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いつかのもの語り。

いつかのもの語り。

BB stage

萬劇場(東京都)

2024/09/26 (木) ~ 2024/09/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

説明にある「こんにちは、僕はしがない図書館の管理人さ」、その僕に導かれた世界をファンタジー風に描いた物語。舞台美術はその世界の雰囲気を漂わせ、照明や音楽は効果的に物語を支えている。
ラスト、或る人物が登場することで、さらにファンタジーなのか リアルかといった想像が膨らむといった巧さ。構成は凝り過ぎかと思ったが、登場人物の夫々の心情を分かり易く観せるための工夫のよう。

物語は主人公を始め、悩み苦しんでいる人々の現在を見つめ、過去を顧み、そして未来を拓く、そんな滋味溢れる内容だ。物語としては面白い。ただ図書館という言葉から、静かに時が流れると思うのだが、編集者のキャラを濃く(騒がしく)し、敢えてデフォルメしたような人物造形は、抒情的な雰囲気にあわない。コメディリリーフといった存在でもないようだ。出来れば、もう少し落ち着いたキャラのほうが、全編を貫く雰囲気に合致する と思う。
(上演時間1時間40分 途中休憩なし) 

ネタバレBOX

舞台美術は中央に両開きドア、左右に本棚が並ぶ。上手の一部が階段になっており その上り下りによって躍動感が生まれる。上演前から3人の人物が読書をしており、後々 物語に絡んでくる。舞台と客席の間に白い紙が…それが浮遊感を表す。物語の紡ぎと浮遊感ある雰囲気がファンタジーといった印象を与える。

高校の同級生から書く才能があると言われ、発表した小説(処女作)が話題になり 一躍人気作家になる。編集者から次回作を促され、執筆した2作目は酷評され自信を失う。また高校の友人が自殺し、書くことが怖くなった主人公の心の彷徨であり咆哮でもある。目に見えない心の叫び、それを上演前に読書していた3人の物語(オムニバス風)に重ねる。書けなくなった幻の小説家、その書き手を探すファンによって解き明かされる謎(小説家の心情も含め)、それが物語の肝。小説家は男手ひとつで育てられる。第1:小説家は母の思い出がない。第2:心臓病の娘の母親、第3:(母)親に捨てられ、見ず知らずの爺に育てられた娘、この薄幸とも思える人物達が健気に、そして必死に生きようとしている。その小話を交錯するように紡ぎ、独特の世界観を描き出す。いずれも過去に向き合い、情愛の繋がりの大切さを説く。

主人公に書くように勧めた女子高生が自殺する。それが彼の処女作が評価された後だけに嫉妬したのか、という読み筋になる。しかし劇中ではその理由を否定しており、彼にもっと書かせるといった励ましの行動だったような。この場面の解釈が難しく、モヤモヤとする。しかしラスト、自殺したはずの女子高生と図書館の管理人が登場する。亡くなった魂が現世を見守る、もしくは 物語全体が劇中劇であり、亡くなった女子高生が書いた小説といった捉え方も出来る。その意味でファンタジーかリアルなのかといった想像が膨らむ。

舞台技術…音響・音楽は、図書館の入退室時に響くドア開閉の重厚な音、温かく優しい音色の音楽など効果的。照明は黄昏をイメージの落ち着き、白銀照明による淋しさが印象的だ。物語をしっかり支えた舞台美術と技術、それに好感をもった。
次回公演も楽しみにしております。
セチュアンの善人

セチュアンの善人

劇団俳優座

俳優座劇場(東京都)

2024/09/20 (金) ~ 2024/09/28 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

俳優座劇場で何度も見たあの俳優座のブレヒトである、
市原悦子も栗原小巻も、その年の演劇界の芸術的成果の代表作としてみた。シーンごとに天井から降りてくる大きなプラカードに示される活字体の説明に従ってのその場を客観的に見る、観客は、舞台に感情移入させて見てはならぬ、とか、音楽はジンタのようなものが良いのだ、とかさまざまにブレヒト劇の見方を学習したものだが、どこか腑に落ちない。当時、映画、テレビでもおなじみだった俳優座の名優たちの演技はお見事でもあったが、落ち着いてみれば展開する物語はよくできた寓話で、そんな大げさなものでもない。
当時ポスト「新劇黄金時代」の旗手として上演されたのがブレヒト戯曲には不幸だったようで、やがて、反新劇の唐十郎から、つかこうへいの登場に至ってブレヒト神話は粉砕されてしばらくは、お茶を引くことになった。それから50年。世紀が変わる。
時代は変わって、劇場の最後の上演として「セチュアン」を見ることになろうとは!
しかもその上演は過去の上演とは全く違う。物語の主なスジは原作のものだが、一人二役の資本主義そのものの主演者のシエン・タ(森山知寬)は、女優ではなく男優になり、シーンごとにプラカードで示された場面は、ホリゾントを大きな半円で囲むすだれのカーテンの内側の丸い場面一つになった。物語も後半は大きく変えられているが、ほぼ、3時間ちょっとの長丁場を何曲か歌入りで10分の休憩だけ一気呵成につないでいく。(かつての上演よりは30分は短くなっていると思うがそれでも長い)。テキストは現代風で、昔の上演を思わせるものは何もないが、演劇は時代と共に生きる。そういうものだ。
かつて、劇団任せだった新人演劇人養成を新しく担うことになった桐朋学園とは提携していて優秀な学生は俳優座がスカウトして華々しくデビューしたものだ(多くの名優を生んだ、その功績は大きい)。ラストステージでも、今年卒業の学生たちが大挙出演している。現在の俳優座のベテランに混じって水売りの女(渡辺咲和)や神様のひとり(今野まい)のような重要な役にも出演していて、これが初々しくてなかなか良い。役の登場人物18名に俳優座のベテラン。そこに桐朋学園の学生が20名。演出は劇団の若手俳優でもあり演出家でもある田中壮太郎。さまざまなクレジットのついた大公演である。
で、どうだったのか。
観客も又変わる、舞台も変わる。こういう名作を日本初演から見ているものにとっては感無量としか言いようがない。最近ブレヒトがちょくちょく再演されるようになった。解らぬでもない。話が東映のヤクザ映画みたいに単純に面白く出来ているのだ。
戦時中をヨーロッパからアメリカへ、戦後冷戦下を東西両陣営で生き抜いたブレヒトはやはりただ者ではない。



リング・アウト

リング・アウト

A.R.P

小劇場B1(東京都)

2024/09/25 (水) ~ 2024/09/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

異次元タイムパラドックスの設定は思っていたのとちょっと違っていましたが、なかなかにグッとくる家族ドラマでしたね。亡き妻への思慕の情には弱いのです。

るつぼ

るつぼ

演劇ユニットキングスメン

座・高円寺2(東京都)

2024/09/25 (水) ~ 2024/09/29 (日)公演終了

実演鑑賞

アマチュア劇団みたいだった。

演者で良かったと思えるのはメアリー役。
主演の2人は上手いは上手いんだけど、演じているのが気持ち良くなっている感が好きになれないんですよねえ。

あと服装にはもう少し気を使ってほしいかなと。
ラルフローレンのTシャツはないでしょ。
あとシャツの裾を出していた人がいたけど、あの時代にそういう着方はなかったのでは?
衣装にお金かけられないからあり物でというのは当然だけど、それくらいは直せるのでは?

ネタバレBOX

メアリーとアビゲールを間違えた。
訂正済み。

山本さん1人だけ素晴らしかった。
るつぼ

るつぼ

演劇ユニットキングスメン

座・高円寺2(東京都)

2024/09/25 (水) ~ 2024/09/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 アーサー・ミラー原作の作品である。板上はフラットの素舞台。ホリゾントはスクリーンになっており物語の場面に応じた絵画が映し出される。時代設定や場所はハッキリしないものの、イギリスの統治下にあった宗教性の強いアメリカという地域の或る地方の物語と解釈できそうだ。中心になる登場人物の要に地域で人気の高い農夫・ジョンとその妻・エリザベス。そしてジョンと不倫関係にあった元召使・アビゲイル。魔女裁判に至り、遂には刑死者迄出すというシリアス物だ。漠然ととある場所で起こった昔話というより寧ろ正しく現在の世界情勢とそのまま重なるような内容として観ることが出来、長い尺を一切感じさせないお勧め作品である。ミラーの慧眼も大したものだが、演劇ユニット、King’s Menを組む若い2人の表現者がこういった作品を選んでチャレンジしていることを高く評価したい。演出もこのユニットの篁エリさん・平澤トモユキ氏が共同で取り組み役者としても出演している。(追記後送)

ネタバレBOX


 オープニング早々、子供たちと若い娘(牧師サミュエルの姪・アビゲイル)がこの地方(セイレム)の森で踊りを踊ったり何やらさざめきあって遊んでいるような場面、と急に一人の最年少と思われる少女(地主パットナムの娘・ルース)が倒れ込み動かなくなる。踊っていた少女たちの内の幾人かは、服を脱ぎ裸を晒す(舞台上では下着になることで裸を表現している)
 ところでこの少女たちの様子を見ていた者がいた。この地域の牧師・サミュエルである。彼はハーバード卒を鼻にかけて偉ぶるような人物ではあるがこの地域に赴任して未だ浅く敵も多い。彼の管轄下にあるこの地域では、彼を嫌い敵対する住民が多く、この不可解な事件を魔女と結び付け彼を攻撃する材料として用いることが在り得ると考える彼は恐れ警戒していた。そこで子供たちと何をしており、どうしてルースが倒れ動けなくなったのかについてアビゲイルを難詰する。流石に牧師だけあってその追求は鋭いが、アビゲイルのしたたかさは、これを上回りかつて自分が召使として7か月働いていたが馘首にされた農夫・ジョンの妻・エリザベスが彼女を奴隷として扱いたがり非人間的で冷たいなどという話に切り替えると共に事件の肝心な部分を見抜くような懸念を述べていたサミュエルの問いから逃れることに成功。逆にエリザベスの評判を傷つけ、自らの評判を上げる種を撒くことに成功する一歩を踏み出した。
Letter2024

Letter2024

FREE(S)

ウッディシアター中目黒(東京都)

2024/09/25 (水) ~ 2024/10/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

心に沁みるとても素敵な舞台でした!
気持ちのこもった役者さん達の熱演に心打たれました。

ネタバレBOX

特攻隊員、そして主人公からの大切な人達への手紙のシーンは感涙ものでとても心に残りました。
2時間半弱と少し長めの舞台でしたが、テンポよく物語が展開され、かつ惹きつけられるシーンも
多いので、長さは気にならず物語に没入てきました。
るつぼ

るつぼ

演劇ユニットキングスメン

座・高円寺2(東京都)

2024/09/25 (水) ~ 2024/09/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★

鑑賞日2024/09/25 (水) 18:30

CoRichの説明によれば、ベテランから若手まで多彩な実力派俳優が勢ぞろいしての度肝を抜く勢いのある舞台とのことだった。で、期待も大きく初日を観劇。
が、まるで期待外れ。演出もダメなら、役者もダメ。アーサー・ミラーの台詞・物語が少しも響いてこない。上演時間2時間半が無駄に終わってしまった。「エンディングは、席を立てないほどの衝撃」とのことだったが、違った意味での衝撃的な舞台だった。

15人の出演者(27役)でまあまあと思えるのはエリザベスとアビゲイルという核となる女性を2役ともこなした絵里(W演出の一人である篁エリらしい)とメアリーを演じた山本麻祐くらい。
あとは素人に毛が生えかけたか、生えもしないレベルでしかない。よくもまあ実力派俳優が勢ぞろいなどと言えたものだ。
殊にひどいのは副総督であり裁判官を演じた中島史朗。台詞を全く覚えておらず、紙(宣誓供述書や死刑囚名簿など)や白手袋、小さな紙片に台詞を書いて、それを読むのに必死な有様で、台詞を発する時に相手の顔を見ずにそうしたカンペにばかり目を向けて(当然下向きや、ひどい時は後ろ向きで)ただ大声を発しているだけ。台詞を言っていない時もほとんどカンペしか見ずに、次にどこで自分が台詞を言わねばならないのかばかり気にしている。そんな有様では、登場人物の人間性や感情などをきちんと表現できるはずもない。
他の役者も台詞をやりとりする際の間があわず、会話が噛み合っていないし、滑舌も悪い。
あと子役もひどい。序盤で気を失って、このまま死ぬんじゃないかと周りの大人が騒いでいるのに、当の本人は倒れたまま首を動かしてずっと辺りをキョロキョロ見回している。その他の場面でもまるで遊んでいるかのようで、傍に居る大人の役者はそれが気になって仕方のない様子。

衣装にも多少違和感があるが、主人公であるジョンを演じる平澤智之(W演出のもう一人である平澤トモユキ)がNEW YORKと大きくプリントされたラルフ・ローレンのTシャツなのが最悪。なぜ白無地のものにしなかったのか。しかも劇中ずっと裸足だった。裸足である必然性などどこにもないのに……。
おまけに、背景として舞台奥に泰西の名画が映し出されるのだが、途中でPCの画面そのまま(全画像の一覧)が映し出されて、それがかなりの長時間そのままの状態での演技。ますます白けてしまった。

演技力のない座組でやるのであれば理想を高く設定せず、まずはそれなりの戯曲を選ぶべきだろう。どんなに優れた戯曲だろうと、それを読み込み、表現する演出家や役者陣が揃わなければ作品世界を伝えることなどできはしない。

また会いましょう、ってね

また会いましょう、ってね

羊とドラコ

喫茶コスモス(大阪府)

2024/09/21 (土) ~ 2024/09/23 (月)公演終了

満足度★★★★

羊とドラコもこれをもって休団ということもあって… とある商店街の親の代から続く喫茶店の話 本当に最近喫茶店が無くなり、レストスペースの有るコンビニでということが… 父親の介護もしながら喫茶店を続けるのも困難を極めて… 但し喫茶店を続けてきた理由は別にあったりと、過去の竜崎さんのこともフラッシュバックしたりと、少し複雑な気持ちで拝見 いつものファンタジーさは全く感じられず少し寂しさを感じながら、途中ハプニングも有りながらの75分でした

路地裏の舞台にようこうそ2024

路地裏の舞台にようこうそ2024

一般社団法人アラヤシキ

EARTH,新世界 ZAZA POCKETS,HOMEビル,旧 自由空間『Aloha』,日の出湯はなれこいさん路地,成田屋,SPACE★HOUSE,ホテル the b 大阪新世界,ロック亭,SUCHSIZE,喫茶コスモス(大阪府)

2024/09/13 (金) ~ 2024/09/23 (月)公演終了

満足度★★★★

一人でめちゃくちゃ頑張ってました‼️名古屋でうけたんや〰️

リング・アウト

リング・アウト

A.R.P

小劇場B1(東京都)

2024/09/25 (水) ~ 2024/09/29 (日)公演終了

実演鑑賞

面白かったです。

路地裏の舞台にようこうそ2024

路地裏の舞台にようこうそ2024

一般社団法人アラヤシキ

EARTH,新世界 ZAZA POCKETS,HOMEビル,旧 自由空間『Aloha』,日の出湯はなれこいさん路地,成田屋,SPACE★HOUSE,ホテル the b 大阪新世界,ロック亭,SUCHSIZE,喫茶コスモス(大阪府)

2024/09/13 (金) ~ 2024/09/23 (月)公演終了

満足度★★★★

インプロオモロー 楽しめました‼️

路地裏の舞台にようこうそ2024

路地裏の舞台にようこうそ2024

一般社団法人アラヤシキ

EARTH,新世界 ZAZA POCKETS,HOMEビル,旧 自由空間『Aloha』,日の出湯はなれこいさん路地,成田屋,SPACE★HOUSE,ホテル the b 大阪新世界,ロック亭,SUCHSIZE,喫茶コスモス(大阪府)

2024/09/13 (金) ~ 2024/09/23 (月)公演終了

満足度★★★★★

流石野良犬 2回拝見 緒方さん最高😃⤴️⤴️あの場所だから醸し出せる味のある内容

路地裏の舞台にようこうそ2024

路地裏の舞台にようこうそ2024

一般社団法人アラヤシキ

EARTH,新世界 ZAZA POCKETS,HOMEビル,旧 自由空間『Aloha』,日の出湯はなれこいさん路地,成田屋,SPACE★HOUSE,ホテル the b 大阪新世界,ロック亭,SUCHSIZE,喫茶コスモス(大阪府)

2024/09/13 (金) ~ 2024/09/23 (月)公演終了

満足度★★★

餓鬼断でもこんなに難解なんだ… 仕方ない

ロミオとジュリエット

ロミオとジュリエット

共通舞台

THEATRE E9 KYOTO(京都府)

2024/09/22 (日) ~ 2024/09/29 (日)公演終了

満足度★★★★★

尺が三時間半長(休憩有)と長いが、観る価値は十二分に 単なるロミジュリと思われては… 内容には触れませんが、単なるラブストーリのバッドエンドではありません‼️おすすめです

リング・アウト

リング・アウト

A.R.P

小劇場B1(東京都)

2024/09/25 (水) ~ 2024/09/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ほっこりしました。

『A Number―数』『What If If Only―もしも もしせめて』

『A Number―数』『What If If Only―もしも もしせめて』

Bunkamura

世田谷パブリックシアター(東京都)

2024/09/10 (火) ~ 2024/09/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

2002年発表の「A Number」、2021年発表の「What If If Only」という2つの作品を、20年の時を超えて
ひとまとめに上演しようという野心的な試み。後者の上演時間が20数分しかないため、事実上の
「A Number」への導入として読み取るべきなのかな、と。

「A Number」は3人目のクローンの存在が重要なのは分かるけど、調理の仕方、もしくは出し方を
ちょっと間違った感があって、そのために戯曲のテーマに入り込めなかった感がある。なされる
会話もちょっと意味深で分かりにくいし……。

ネタバレBOX

●What If If Only

とある住居の一室で愛する大切な存在を最近失ったとおぼしき男性の悔いと思慕に満ちた独白で始まる本作。
男性は愛する存在が今ここにいてくれたら……と心より願うが、そんな彼のもとに

「起こらなかった未来の亡霊」(赤いドレスを着込む)
「現在の亡霊」(黒づくめの恰好でやはり黒いハットをかぶる)
「唯一残った未来の亡霊」(赤いカジュアルな身なりの若者)

が次々とやってきて……という話。おそらくだけどディケンズ「クリスマス・キャロル」を下敷きにしていると
思われる。

男性は「起こらなかった未来の亡霊」に愛する存在と会わせてほしいと懇願するが、相手はすでにその未来は死んで
しまった、他の同様のものと同じく決してかなうことがない願いだと告げる。しかし「唯一の未来の亡霊」は自らを
知らず、無限に持つ可能性にも無頓着でただ「(何かが)起きるよ!」と声を上げるのみ。

かなりファンタジックで設定もぼかされている部分が多いので、人はただ不確定な未来にのみ希望を良くも悪くも
見出せる、という話として受け取りました。

●A Number

4歳の息子を亡くしたある男がクローンを作り出すも、医療機関側の違反行為によって20人もの外見が
同じわが子が生まれてしまった。そのうちの1人である粗暴なクローンは父親のもとを訪れ、自分の
不遇さを訴えるとともに、自分と同じ顔をしながら恵まれた生活を送っているかのようにみえるもう1人を
殺す、と宣言する……。

言い回しのせいか登場人物たちが置かれている立場が断片的にしか分からず、あらすじ解説にだいぶ助けられた
感がある……。

あと、3人目のクローンは家族に恵まれ、人生にもさほど苦悩していないようで、「クローンはある人と全員が同じ
見かけをしているけど人生まで同じってわけじゃないんだよ」ということを言いたかったのかもだけど、人が2人
死んだ締めくくりとしてはちょっとなんだかな~って思っちゃったかな。
るつぼ

るつぼ

演劇ユニットキングスメン

座・高円寺2(東京都)

2024/09/25 (水) ~ 2024/09/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

チケットを発売日に定価で買った。

『るつぼ』は堤真一、黒木華、松雪泰子、溝端淳平ヴァージョンを観ている。ただ黒木華さんが観たかっただけなのだが、堤真一氏のラストの独白にやられた記憶。サルトルの『壁』と云う短編小説に近い衝撃を受けた。自身の存在と死との対峙を極限まで追求し考え抜いたもの。

1692年アメリカで実際に起きた「セイラム魔女裁判」を戯曲化。魔女と告発された村人150人以上が逮捕、25名が死亡。当時田舎の村、セイラムのピューリタン(キリスト教プロテスタント派の総称)の教義では回心を重要視。「罪を認めれば許される」という宗教的倫理観から被疑者達は悪魔との契約を認め、求められるがままに自白した結果こうなったという。悪を認めて他者を告発すれば許されたのだ。やってもいない悪を認められなかった善良な信者達だけが絞首台に吊るされた。
アーサー・ミラーが今作を発表した1953年はアメリカで赤狩りの真っ最中。マッカーシズム=共産主義者追放運動が公然と行なわれ、疑われた者達は公職を追放されていた。無実の者達がその無実を理由に処刑されていく社会の狂気、そこがテーマであろう。

主人公ジョン・プロクター(平澤智之氏)は妻エリザベス(絵里さん)がありながら、17歳の女中、アビゲイル・ウィリアムズ(絵里さん二役)と一夜肉体関係を結んでしまう。勘づいた妻はアビゲイルを解雇する。
アビゲイルは叔父のパリス牧師(マキノマサト氏)の家に身を寄せる。夜な夜な深夜の森に少女達を集め、カリブ海のバルバドス島出身の奴隷・ティテュバ(芳尾孝子さん)の知るブードゥー教の儀式をもって降霊会を開催。(日本でいうコックリさん)。到頭それをパリス牧師に目撃されてしまう。全裸の少女達が森でトランス状態で踊り狂う様を見たパリス牧師は悪魔に取り憑かれていると考え、悪魔祓いの為に専門家のヘイル牧師(小松大和氏)を呼ぶことに。
問い詰められたアビゲイル達は村に悪魔が住み着き、村人達を操っていると告発。魔女狩りが始まる。

胸元を強調する絵里さん(の胸元)が気になった。だが何故二役を演じたのか?演出的に意味があるのなら平澤智之氏も相反する二役を演らないと釣り合わないだろう。
芳尾孝子さんがろう者とは知らず、緊張で台詞を出すタイミングが判らない為、石井亮次氏が背中を叩いて合図をしているのかと勘違いして観ていた。大変申し訳ない。素晴らしかった。石井亮次氏をもしや『ゴゴスマ』の司会者?と勘繰っていたが普通に同姓同名。
平澤智之氏は本田博太郎と町田町蔵(康)を合わせた野性味。足がデカく足の指が柔道経験者っぽかった。

今作は万有引力の『チェンチ一族』風味に調理するのが正解なのでは。正攻法で行っても何か行き詰まるネタ。
プロクター家の女中・メアリー・ウォーレン役の山本麻祐さんが全て振り切って何も関係なく突っ走っていたのがMVP。ひたすら突っ走れ!

ネタバレBOX

開場してまもなく主催である平澤智之氏が観客一人一人に「上演時間は2時間半、休憩はありません」と小声で告げて回る。観客はまだ十人も来ていない。「あ、はあ」としか言いようがない。不穏な空気。山本麻祐さんが前説的に元気に挨拶。さあいよいよ開幕だ。素舞台に背景に投影された西洋の著名な絵画がバック。だが途中スタッフの手違いで画面が操作画面になってしまう。色々と試してみるがどうにも元に戻らない。シリアスなシーンだったが、バックの設定の方が観客には気になる。やっと全画面表示で絵画が投影されて胸を撫で下ろす。いつしか運営側に感情移入している自分に気付く。
トーマス・パットナム役の中島史朗氏は不味かったら全額返金で有名な池袋のラーメン屋『鈴の木』店長、「りゅう社長」寄せ。声がくぐもっていてなかなか聴き取れない。後半トーマス・ダンフォース判事役の時のカンペ、ガン読みは別に気にならなかった。ただよく聴き取れない。
子役の咲希ちゃん、多分母親であろう女優が必死にちゃんとさせようと引っ張る。だが集中力が続かない。もう飽きちゃっている。本筋より周りの女優の必死の対応の方を注視。
小松大和氏は若き日の佐々木主浩似でカッコイイのだが早口で滑舌が悪く聴き取れない。そこが今後の課題。
衣装は特撮作品におけるピアノ線のように意識を逸らした。

序盤から勘づきメタ的な観方に切り替えていたのでそんなに腹は立たなかった。市民劇団、社会人劇団なら「あるある」ネタ。この難局をどう乗り切っていくのか?なんて。いつしかエド・ウッドなんかをだぶらせて観ていた。物凄く理想高く情熱燃やして臨んだところで現実は厳しい。何一つ思ったようにはいかない。懸命になればなるほど酷い異化効果で客席は白けていくばかり。誰もこんな筈じゃなかっただろう。必死になって作った作品全てが酷い駄作だったエド・ウッド。だが「いつ観ても深夜3時の気分にさせられる」という優れたキャッチコピーが物語る通り、それはそれで味わい深い。今作の副題、『Fire Walk With Me』はツイン・ピークスの映画版タイトル、火遊びしましょう。観客も手痛い火傷を負ったのだ。

今作の失敗は単純に演出の力不足。演出をただの演技指導だと勘違いしている。客席から見える全ての物事について、品質の保証をすることこそが仕事。要らないものを削る判断こそが望まれる。脚本通りにこなすことが正解ではない。伝えたいものをきっちり観客に伝えることこそが正解。ただこんな失敗、人は誰でも経験するもの。誰か他人のせいにして逃げてはいけない。こういう時こそ全て自分の責任だったと引っ被るべき。こんな失敗はよくあること。鼻でせせら笑えばいい。LAUGHIN' NOSE。

ただチケットを発売日に定価で買った。

※以前、今はなきシアターミラクルにてとある老人が観劇。開幕してすぐに口を開けひたすら熟睡。これ感想はどう書くつもりなのか気になったが、星5つで適当な絶賛。それから彼の言説は全く信用していない。これがこの業界の正体だ。真剣に観て批判されるより、観もせずに絶賛されたいのだろう。何を求めているのか?何が欲しいのか?無意味なゴマスリごっこ。自分の惨めなナルシシズムを支えて貰いたいだけなのか?下らない演劇ごっこよりもそここそが気になる。お前の正体を教えてくれ。

※上記は特定の個人に対して書いたつもりではなく、自分も含めた受け手と作り手と作品の関係性に対してのものです。このサイトはもっと有意義なものに成りうる可能性があると思っています。ここを見なければ観劇しなかった作品は無数にある。だから褒められた貶されたの場で終わって欲しくはない。作品とはそんな単純な消費物ではない。自分自身への自問自答として“正体”という言葉を用いたのですが非常に伝わり辛い文章でした。
天動虫版ロミオとジュリエット〜宣託〜

天動虫版ロミオとジュリエット〜宣託〜

劇団天動虫

シアター711(東京都)

2024/09/04 (水) ~ 2024/09/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/09/05 (木) 14:00

ロミオとジュリエットの最終場(の稽古?)を終えて結末に異議を唱えるジュリエット(役の俳優?)に対して「それならもう一度演ってみよう」と協力する(座組の?)面々……という(大好きな)メタ風で始まる物語。
その後は基本的には原典通りながら部分的に大胆に変更して進む「シン・ロミオとジュリエット」、そう来たかぁと頬が弛む。さらに結末を踏まえてのカーテンコールの「アレ」に感服。
その感覚は歴史を改変しようとするが結局歴史の流れは変えることができない、という時間ものSFでお馴染みのパターンに似てもうタマラン!
で、カーテンコ^ルの「アレ」にノーマン・ジュイソン監督「ジーザス・クライスト・スーパースター」(1973年)のヨハネ伝19章41節(=エピローグ)で帰りのロケバスに乗り込む俳優たちの中にジーザスを演じたテッド・ニーリーがいない、という演出に通ずるモノを感じた。
あと、観ながらどうにかして死なずに済む結末にするべく何度もあちこちをやり直して繰り返す時間SFでお馴染みのパターンな「ロミジュリ・ループ」も妄想。(笑)

ネタバレBOX

終盤、覚醒(?)して舞台から去ったジュリエット(を演じた役者)がカーテンコールで劇中の衣装でなく私服っぽい服装で登場するのはロミオとジュリエット(原典)の世界、本作の世界、現実世界の境界を消失させそれらを混然一体とする「演劇の魔法」。
いやぁ、メタっていいもんですね。
セチュアンの善人

セチュアンの善人

劇団俳優座

俳優座劇場(東京都)

2024/09/20 (金) ~ 2024/09/28 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

Aチームで鑑賞。脚本・演出家の前説通り、特に後半は大きく変えられている。ブレヒトの風刺や社会批判はそのままでは現代に通用しない面があり、このように新たな形を探る挑戦は評価できると思う。主役の俳優はとても良い声をしている。学生たちの演技も良く、少々頼りない神様の間の抜けた感じがぴったり合っている。

カンキの歌

カンキの歌

演劇企画アクタージュ

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2024/09/19 (木) ~ 2024/09/23 (月)公演終了

実演鑑賞

役者の皆さんは、この作品を大切にして楽しんで熱心に稽古をしてきたんだろうなというのが伝わってきました。
舞台上での一生懸命さとか、ミスもほぼなくそれぞれ役者さん視点では完璧に仕上げたのだと思います。
今回初舞台であったり、普段役者ではない方も含めて、同じ一つの舞台を作ろうとするのは素晴らしいと思います。

それだけに、あれだけコメディ路線でありながら、少なくとも自分が観た回は、ほとんど客席から笑いが起きてなかったというのが残念で、そうなると、ちょっと悩んだのですが、コメディ作品としての今回の評価は控えさせて頂こうかと。

色々要因はあるかと思うんですが、また研究して頑張って頂き、良い舞台を作って頂きたいと思います。

お疲れ様でした。

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