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ポプコーンの降る街2024

ポプコーンの降る街2024

劇団大樹

Route Theater/ルートシアター(東京都)

2024/12/04 (水) ~ 2024/12/08 (日)公演終了

実演鑑賞

12月7日14時00分観劇。

ネタバレBOX

最前列の人が開演直前に最前列じゃなくなって、みづらくなってかわいそうでした。
亡霊の地

亡霊の地

公益社団法人 国際演劇協会 日本センター

中野スタジオあくとれ(東京都)

2024/12/06 (金) ~ 2024/12/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 華5つ☆ 断固ベシミル。当日2000円のリーディング公演。初日はほぼ満席であった。

ネタバレBOX

 紛争地域から生まれた演劇、今回はこのシリーズ16番目の作品群である。作:アンドリー・ボンダレンコ 翻訳:万里紗
 今作は『蝶』『罪と罰』『結婚持参金』と題された3本がオムニバス形式で朗読されるが、共通項はトラウマと解釈することができよう。このトラウマは攻める(責める)側にも攻められる(責められる)側にも表れ方こそ異なるが表れる。
 大切な観点は敗戦後日本は、国家として戦争行為に直接関わってこなかった為か、多くの日本人が実際の紛争・戦争状態のリアルな状況を受け止める為の想像力を欠落させている点にあるように思われる。その結果、自分の日常的な感覚や体験をベースにニュース映像や様々な媒体によって流される映像を見て分かったつもりになることではないだろうか? これらの映像には腐乱し膨張して腐臭を発する遺体の惨憺たる有様も、そのような状況に至る迄に自らの住地が爆撃や種々の砲撃・銃撃、ミサイル攻撃に晒され生きた心地も無く、眠ることも出来ないような状況の中で飲み物、食べ物にも事欠き逃げ惑う他無い恐怖も無い。敵に見付かれば拷問、殺戮、レイプ、虐殺等々の憂き目に遭う可能性に怯えるストレスも無ければ、子供や年取った父母を如何に逃がすか? の懸念や責任も無い。無論己自身が生き残れるか否かも誰にも分かりはしないのだ。
 このような状況で生きていること、尚生き続けようとすることと守らねばならぬ人々を抱えていることが如何に大きな負担を個々人に強いるか? そのように強大な負担にヒトはどのように反応するか? この3編は痛烈な評を伴いつつ一つ一つの裁を下し、問うている。果たしてヒトは? と。
みえないもの

みえないもの

アンティークス

「劇」小劇場(東京都)

2024/12/04 (水) ~ 2024/12/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

面白かったです。ひとりひとりのキャラがよく作り込まれていて惹きつけられました。ラストの終わり方が好きです。

斜陽族

斜陽族

ド・パールシム

OFF OFFシアター(東京都)

2024/12/05 (木) ~ 2024/12/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/12/06 (金) 14:00

120分。休憩なし。

ゴーギャンおやじ2

ゴーギャンおやじ2

グワィニャオン

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2024/11/27 (水) ~ 2024/12/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/11/28 (木) 19:00

東福生駅前で数人の男を叩きのめし自ら110番通報して逮捕された熟年ボクサーが心理カウンセラーに語る半生。
休憩前の75分は「昭和史のある一部」をクローズアップする感じで世代的に頷くことしきり。
休憩後の70分は主に「都落ち」してから福生に戻った主人公の日々を描いており、そのほろ苦さに力石徹を喪った後の矢吹丈を想起。
従来のグワィニャオンとは異なる作風ではあるが、西村さんが えにし に書き下ろした「クラゲ図鑑(2017年)」に通ずるものがあるか、などと思った。

サド侯爵夫人

サド侯爵夫人

プロジェクト榮

銕仙会能楽研修所(東京都)

2024/11/30 (土) ~ 2024/12/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

内容は説明通りで
写真通りの衣装で
全員白い衣装に
主人公のルナは一人だけ
能面での表現でした

圧倒的なセリフ量で
濃密な舞台が休憩2回の
3幕で演じられました
ホンに圧倒されました

固定されてるハズの
能面に表情が見て取れたのが
自分でも驚きの舞台でした✨

座椅子に
ふかふか座布団でしたが
流石にお尻が少々痛くなったデス

ネタバレBOX

牢屋に閉じ込めて置こうとする
母親と対立して
脱獄までさせていた主人公
ルナ サド侯爵夫人の
心の内と周囲の変化等を
フランス革命など交えて
語られてゆく会話劇

ラストは革命により
牢から出されたサド侯爵が
獄中で書いた私小説が元で
主人公が修道院入りを決意し
屋敷に戻った侯爵が
物乞いのような風体であり
追い返されて終演でした

インパクトあるなぁ
舞台も原作もーと
ロケット・マン

ロケット・マン

劇団鋼鉄村松

劇場MOMO(東京都)

2024/11/28 (木) ~ 2024/12/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

確かにハードSFしてました
レトロな感じが古典SF好きな
小生の好みにマッチしてて
大変楽しめた〜♬
約二時間の作品です

劇団設立30周年だそうで
おめでとうございます(^ー^)
ほんに生き残った者が勝者なんですから
これからも勝ち続けてくださいね~♬

ネタバレBOX

ブラッドベリの話よりも
インターステラーの方が近いかなーって
思ったデスね

主人公は普通に年をとってるんだが
うるう年の2月末日生まれの方の様に
経過年と実年齢がズレてくんだよねー
宇宙船に乗るたびに

オチ的には
質量をもったモノは
光速の壁を越えられず
概念のみが光速の壁を越え
過去の時間に到達できる
という事で
主人公の愛したロリな
妻の元へ帰って来たが
認識はされないというー
ファンタジーな結末でした

人造人間に
電脳化に
陰謀と 色々と盛り込んでて
凄かったデス
星数はオマケしますよー

舞台セットは幾何学的なオブジェとかを配した
SFチックなもので
雰囲気は昔のSFドラマ タイムトンネルとかを
彷彿させる感じでしょうかねぇ
『にしむくさむらい』『場所と思い出』

『にしむくさむらい』『場所と思い出』

Pカンパニー

西池袋・スタジオP(東京都)

2024/12/04 (水) ~ 2024/12/11 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/12/06 (金) 15:00

座席1階

「場所と思い出」を拝見。非常に分かりやすい、しかもよく笑える不条理劇だった。これはおもしろい。

開幕前、舞台は幕が引いてあって見えない。幕が開くと古びたバス停に木のベンチ、そして裸電球付きの電柱。いかにも別役劇という感じがして、シンプルな舞台装置に気持ちが高まる(笑)
ここに、スーツ姿の男が大きな旅行かばんとコウモリ傘を手に登場する。続いて、近所の主婦という感じの女性が買い物カートを引いて登場する。「バスを待っているのですか」という普通の会話から、「ここで何をしていると聞かれたら、バスを待っていると答えるのですよ」といつもの別役劇の始まりだ。
面白くなるのは、2人目の主婦という感じの女性が登場してからだ。最初の女性の身の上話(なぜか)が、いつの間にか2人目の女性の話にすり替わってしまう。既にこのあたりから、男性は完全にペースを奪われる。さらに、2人(男女)が登場するが、男性がせっかく自分のいうことを聞いてくれるかと思ったその絶妙のタイミングで、新たな男女が突っ込みを入れて常識をかき乱していく。話はあちこちに飛ぶのだが、男性にとっていかにも情けない、どうしようもないと泣くしかないというラストシーンに向かって盛り上がっていく。

分かりやすいのは、不条理の被害者がこの正直者のセールスマン男性一人であり、残りは掻き乱し役という設定だ。ただバスに乗りたいだけなのに、男性には次々に悲劇が襲いかかる。正直者がばかを見る? 適当に相づちを打っていた報い? それにしてもいかにも不条理である。人生とはそういうものなのか。草葉の別役さんが笑っているような気がする。

Pカンパニーの別役シリーズは本当に面白い。今作は1時間半くらいのコンパクトな舞台だから、仕事の合間にちょっと見てみるという楽しみ方もできる。

リフレクション

リフレクション

レイジーボーンズ

小劇場 楽園(東京都)

2024/12/03 (火) ~ 2024/12/11 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

リフレイン
物語のラストが冒頭にループしていく構成だったとは
台本読むまで気が付きませんでした
前説?道学兄弟は解散して新たに始めますから物語だったんでしょうか?

メイジー・ダガンの遺骸

メイジー・ダガンの遺骸

名取事務所

新宿シアタートップス(東京都)

2024/11/30 (土) ~ 2024/12/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

マジックリアリズム(魔術的リアリズム)はラテンアメリカを世界の最先端にした。全ての物語に行き詰まった文学はバロウズのカットアップやフォールドインなど特殊な技法に走る。(新聞や雑誌をバラバラに切り離してランダムに繋げるなど)。ポストモダン文学は脱構築(解体と再構築)を掲げるがデリダの意図から離れ、そこにあるのは無意味で虚しい記号の羅列の世界であった。だが先住民(インディオ)の文化が白人西洋文化によって侵略、虐殺、奴隷化された混血の歴史を持つラテンアメリカにこそ誰もまだ見ぬ文学の種が蒔かれていた。それは理屈が通用しない世界。幻想と矛盾と神話と非日常とが現実と混在しつつ全てが許容されていく。何の制約もなく無限の想像力だけでこの世界の人間の本質に触れようとする衝動。読者の感覚はまるで夢を見ているようなもので人為的作為的なものを感じずにごく自然に有り得る一つの世界として受け止めていく。
今作もその文脈で解釈した。

運転する車がアイスバーンにスリップ、トラクターに激突して亡くなったとされるメイジー・ダガン(谷川清美さん)。その訃報をFacebookの連絡で知った娘の滝沢花野(はなの)さん。家出してからずっと音信不通だった実家に帰って来る。イングランド、サザーク・ロンドンのベッカムからアイルランドのケリー州へ。
知的障害の弟(森永友基氏)は楽しそうにトーストを焼いている。暴力しか能のない耳の遠い父親(髙山春夫氏)。
母親への酷い暴力を毎日のように見て育った滝沢花野さんはこの家を心底憎んでいた。心の拠り所だった真っ白な仔猫もある日無惨に始末されていた。生涯帰ることもなかった筈の家、そこには死んだ母親が当たり前のようにいる。

森永友基氏は「うんちょこちょこちょこぴー」で誰もが知るGO!皆川を連想させる。
髙山春夫氏はいつもこんな役。段々本当にそういう人間に見えてきた。
谷川清美さんはこの役を本当に嬉しそうに演っている。女優冥利に尽きる、と。
滝沢花野さんは秋野暢子の若い頃みたいで魅力的。母親への愛憎が自分自身を作り上げていったことへの苦悩。余りに世界があやふやで暴力でしか自分と他人を確かめられなくなってしまった。
母娘二人のシーンが鮮烈。打ちのめされる。月夜の墓穴。中原中也だ。

この作品は間違いなく価値のある作品、出演者制作陣は誇るべき。『夜は昼の母』よりもこっちが好き。演出の寺十吾氏には天野天街氏を感じた。
是非観に行って頂きたい。

ネタバレBOX

廃墟で初めから誰もいなかったようなラスト。
メイジー・ダガンの遺骸

メイジー・ダガンの遺骸

名取事務所

新宿シアタートップス(東京都)

2024/11/30 (土) ~ 2024/12/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

パンフレットにも書いてあったが、たしかによくワカラン本と思う。不条理劇を観る時のようにちょっと頭のネジを緩ませて、あんまり辻褄を合わせるように考えないで、言葉の応酬や演技の表情それ自体を味わう態度で鑑賞すれば、それに十分応えてくれる俳優陣である。しかし俳優たちは、このテキストをどう理解し処理して舞台に臨んでいるのだろう?

カフェ・ロブスタ

カフェ・ロブスタ

合同会社 Dream Orbital Troop

上野ストアハウス(東京都)

2024/12/04 (水) ~ 2024/12/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

いや~こんな話だったんですね。思ってたのとは全然違いました。断片的な展開にちょっととどまったけど、ラストまで来るとようやく納得。ドタバタな笑いは食傷気味になりましたが、アクションは良かったです。

ポプコーンの降る街2024

ポプコーンの降る街2024

劇団大樹

Route Theater/ルートシアター(東京都)

2024/12/04 (水) ~ 2024/12/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

とてもソフトな語り口で座り心地の良い椅子で物語がすっと入ってきまして癒されました

みえないもの

みえないもの

アンティークス

「劇」小劇場(東京都)

2024/12/04 (水) ~ 2024/12/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

相変わらず素晴らしい作品でした。ここ数年だいたい拝見させていただいている本団体さん。独特の世界観で見終わったあととても優しい気持ちになれます。今回もたくさんの物語がひとつになっていく感じはいつもながら見事でした。本当にいい時間が過ごせました。最後岡崎さんにもお礼を言えてよかったです。次の作品もとても楽しみです。いつも見終わると、あの、宇宙人?のぬいぐるみ、ほしくなります。

ポプコーンの降る街2024

ポプコーンの降る街2024

劇団大樹

Route Theater/ルートシアター(東京都)

2024/12/04 (水) ~ 2024/12/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

初日を拝見しました。ここ数回拝見していますが、一つ一つのお芝居がとても丁寧で懇情豊かに演じられていてとても好きな皆さんです。今回の作品は再演のようですが、切なくでも暖かくが、感覚的な印象です。とても心に残りました。次回も楽しみにしています。

ウエストサイドのオペラ座の殺人          

ウエストサイドのオペラ座の殺人          

カスタムプロジェクト

調布市せんがわ劇場(東京都)

2024/11/29 (金) ~ 2024/12/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

感想遅くなりました。ここ数回続けて拝見していますが、今回もとても面白かったです。
毎回、なかなか難しく、全くわからないのですが、今回は結構そうかなと思うところがありました。でも、あと一歩で溶けなかったです。舞台でここまでの参加型のお芝居は皆さんしか知らないので、貴重です。次回も楽しみです。楽しい時間ありがとうございました。

みえないもの

みえないもの

アンティークス

「劇」小劇場(東京都)

2024/12/04 (水) ~ 2024/12/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白かったです。
独特の不思議な雰囲気で、夢の世界に惹き込まれる感覚でした。
人間関係や時系列で混乱し、終演後も自分の中で整理しましたが、正直曖昧な部分が・・。
でも、タイトルの「みえないもの」という意味は伝わりました。
素敵な舞台でした。

はんなま砦は夜更けまで

はんなま砦は夜更けまで

大統領師匠

駅前劇場(東京都)

2024/12/04 (水) ~ 2024/12/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

面白い、お薦め。
観(魅)せ 楽しませることを強く意識した快作。チラシにある謎めいた説明、その世界観そのものが物語の肝。そこが どこでといったことが「閉じ込められた真実」(ネタバレ)に直結する。

未見の団体。この団体、コア ファンに支えられているようで、観劇した日は最前列に多くの女性ファンが陣取っている。上演前には〇回観る予定など お喋りに花を咲かせている。グッズも見せ合っている。勿論 開演したら熱心に観て、時に大笑いする。一方 団体は前説で優しく和ませるような話(本来の注意/依頼事項含め)から本編へ、そのサービス(精神)が劇中から伝わってくる。

登場人物の性格や立場、その特技などの面白い設定が妙。そして舞台装置を可動させダイナミックに観せ、勇ましく煽るような音響/音楽、強い目潰し照明などを駆使する工夫。映像で観るようなイメージのものだが、舞台という至近距離ゆえ臨場感がある。興味を惹く内容、それをアップテンポで展開し 心地良く飽きさせない。
(上演時間1時間55分 休憩なし) 

ネタバレBOX

舞台美術は、中央に基板の配線のようなもの、左右は丸みのあるレンガ壁。この丸みのある壁を適宜動かし砦の中と外の状況を表す。全体的に怪しく そして妖しい雰囲気を醸し出す。頻繁に出てくる「ガマズミ」という言葉が印象に残る。花…その花言葉が 少し怖い「私を無視したら死にます」「結合」「私を見て」らしい。

説明にある 小さな砦とそこに住まう住民達は、ある人物の体内であり意識である。物語は、或る富豪が交通事故を起こし、莫大な遺産相続を巡って骨肉(姉妹)の争いが…。妹は昏睡状態、姉は既に脳死状態であり、二人のうち 妹 中山百合に全財産を相続させるという遺言書がある。精神医療研究所では、交通事故を起こした相手方-首相の息子の事故隠蔽をすることで高額報酬を得ようとする。そこで所員を彼女の意識に潜入させ記憶の消去・書き換えを目論む。無稽荒唐であるが、その奇知こそが公演の魅力。

一方、彼女の意識の中には色々な住民達がおり彼女を守っている。しかし、姉の意識が いつの間にか妹 百合の意識に入り込んで体を乗っ取ろうとしている。そして被り物の奇怪な棲き物が動き回る。端的に言えば、妹の意識下で彼女を守ろうとする住民達 対 姉の意識+奇怪な物の戦い。そして(体)外界の研究所員達の思惑が絡んだ三つ巴の戦いを面白可笑しく描いている。

砦(百合の意識)の中の住人達の特技or得物は、最強の剣士、痛みを取る黒子、姿を隠すマント、刃毀れを治す鍛冶、癒しの効用、何でも抜きたがる歯医者を擬人化させており、そこに どんな関連性があるのか興味を持って観ていた。一つ一つの存在では強力な武器には成り得ない、一致団結することで意味が…この奇天烈な行為が爆笑を誘う。どのようにして百合の意識下へ侵襲していったか、そんな伏線も丁寧に描く。
ちなみに 被り物は あみ子、姉は妊娠5か月で、その子が意識の外へ飛び出しているという設定である。
次回公演も楽しみにしております。
みえないもの

みえないもの

アンティークス

「劇」小劇場(東京都)

2024/12/04 (水) ~ 2024/12/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

㊗20周年公演。面白い、お薦め。
いくつかの小さな物語を意味深に描き、それらを大きく包み込むように紡いだ公演。アンティ-クスらしく丁寧に 優しく考えさせるような内容だ。現実と幻想、そして過去や現在の話を縦横無尽に綴り込み、重層的に描き出す。
この不思議な世界観、それが何なのか最後に明らかになる。演劇としては典型的な展開だが、何となく清々しく充実感を覚える。全体的に見守り 寄り添う、そんな包容力を感じさせる珠玉作。

当日パンフにテーマらしきこと、「あなたの大切な『存在』に捧げます」とある。つまり「生きる」「生かされている」ということではないか。たとえ亡くなっても、その人のことを忘れなければ、残された人々の心の中で生き続ける。タイトル「みえないもの」は人の<思い>であり<想い>、その感性のようなもの。言葉では言い表せないこと、それを演劇という虚構の中でリアルに表現して伝える。

少しネタバレするが、いくつかの話は日常、そして戦争や災害といった広がりがあるもの。しかし、それぞれの話を深追いせず点描することで「存在」というテーマを暈けさず 捉えて離さない。勿論、役者の演技力は確かで、物語を支える舞台美術や音響・音楽そして照明などは巧い。観応え十分。
(上演時間2時間5分 休憩なし) 

ネタバレBOX

舞台美術は、暗幕で囲い 中央に段差がある平台、上手/下手にも同じ高さの平台(大きさ や 形は違う)があり、中央の平台と行き来できる近さ。上手と下手に飾り棚があるが、形状は違う。ミニテーブルや丸椅子がいくつか。そして天井には網が吊るされている。全体は抽象的だが、いくつかの話を紡ぐため、夫々のイメージを固定させない作りが巧い。逆に 役者が演技で状況や情景を作り出す。なお 平台の天板部分が白、暗幕との関係で照明の照射角度によって鯨幕のよう。

冒頭は少女二人(みく と さな)が、ぬいぐるみを使って無邪気に遊んでいる。物語は入院している病室、たみこ ばあちゃんの(唐沢)家、宇宙からの訪問者、そして高校時代といった、脈絡があるのか否か判然としない話が交錯して展開していく。さらに高校時代の話は大人になってからも回想的に描かれ、空間と時代が重層的な広がりと厚みを増していく。「ちぎり絵」といった台詞から色々なシーンの重なりが物語を構成していることを示唆。

高校時代の虐め、最近は頻繁に報道され 問題の深刻さを伝えているが…。中学時代に虐められていた生徒が、高校へ入ってから虐められない防衛策として虐め側へ。そこには仲間外れになることが怖いという意識がある。そして大人になって後悔する、その負の連鎖が断ち切れない。

たみこの家では懐かしい光景、ばあちゃん・じいちゃん・養女とその幼馴染が仄々と暮らしている。両親ではなく祖父母、そして実子ではなく養女というところが妙。日本の原風景、そんな懐かしさの中に奇妙な家族関係を描いている。また訪問者たちは、宇宙からやってきた家族、こちらは両親と長男・長女・次女という構成である。
何となく平穏に暮らしていた家族、そこに突然の不幸が襲う。それが東日本大震災(災害)や太平洋戦争(戦災)を連想させる。そして引き取られた先、学生時代、そして病院のベットの上という繋がりが解る。

ラスト、昏睡状態から数十年ぶりに意識が戻る。その眠っていた間にみた話、そんな夢オチの物語。此岸と彼岸の狭間、よく聞く走馬灯のような想いを情感豊かに描いた作品。幸せの日々は失って、そして大切な人は喪って初めて気づく悲しさ 寂しさ。当たり前のようにあった日々や人たちの存在、そして自分も含めて皆かぎりなく愛しいのである。冒頭の さな、そして訪問者の次女(星那<さな>)は、みく の生まれてこれなかった妹である(母が妊娠中に被災したため)。

舞台技術…照明は真上から青白いビーム光線によって海中を、白銀(モノクローム)は過去・動かない世界を表現しているよう。音響は波音や鳥の鳴き声、音楽は優しいピアノの音色が印象的だ。状況(場面)に応じて衣裳を変えるなど、分かり易さに工夫を凝らしている。物語を印象的に そして余韻あるものに仕上げていることに好感。
次回公演も楽しみにしております。
十二月大歌舞伎

十二月大歌舞伎

松竹

歌舞伎座(東京都)

2024/12/03 (火) ~ 2024/12/26 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/12/05 (木) 18:20

第三部を鑑賞
「舞鶴雪月花」は…(松虫)とか(雪だるま)とかが、踊る変わった舞踊でした
「天守物語」は…美しく、妖艶でしかも面白かった

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