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NOa「の」八コぶ.ね.

NOa「の」八コぶ.ね.

中央大学第二演劇研究会

荻窪小劇場(東京都)

2024/01/07 (日) ~ 2024/01/08 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

世界に溢れる災い(人災・自然災害 問わず)を旧約聖書の『創世記』にあるノアの方舟に準えて<生きる>ことを模索するような物語。

前半はダジャレのような言葉遊びが多く、話が漂流するようで どのような物語を描きたいのか 解らない。後半から終盤にかけて ようやく言葉や記憶を失った人々を通して、争いごとや災いの惨さ、それでも人生という荒波を乗り越えようとする。人生という航海は後悔の連続かもしれない、そんな味わいの感じられる内容へ。少し回りくどいのが難点か。
(上演時間1時間10分) 

ネズミ狩り 2024

ネズミ狩り 2024

劇団チャリT企画

ザ・スズナリ(東京都)

2024/01/06 (土) ~ 2024/01/08 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/01/08 (月) 13:00

社会派シニカルコメディな作風のこことしては珍しく、笑いは緊張感を緩和する程度にすぎず基本はシリアスな異色作。2011年版を2回、2012年のULPS版を1回観て通算4度目となるが、被害者遺族の心境と犯罪者の更生/社会復帰を芯に据えたた内容には毎度舌を巻く。
また、今回は特に「(自分が信じているだけの)正義を振りかざした者の無自覚な悪意」が印象的だった。最近そういうのが多いもので。

ネタバレBOX

それにしてもそれまで微かに漂っていた悪意が一気に噴き出す急な雷雨の場面以降の緊張感はスゴい、その張り詰めた感覚は鵺的やJACROWに匹敵するのでは?
ネズミ狩り 2024

ネズミ狩り 2024

劇団チャリT企画

ザ・スズナリ(東京都)

2024/01/06 (土) ~ 2024/01/08 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

劇作家樽原氏の新境地!?と思ったら過去作品の再演。初演は2008年王子小劇場、再演2011年3月(楽日2日前に震災)アゴラ劇場。後者のチラシは鮮明に覚えていたが、何と13年前とは。。
今回はスズナリで短時日での上演との事で馳せ参じた所。チャリTの他作品とは一線を画する作り込み舞台(そば屋の店内)、抽象的な装置が一切ない。芝居も回想や他場面挿入がなく全て時系列に沿って展開する。笑い要素は若干入りつつも終始リアリズムでテーマ性もはっきり浮かび上がる。へーこんな戯曲を書いていたんだな、と敬服した。今回主役(女将役)を演じた女優が好演(割と近い過去二度程見た記憶)。青春事情舞台で二度見て覚えたおばさんキャラ笑わせ女優も配して、安定の舞台だ。元服役者の社会復帰の困難さ、世間の偏見、死刑制度の是非・・。
芝居では被害者目線で加害者に極刑を望む側と、加害者の人生に寄り添う側の対立が、姉妹(女将とその妹)のついに暴発した口喧嘩の中で顕現する。度々訪れる雑誌記者を手厳しく追い払う若手(だがベテラン)そば職人にも溜飲を下げる。悪く描き過ぎとも言えるが、SNSやネットでは姿を現わす偽善塗れの下衆人格に肉体を与えた役として、私にはリアルな「存在」に見えた。

事実愚かな世論が適切な被災地支援に積極的とは見えない政府を指弾せず、「言いつけに背いて」現地に入った議員を攻撃する誘導にまんまと乗せられる現実。こういう時いつも思い出すのが「未必の故意」で安部公房が描いた人間たち。利害の前には非合理を恥じないとある島に暮らす土着日本人の実態が日本人精神の「淵源」を抽出したようで興味深かったが、実は今の姿だった。。

いま思い出した。アワード投票が、昨日まで‼︎ ウーまたやってしまった。順位は決めていたのでこのネタバレ欄に紹介しておく。

ネタバレBOX

1位 MyrtleArts「同郷同年 2023」
2位 名取事務所「屠殺人ブッチャー/慈善家 -フィランソロピスト-」
3位 イキウメ「人魂を届けに」
4位 燐光群「わが友 第五福竜丸」
5位 PARA/布施安寿香/和田ながら「祖母の進化論」
6位 東京演劇アンサンブル「送りの夏」
7位 シス・カンパニー「いつぞやは」
8位 オイスターズ「きいて、はなさないで」
9位 劇団俳優座「閻魔の王宮」
10位 オフィスコットーネ「磁界」

追記。
今回の軸は時代(現在)と鋭く切り結んだ舞台(として迫ってきた舞台)、とした。ランクに入っていてもいい振い落とした公演は今回も多数。

名取事務所は、年初の「占領の囚人たち」そして書き下ろし「ホテル・イミグレーション」が出色であったりヒット連発だったが一つに絞った。公演は2本とも秀作だったが2度目の観劇(新演出)となった「ブッチャー」に圧倒された。
小品を集めたオムニバス系の優れた公演にも出会えた。「君といつまでも〜Re: 北九州の記憶〜」、「Mrs.fictions in 本多劇場」、feblabo「ホテル・ミラクル The Final」。
メジャー系を理由に外した「ガラスの動物園/消えなさいローラ」、またKAAT「アメリカの時計」、新国立「エンジェルス・イン・アメリカ」。他に「ある馬の物語」、太陽劇団「金夢島」もインパクトあり。
先鋭的、挑戦的、刺激的だった舞台に、お布団「ザ・キャラクタリスティックス」、チェルフィッチュ「宇宙船イン・ビトゥイーン号の窓」、地点「騒音。」、SPAC「人形の家」、ゆうめい「ハートランド」、文学座「アナトミー・オブ・ア・スーサイド」、開幕ペナントレース「HAMLET |TOILET」、遊戯空間「吉良屋敷」、EPOCMAN「我ら宇宙の塵」ナイロン100℃「Don’t freak out」、KAAT「虹む街の果て」、あと赤堀氏の「日本対俺」もかな。
小劇場演劇、ストレートプレイの良品、ここ風「チョビ」、ala「フートボールの時間」、Pカンパニー「会議」、トローチ「熱く沼る」、ワンツーワークス「アプロプリエイト」、ハツビロコウ「レプリカ」「ワーニャ伯父さん」、文化座「旅立つ家族」、昴「われら幸運の少数」ゴツプロ「ブロッケン」、ウォーキングスタッフ「クラブ」、俳優座プロデュース「検察側の証人」、ストアハウス「父と暮らせば」、劇団普通「風景」、ムシラセ「つやつや・・」二本立て、俳小「マギーの博物館」、青年劇場「お好きな場所をどうぞ」、PLAT「たわごと」。
舞踊ではイデビアンクルー「幻想振動」、人形劇ではひとみ座「モモ」。
配信は除外しているが、でなければ恐らくベスト10入りが、コンプソンズ「愛について語るときは静かにしてくれ」。あとはTRASHMASTERS「チョークで描いた夢」、渡辺源四郎商店「千里眼」。
捨てられない性格は治らない...。

追記の追記。
個人的にこの年最大のトピックはナカゴー鎌田順也氏の逝去、そう思ってる人はきっと多いだろう。これからの人だった。主宰亡き後テント公演を敢行した水族館劇場の健在ぶりも嬉しいトピックとして記しておく。
日本演劇総理大臣賞

日本演劇総理大臣賞

ロデオ★座★ヘヴン

駅前劇場(東京都)

2023/12/27 (水) ~ 2023/12/30 (土)公演終了

実演鑑賞

柳井作品には討論劇の系列があった、と思い出した。戦時期日本の「表現」にとって厳しい状況で、えんげきにまつわる二つのシーンが交互に描かれる。二つのいずれ分かるが、その一つがタイトルになってる賞の選考会議。「12人の怒れる・・」を下敷きに(もろパロって)進むエンタメ路線と、深刻な状況がうまく融合できていた。

ツアー演劇「ファーレ遺跡アドベンチャー」

ツアー演劇「ファーレ遺跡アドベンチャー」

たちかわ創造舎

アイム1階ロビーから損保ジャパン立川ビルモンティエン・ブンマー「石鐘の庭」(東京都)

2023/10/08 (日) ~ 2023/10/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

観客自体も未来人になりきり、立川ファーレの作品群を、「遺跡鑑賞」として楽しむ体験型演劇
短い時間でしたが、未来語翻訳飴をいただくところからワクワクの、とっても楽しい時間でした

ぜひまた上演していただきたい

シラの恋文

シラの恋文

シス・カンパニー

日本青年館ホール(東京都)

2024/01/07 (日) ~ 2024/01/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/01/07 (日) 17:00

ワケ分かんないけど、何だかホッとする芝居。98分。
 シラノ・ド・ベルジュラックの話をベースにしたとの前評判だったけど、あんまりそういう感じじゃなくて、純愛の物語だと思った。草彅の存在感は勿論いいのだけど、鈴木浩介の活躍ぶりと段田の重みが良い。

長い正月

長い正月

20歳の国

こまばアゴラ劇場(東京都)

2023/12/29 (金) ~ 2024/01/08 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/01/07 (日) 13:00

とてもいい芝居だったので楽前に再度の観劇。やはりいい。(5分押し)99分。
 開場前に当日券の10人ほどの列ができるくらいの評判の良さで、とにかくいい芝居だった。アゴラ劇場の特性を活かした使い方や、生と死は表裏一体というテーマとか、年越しの時期に観て良かった芝居だった。

『つやつやのやつ』と『ファンファンファンファーレ!』(再演)

『つやつやのやつ』と『ファンファンファンファーレ!』(再演)

ムシラセ

駅前劇場(東京都)

2023/07/13 (木) ~ 2023/07/18 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

2作品が同時に観られる満腹感。普通にぶふっと笑える面白さと、熱量と、真っ直ぐさと、青春と、エモと、全てが詰まっている。『推し』とファンの話かと思ったら、それだけでは終わらない、推しがいる人もいない人もみて欲しい。
私が女だから思うのかもしれないが、女性の役がみんな魅力的。描かれ方、関係性も素敵。

『つやつやのやつ』と『ファンファンファンファーレ!』(再演)

『つやつやのやつ』と『ファンファンファンファーレ!』(再演)

ムシラセ

駅前劇場(東京都)

2023/07/13 (木) ~ 2023/07/18 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

「推し」と「ファン」の関係性を解像度高く描く。女子高生コンビが特に印象に残った。

W/E

W/E

壱劇屋

扇町ミュージアムキューブ・CUBE01(大阪府)

2023/12/29 (金) ~ 2023/12/30 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

劇団箱推し者として、こんなに楽しくてご褒美みたいな公演が合っていいのでしょうか、と思う公演でした。
事前の
『幾魂の鎧武者』は東京支部らしいかっこよさがあり、『DEATH WONDERLAND』はそれとはまた違ったかっこよさもあり、『熊田くんと竹田くん』はなんだかかわいいです。
の情報に偽りなし、されど想像をはるかに超えるかっこよさと、うつくしさと、カオスさと、面白さが詰まっていました。
ご褒美みたいな公演ではありますが、東西それぞれの壱劇屋がそれぞれの研鑽とこだわりと色を詰め込んだ作品はそれ単品としても力強く、満足度の高い公演でした。
それぞれの身体性の高い表現は、出し方は違えども、人間の身体の豊かさや美しさ・可能性を存分に感じさせ、30分に込めたストーリーはやさしさときびしさを内包しながらひと工夫された複雑さもあり、客席を劇世界に取り込み引き付ける演出が存在し、色合いは全く違うものの、観客の想像力への信頼感や、人間対人間の空間を楽しんでもらおうとする精神のようなものに同じ根っこを感じました。

本当に、本当にみられてよかったです。
正直東西で分かれている(思ったより行き来がない、それぞれの公演に出たりしない)のはちょっと寂しいなとも思うのですが、それぞれが精力的に活動している証拠でもありますし、またぜひこのような機会に恵まれるよう、楽しく応援できればいいなと改めて当公演を観て思いました。

煙突もりの隠れ竜

煙突もりの隠れ竜

壱劇屋

ABCホール (大阪府)

2023/08/18 (金) ~ 2023/08/20 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

楽しかった!楽しくて、ぽかぽかして、幸せ。
いろんなことやってみたぜ、こんなキャラもいるぜ、の欲張りセット。
確かに今までの殺陣!殺陣!殺陣!と違うことも沢山あるけど、もちろんバトルシーンは壱劇屋東京支部らしい迫力と多彩さがあり、時間の経過や情景の表現、やさしさと、きびしさ、そういう関係性〜!アツいぜ!の「いつもどおりさ」も味わえた。
清濁抱き合わせ、愚鈍さも、クレバーさも、全部ひっくるめて、頑張れと、キャラクターに対してだけでなく、そのキャラクターが生きる世界よ、頑張れと、思わず祈ってしまう。祈ると同時に、私たちも頑張りたいなと、勇気をもらえるような。
説教臭くない、いやらしさがない、誰かがまっすぐに頑張っている姿を見て、奮起させられる。
大好きなABCホールでまた竹村作品が観られるうれしさもあり、作品の心に染み入り具合もあり、思わぬ涙があふれてきた。
また大阪にも来てもらえるように、応援し続けたいです。

Pickaroon! -ピカルーン-

Pickaroon! -ピカルーン-

壱劇屋

すみだパークシアター倉(東京都)

2023/06/24 (土) ~ 2023/07/02 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

ドエンタメであり、しかしハッピーポップで終わらない、さりとて気持ちよく心に残る観了感。
キャストが変わったとて、ああピカルーン観てるな、楽しいな、じーんとしちゃうな……となれる。胸いっぱい。
特に初演が好きなので毎度ドキドキするのですが、今回も杞憂!とても面白かった!!
関係性や生活が垣間見えるアレコレも追加されてたりして、初演再演を知っててもワクワクしてしまいます。

AキャストBキャストそれぞれでキャラクターの見え方が変わったりしてそれぞれに魅力があり楽しく、しかしABあるがゆえに観られる回数はそれぞれ減ってしまうのが玉に瑕…!それぞれいいだけにそれぞれをもっと味わい尽くしたい…!悩ましくも贅沢な苦しみです。
というパラデュールとまったく同じ悩みがあります!!悔しさすらあります!!
しかし今回はメインキャラを全員劇団員でやる、という、昔からずっと願っていた「壱ver」が叶い、それを見届けることが出来たのが幸せでした!
いつかverではなく、すべての日程がそういう公演も見られたらいいなと、箱推しの身としては思います。

PARADURE -パラデュール-

PARADURE -パラデュール-

壱劇屋

すみだパークシアター倉(東京都)

2023/04/22 (土) ~ 2023/04/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

想いがすれ違いぶつかり合い、迫力の中にそのやり取りされる想いの大きさや繊細さがたまらない!
ともすれば広がりすぎそうな世界観やキャラクターを、描くところと描かないところをきっちり切り分けて駆け抜け、2時間半をあっという間に感じさせる充実さでした。それだけでなく、その世界から外に向けての広がりも感じられる箇所もあり…でもそこを抜きにしてもパラデュール内で完結して面白い!という塩梅。
AキャストBキャストそれぞれでキャラクターの見え方が変わったりしてそれぞれに魅力があり楽しく、しかしABあるがゆえに観られる回数はそれぞれ減ってしまうのが玉に瑕…!それぞれいいだけにそれぞれをもっと味わい尽くしたい…!悩ましくも贅沢な苦しみです。
久しぶりの台詞あり東京支部作品、魅力的なキャラの関係性や、殺陣の量も様相の多彩さにもワクワクが止まりませんでした!メインはもちろんのこと、アクションモブたちの活躍が止まらない!劇中1秒たりとも隙が無い。群衆として存在するだけではない、メインの華やかさを担保し、殺陣の迫力を増強し、個人としても芝居をして見える社会の厚みを持たせる…東京支部作品になくてはならない存在というものを、台詞アリの新作芝居で改めて感じました。

6人の悩める観客

6人の悩める観客

壱劇屋

in→dependent theatre 2nd(大阪府)

2023/03/03 (金) ~ 2023/03/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

自分の今居る場所(劇場)・観ているもの(演劇)・自分自身の目や思考への懐疑を誘われる……あらゆるエンタメ作品でも「物語というもの」「メタ視点を考慮した構造」要素があふれるようになってきた中、演劇を知らない人にも・まだそういうメタい要素を知らない人にも・すでに知っている人にも、ゾクゾクとされる作品だと思います。
小難しさとばかばかしさのようなファニーさの入り混じり具合が絶妙で、面白がっているうちにドキッとさせられるし、奇妙な関係性に取り込まれているし、でも最終的に客感覚は大事に守られているような観了感もあってバランス感が素晴らしいなと思います。
小劇場とはいえ各所アングラみをそこまで出しているわけではなく、あらゆる配慮で気遣いいただくホスピタリティを感じることが多くなってきたところに、アングラとまでは言わないまでもスパイス強めの作品を(コントロールきかせつつも)よくぞその味をきかせたままやりきったなあ…!とも思います。

再(々)演なので、前回の大熊さんの立ち位置も非常に魅力的だったのですが、行澤さんをあそこに持ってきたのも、「シェイクスピア」にしたのも、説得力が増していたように思います。
パフォーマンスも整理されており、そのシーンとしての意味が各ムーブにおいて強まっていたようにも感じられました。
前演の守るべきところは守り、今の時代と今のキャストに合わせて変えるところはがっつり変え、印象を保ちながらも磨き上げる手腕とそれを実行できる座組素晴らしいなと思います。

空間スペース3D

空間スペース3D

壱劇屋

大阪市立芸術創造館(大阪府)

2023/07/28 (金) ~ 2023/07/31 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

壱劇屋のオールスタンディング演劇、楽しい!!
運動を憎むほど嫌うものですが、楽しく体揺らして、ノッて、キャラの繫がりとか関係に物語脳が豊かになって、心身共に満ち足りた体験でした!
再演なのでOPでめちゃくちゃ懐かしくなってしまいましたが、新鮮に驚くこともたくさんで。また距離の影響か、席(場所)の縛りが無いからか、目の前で起きているLIVE感も強く、何回見ても新しい発見ができるのが本当に面白い。
日々の世界や生活をサンプリングしたような、でもそれらが集められたこの空間が、そしてそのひとつひとつがなんだかおかしくて、おかしくなっていて、現実との地続き感と劇空間の異常さが入り混じるカオスさ、でもそれがつながっていくことや計算されつくしていることをふと感じるときがあって興奮を覚えます。
空間の使い方の特異性だけではなく、キャラクターやそこにある物語を追いかけることについてのうまみもきちんと担保されていて、演劇的な空間…日々や日常空間に潜む劇的な可能性を集合し、美しく整えられた空間だなと思いました。

オールスタンディング、お客さんとの距離感ほぼゼロという特殊な空間ですが、ただただ無法地帯なわけでなく、お客さんへの信頼感と万全の体制を張るその塩梅をうまい具合にとっていただいており、そのなかで楽しく遊ぶことができました。

SQUARE AREA

SQUARE AREA

壱劇屋

近鉄アート館(大阪府)

2023/11/04 (土) ~ 2023/11/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

あらゆる方向性で面白く、大好きな作品です。
ストーリーの面白さはもちろんありつつも、身体や構成のうつくしさを美術品を見るような気持ちで見てもいいし、謎解きのように登場人物と謎に挑む気持ちになってもいいし、スポーツやアスリートを見るように躍動を楽しんでもいい、音楽LIVEのように音と身体に心を揺らせてもいい、あらゆる人に開かれた楽しみがある作品だと改めて思います。
四面舞台というのを演出的面白さだけではなく、ストーリー上まで意味を持たせる空間の使い方、1回で見た時のインパクトと、複数観た時の面白さを両方担保されてもいて、洗練されているなと感じます。

前回までのSQUARE AREAが好きで、キャスト替えやアンサンブル追加でどうなってしまうんだろう…と、楽しみはもちろんのこと、ちょっとドキドキもしていたのですが、完全に杞憂でした。めちゃくちゃよかったです。
再演に伴う追加変更要素において、抽象的な部分を「説明する」ではなく、「整理」することで想像を膨らましやすくしよう、というように感じられて、とてもいいなと感じました。
その追加変更により各キャラクターの置かれている状況・人物像の厚みが観ている時から感じられ、キャストが一新されてもぐぐっと愛着を持てたように個人的に思います。2023年度版のキャラクターたちも、キャラクター〇〇の誰版、というより、2023年度版のそのキャラとしてとても好きになりました。
パフォーマンスシークエンスも、増えたりアンサンブル要素が追加されることで複雑性が以前とは変わっていたりしていましたが、ただ豪華になっているというよりも、ストーリーやキャラクターの色付けを豊かにする味付けになっており、知ってるはずなのに知らないスクエリを観ていて、でも欲しいところに欲しい画が観れる…!という、楽しみ方ができました。贅沢な再演体験でした。


今回の公演のことではありませんが、唯一悔やむべくは、劇団員の半田さんが今年末をもって役者業を引退されるため、先達のスクエリのような「同じキャストで再演」が叶わないところだなあと思います。役者固定で、各人のスキルアップと演出の変更、ホンの改訂に純粋に意識を割ける再演というのは本当に稀で、前は叶っていたことなので惜しいな…と。(半田さんの決定や今後は応援してます!)
ただ、壱劇屋(大熊作品)は、キャラクター性もあるものの、どちらかというと「物語上の/進行上の役割」に重点が置かれていると個人的には感じているので、キャスト変更があったときも比較的ひっかかりなく、どちらかというと楽しみに受けとめている気がしています。
なので、ぜひともまた「やりたいな」「今やれるかな」となったら再演をして、「あたらしいかたち」を見せてもらえたらなと思います。
今回のSQUARE AREA2023で再演に対する期待と希望が持て、その気持ちが強まりました。

「小さいエヨルフ」&「少年はニワトリと夢を見る」

「小さいエヨルフ」&「少年はニワトリと夢を見る」

突劇金魚

扇町ミュージアムキューブ・CUBE05(大阪府)

2023/10/03 (火) ~ 2023/10/31 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

『小さいエヨルフ』
洞窟のような場所で、洞窟らしくない場所に住んでそうな人たちのやり取りを聞いているような感じがしていたけれど、視野というか、そういうところにとらわれてるんだろうかと、最後に少しひらけた感じがして、振り返って思う。鼠の目になる気分。
洞窟の中で小さな劇団がお芝居をしている、というていでもあるのかな。冒頭や場面転換の時の役者さんたちの姿勢や目配せ、動きが奇妙でかわいらしく、それも世界観に取り込まれるようで面白かった。

『少年はニワトリと夢を見る』観了。サリngさんの本はシチュエーションは結構劇的な感じがするけど、その中のふとした台詞や演者さんの出し方で「ああ人間には、私にも、こういうところがある」と刺さりつつも、寄り添い染み入るように「人間」を感じられるのが好き。自分の他人への拘りや思い出の重さは相手にはそうじゃなくて、逆もまた然りで。だからひとりでいるより、たまに誰かに自分の鏡になってもらって、傷ついたり励まされたりするのがいいのかもしれないな。

OBACHAN

OBACHAN

NICO×frogs produce #関西の役者が踊ってみた

大阪市立芸術創造館(大阪府)

2023/10/06 (金) ~ 2023/10/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

生活や感情をダンス表現でいきいきと、お芝居とともに届けてくれる作品。前編を知らなくても全然大丈夫。土曜昼の某新喜劇の味もする。
人生を重ねたぶんだけつよいオバチャンたちのパワフルさとやさしさで元気が出る。
シリーズを見ていると、梅ちゃん、ええとこ越してきたね!と思わず思ってしまう。
華やかなOPでぐっと引き込み、多くの個性的なキャラクターを一人一人見せていく見せ方やスピード感、そうしてキャラクターに愛着を持った状態で起きる事件…!ドキドキハラハラしながら、各キャラクターを応援しながら観ることが出来る。お話の構成も、見せ方も、それを表現する役者さんたちの表現力も、素晴らしいなあと思いました。ダンスをつないでいくだけでもない、お芝居の中でダンスするだけでもない、お芝居×ダンスのエンタメ力を感じました。

トレマ

トレマ

立ツ鳥会議

in→dependent theatre 1st(大阪府)

2023/11/10 (金) ~ 2023/11/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

複数の場面を行ったり来たり、これはどういうことだろう、つながってるのかな、あっ、こういうことかな、と掴めたように思えたところでまた少し離される。フラストレーションを貯められない塩梅で適度にくすぐってきてくれて、みんなたちを追いかけることが出来ました。最後の哀愁と言えばいいのか、悲しみだけでもない、なつかしさ、後悔とか、昏い中で語られるシーンが印象に残っています。

お局ちゃん御用心!!!

お局ちゃん御用心!!!

片岡自動車工業

ABCホール (大阪府)

2023/11/17 (金) ~ 2023/11/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

衣装も目に鮮やか、キャラクターの個性豊かさで豪華絢爛、楽しくもちょっとほろりな元気の出る作品!キャストが変わることでキャラの印象も結構変わるものの、やはり林檎さんのお局ちゃんの安心感たるや。おシャッフルも見てみたかったですが、もちろんベーシックな回だけでも満足です。子供たちが初演からずっとお気に入り!健やかに育て~~!

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