最新の観てきた!クチコミ一覧

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丹青の水屋の富

丹青の水屋の富

深川とっくり座

江東区深川江戸資料館小劇場(東京都)

2023/03/17 (金) ~ 2023/03/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

とっても見やすい。

ネタバレBOX

普通のセオリーでは、悪者を懲らしめる場面がある。
それが無いのが逆に斬新で記憶に残り続けると思いました。

多分、焦点を当てたい場所が、富くじに当たるより日々、穏やかな日常に幸せを感じるものよね。ってとこにしたかったのかなと予想。
祖母の退化論

祖母の退化論

PARA/布施安寿香/和田ながら

PARA神保町2F(東京都)

2023/03/17 (金) ~ 2023/03/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

SPAC舞台でも存在感を認める女優、布施安寿香氏は数年前鳥公園に客演しその鋭くかつ大らかな演技に感服した。この一風変わった企画(しかも入場料はそれなりに高い)に出かけたのは、プラスよくは知らないが一定評価のある和田ながら氏、そして決め手は謎の作家・多和田葉子のテキストに取り組んだものである事。(謎、と言っても著作は多く、翻訳家という出自を対象化し遡及することから執筆業は発したらしい、というぼんやりとした認識がある。ただ読むと入り組んだ思索に誘われ、凄みがあるが複雑で読了した事がない・・遅読のせいもあるが。)
舞台は圧倒的であった。一人称の語りが、様々な光景を見せる。物語は展開する。入れ子状態にもなり、主体はシフトするが人格は一つ。役者の肉体は喜々としてそれを体現し、観客と存分に共有する。105分の一人芝居。

since 1991

since 1991

ジグジグ・ストロングシープス・グランドロマン

こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)

2023/03/15 (水) ~ 2023/03/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/03/17 (金)

新宿スペース・ゼロにてジグジグ・ストロングシープス・グランドロマン『since 1991』を観劇。
フィクションでありながら、ノンフィクションのようにも感じられる絶妙な設定の物語。その描き方、物語の展開の仕方も斬新で、これまでに拝見したジグジグさんの過去4作『デイドリーム・ビリーバー』『円盤屋ジョニー』『ひのくすり』『石を投げる女がいて』とはまた一味も二味も違った趣向、手法の作品であるように感じました。というより、このカンパニーの脚本・演出欄にはいずれも堤泰之氏のお名前がクレジットされているものの、本当に全て堤氏の作品なのかと感じてしまうほど、良い意味で統一性がない。まるで別々のカンパニー、或いは、それぞれに異なる作家さん、演出家さんがいるのではないかと錯覚してしまうほど、毎回異なる面白いコンセプト、テーマ、仕掛けがあるような印象を受けています。強いていえば、キャスティングされているメンバーが似たような顔触れであったり(劇団組織であれば当然ですが)、自然な会話劇の中に思わずクスッと笑ってしまうような小ネタがあったり(オーバーリアクションなど敢えて狙いにいかない自然な笑いが心地好い)、観終わった後に心に何かが突き刺さったような圧倒感、見応えがあったりする部分が“統一性”かもしれないです。毎回とても楽しませていただいています。
今回の作品は都内のとある演劇スタジオを舞台とした物語。1991年~2031年までの40年の間に起きる様々なストーリーが描かれているのですが、どれも演劇業界、演劇人のリアルというべきなのか、実際にこういうシチュエーションありそうだなぁ、こういう考え方の役者さんいそうだなぁ、あれ、こういう逆の考え方の役者さんもいそうだなぁ、、など、どのシーンにもどの役にも惹き付けられる何かがあったように感じます。
「何で役者をやっているの?」というシーンを例に取っても、その答えには100%がないように、結局は世の中多くのことがそうなのだと思います。だからこそ、個性というものがあり、その個性の一つ一つが尊重される訳で、世の中全てのこと、全ての人が同じ考え方、100%(1通り)の答えしかなかったら逆に不自然だと思いますし、演劇だって今のように様々なジャンルが存在し、その一つ一つが輝きを放つこともないと思います。答えがないからこそ、絶対的な正解がないからこそ面白いのではないかと。この舞台の見え方も人それぞれなのでしょう。それで良いと思いますし、これからも個々の価値観、感情が尊重される時代であって欲しいと感じました。
今回はSSチームを拝見させていただきましたが、キャストの皆さんがその時代時代でそれぞれ異なる役を演じ、全く違和感なくそれぞれの役に成り切っていたのはお見事。後に改めてパンフレットの相関図を拝見し、あの役とこの役は同じ役者さんが演じていたのか!といった驚きもありました。小林知未さんのナレーションも聞きやすく、時空移動を分かりやすくする良いナビゲーター役になっていたと思います。前作でインパクトがあった小林和也さんは今回も存在感あり。糸原舞さん、青山真利子さん、大竹散歩道さん、美波花音さん、小泉匠久さんらも印象に残りました。テンポが良くあっという間の2時間5分。演劇界の40年が凝縮されたような作品。果たして2031年の実際はどのような世の中になっているのか。。劇中で出てくる舞台のフライヤーだったり、スナック菓子のパッケージだったり、公衆電話だったりと、それぞれの時代に合わせた細かな再現もあり、見所の多い丁寧に作られた作品だと感じました。

掃除機

掃除機

KAAT神奈川芸術劇場

KAAT神奈川芸術劇場・中スタジオ(神奈川県)

2023/03/04 (土) ~ 2023/03/22 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

俳優がいきなりステージに現れて、ひたすらとりとめのない日常語りを長尺で
展開する「チェルフィッチュ」スタイルを序盤こそ持て余している感あったけど
まさかの「父親」3人登場以降は舞台の主導権を演出家が取り返してそのまま
ゴール決めた感あり。

基になった作品のホンを読んでいないので、セリフがどのくらいまんまなのか
分かりかねる部分があるけど、本谷有希子の暴力的で荒々しい側面とシンクロ
することが後半多くてスリリングだった。

ネタバレBOX

舞台の作りからしていいなって。ベッドとテレビが大きく湾曲化した左右に取り付けられ、
正面と後方は大きく開いて役者が出入りできるという。

引きこもっている人にとって家は一種のすり鉢状の「アリ地獄」みたいなものである一方、
別に家族などに捉われてない人は正面からさっさと外界に出て行っちゃうというメタファーに
なってそうだなと感じました。

この作品のMVPは音楽監督だけでなく、「熱帯雨林」の仕事4日でバックレた労働者役で
キャスティングされた環ROYかと。ひねくれてて楽しいことならオールオッケー!みたいな
軽いノリを崩さない半面、何度か核心を突いた発言を飛ばしてくる「道化」にして「キー
パーソン」の役割を立派に果たしていたかと。

「熱帯雨林監督」にみんな爆笑して、「世界中がクソだらけだったらぁ、どこにも飛び込まないで
その場にじっとしとくのが正解なんすよ!」的な、世界の理を動物的本能で見抜いてるのすごすぎる。
この人を連れてきただけで半分成功してるようなもん。

80代の父、50代で数十年引きこもってる娘、環ROYの仕事仲間で家出たがってる息子のリチギ家に
物語を回す役目の「掃除機」と主要4キャラで「引きこもりを抱えた家の時間が止まったような、
外界から隔絶しちゃってるような状況」を意図的に笑いをきもち多めかつ感情むき出しな調子で
演出してるのが新鮮。

好きな場面、娘がアリ地獄みたいな舞台端の部分に必死にしがみつきながら、「私の人生はずっと
平坦で他の人に比べて平坦だけど」「それでいいんだって思いたい」みたいなことを絞り出すように
独白するあたりかな。娘が引きこもったの、自分の亡くなった妻のせいにする高齢親父に比べて
ちゃんと生きてるよな……。こういう部分あるから、岡田脚本&本谷演出でも不思議と重くならず
どこか前向きに、そして時にはクスッときちゃう感じの作品になってる気がする。

岡田利規の演劇、ダンスの要素とか社会の空気を入れ込んだ難解なもの、というパブリックイメージが
広く共有されていて、「批評」的な側面で語られることが多い気がするけど、

今回の作品のあいさつで「自分が書いた戯曲は演出するのは基本的に自分だけ、つまり他の演出家には
扱ってもらえない、それを常々さみしく思っていました」「本谷有希子さんに演出してもらえる機会を
いただき、まずはそのことがとてもありがたいのです」と書いているあたり、そういう文脈から
逃れたかったのかな?という気もする。

本谷自身もインタビューで、自分とは真逆だと言っていた気がするし、全然タイプ違う作家がコラボ
するの面白いよね。
あげとーふ

あげとーふ

無名劇団

無名劇団アトリエ(大阪府)

2023/03/17 (金) ~ 2023/03/21 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/03/17 (金) 19:30

自分の若かったころを思い出させてくれるような、それでいてちょっとぶっきらぼうな友情も感じることのできる、気持ちのよい作品です!

アウトカム~僕らがつかみ取ったもの~

アウトカム~僕らがつかみ取ったもの~

劇団銅鑼

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2023/03/17 (金) ~ 2023/03/22 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

事業評価をテーマに挙げていて、何だろうと思いましたが、小難しいことはなく、人間味溢れる群像劇でした。勉強にもなりました。

あげとーふ

あげとーふ

無名劇団

無名劇団アトリエ(大阪府)

2023/03/17 (金) ~ 2023/03/21 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 見慣れたアトリエが素敵にリニューアルされていて、劇団員や出演者の皆さんの努力に思わず「頑張った〜」と言ってしまいました。男子のノリに笑わせられているうちになんと、涙が出て自分でもびっくりしました〜。女子の部は色々なキャラの女子が最後にはー。おもしろかったです。

ネタバレBOX

 グランドキャニオン、個人的に悪天候のため行けなかったことを思い出しました〜。憧れの地、タクちゃんの心情と、たいちゃんの心配を思うと涙が出てきました。コーディとかんちゃんのやり取りも心にしみました。
群羊

群羊

劇団太陽族

AI・HALL(兵庫県)

2023/03/17 (金) ~ 2023/03/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

最初は、分かりにくいのだけど、後半は、ふと思ったのだが、洗脳される時はこんな感じなのかと思い、ちょっとヒク!
面白かったけど、奥が深いなあ。
お芝居観られてありがとう。

世界虚仮(セカイコケ)

世界虚仮(セカイコケ)

ゴツプロ!演劇部

小劇場 楽園(東京都)

2023/03/15 (水) ~ 2023/03/21 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

スピード感ある舞台を演者さん達が全力で楽しんでいるのを感じられて見ていて楽しかった。
何故そうなったのかがわからない話があったのでもう少しわかりやすければもっとよかったかも。
上演前の生CM、ショートドラマみたいでとても良かったです!

あげとーふ

あげとーふ

無名劇団

無名劇団アトリエ(大阪府)

2023/03/17 (金) ~ 2023/03/21 (火)公演終了

満足度★★★★★

安定感ある劇団
楽しめた
演者変わる分もう一度みるけど楽しみだ

レティスとラベッジ

レティスとラベッジ

ポータブル・シアター

難波サザンシアター(大阪府)

2023/03/17 (金) ~ 2023/03/21 (火)公演終了

満足度★★★★

海外戯曲をする劇団
時間三時間 途中休憩有るけど…
年齢もあり終わったらへとへと
内容は良かったが、カットできるところもあったと思う
最長二時間くらいが限界?

アウトカム~僕らがつかみ取ったもの~

アウトカム~僕らがつかみ取ったもの~

劇団銅鑼

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2023/03/17 (金) ~ 2023/03/22 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/03/17 (金) 18:30

見ていて、問題意識が高まったり、ひとつもふたつも頭が良くなる作品、いいですね。私が住んでる町ではどんなことが起こってるんだろうと知りたくなりました。

レプリカ

レプリカ

ハツビロコウ

シアター711(東京都)

2023/03/14 (火) ~ 2023/03/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

とてもよかったので、もう1回観たくなり、チケットを予約しました。2回目はどんな気持ちになるか、それもとても楽しみです。

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視点

座・高円寺1(東京都)

2023/03/15 (水) ~ 2023/03/21 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/03/17 (金) 19:00

第2弾。#食む派 #Antikame? を観た。どちらも初見。57分(18分休み)60分。

食む派『冷し中華いななき』
 初めて観たが、丁寧な会話劇コメディ。冷し中華が禁止された世界という設定で笑わせて、それに伴うアレコレを5人で展開する。松本みゆきの佇まいが良い。

Antikame?『こえを見ている』
 実験的かつ抽象的な作品。事前に作・演出の吉田康一が出てきて、「20分ほど真っ暗です」と宣言したとおり、冒頭20分は全く照明がない状態でセリフだけ飛び交う。その後は照明が点くが、基本的にモノローグで会話と言うべきものは展開されない。興味深い作品だが私のテイストではない。耳が遠くなりつつある私には、声で役者を区別することが難しいシーンがあったりした。


 事前精算・指定席で今日もD列で、スタッフに「D列の前は通路なのか」と訊いたが、「通路ではないが、通ろうとする人に止めてくれとは言えない」と言われた。それは通路ということではないか。次回から席を変えてもらう。

幸福論

幸福論

wonder×works

新宿シアタートップス(東京都)

2023/03/15 (水) ~ 2023/03/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

客席のA列を無くし そのスペースにまで達している舞台セット
まるで舞台と客席が地続きとなった仕様に期待は高まってくるし、始まってみればそれこそ期待通りの演出が

核廃棄物処分誘致に反対の立場をとる医師の自宅の一角が舞台
この町全体からしてみれば反対派の局部的定点観測というカタチになるのだけれど、地に足のついた演技、普段の生活ベースから徐々に高まっていく緊張感からは舞台上には登場していない町民たちの思惑までもが見えてくるようでした

自分の生活圏において核廃棄物処分地という存在は縁遠く、今回の公演に触れていなければ、こんなにも深く考える機会は無かったと思う
核廃棄物という底知れない脅威以前に、一筋縄ではいかない人間関係が一番怖いのではないかと思ってみたり、例えばの自分を舞台中に投影してみたり、かなり深く入り込んでしまう公演
小さな町が背負ったのは、この国の幸せ
本当にそれで良いのか・・・
劇中で語られたこの問題の核心が忘れられない
帰り道には登場人物達の様々なしがらみから離れる事ができて、一旦核の脅威から離れる事ができてホッとしている自分に気付いてしまいました
本当にそれで良いのだろうか・・・是非多くの人に観て欲しいです

レプリカ

レプリカ

ハツビロコウ

シアター711(東京都)

2023/03/14 (火) ~ 2023/03/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

面白い、お薦め。
或る事情によって山奥の里に移り住んだ父娘と 2人に関わる人々の歪な思惑を描いたサイコ スリラーといった物語。公演の魅力は、俳優陣の圧倒的な演技力、その迫力と緊迫感ある雰囲気が観る人の関心を惹き付けて離さない。その雰囲気を醸し出す舞台美術、そして光と音の芸術とも言える舞台技術が怪しく不穏な雰囲気を倍加して表す。

山奥の一軒家ということから、ある意味 密室劇のようでもあり、逃げ場のない切迫感が犇々と伝わる。その得体のしれない恐怖と二転三転する展開に目が離せない。登場する人物の表情や態度が段々と変化し、皆怪しく誰を信じればよいのか。一方、己自身も本心と建前のような二面性ー意識してなのか無意識なのか曖昧な観せ方が益々謎を深める。人々の心の奥底、その虚々実々が漂流しどこに漂着するのか分からないといった人間心理と物語性、その二重の謎を秘めた作品。根底にあるのが人の愛<情>と欲望、それだけに哀切が…。
(上演時間2時間10分 途中休憩なし)

ネタバレBOX

舞台美術は、全体を底上げしたような平台。中央にテーブルと椅子、その奥<壁際>に置台や棚、上手にドレッサーと扇風機、下手には台所と冷蔵庫、そして客席側に黒電話が置かれている。さらに下手には見えないが玄関や窓があるらしい。客席と舞台の間に空間を設け別場所<外>を表す。室内の暗さは、日中でもカーテンを閉めているから。中盤に誕生日プレゼントとして現れる人形=レプリカがリアルで怖い存在になっていく。

物語は、主人公・並木潤子(松田佳央理サン)が10年ほど前からストーカー行為をされ続け、やむを得なくこの地へ父(松本光生サン)と移り住んでいる。精神を病み主治医的存在の宮田(井出麻渡サン)、月に一度 絵画教室へ絵を教えに行っており、そこの自称芸術家・谷村(田辺日太サン)とその甥・楠(新垣亘平サン)、さらに父が働いている兼業酪農家・矢島(高田賢一サン)といった人々が登場する。姿なきストーカーに怯える潤子と彼女を心配する人々だが、いつの間にか…。サスペンスミステリーでもあるため梗概はここ迄(チラシ文言で推測できる範囲)。

上演前から雷雨を表す雷鳴と閃光、その音と光が物語の先行きを象徴するかのよう。薄暗がりの中で潤子は不安げに蠢く。照明は、停電による懐中電灯やランタンの灯、それから潤子の誕生祝のケーキの蝋燭<火>などが効果的に使用される。また室内の傘電灯やライトスタンド その暖色照明が柔らかい雰囲気を漂わす。一方、音響は雷鳴以外に、時を刻む音や梟、蜩といった動物の声が会話を邪魔しないよう微かに聞こえる。しかし、その音声が実に不気味な効果を発揮している。勿論ストーカーの存在を示す黒電話の音が不安と苛立ちを煽る。

物語の奥底に潜む「愛と欲望」は、純粋というよりは歪んだ愛情表現とも言える。その切実さゆえに感情の制御が利かなくなる怖さ。拘束したくなる思い、一方 自由になりたい思い、その反作用する感情<愛情>と2人の関係の親密さ。その線引きが上手く出来ない故の悲劇が公演の肝。
他方、表面的な設定のストーカー行為<社会問題というか犯罪⇒無言電話や盗聴等>は、警察は”何か”あってからしか動いてくれない。他劇団の公演でもあったが、民 刑曖昧な状況に対処する術、その不完備のような社会状況が垣間見える。その社会性と先の歪な愛情表現…人間性に重なる面白さ。
次回公演も楽しみにしております。
少女仮面

少女仮面

糸あやつり人形「一糸座」

赤坂RED/THEATER(東京都)

2023/03/17 (金) ~ 2023/03/21 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

メリー・ホプキンの「悲しき天使」。
荒野を彷徨う亡霊の乞食、彼等が乞うのは“肉体”だった。
永遠の宝塚スター、春日野八千代の経営する喫茶店『肉体』をヅカガールに憧れる少女・緑丘貝と老婆は訪ねる。そこは防空壕を改造した地下の城。

店にはボーイ主任の丸山厚人(あつんど)氏と奴隷のような二人のボーイ。
腹話術師役、中川晴樹氏と腹話術人形役、夕沈(ゆうちん)さんの絡みが最高。中川晴樹氏は“クレイジー・モンキー”葛西純みたいで印象的。
水飲み男役、田村泰二郎(たいじろう)氏74歳!由利徹や小松政夫みたい。昭和のコメディアンの持つ静かな狂気。
甘粕大尉役、大久保鷹氏79歳!格好良いな。ちなみに皆大好きな甘粕正彦は54歳で自害している。

ネタバレBOX

『少女仮面』の舞台を観るのは三度目だが、やはり面白いとは思わなかった。いつの日かメチャクチャ嵌まる日が来るのかも知れない。ストーンズもツェッペリンも何かの拍子にぐっと来たもの。赤坂レッドシアターの座席は横幅が狭過ぎる。ギュウギュウ詰め。
人形がもう少し大きい方が良かった。糸あやつり人形でこれを演る意味が余り見えない。人間には不可能な表現を期待。唐十郎の戯曲は一字一句弄ってはならないそう。
天野天街氏は時空間のねじれにこだわりを見せる。狂ったようなリピート・ギャグ。事前撮影した映像の被せは説得力を持つ。ウェイターが何度もコーヒーを客にぶち撒けるのだが、中身はただの水。その辺のこだわりはないようだ。
レプリカ

レプリカ

ハツビロコウ

シアター711(東京都)

2023/03/14 (火) ~ 2023/03/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

ハツビロコウはこれまで海外の古典と言っていい戯曲の上演を観てきたので、こうした日本の現代もの、しかもサスペンスは新鮮だった
キャストは迫キャストは皆好演で、自分の立場が変わるに連れ変化していく表情が見事技だった
照明、音響、美術もこの内容を表現する上でまさに的確なものだった
ハツビロコウ、松本光生さんの多様な力量に感心する
ともかく「固唾を呑んで」という表現がぴったりの2時間あまりだった
物語はちょっと「罠」を思い出すところもあるのだけれど(どんでん返しの連続という意味で)、もっと暗く、常に「狂気」をはらんでいる

ネタバレBOX

松田さんは開場時から舞台上にいて、暗い中で時々動いている
雷鳴が轟くと稲妻が走る
後から考えると「ああ、なるほどな」と思う冷蔵庫のドアの開け閉めなどといった布石もある
開演後も窓はカーテンを閉めたままという設定に従って照明は暗いままで進行する
特に前半は懐中電灯やランプが使われ山小屋風である
否応なく緊張感が増す
プレゼントの人形が「レプリカ」で象徴的
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視点

座・高円寺1(東京都)

2023/03/15 (水) ~ 2023/03/21 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

#こえを見ている
#Antikame?
#日野あかり #青澤佑樹
#飯智一達 #高橋壮志
#俊えり #杉原敏行(敬称略)
D初回。裸を超える衝撃の問題作。歴史が動いた。
アヴァンギャルドだ。絶対に劇場で体験しなければダメだ。 30年以上の観劇人生、4000作品以上は観ているはずだけれど、コレほどの冒険を観たことがない。
けれどコレは主宰の吉田康一さんが模索し登り続けてきた山の最高峰で、開けた視界に見えた絶景だ。
その世界を目撃した今、作品と一心同体になって迫って来るタイトルに痺れている。

無謀とも思える冒険の旅だけれど、その航路が間違いではなかったと実感させられる。上演前に伝えられたコトで恐怖を感じビビる人もいるかもしれないが、開演して数分でソレは消える。

美しい散文詩が美しい肉声で届けられる美酒に酔う。

広大な心象スケッチ
モノクロのパステル
眩しい暗闇
漆黒の万華鏡
手中にある宇宙
粛々たる雷鳴
耳障りな静寂
心地良いノイズ
愛おしい憎悪
悍ましい優しさ
甘美な吐き気
凍える温もり
幸福な孤独
淋しい団欒
はち切れそうな空腹
ひもじい満腹

わたしたちは宇宙の塵。
アポロ11号を離れて迷子になったアストロノーツ。
無軌道に行き先を失い、無秩序に振り回されるうちに、いつか恒星を廻る惑星のように進むべき道を得られるだろうか。
失われた視覚によって研ぎ澄まされる聴覚。
遮られた嗅覚は空気の手触りを刺激しているかもしれない。
ソノ世界によって失われた方向感覚に便乗して、通常の観劇中には決して向けられない方向へ視線を投げる。
届く声もあちらこちらに向けられ、跳ね返ったり零れ落ちたり。歩みと共に生まれた声は、文字通り迫って来る。

それぞれの視点から眺める宇宙はどんな彩りを纏っているだろうか。向けられた視線の多くは交わることはない。だからこそ、遠くからゆっくりと彼女を追う視線に心を灼かれる。


この企画で上演される8作品の中で、最も勝負した作品であると確信する。
誤解は解いておくが、美女の裸なんてない。そうした衝撃作もあるが、それとは違う、それを超える衝撃を味わえる。
9割以上のモノローグが紡ぐ魔術に酔うといい。
コレは語り継がれる問題作。証人になれるチャンスを逃したら後悔する。


■追記■
俊えりさんの声がとんでもなく可愛い。
可愛いアニメの声優だってイケる。
日野あかりさんの美しさは説得力があるなぁ。

送りの夏

送りの夏

東京演劇アンサンブル

すみだパークシアター倉(東京都)

2023/03/17 (金) ~ 2023/03/21 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/03/17 (金) 19:00

125分。休憩なし。

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