていた。外で働く日常は自己が暴走しない歯止めになっているはずで、その部分が気になったと言えば気になった。

青木さん家の奥さん
NPO法人大阪現代舞台芸術協会-DIVE-
ウイングフィールド(大阪府)
2022/12/15 (木) ~ 2022/12/18 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
「お芝居」というより「お笑いライブ」を観に来た感覚に近い作品でした♪いつも拝見する役者さんが即興で台詞という名の「大喜利の解答」を披露するくだりは苦戦する姿が面白かった☆中でも坂口修一さんの「役者+α芸人スキル」がハンパなかったです!前半は坂口さんがMCの役割やったのが中盤~ラストは自ら即興劇の沼にドップリ浸かって底なし沼のごとく降りかかる無理難題をことごとく裁きまくる姿はもはや感動的ですらありました!サブタイトルは「坂口さんへの罰ゲーム」で決まりですネ(^-^)

ひめごと
劇団大樹
Route Theater/ルートシアター(東京都)
2022/12/14 (水) ~ 2022/12/18 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
当日パンフで舞台美術が「能舞台」をモチーフにしていると知りました。能は見たことがないですが、写真などで知る舞台は確かにこんな感じで松の絵とかがあったような。上手奥の格子の間から見える松の枝が、龍のようにも見えて印象的でした。そして下手に生けてある(草月流だそうです)古い柿の木や、上手の秋の草花も見事でした。
音楽には韓国の楽器カヤグムが使われ、物語の流れ、登場人物の心情に生演奏がピタリと呼応していたと思います。
タイトルが「ひめごと」ということで、どんな秘密が隠されているのかずっと気になって最後まで目が離せませんでした。

薔薇とサムライ2 海賊女王の帰還
劇団☆新感線
フェスティバルホール(大阪府)
2022/10/05 (水) ~ 2022/10/20 (木)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
薔薇サムきた~的な演出で始まります。
音ものなのでシッカリしたナンバーが続きます。吟遊詩団の説明歌と歌詞が表示されるので助かります。
浦井健治さんのシャルルあつかいに爆笑です。

かみがたりぬ
劇団ジグザグバイト
福岡市立南市民センター(福岡県)
2022/12/17 (土) ~ 2022/12/18 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
本編は、歴史書を編纂する中で暗躍する何かとかが描かれています。
レッドの照明とムービングライトを多用されてうらやましい演出ですね。

ソクラテスの弁明
Mr.daydreamer
ぽんプラザホール(福岡県)
2022/12/17 (土) ~ 2022/12/18 (日)公演終了

しびれ雲【11月6日~11月12日昼公演中止】
キューブ
J:COM北九州芸術劇場 中劇場(福岡県)
2022/12/17 (土) ~ 2022/12/18 (日)公演終了

歌妖曲〜中川大志之丞変化〜
東宝/ヴィレッヂ
キャナルシティ劇場(福岡県)
2022/12/08 (木) ~ 2022/12/12 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
山内圭哉さん、福田転球さん、池田成志さんの出演ということで早くから選択していたので、4列目の中央寄りの席です。

Silence
月灯りの移動劇場
J:COM北九州芸術劇場 小劇場(福岡県)
2022/11/25 (金) ~ 2022/11/27 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
上演時間は1時間です。
北九州公演では少なめの動員数の回でした。
コロナ対策でしょうか。座席はひとつおきです。
静かめの演出だったので、ちょっと難解でした。
細かい砂が舞台上に敷き詰められて、水が大切な乾いた大地なのかな。そこで生活する人びとの苦悩なのでしょうか。

ショウ・マスト・ゴー・オン【12月3日~4日、12月7日、12月21日~24日昼公演中止】
シス・カンパニー
キャナルシティ劇場(福岡県)
2022/11/07 (月) ~ 2022/11/13 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
2階の最後列からでしたが、
三谷幸喜さんの代役出演や浅野和之さんのドクター大笑いさせていただきました。

ぴえろ
タクフェス
ももちパレス(福岡県)
2022/11/05 (土) ~ 2022/11/05 (土)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
恒例の開演前のふれあいタイムでの写真撮影や観客とのやりとりで大笑い。😄
お客さんが少なかったのは残念です。😓
最前列下手側の席だったので、序盤の宅間さんの半裸姿が目の前です。😅
カーテンコールでの写真撮影から小休憩後のダンスやミニトークもあって楽しめました。

虚AND構
あなピグモ捕獲団
ぽんプラザホール(福岡県)
2022/10/14 (金) ~ 2022/10/16 (日)公演終了
実演鑑賞
本編の複雑さについていけず、前半の記憶がありません。申し訳ありませんでした。
終盤の一人ひとり語りかける演出は、あなピはなかったんでしたか

沈丁花―ジンチョウゲー
CCCreation
KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)
2022/12/16 (金) ~ 2022/12/20 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/12/18 (日) 18:00
生演奏の音楽と効果音が芝居との相乗効果で良かった。
素敵な照明も多く、個人的に好きな演出でした。

バスはどこにも行かないで
ブルーエゴナク
J:COM北九州芸術劇場 小劇場(福岡県)
2022/10/07 (金) ~ 2022/10/09 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
ピアスさんの所作は切り替えられていますが、台詞回しが同じトーンでもったいない気がしました。
高山さんのような切り替えがあればなあとおもいます。
中央のバスが、バスにとどまらない使い方で安心でした。
生者と死者が交わっている時間ということで良かったでしょうか。

『ピーチの果て、ビーチのアビス、つまりはノーサイド』R-18
キ上の空論
サンモールスタジオ(東京都)
2022/12/15 (木) ~ 2022/12/21 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/12/18 (日) 13:00
Bチームを観劇。
演者が替わって多少印象が変わり、言葉の力を強く感じた。
前の人の頭で大きく視野が遮られてしまったのは残念でした。

フィスト・オブ・ノーススター~北斗の拳~
ホリプロ
キャナルシティ劇場(福岡県)
2022/10/07 (金) ~ 2022/10/10 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
初演を大阪で観ましたが、再演はキャストが一部交代。
本日楽日の永井さんのラオウはちょっと小ぶり、清水さんのマミヤは背が低くて、ユリア(May’n)とにているという原作の設定から、違和感はあります。
本編は、3時間弱の中で原作の第一部をカットされたところはありますが、ハイライト的に見る感じです。ジュウザの登場シーンはちょっと気になりますが、心打つシーンを選んでいるからか、ずっと涙がこぼれている感じでした。
ナンバーのお気に入りは、トキとレイの「願いを託して」です。死期が近づいてくる二人の切ない詩です。

カタブイ、1972
名取事務所
小劇場B1(東京都)
2022/12/15 (木) ~ 2022/12/18 (日)公演終了

『生きてゐる小平次』
楽園王
サブテレニアン(東京都)
2022/12/01 (木) ~ 2022/12/06 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/12/06 (火) 14:00
三角関係での殺人と霊、な既存戯曲と書き下ろし(?)。
「小平次」の影響で書かれたという「風」はまさしくアンサーソングと言おうか対照的でニヤリ。また、ある人物が実は霊だった、というオチは好きなパターンのひとつなので「うひょー♪」。
「小平次」は殺した筈の小平次が二度も現れるが果たしてそれは実際に不死なのか殺した側の良心の呵責かはたまた霊なのか?な見方もできて面白い。

グライド
演劇集団☆邂逅
space korallion〈スペースコラリオン〉(大阪府)
2022/12/17 (土) ~ 2022/12/18 (日)公演終了
満足度★★★★★
飼っていたネコ🐱と飼い主の話
僕は犬🐶だったけど、気持ちは分かる 共感し、大泣き💦😭💦
対応も素晴らしい‼️感無量です😊

ある母の記録
NonoNote.
コフレリオ 新宿シアター(東京都)
2022/12/14 (水) ~ 2022/12/18 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
とても面白かったです。心情がとても伝わるひとつひとつの仕草、セリフ、とてもよかったです。終演後の挨拶も感動でした。私も若いときに母を亡くしているので少し共感しながら拝見してました。見事な旗揚げでした。次回作品も楽しみにしています。また、押しの団体さんが増えました。