最新の観てきた!クチコミ一覧

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赤道の下のマクベス

赤道の下のマクベス

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2018/03/06 (火) ~ 2018/03/25 (日)公演終了

満足度★★★★

会場は見渡す限りの白髪と薄毛のオンパレードである。平均年齢は優に70歳を超えているだろう。
この世代は親が戦争に行ったのである。私も子供のころ夕食で父親がお酒を飲むと戦地の話をするのを(父さんそれはもう何回も聞いたよ)と心の中で言いながらも、毎回相槌を打ちながら話し相手になる母親の手前おとなしく聞いていたことを思い出す。

舞台は終戦から2年を経過したシンガポールの死刑囚収容所である。3人の日本人と3人の朝鮮人が暮らす独房が6つ並んでいる。日本人BC級戦犯については裁判の理不尽さは常に語られることであるが朝鮮人BC級戦犯になると胸中の思いはそれをはるかに超えるものだろう。日本人3人それぞれに事情や思いがあり、朝鮮人3人もここに至った経緯は一様ではない。巧みな表現で6人の6つの人生が自然に見えてくる。

状況設定から見て一方的に日本人が非難される展開も覚悟していたのだが、作者はかなり抑えて書いていて刺激的な問題作となるよりも普遍的な作品を目指したように感じた。

父、ロボットになって、帰る。

父、ロボットになって、帰る。

TOMOIKEプロデュース

シアター711(東京都)

2018/03/06 (火) ~ 2018/03/12 (月)公演終了

満足度★★★★

ストーリーが難しくなく笑いどころも多いので楽しむことができた。
お姉さんと時男のバカップルぶり好きです。

JK OF THE UNDEAD

JK OF THE UNDEAD

哀女

ザムザ阿佐谷(東京都)

2018/03/07 (水) ~ 2018/03/11 (日)公演終了

満足度★★★★★

JKも出るしゾンビも出るしBBAまで出るしで随所に小ネタも挟みつつBBAに怯える少女達。一体これはどんな話なんだろうと思っていて所謂シチュエーションホラーとかではなく女性の人生の話だった、あと色々なところに愛があった、色々な愛が。
小ネタも面白く見ていて飽きませんでした、ありがとうございます。

個人的にツボったのはある曲が流れてるシーンで暴力的な行為が行われてたが綺麗なメロディーを聞きながら見る暴力はなんとも言えない気持ち良さがあって演劇ならでは!って感じがしました。

色んなチラに気を取られすぎて最後のハイタッチは参加しなかったです…しとけばよかった…女の子皆可愛かったです

埋没

埋没

TRASHMASTERS

座・高円寺1(東京都)

2018/03/01 (木) ~ 2018/03/11 (日)公演終了

満足度★★★★

3時間でなかったところが良かったです。

ネタバレBOX

高知県大川村が舞台。ダム建設を機に金の亡者になった女性を描きつつ、都市部と田舎の人たちの考え方のずれ、報道の在り方などを皮肉った話。

村議会の廃止を検討というニュースは覚えています。このお芝居によると、変わり者の議員が議員のなり手が少ない現状から質問し、村長が可能性としてはあるとの返答を大々的に報じたということでした。

都市部の人間の考え方と田舎の人間の考え方の微妙なずれが興味深かったです。都市部の人間を上に見ている村人からするとパワハラはあり得ないということでしたが、確かにストーカーには上下の関係はありませんから注意が必要です。

正論を言う人と金の亡者になった人の性格をそれぞれエッジの効いた形で表現していました。観客に分かり易く見せようとしたのでしょうが、新橋演舞場のお芝居を観ているようで少し極端過ぎて、これくらい表現しないと観客には伝わらないだろうと、観客を見下しているようにも感じました。
和歌山を出る女

和歌山を出る女

劇団さんばれんてぃーの

SPACE9(大阪府)

2018/03/06 (火) ~ 2018/03/08 (木)公演終了

満足度★★★

二人芝居、熱演でした。テーマ・時代設定は面白い。和歌山を出る女という題名に魅かれましたが、ストリーとの関連性があまりわからなかった。

父

雷ストレンジャーズ

サンモールスタジオ(東京都)

2018/03/07 (水) ~ 2018/03/11 (日)公演終了

満足度★★★★★

ストリンドベリの芝居は、初見。戯曲も「令嬢ジェニー」くらいしか知らない私にとって、この舞台を観れたことは、結果的に幸運だった。

昨年、「緑のオウム亭」を観劇して、その時もらったコピーの次回公演告知。長らく待ちわびただけのことはあった。

説明書を読むと
「家父長制度、父権制の色濃いシステムの中で「父」であらねばならないと
男らしくあろうとする男とそのシステムの中に存在する女性達。」ここまではその通り。だけれど、その後を読んで、イプセンの「人形の家」のような、家父長制度、父権制に抗い、自立と自由を求める女主人公(ステロタイプな解釈で恐縮なのだけれど)を想像していた。

しかし、「人形の家」のノラは、家父長制からの脱出を試みる、それと対峙して自己の立場を決めるのに対して、「父」の妻は家父長制・父権からの脱出を図るのでもなく、それらを否定ないし破壊しようとするでもなく、自らが父権を握ろうと企てるのだ。
その点では、権力奪取劇である。

父であるためには、まず男でなければならず、そして子を持たねばならない。
妻は、この2つの前提を根底から揺さぶることから、主人公の存在基盤を、そして精神を蝕んでいく。
まず、妻は周辺の人々に、彼は精神を病んでいるという情報を流布する。そして彼が家父(家庭の男性)として果たそうとする責任や義務をおざなりした上で、果たして娘は主人公の子だとどうして言えるのだろうかと、あらゆる角度から疑義を投げかける。

「父」の主人公は、家父長制に象徴されるような高圧的で、他者の思慮を排除するような矮小な人物ではない。例えば、娘を自宅に置いておきたい妻に対して、街に住みたいと望む娘を、街の知り合いに預ける手はずをする。娘の希望をできうる限り尊重する開明的な人物だ。主人公と娘の心は通い合い、それゆえに、この2人は幾度も抱擁をする。
かれが父権をかざすのは、家族を責任もって養っていくこと、家族の心の安寧を保つことに対してであって、権限というより父としての責務への従順さからに他なならない。
(以下、ネタバレ)

とにかく、主人公のセリフの数々が素晴らしい。朗々と詩を読み上げるように、次々と発せられる不安と猜疑の叫び。真実への訴求に没頭する言葉の洪水。
オープニングの気怠い雰囲気から、終盤の狂気からの誘い。それを見事に変化をつけながら演じきった松村武さんには、心底参った。

ネタバレBOX

しかし、彼は妻のあらゆる言葉と手段に翻弄され、次第に心を蝕まれていく。それを見ている妻の兄の牧師や、妻から主人公の精神疾患を直すことを依頼された医師も、当初は主彼を人公の正常を指示ながらも、次第に彼を見放すようになる。

ラストで拘束着を着せられ、床でのたうち回りながら乳母に心の安寧を求めて叫び続ける主人公。突然の発作に、さすがの妻は死んだのではと驚きを隠せない。(彼に死なれては、彼女は支配するべき相手をなくしてしまう)それでも、医師はまだ生きているという。
助けを請う妻に、医師(理性)も、牧師(神)も主人公に手を施そうとはしない。

もはや、そこには父権を奪われた主人公と、大いなる慈愛と寛容を持ち合わせた家父長制の残骸が残るのみ。医師も牧師も、自らの父権と照らし合わせて、もはや助ける術を何も持ってはいなかったのだろう。
PIGHEAD 蠅の王

PIGHEAD 蠅の王

ワンツーワークス

赤坂RED/THEATER(東京都)

2018/03/01 (木) ~ 2018/03/11 (日)公演終了

満足度★★★★★

ワンツーワークスさんがオフィスものを演じれば、そりゃ絶対面白いと思っていましたが、案の定めちゃくちゃ面白かったです。
とある会社での、いち部署内における人間模様を俯瞰で観察できる本作。
ギスギスしてしまうのにはそれ相応の原因があるのですが、会社というひとつの国家の中ではどうしようもないという現実。
社員一人一人の微妙な立場や、個性ある人格がどんどん擦り切れ変貌していく様が、それこそ手に取るように伝わってくる凄み。

同じプロジェクトでありながら執拗に衝突を繰り返す関係性に「やっぱりそうなるよねー」と気の毒になってくる思いと、「なんて巧い心理描写なんだ!」と作品としてのクオリティーの高さにひたすら感心してしまう思いの、意味としてはダブルのため息が出てきます。
オフィスワーカーは特に必見の、丸の内サスペンスホラーな作品でした。

JK OF THE UNDEAD

JK OF THE UNDEAD

哀女

ザムザ阿佐谷(東京都)

2018/03/07 (水) ~ 2018/03/11 (日)公演終了

満足度★★★★★

パンチラ、腹チラにいいね! いえっ、それだけじゃあありません!!
あんなことや、こんなことも ( ゚Д゚)
土屋さん、金田さん 役得とはいえオイシ過ぎます (*´з`)

そして、締めはババアのうんちく 実は深イイ話でした。

これはピチピチJK好きのみならず、ババア好きの方にも観てほしい作品です。
第二形態、第三形態まで選べますよ~ (*^^)v

PIGHEAD 蠅の王

PIGHEAD 蠅の王

ワンツーワークス

赤坂RED/THEATER(東京都)

2018/03/01 (木) ~ 2018/03/11 (日)公演終了

満足度★★★★★

こちらの劇団の作品、何作か観せて頂いている。ハズレ無しと言ってもいいくらい、演出・演技ともに完成度が高い。今回の作品はその中でもかなりの出来ではないかと思う。実は寝不足で観に行ったのだが、眠気というものに襲われることがまったくなく、舞台からじりじりと広がってくる緊張感と、圧迫感に圧倒され、目が離せないでいた。人の心理の微妙な部分が見事に引きずり出された舞台であった。相手を追い詰めるもの、追い詰められるもの、双方の感覚が内蔵絞られるくらい伝わって来た。会社内でのイジメ、社会人としては恥ずかしい事ではあるが、実際、少なくないのも現実。なんらかのきっかけで、このどちらかになりうることは決してないとは言えないのも現実。舞台上では追い詰める方が非情に感じられるが、その心理も観る側に理解して観て欲しいと思う。会社という檻を観た気がした。

R侵食する幸福論。

R侵食する幸福論。

かりんとうばんぱく

STスポット(神奈川県)

2018/03/07 (水) ~ 2018/03/09 (金)公演終了

満足度★★★

 学生さんも参加する団体のデビュー作品。

ネタバレBOX

オムニバス形式を変形させた様式を採用している。三日月座の名が出てくる所をみると、横国の学生も関わっているようだ。若干、問題があった所を挙げておくと、間の取り方が悪かった所があった役者が居たこと、科白が棒読みになっていた所があった役者が居たこと。前者は、直前迄は板上に居て、動詞“走る”が終止形乃至連体形で終わって句点が入り次の科白、つまり後半の科白を袖で言うのだが、句点だから休止をキチンと出さなければならない点で恐らく走り込む身体動作に引きずられて間をキチンと取れなかった点に失敗の原因がある。
 後者は、母親役なのだが、充分に科白の意味する所をヴィジョンとしてイメージして演技にしていない点に失敗の原因があるだろう。単に科白を暗記することが、役者の仕事ではない。役者は科白の意味する所を、そして他の要素との関係を身体化することがその仕事である。演出はこのような点にもダメ出しをしておきたい。
 また第1話でミキが、名を知らないハズの新たな色を発見した時点で色の名を呼ぶのは、論理的におかしい。こういった点は正確に表現したい。傍にユキがいるのだから、兄に色の名を訊ねるなどリアルな表現が望ましい。
坦々とおこり

坦々とおこり

シラカン

北とぴあ カナリアホール(東京都)

2018/03/07 (水) ~ 2018/03/11 (日)公演終了

満足度★★★★

なかなか独特でおもしろい発想で展開し、現代劇でありながら原始的な感覚に訴えてくる。

巛

ゆうめい

OFF・OFFシアター(東京都)

2018/03/02 (金) ~ 2018/03/04 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/03/03 (土) 15:00

価格3,000円

ある男性の二十代半ばからの十数年に起こるあれやこれや。波瀾万丈とは程遠いどころか人生の転機などもなく日常にさざ波が立つ程度なので全体のメリハリに欠けるし冗長な部分もいくつか……ではあるのに、妙に魅かれるのが不思議。身近にありそうで共感するのか創る側の熱意に共鳴するのか?
そんな100分余を耐えた(失礼!)後だけに終盤の主人公の「アレ」と「疾走」の爽快感たるや!
また時制の異なる次の場をクロスさせて見せる演出もイイ。

ネタバレBOX

そう言えば主人公が耐えに耐えた末に自らの感情を解放するって往年の仁侠映画の系譜だな。あまりに題材に隔たりがあるので今の今まで気付かなかった。
そして自転車のスタンド?を使っての疾走場面、主人公の心中が伝わってくるようで良かったなぁ。
父、ロボットになって、帰る。

父、ロボットになって、帰る。

TOMOIKEプロデュース

シアター711(東京都)

2018/03/06 (火) ~ 2018/03/12 (月)公演終了

満足度★★★

タイトル通りでした(^-^;)

いろいろと捻りが加えられたでしょうが
基本に忠実に進行していた感あり

でもまぁ それなりに楽しかった約2時間弱の作品

ネタバレBOX

3人娘のとーちゃんは
町に迫り来る軍艦を撃退する為に
その身に機械を宿し
見事軍艦を沈めるも・・漏れ出た重油で漁業は壊滅
自分は改造ノウハウの為に3年も囚われ続けて
やっと抜け出してきて娘たちに再会するも
いろいろあって衝突し~の 和解して~の話

手助けしてくれてた不動産屋の社長は
実は生体改造第1号で左手が銃です
(エネルギー波を曲げて撃つことは出来なかったようです(^_^)

お父さんは17番目の成功例で
開発者は亡くなりノウハウは失われるも
周囲の機械を強力な電磁波で無力化する能力を持っていて
それを開発ー政府に狙われてるという設定です
(神林長平のSF小説『敵は海賊』の対コンピューターフリゲート艦
搭載兵器=「CDS」が同じような効果持ってますね~)

はなっから父がロボ~サイボーグでした~としないで
実は・・・でしたとした方が良かったのでは?
以前観た芝居で
「お父さん どうしてそんなに冷たいの・・」という科白と共に
父と娘の確執を描く話があって・・・冗談で
冷たいのはロボットだからと書いたら
本当で・・・当たっていたのには笑えたですよ(^-^)
赤道の下のマクベス

赤道の下のマクベス

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2018/03/06 (火) ~ 2018/03/25 (日)公演終了

満足度★★★★

 鄭義信が2010年に韓国で上演した作品を大幅に書き直して日本で上演する。1947年のシンガポール・チャンギ刑務所にあったという、死刑の確定したBC級戦犯を収容する施設での群像劇。日本人は3人、そして、日本人として判決を受けた朝鮮人が3人の6人が収容され、いつやってくるとも知れない執行の日を待つ日々を描く。重たいテーマにもかかわらず、登場人物はその危機を笑い飛ばすような生活を送るというのは、鄭の過去の作品でもあった。タイトルに含まれるマクベスというのは、池内博之演じる主人公が役者を目指した朝鮮人で、唯一の出演作。その選択あたりのバランスがよく取れた秀作である。池内や平田満が軸にはなるが、浅野雅博演じる元大尉の寡黙な演技が目を引いた。80分(休憩15分)65分は流石に長いが、それだけの価値はある。

ラストステージ

ラストステージ

A.R.P

小劇場B1(東京都)

2018/03/02 (金) ~ 2018/03/06 (火)公演終了

満足度★★★★★

誰も死なずに傷つけない。心地よい安心感のハートフルコメディ。
人間味あふれるドラマ展開は多少の無理と不整合性はなんのその、
面白さでカバーする巧みな演出。
歌とダンスをしっかり見せるコメディエンターテインメントは秀逸。
本物のアイドルさんと共に切れのあるダンスを見せるのは元アイドルとかじゃないですよね。
幅広い年齢層に受け入れられる楽しい物語で面白い。

ネタバレBOX

ダンスのスキルが高い役者さんを揃えたのか、全体のスケール感が広がって見ごたえあり。
みかんがリタイアするとは思わず、あのブサカワの面白さとバルキーなダンスがあまり見られず残念。
しかし新喜劇ばりのボケをかますおかみさんのキャラが超うける。
良い役者さんをそろえた作品ですね。
カチナシ!

カチナシ!

ラビット番長

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2018/03/01 (木) ~ 2018/03/05 (月)公演終了

満足度★★★★★

濃厚な人間ドラマを簡潔にテンポ良く見せる秀逸な本と演出。
シビアな勝負の世界と思いやりの介護の世界。
まったく違うようで、ともに一対一で相手を知ることが重要。
そんな二つの世界を巧に結びつけた人間味あふれる物語。
見えない部分で互いに信頼し理解している師匠と本妻の夫婦関係が素敵。
絆があるから迷惑かけても傷つけても繋がっているだろうな。
贅沢を言えば、もう少し泣かせる部分があってもよかった。
心地よい作品でした。

転生の夢

転生の夢

劇団キンダースペース

シアターX(東京都)

2018/02/28 (水) ~ 2018/03/04 (日)公演終了

満足度★★★★

あらためてラフカディオ・ハーンを知ることが出来た印象的な舞台。
方言や外国語を大胆に取り入れ、世界観を上手く見せていたのは面白い。
しかしながら、微妙なニュアンスを汲み取れなかったのは少々残念。
広い舞台を贅沢に使った演出と巧みな舞台展開も良く、
説得力ある役者さんの演技も素敵でした。
終盤みんなが輪になり歌い踊る場面では、国が無くてもアイデンティテーの認識で
このように集団を形成して生きてゆくのだろうと思えました。

埋没

埋没

TRASHMASTERS

座・高円寺1(東京都)

2018/03/01 (木) ~ 2018/03/11 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/03/06 (火) 19:00

単に賛成と反対とには割り切れない複雑系を相対化して重苦しく表現したステージ。現実の生活の中では絶対に巻き込まれたくない究極の選択に実際に巻き込まれてる人が多数存在する中、お芝居として客席という安全地帯から眺めてるだけのお前って何様よ?という自問自答の2時間半。

和歌山を出る女

和歌山を出る女

劇団さんばれんてぃーの

SPACE9(大阪府)

2018/03/06 (火) ~ 2018/03/08 (木)公演終了

満足度★★★★

女性二人のテンポの良いやりとりが、とてもいい感じです。現代の問題も織り混ぜながらの演技も良かったです。また見せてくださいね!!

物の所有を学ぶ庭

物の所有を学ぶ庭

The end of company ジエン社

北千住BUoY(東京都)

2018/02/28 (水) ~ 2018/03/11 (日)公演終了

満足度★★★★★

ジエン社は初めて観たときから好きになったカンパニーだ。
刺激的でワクワクさせてくれるし、帰り道にいろいろ考える題材をいつもかならず与えてくれる。
今回も面白かった!

(以下、かなりの長文になりましたが、ネタバレBOXヘ)

ネタバレBOX

会場に入って驚いた。
「庭」がそこにあった。たぶんコンクリートむき出しだったり、柱が真ん中にあったりするような会場だと思うのだが、それを上手く利用して庭になっていたのだ。

「魔界の扉」が開き、日本列島は北のほうから森が浸食し始めている。すでに埼玉の北部は森に覆われてしまった。森に入る人間は胞子によって死んでしまう。扉の中からは追われた(?)妖精と呼ばれる人のようにものたちが出てきた。その妖精たちが町で生活できるようにこの庭で教育をしている。この庭には2人の妖精がいて、女性はチロル、男性は鈴守と名づけられた。

そんなストーリー。
「魔界」だの「妖精」だのという言葉が出てくるので勘違いしてしまいそうだが、ファンタジー感はゼロの作品である。
ジエン社らしい、考えさせられる会話劇だ。

「森」「胞子」は何かと考えると「北から浸食」「触れると死ぬ」ということから、(これは後々違うと思ったが)「放射能」ではないかとすぐに思ったが、というか「ナウシカ」だよね、とも思った。
いずれにしても「森」という「自然」のカタチをとりながら、文明の歪みによって生まれた禍々しきモノではないかということが推測できたりした。

舞台上の設定では、「森」は劇場の「入口」のほうにある。すなわち私たち観客はすべてが「森」からやって来たということなのだ。
これは「現代文明・文化」にまみれた人々が私たちであり、もう一歩進んで読めば、この「演劇作品」と「私たち」は「庭」で交流(学び)をするということで、舞台側(劇団側)から「教育」を受けようといしている、ということを意味しているようにも受け取れる。

今回の作品はタイトルのままで、妖精たちが物の「所有」を(この)庭で学んでいる設定。
数作前ではとんでもなく「同時多発的な会話」が進行していた舞台もあったが、今回も同時多発的ではあったが、かなり整理・抑制されていて、きちんとストーリーがつかめるようになっていた。
「わかりやすくなった」と、一般的な感覚で言ってもいいと思う。

ジエン社は、同時多発的な会話などが独特の「危うさ」を生み(それを意図し、表現しているのかどうかは知らないが)、それが彼らの持ち味のひとつであったが、今回はテーマに合わせることでそれが整理されいていたように思う。
何人かの会話の途中で別の誰かが介在し、その結果、別の時間の出来事(シーン)に移行していることがわかるという仕掛けだ(演劇的なリテラシーがないと理解が難しいかもしれないのだが)。

こういうシーンがレイヤーのように重なった会話のやり取りの中で印象に残っているのは、会話の相手が別のシーンにすでに移動していて、「私は誰に話しているのか」という台詞が発せられたところだ。この感覚が実は表に見えるテーマ「所有」と関係してくる大切な台詞であったことが後にわかってくる。

庭では妖精たちに元教師たちが町で生活できるための「教育」をしている。妖精たちに一番欠けているのは「所有」という概念だということで、それについてのやり取りが頻繁に行われる。
私の持っているペンは誰のものなのか。そのペンに名前が書いてなかったら? そのペンから私が離れていたら? どれくらいの距離が離れていたら? どれくらいの時間そこから離れていたら? どうしてそのペンが私のものなのか? 等々が繰り返される。そして「他人の所有物を触ってはいけないのは、なぜですか」の問い。

「所有」には「パーソナルスペース」などということも関係してくる。男の妖精・鈴守は、女性の教師に何度ダメなのだと言っても触れてしまう。言葉の接触と肉体の接触の違い。

「所有」を巡るいくつかのエピソードが出てくる。「庭」を所有していると主張しているクルツという女性。彼女は「自分の庭」ということを根拠にして「ここで出すお茶は熱くなくてはならない」と言い続ける。「所有」の概念はそうした行動に関する「規制」のようなものも含むのだ。
また、別れた男・エムオカを探しに来る女性は、付き合うという「所有」が頭から離れず、「きちんと別れる」ことを求め、さらにその象徴としての2人の住まいに残る2人の「所有していた」荷物のあり方についても繰り返し語る。

そこで思うのは、「この庭で誰が(所有を)学んでいるのか?」ということなのだ。
つまり教えている教師たちが一番「所有」について学んでいるのではないか、ということ。
妖精(特に女の妖精・チロルから)の「なぜ」「なぜ」「なぜ」の繰り返しによって、教師たちは深く考えることになる。

実は台詞にもそれがあった。すなわち教師・ハリツメから発せられる「考えてみよう」という、妖精に向けられた問いだ。その問いは、実は延々と「妖精の側から発せられていた」ということなのだ。

さらに言えば、当然、我々観客も「人生」というモノまで含めて「所有」についてあらゆる角度から考えさせられている(学んでいる)。

そして男の妖精・鈴守からは「所有」から発展した「人と人との距離(感)」を学んでいるのではないか。「空気」とかも含めて。
「パーソナルスペース」を超えてきてしまう鈴守。そして「言葉(会話)」によるコミュニケーションについても、それは関係してくる。社会に出るための教育をしている元教師が「自分は社会不適合者」であると吐露したりする。
「ウソでなければつきあえない」みたいな展開になってきたときに、「ああジエン社だ!」と思ったのだが(笑)。

このように「異文化」が触れあうときに、「文化を伝える」という構造が浮かび上がってくる。

「これって何かに似ているな」と思った人も多いのではないだろうか。
昨年公開の映画『メッセージ』だ。ざっくりそのストーリーを紹介すると、異星人が地球を訪れる。主人公である言語学者が彼らの言葉を理解する。「言葉を理解する」とはその言葉で考えることができる、ということであり、それには「文化の理解」が不可欠。それによって主人公は異星人たちの時間の概念を獲得する。

この作品の中でも「妖精たちは自分たちの言語を持っているのではないか」「異星人たちの文化(文明)」という台詞がそれにつながる。
それがラストシーンにもつながっていく。

妖精たちは2人だけでいるときに「歌」を歌っている。それによって「交信」しているようなシーンもあった。
「歌」が彼らの「言葉(のようなもの)」ではないのか。
つまり、ラストで元教師のハリツメが「その歌を歌った(言葉を獲得した)」ということは、妖精たちの「文化を理解した」のではないかということなのだ。
彼女はそれにより「すべてを知った」のではないかということ。

そう考えると森に入ると胞子によって人は死んでいるのではない、ということが考えられる。したがって「胞子」は「放射能」のメタファーなどではないではないか。そんな気がする。
森に入って死んだ人々は、自分の持ち物をすべて捨てていく。衣服も脱いで死んでいく。
それは「所有」を捨てた最後の姿ではないのか。モノだけでなくすべてを捨ててしまった。「命」までも。
森の深くに入っては戻ってくる、エムオカが死んでいないのも彼がアッチ側の人だからなのかもしれない。

しかし、それ(所有の概念を捨てること)は理解の一部ではないか、ということもある。一部しか理解できてないものは「所有を捨てて」「死」に至るのだが、すべてを理解した者はそうはならない。
それがハリツメが見せたラストであり、本当にすべてを理解した者の姿ではないかと思うのだ。
つまり、ハリツメは時間を掛けて「チロル」と「鈴守」によって「教育」されていたのだから、きちんとすべてが理解できた。単に森に入って行く人々とはそこが違うのだ

ここで面白いのは町に出たチロルが逆に町(私たちの社会)に浸食されているところだ。
すでにコートなどを着込んでいるし。ミイラ取りがミイラになったというところか(笑)。

2つの異文化が接触して、どちらかにどちらかが変わるのではなく、互いが互いに影響・浸食していく。つまり新たな文化の誕生を描いているのが、この作品ではないのか、とも思ったのだ。
思えば、日本もペリーに「開国シナサーイ」と言われてからこっち、西洋文明・文化を取り入れて独自の文化を作り上げてきたように。
なので、エムオカが鈴守が蒔いた種を育てようとするのは、そうして「新しい文化・文明」の誕生・育成を彼(ら)が行っていくという姿なのであろう。後ろの席の人は見えなかったかもしれないが、エムオカが水をやると土の中から芽らしきものが姿を現していた。それがハリツメやチロルなのかもしれない。

役者は妖精・チロルを演じた鶴田理紗さんと同じく妖精・鈴守を演じた上村聡さんの自然さがとても良かった。
元教師・ハリツメを演じた湯口光穂さんのちょっとした緊迫感の表情もいい。同じく元教師・当麻さんはやっぱり「ジエン社だなあ」と思わせてくれる。クルツを演じた蒲池柚番さんの頑なさもいい。

妖精の鈴守の命名は「なんとかだけど日本的名前にした」みたいな台詞があったと思うが、その「なんとか」の部分を聞き逃してしまったのが悔しいし、気になっている。

どうでもいいことだが、終演後、ドリンクチケットを無駄にするのももったいないので、2階のカフェでお茶を注文した。やけどするほど熱かった(私は妖精ではないので普通に熱すぎたのだと思う)ので、妖精気分を味わった。熱すぎて味がわからないので念のため聞いたら「普通の緑茶です」とのこと。緑茶でこの温度はどうかなと思いつつ、会場を後にした。

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