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ストレイト・ライン・クレイジー

ストレイト・ライン・クレイジー

燐光群

ザ・スズナリ(東京都)

2023/07/14 (金) ~ 2023/07/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

行政・政治家の善意と先見性が大事なのか、住民・ジャーナリストの声が大事なのか。いまだに解決のつかない永遠の問いを、あらためて考えさせる舞台だった。

その場しのぎの男たち

その場しのぎの男たち

劇団東京ヴォードヴィルショー

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2023/07/21 (金) ~ 2023/07/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

おもしろかった。どくに後半、陸奥宗光と伊藤博文の確執があらわになり、その因縁も絡んだ陸奥の策が、ことごとく失敗していく。犯人の妻、人力車夫、くのいちまで登場し、ダメ男たちだけでは作れない活気をつくり出す。その怒涛の1時間は本当に面白かった。休憩なし2時間5分。
三谷幸喜31歳の作だそうで、戯曲に若さと才気がはじけている。

配役(ほぼ登場順)。
出たり入ったり、ロシア側の動きの説明役の外相・青木周蔵(たかはし等?)
主将の薩摩からの幼馴染で、声は大きいが役には立たない内相・西郷従道(坂本あきら・客演)足が臭いのはご愛敬。それが時には武器にもなる。
首相と伊藤の間で風見鶏を演じる目立ちたがり屋の逓信相・後藤象二郎(石井愃一)。ざんぎり頭の長髪で幕末の志士の生き残り。それらしく、修羅場には強い。
優柔不断の首相・松方正義(佐渡稔)
一番の切れ者と言われつつ、出す策が次々裏目に出るの陸奥宗光(佐藤B作)
政界最大の実力者伊藤博文(伊東四朗)。御年86歳。にこりともせず、オーバーな動きもなく、ただぶっきらぼうにセリフを言うだけで、客席爆笑。喜劇役者の神様である。
伊藤の右腕の若い書記官・伊東巳代治(まいど豊?)
犯人の津田三蔵の妻(あめくみちこ)。「夫の命を助けるため」といわれて、とんでもない役を押し付けられるが、本人も何を期待されたのか分からず……。
ニコライを助けた車引き(山口良一、日により大森ヒロシとWキャスト)。学はないが、誰にもこびない無法松のような男。口先だけの政治家の中に混じると、引き立つ。
元くのいち(山本ふじこ)。伊東四朗同様、にこりともせず、爆笑につぐ爆笑をとる天性のコメディエンヌ。登場回数は少ないが、一番面白かった。ブラボー
ほかにホテルの執事、や楽隊。最後に犯人の津田も現れる。

ネタバレBOX

カーテンコールで佐藤B作が、昨日の感想から元高校日本史教師の女性(67)を紹介していた。「大津事件を学校で教えてきましたが、事件の裏の裏が初めてわかりました」。聞いて会場はまた爆笑であった。
さいごの1つ前

さいごの1つ前

KAAT神奈川芸術劇場

KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)

2023/07/21 (金) ~ 2023/07/24 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2023/07/21 (金) 14:00

85分。休憩なし。

犬と独裁者

犬と独裁者

劇団印象-indian elephant-

駅前劇場(東京都)

2023/07/21 (金) ~ 2023/07/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

 作・演を担当している鈴木 アツト氏は役者上がりではない。これが原因か否かは不明であるが、ダメだしに役を生きるような演技をどれだけ出していたのかには興味が湧いた。演技にそれを感じることが余りできなかったからである。演劇は一旦上演が開始されてしまえば、役者の演技が勝負である。(追記7.30)華4つ星

ネタバレBOX

 舞台美術のセンスが良い。板中央に目の形をした造形があり、瞳の処に書棚がある。この部分は恐らく回り舞台になっているのだろう。グルジアで若い頃詩を書いていたスターリンが、ソソという愛称で登場するが、これはブルガーコフの深層心理が造形した幻であり、ロシアに抑圧されたグルジアそのものであるから、犬のイマージュを纏って現れるが、ソソの書くグルジア語の詩に現れた詩想はこの戯曲中最も素晴らしい。但し詩は、詩才のある者にしか分からないという傾向を持つ文学の王であるから戯曲や散文とが混在する今回のような作品では極めて演出が難しい。然も描かれる時代は革命時代のソ連である。折角戯曲が良いのだから、演出はあまりスタンダードに拘らずもっと前衛的にした方が良かったと自分は感じている。例えばカンディンスキーの「コンポジッション」を舞台上に映写しつつ、シェーンベルグの「月に憑かれたピエロ」を流す等である。「コンポジッション」は絵画の構成要素である円、三角、四角等を恰もそれぞれが音符であるかのように軽妙に描き、今にもその各々の要素が踊りだしそうな感覚を齎す抽象画であるが、革命の齎す一種の高揚感はこのような作品で表し同時に「月に憑かれたピエロ」の持つ不気味で昏い詩想が齎すもの・印象を重ねるのである。このような操作を更に効果的にする照明とセットで用いたら更に舞台はその造形を深めたように思われる。大前提として眼を現した造形が板中央から観客席を監視しているのだから、オーウェルの「1984」の監視社会は、はなっから今作の不可欠の条件として予め視覚化されている。脚本にはゲーテの「ファウスト」を彷彿とさせるような内容も含まれることだし、ソポクレスの「オイディプス」に通じるシーンもある。詩想を舞台で現実化させる為には、このような奇抜な演出が大切だったと思うのである。
これが戦争だ

これが戦争だ

劇団俳小

ザ・ポケット(東京都)

2023/07/22 (土) ~ 2023/07/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/07/25 (火) 14:00

見ていて、こちらの胃が痛くなるステージ。仲間内で、恐怖によるストレス溜まりまくりで、誰もが異常な精神状態なって一触即発の状態。いや、小さな即発など日常茶飯事か。戦争ものというと、日本でははるか昔の敗戦が描かれることが多いが、これは21世紀の出来事ということで時間的にものすごく身近に感じられ、それが怖かった。帰宅後、ネットで「カナダ軍兵士をむしばむアフガン従軍/自殺者が62人」という記事を発見した。

犬と独裁者

犬と独裁者

劇団印象-indian elephant-

駅前劇場(東京都)

2023/07/21 (金) ~ 2023/07/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

初めて見る劇団だが、もう20年もやっているという。記念公演だ。主催者の鈴木アツトのカンパニーのようで公演数が少ないから見る機会がなかったのか、目立たないようにやってきたのか。作者にこれだけの力量があるなら、もっと注目されるチャンスはあっただろうにとも思う。
スターリン独裁下のソ連の劇作家・ブルガーコフの話である。鈴木アツトは時代の罠に落ち込んだ芸術家の評伝劇をいくつか書いていて、これもその一作だ。芸術家の伝記というのは数々ある名作を引くまでもなく、演劇向きの材料だ。
ソビエトの社旗主義国家という構想は今も人類の忘れがたい夢の一つで、ソ連の夢の後引きになったウクライナ戦争が泥沼化している現在、時宜を得た良い企画である。
物語は、グルジア出身のスターリンが青年時代には現地語で詩を書いていたことを梃子にしている。あの愛に満ちた詩を愛した青年が、社会主義の理想に触れて、なぜ、世紀の殺戮者になったのか。スターリンは、自分の詩を封印してしまう。
舞台では、頭角を顕しはじめたブルガーノフにスターリンの評伝劇を書くようにとモスクワ芸術座から記念公演のために注文が来る。スターリンの詩人性と、脇目も振らず全体主義国家構想への邁進したスターリンが、劇作家の中では融合していかない。作家自身の身辺の前妻と現在の妻との葛藤、飼い犬と劇作家の関係、モスクワ芸術座の見事なまでの忖度ぶりと変節が、巧みな劇作術の中で展開していく。この実話性は一部は聞いたような記憶もあるが、そこはどうでも良い。今の時代につながる現代の芸術家の当面する現代の病癖をドラマにしている。ほどよい前衛性もあって、忘れ去られている後期ソ連時代に現在の後期アメリカ資本主義が重なってくる。知的な構成で、変なキャンペーン性などまるでないところも見事である。戯曲はうまいものだ。
しかし、この作品を生かすには、表面に立つ、演出・演技が戯曲に遠く遙かに及ばない。それでも、一応満席になっていたのはひとえに戯曲の力である。そのほかの点は一つ一つ悪口を言うのは止めるが、この本を、文学座のアトリエで今、旬の女性演出家の手で見られなかったのは残念というしかない。30歳代の若い作家たちはかつての新劇の運動性とは無縁である。劇団運営も演出も得意ではないだろう。この惨憺たる俳優陣にもどう言えば良いか解らなかったのではないだろうか。戯曲を他者に渡すという共同作業が出来るオープンな場を積極的に作ることがこれからの日本演劇の課題だろう。



これが戦争だ

これが戦争だ

劇団俳小

ザ・ポケット(東京都)

2023/07/22 (土) ~ 2023/07/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

役者さんたちの熱演が素晴らしかったです。
特にターニャ役の蜂谷さんは、女性兵士という日本ではほとんど観れない兵士役で、インパクトがあり、雰囲気も魅力的でした。

[これが青春だ] と言えばわかるが、[これが戦争だ] と言われても、戦争を体験していないのでわからないが、このお芝居を観て、悲惨さがかなり伝わってきた。

個人的には、いつもの[俳小]の物語仕立てがとても好きですが、斬新な舞台で意外性があり、とても良かったです。

猛暑の中、行くのが大変でやっと劇場に辿りつきましたが、迎えてくれたスタッフの方々のご配慮が嬉しかったです。

素晴らしいお芝居で、観て満足でした。

友達

友達

劇団第一主義

布施PEベース(大阪府)

2023/07/26 (水) ~ 2023/07/30 (日)公演終了

満足度★★★★

友達の定義は人それぞれ異なる
はじめの警察の対応は置いておいて、その後の家主の対応はつけこまれやすい人間の対応そのもの
友達だよねといった不確定なポジションをネタに、退職金前借りまでさせて…
思い込みやはまりこみは危険だと教えている

みんなのえほん

みんなのえほん

9-States

小劇場B1(東京都)

2023/07/26 (水) ~ 2023/07/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

昨年の「彷徨いピエログリフ」では正義とは?を問うていたが、今回は人間の尊厳とは?がテーマ
死期の迫った絵本作家は絵本を書くことを選ぶべきなのか?
それとも命を長らえることを選ぶべきなのか?
医師も延命を考えるものと患者のやりたいことをやらせようとする者が・・・
全体としては暗くなり過ぎずにテーマについて深く考えることができた気がする

ネタバレBOX

4人部屋の病室の他の患者もいろいろと抱えている
医師も延命を考えるものと患者のやりたいことをやらせようとする者の対照的ともいえる二人が登場(最後には真反対ではないと思わせるが)
相変わらず暗転の間ディスプレイで警句的なモノローグや単語が流れる
「必死とは必ず死ぬこと、それをずっと言ってきてる」
「光に群がる虫は自らも輝きたがっている」等々
演技ではタマちゃん役の浅賀誠大が最高!(マツコに似てた)
長距離トラックの運転手してる詩織の母恵役の吉田汐もピタリはまった演技で良かった
主演のいろは役松木わかはも感情表現がうまく、最後はダンスまで披露、昨年より存在感大きかったかな
あかね役の板本こっこは途中の感情の爆発が迫力あった
最後は患者の好きにさせようじゃないかという藪先生いいなぁ
ああいう先生にかかって終わりたい
犬と独裁者

犬と独裁者

劇団印象-indian elephant-

駅前劇場(東京都)

2023/07/21 (金) ~ 2023/07/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

本作で取り上げられるブルガーコフの名前を聞いたとき、この人ってSF作家じゃなかったっけ?という記憶があり、説明文にある評伝本を依頼されるような作家というイメージとうまく結び付かず、なんだかモヤモヤ。かなり前に文庫本で何かを読んだ覚えがあるのだが、ネットで出てくるこの人の文庫本の表紙画像を見てもそれらしいものがない。ならばと部屋を探しまくって、ようやくそれが創元から出た『ロシア・ソビエトSF傑作集』というアンソロジーで、読んだのはそれに収録されていた「運命の卵」だったと分かった。この舞台を観る前につい読んでしまったのだけど、読まずにというか、この人の小説を忘れていた状態で観た方が素直に楽しめたかも。

スタンダップコメディ・サマーフェス2023

スタンダップコメディ・サマーフェス2023

合同会社 清水宏

小劇場 楽園(東京都)

2023/07/18 (火) ~ 2023/07/24 (月)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★

7/21(金)収録分、カルトナイトを視聴。

犬と独裁者

犬と独裁者

劇団印象-indian elephant-

駅前劇場(東京都)

2023/07/21 (金) ~ 2023/07/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

作家を通した壮大なストーリー
見応えがありました

力、族

力、族

劇団光合聲

表現者工房(大阪府)

2023/07/15 (土) ~ 2023/07/17 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

全体的に重たいお芝居
最初からみんなが殺されてしまう
なぜそうなったのか?
それを巻き戻してプロセスを
説明していく展開のお芝居
んーー思ったままの内容に少し肩透かし
また驚きの展開が欲しかったなぁと思う作品
貴族の演技は良かった!

犬と独裁者

犬と独裁者

劇団印象-indian elephant-

駅前劇場(東京都)

2023/07/21 (金) ~ 2023/07/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

ブルガーコフなんて、マイナーな作家をよく引っ張り出してきたものだと思っていた。見てみると、なかなかスリリングで深い芝居で、シリーズ第1弾のケストナー以来の秀作である。受付で、戯曲を本にして売っていたのも、この劇団では初めてで驚いた。作者の確実なステップアップを喜びたい。

「巨匠とマルガリータ」は河出世界文学全集で読んでいたので、ブルガーコフとスターリンの関係は知っていた。しかし、スターリンの評伝劇をモスクワ芸術座から頼まれて書いたとは知らなかった(同書解説にあるが、読み飛ばした)。当局は、どういうつもりで、反体制作家ブルガーコフを選んだのか。最初から上演させないつもりで、ぬか喜びびさせるために依頼したのだろうか。スターリンは知らなかったわけはない。

よく芝居で寝てしまう連れは、今回は舞台に見入りっぱなし。「一つ一つの台詞がよかった。一言も聞き漏らすまいと、2時間10分集中して、全然眠くならなかった」と興奮気味だった。

ネタバレBOX

最初、虐げられたグルシアの犬として出てきた男ソソが、実は若き日のスターリンという仕掛けは見事だった。その男が詩人であり、プーシキンに学び、その分際にレーニンが目をつける……。歴史の皮肉である。

ブルガーコフは自分の評伝劇「バトゥーム」の穏便さに飽き足らず、ソソに「血が足りない」と指摘されて戦慄する。そんなものは書きたくないし、書けば上演の芽も消える。しかし、スターリンが血と暴力へと踏み込む決定的瞬間へと、一歩一歩近づいていく。コーカサスの市場で現金輸送馬車を若いソソの作戦で、女たちが襲う。狭い舞台でのリアルと象徴が混在する場面だが非常にスリリングで、この芝居の白眉だった。

ブルガーコフの周囲が、若い演出家も、妻も、当局の監視役だったというのも暗然とさせられる。
椿姫

椿姫

東京二期会

東京文化会館 大ホール(東京都)

2023/07/13 (木) ~ 2023/07/17 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

16日を拝見。さすがの名曲である。大満足。ヴィオレッタの谷原めぐみは初めて見たが、スター歌手の派手さはないが、きっちりした歌唱で繊細な心情を切々と聞かせた。

今回、1幕は非常にコンパクトに感じた。乾杯の歌の宴会があり、ヴィオレッタの愛の目覚めと享楽生活への傾斜の二部構成のアリアでおわる。このアリアだが、後半の軽やかな疾走感が際立っていい曲だが、この部分は享楽の喜びをうたっており、作品の主題である愛の献身とは反する。主題と反するところで、こんなにいい曲を書いていることを発見し、意外な感がした(吉田秀和の文に示唆を受けた)。この後半ではヴィオレッタの愛の主題は、アルフレードの舞台袖からの歌で対比される構造になっている。

2幕のヴィオレッタと父ジェルモンの二重唱の切々たる心理劇は絶品。「プロヴァンスの海と陸」は有名だが、息子とやり取りする後半に会ったのをうっかりしていた。すっかり前半と思っていたが。後半より、前半の二重唱の方がいい。

3幕が意外と盛り上がらない。結果がわかっているからではあるが、1幕の愛と享楽、2幕1場の愛人と父の衝突という葛藤構造からすると、予定調和の救済が単調だからだろう。これに対し、プッチーニ「ラ・ボエーム」のミミの死の場面は、二人の出会いと愛を振り返る(曲もその時の旋律が回帰する)ことで、物語の総括になっている。

夏の匂いは嫌いじゃない

夏の匂いは嫌いじゃない

WAO!エンターテイメント

アトリエアーサム(大阪府)

2023/07/24 (月) ~ 2023/08/06 (日)公演終了

満足度★★★★★

内容を理解していたので、二回目として(役者が違っていた?)
前回よりブラッシュアップされて、とても分かりやすく、何度か涙する場面も
アヤポリの歌も上手すぎで、更に涙💧に追い討ち
内容はあるあるだけど、とても良かった

これが戦争だ

これが戦争だ

劇団俳小

ザ・ポケット(東京都)

2023/07/22 (土) ~ 2023/07/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

アフガン戦争から帰国したカナダの兵士たちがインタビューに答える、
答えながらそれぞれの回想を再現ドラマのように見せる、という構成。
役者陣の熱演が素晴らしい。
声も台詞も力強く明瞭で、戦地の緊張感がビリビリ伝わって来る。
だがインタビュアーが知りたがっている「合同作戦」は
イマイチぼやけたような気がする。

ネタバレBOX

ほとんどセットらしい物もなく、舞台中央奥に出ハケの口を残して壁があるだけ。
ここが時にキャンプとなり、戦いの最前線となり、帰国したカナダの現在地となる。

登場人物4人が帰国後インタビューを受けている。
インタビュアーは執拗に「合同作戦」のことを聞いてくるが、
核心を突く返答はなかなか出てこない。

質問の合間にはつい作戦前夜のことを回想してしまう。
皆普通の精神状態ではなかった。
少し前に罪もない5歳の子どもを射殺してしまった伍長のターニャは、
それ以来ずっと不安定なままだ。
自爆テロなのか、重傷の子どもを助けたい民間人なのか判別が難しい場面で
どうしてもその子どもを助けたいと、軍のヘリを要請する必死の姿が強烈な印象を残す。
結果的にヘリはこの民間人救助に向かったため、
作戦の現場で重傷を負ったジョニーの救助は遅れ、彼は重い障害を負うことになる。
このターニャ役の蜂谷眞未さんが美しくて
こんな人が部隊に居たらトラブルは目に見えてるだろう、と思わせる。

スティーブン軍曹の帰りを待っている(はずの)妻は浮気しているが
だからと言ってターニャに手を出す理由にはならないだろう。
新兵のジョニーはまだ二十歳、ターニャにぞっこんで追い回しているが
軍隊ってみんなこんなに性行為で心のバランスをとるものなのか、私にはわからない。
この”誰かをぶん殴る代わりにやっている”ような性行為が実に虚しく映る。

終盤、ようやく「合同作戦」がタリバンの塹壕を水攻めにする作戦であり、
現地部隊からの提案であったこと、部下の負傷に気を取られて
その残忍さを予想できず、反対しなかったこと、
その凄惨な結果を知って悔やんでいることが軍曹の口から語られる。

最後に、その悲惨さを語るのは軍医のクリスだった。
彼は作戦の「後片づけ」を命ぜられて塹壕の遺体処理に当たる。
気温50度の中、腐敗の進んだ遺体の山と格闘すると、
下の方に小さな体がいくつもあった、と語る。
聞いていたほど、彼らは銃を持っていなかった、とも。
そして客席に向かって淡々と「これが戦争だ」と告げる。

「戦争」を兵士目線から語るところは素晴らしい。
政治や本部の連中から離れた、地べたに近いところから発せられた声がする。
ただインタビュアーの知りたいことは何だったのか、
私は「水攻め」のことだと解釈したが、よくわからなかった。

”平凡で平穏であるはずの日常”が否定されることから戦争は始まる。
助けたり見殺しにしたり、間違って死なせたり、愛することを間違ったり、
他人を貶めたり、それで自分が浮き上がろうとしたり・・・。
人が日常を喪う。同時に「戦争の日常」が始まる。
戦地から帰って来てからも、もう以前の日常は戻らない。
たぶんあまりにも多くの人間の日常を奪ったことから
もはや逃げられないと知ったから。
この作品は、そのことを改めて心に刻むよいタイミングだと思った。



ジャングルジャングル8

ジャングルジャングル8

アイビス・プラネット

配信スタジオ(東京都)

2023/07/24 (月) ~ 2023/07/26 (水)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★★

25日回を鑑賞 安定感のある試合運びでとりあえずやりきるから一歩進んでクオリティーアップのために時間を割く余裕もあり単純な面白さの面ではレベルが高く感じた。コメント欄も治安が良くとても良い

ネタバレBOX

反面追い詰められたところから演技力でねじ伏せてくるパワーは低くなった結果ヒリヒリする感覚は減ってちょっとその辺は物足りなくもある(わがままな客)
第77回「a・la・ALA・Live」

第77回「a・la・ALA・Live」

a・la・ALA・Live

小劇場メルシアーク神楽坂(東京都)

2023/07/22 (土) ~ 2023/07/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

今回の会場はアングラ度の高いコンパクトな地下スペースで、内容もマッチしていましたね。気になっていた初出のヴァイオリンの小池彩夏さんはアイリッシュハープ弾き語りの村上栄子さんとのデュオ。なかなかにいい雰囲気でした。

灰色の街

灰色の街

Project JUVENILE

中板橋 新生館スタジオ(東京都)

2023/07/20 (木) ~ 2023/07/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

かなり無理めのありえねー設定に唖然としますが、強引に引き込まれますね。なかなかに楽しめました。

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