最新の観てきた!クチコミ一覧

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奇譚 地獄たられば

奇譚 地獄たられば

グワィニャオン

萬劇場(東京都)

2025/05/16 (金) ~ 2025/05/18 (日)公演終了

実演鑑賞

近松門左衛門役の勝さんが良かったわあ。

ネタバレBOX

朗読劇でやる意義ありました?

ぜひ通常の演劇版で見てみたいなあと。
みんな幸せ

みんな幸せ

友池創作プロジェクト

駅前劇場(東京都)

2025/05/14 (水) ~ 2025/05/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

迫力満点の演技 色々なお話が絡み合って次がどうなるのか気になりますよ!~

Mishmash Musical『THE SUPERSTAR』

Mishmash Musical『THE SUPERSTAR』

BABE GO!GO!

studio ZAP!(東京都)

2025/05/16 (金) ~ 2025/05/20 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

いや~これは面白い。無茶苦茶なストーリーなのですが、色んな社会・芸能ネタが詰まっていて、実に興味深いです。

再演 みやこほたる 

再演 みやこほたる 

劇団匂組

アトリエ第Q藝術(東京都)

2025/05/14 (水) ~ 2025/05/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ほたる班観ました。センセーショナルな事件に基づいていて、個人的にも多数の著作を読んでいたので、概ね内容は知っていたのですが、重く、どっとこたえる舞台でしたね。実に見事です。

舞台 娘がいじめをしていました

舞台 娘がいじめをしていました

一般社団法人グランツ

川崎市アートセンター アルテリオ小劇場(神奈川県)

2025/05/17 (土) ~ 2025/05/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/05/17 (土) 11:00

座席1階

しろやぎ秋吾原作の漫画を舞台化。小学校で起きたいじめ事件を、加害者と被害者双方の親の視点で描いているのが特徴で、舞台は原作にほぼ忠実に再現されている。

中心となるのは親である大人たちだが、本作では子どもたちが多数登場し、重要な役割を果たす。いじめられた女児、いじめた女児という主役級だけでなくクラスの子たちも含め、見事な熱演だった。大人たちがかすんでしまう場面もあった。非常によく鍛えられているという印象だ。親の視点から描かれた本作を子どもがガッチリ支えている。

静まりかえった客席にすすり泣きも。原作の思いを充分に表現した役者だちの勝利だ。

障害者の劇団横浜桜座を擁するグランツのプロデュース公演。桜座のメンバーが座席の案内や前説をこなしていたのはよかった。また、障害がある客のために、舞台暗転時の暗い状態や雷の大きな音を事前に流して観劇の心づもりをしてもらったり、観劇中の音や立ち歩きもOKというような配慮をしているのもグランツらしい心配りだった。他の劇団も参考にしてほしい。

奇譚 地獄たられば

奇譚 地獄たられば

グワィニャオン

萬劇場(東京都)

2025/05/16 (金) ~ 2025/05/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

朗読劇の概念が変わりました 立ち回りもあり見応えたっぷり最後まで目が離せません  大塚駅の薔薇が見頃でとても綺麗でした

コーヒーとカレーと見田さんと

コーヒーとカレーと見田さんと

夏の川企画

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2025/05/14 (水) ~ 2025/05/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

不思議というかスピリチュアル感ある、独特な雰囲気を醸し出した公演。
コロナ禍を経て無関心・不寛容といった風潮、他方 恋愛スキャンダルやハラスメント等は、SNSやメディアに乗って好奇の目に晒されたりバッシングにあう。公演はそんな世に 一石を投じるような、人(心)の距離間(感)を描いているようだ。

フライヤーの説明にある山に囲まれた郊外の とある街が舞台。山や森を切り崩して再開発されて出来た新駅ビル、そこに移築されたコーヒー店に集う人々の日常。しかし会話が かみ合わないこと、不自然な態度が気になる。実は人間らしい見栄や隠し事が潜んでいる。物語は、以前あった自然や亡くなった店のママの、今は見えない存在が肝。その見守りがピアノの単音で…。

数年前に近隣の街で、地元の男性がホームレスの女性を殺害した事件が静かに絡まりあうーとあり、実際 2020年11月 渋谷区 笹塚駅近くのバス停で路上生活者の女性が殺された事件、いわゆる<渋谷ホームレス殺人事件>を思い出す。社会的貧困・孤立や閉塞感が漂い、心の余裕がなくなった今、身近な人や他人に思いを寄せる。そんな憩いの場でありコミュニティ的存在が、このコーヒー店「Mori」である。
(上演時間2時間 この回は事情があり 途中10分休憩あり) 

ネタバレBOX

舞台美術は、コーヒー店「Mori」の店内。奥行き感ある変型、要所を柱で区切るなど 細かく作り込んでいる。下手に店の入り口、入ってすぐにГ型のカウンターやレジ。中央や上手にテーブル席。上手奥にSTAFF ONLYドア。すべて木製で木の温もりが感じられる。そこに物語のテーマが込められているようだ。

主人公 山越美和子は、いつも同じ席に座って外を眺めている。その話し相手は、この店の亡きママからコーヒーの淹れ方を教わった小川よし。山越は切り崩された山、森を見ているのか、駅の乗降客を数えているのか。緑や赤が…といった意味不明の言葉。戸惑う小川、その かみ合わない会話が 心の距離感のよう。後々、緑と赤が混じったら真っ黒になる、人の腹の奥底にある思いであろうか。そこに不気味さが滲み出てくる。

地元の男性がホームレスの女性を襲撃した事件、それがさり気なく挿入されてくる。店のママの名は見田さん。その一人息子 見田茂が唐突にやってきて、店のバイトや客と一悶着起こし帰っていく。彼が住んでいるマンションから、殺害された女性が座っていたバス停が見える。彼は自分が殺害したのか あやふやな記憶。店のバイトで 夜スナックを経営している青野さち は、バス停にいたのが男性だったらよかったのに と言う。男はいつも加害者側という偏見、暴論も飛び出す。

男性だったら殴り殺されない といった思い込み。性差に潜在的な差別意識が潜んでいる。性格や立場等の違い、色々な人がいて世の中は成り立っている。例えば、飲食の嗜好の違いもその1つ。コーヒーの淹れ方、カレーの味付けの拘り。その違いを受け入れて共生している。常連客 本郷はるか や一時的な店番 辻トオルの存在がイイ味を出している。亡くなった(見えない)見田さん、にも関わらず ポーンと響くピアノの単音によって、見守っているよ と知らしめている。その余韻が心地良い。
次回公演も楽しみにしております。
みんな幸せ

みんな幸せ

友池創作プロジェクト

駅前劇場(東京都)

2025/05/14 (水) ~ 2025/05/18 (日)公演終了

実演鑑賞

コメディのテイストに、ミステリーのストーリー、

ネタバレBOX

更には社会派の要素まで。
盛り込み過ぎな感は否めないかな。

主演の国崎さんの魅力と芸達者っぷりに負うところが大きかったように感じました。

とても苦い結末。
しかし娘のとのリユニオンが救い。
これがなければ苦すぎる。
みんな幸せ

みんな幸せ

友池創作プロジェクト

駅前劇場(東京都)

2025/05/14 (水) ~ 2025/05/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

5/16観劇

湿ったインテリア

湿ったインテリア

ウンゲツィーファ

早稲田小劇場どらま館(東京都)

2025/05/19 (月) ~ 2025/05/27 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

芝居の可能性は無限。家族の話なのに、何故か宇宙を想起させるスケール。

でも優しい。
ミクロ⇄マクロがこんなに自在に。

ソファー

ソファー

小松台東

ザ・スズナリ(東京都)

2025/05/10 (土) ~ 2025/05/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

台詞の仕込みは最小限、見逃すと振りが後で効かない(何かあったかも、と余白は残すが)面があってその分だけ精緻な演技を求める脚本という事になるが、出演者が宮崎弁のエキスパートばかりでない事は(方言が芝居にとって利点になる面はそれとして)幾分たりともハンディとの事実は否めない。という要素は恐らくあったのだがその前に、体調によるうつらうつらが不可抗力に襲い、前半は言語理解が追いつかず。桑野登場の少し前あたりから漸くちゃんと見れた。
終盤の強く印象を残すくだりがそれ単体で美しく、そこへ至る前段の空白を脳内で再構成し、諒解させるものがあった。而して台本を入手して答え合わせ。あっと言う間に読了、感動を甦らせている。

ネタバレBOX

終始心許なく登場していた妻(江間直子)が、ラストに至る場面で初めて、明らかに少し違う雰囲気を発し、目が醒める。若い頃にあった一コマだろうか、夫(佐藤達)が妻のリクエストに応えて奮発した豪華なソブァ上で、昼日中二人がそれぞれ寝そべっている図。やがて夜の店に勤めるママが朝帰りしての睡眠の時間と分かる。夫(父)はいつもソファで寝て母の帰りを待っていたな...。その台詞との符合。やがて夫婦の会話、同窓会の案内が来ていたね、出るの?出ない、友達いなかったもんね、話すやつなどおらん、いつもポツンとしとった、そうやった、私付いて行ってやろうか?え?・・うそうそ。その後、久々に「あの気」がもたげた夫に、妻は一瞬怯むも、弱気に退いた夫へ、妻が寄って行く・・。
と、末っ子長女の「ただいま」の声。そこから二人は、含羞の夫がソファの端で見守る中、妻が一人また一人訪れる娘息子や姻戚らを招じ入れ、コーヒーを振る舞い幸せそうに大家族の主然として囲まれるように座り、賑やかしくお喋りをする風景を作り出す(親戚にこういうおばちゃんいたなー、と思い出す。訪れる者皆に居場所を与えてやるお節介だが人の心の分かるテンションの高いおばちゃん・・)。母の「コーヒーあんたもいらんね」に皆も素直で断らない。皆で同じコーヒーを手にしようとしたが最後に入って来た次男と長男の前にポットが空になり、「あらーなくなっちゃったー(笑)」。
それは幸せの図なのだが、皆それぞれの用であっと言う間に舞台をはける。ちょっとした「残念」が運命を岐つ事も・・といった事の象徴か。
様々に過去を思い巡らして反芻し、時には仮想図をも思い描きながら妻を待ち続けていただろう「弱かった父」も、やがて舞台上を去った後、娘に小さなスポットが当る。父に最も近く父のあっけない無念の死への疚しさを抱え、その父が生涯思いを託しただろうソファを手放し難く家族会議を召集した娘。薄明かりが消えて、芝居は終る。
蠱惑的に心を疼かせる場面を時々どうにも描写したくなる癖があるが、中々難しい。
観劇を薦めるしかないが、保証の限りではない。
Mishmash Musical『THE SUPERSTAR』

Mishmash Musical『THE SUPERSTAR』

BABE GO!GO!

studio ZAP!(東京都)

2025/05/16 (金) ~ 2025/05/20 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

最高!圧巻!ブラボー!演劇のすばらしがすべて凝縮されている!マジで演劇ガチャで大当たり。ほんとすばらしい舞台でした。何もかもすばらしいです。チケット1万円払ってでも観る価値ありますね。いやー、ほんとすばらしかったです。歌のうまさはもちろんのこと、演技も演出も脚本も100点満点で128点です^^

彼女たちの断片

彼女たちの断片

東京演劇アンサンブル

あうるすぽっと(東京都)

2025/05/16 (金) ~ 2025/05/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/05/16 (金) 19:00

145分。休憩なし。

残花―1945 さくら隊 園井恵子―

残花―1945 さくら隊 園井恵子―

特定非営利活動法人 いわてアートサポートセンター

岩手町スポーツ文化センター(岩手県)

2016/05/22 (日) ~ 2016/05/22 (日)公演終了

実演鑑賞

詩森ろばさんの戯曲は見ごたえがあって、見ないふりしてきたことに目をむかせられるのが、私は好きです。

旅とあいつとお姫さま

旅とあいつとお姫さま

座・高円寺

えずこホール(仙南芸術文化センター)(宮城県)

2011/10/26 (水) ~ 2011/10/27 (木)公演終了

実演鑑賞

テレーサさんの舞台はどれも美しいが、毎年観て毎年新しい美しさに出会える稀有な舞台だった。

オリーブのたね

オリーブのたね

teamキーチェーン

吉祥寺シアター(東京都)

2025/04/19 (土) ~ 2025/04/29 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/04/29 (火) 15:00

大きな震災で偶々避難所に集った人々が織りなす物語。
状況が状況だけにエゴを露わにする者やヘイト発言をする者、さらに自分が起こした交通事故の被害者遺児への謝罪に訪れた者までいてしばしば空気がはりつめるが、そんな中から意思の疎通においての大切なことを教わった気がする。
そしてそれゆえ終盤で歌われるブルーハーツの「青空」が沁みるのかも。
あと、窃盗グループが「もう使わないから」と懐中電灯を避難所に残すとか、避難所を出た3人が共に住む地が「府中」であるとかによっての暗示も巧い。

再演 みやこほたる 

再演 みやこほたる 

劇団匂組

アトリエ第Q藝術(東京都)

2025/05/14 (水) ~ 2025/05/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

面白い、お薦め。
初演の「『みやこほたる』~ふみのみやこのお受験殺人考~」は観逃したが、今回 再演を観ることが出来て良かった。確かに”お受験”といった環境が殺人へ といった描き方だが、その底には女性の生き難さといった時代背景が浮き上がる。一人の女性であり妻であり母でもある。その時々で本音と建前を使い分け、状況や環境に適応しようとするが…。

公演は、女優2人による それぞれのモノローグで成り立っている。1人ひとりが心情を激白、その様子を照明と音響・音楽といった舞台技術が効果的に支える。少しネタバレするが、事件をルポルタージュ形式で語り、その現実として加害者が心の変遷や苦悩を吐露する。さらにルポした女性が自らの体験を追想することで、女性の仕事・結婚・出産・育児等といった中で感じる生き難さを訴える。そこにお受験殺人という 単なる興味本位の事件ものとは違うドラマが立ち上がる。それを生ナマしく演じた女優2人ー小林もと果サンと速名美佐子サンの熱演が素晴らしい。
(上演時間2時間 休憩なし) 【ほたる班】

ネタバレBOX

舞台美術は、客席から観て床(板)に三角形、その頂点となる奥、底辺の左右、その三か所に箱馬が置かれている。それとは別に客席寄りに直方体が1つ。上手の箱馬に光子、下手の箱馬に京子が座る。基本的には あまり動かないが、印象的なのは京子が踊りながら奥の箱馬を回りながら歌うところ。 法廷シーンであろうか、光子が泣きながら立ち上がるところ。上演前には、子供たちが元気に遊ぶ声が聞こえている。

実際にあった事件を、京子がルポルタージュとして語るスタイルで展開する。加害者 光子とは直接交わることなく、それぞれのモノローグで綴る。説明にある ”ふみのみやこ”は東京都文京区、その地にある有名幼稚園、小学校が舞台背景になる。そして京子と光子のそれぞれの生い立ちや境遇を語ることで、お受験という争(戦)いへ参戦することになった理由なり動機が明らかになっていく。子供を公園で遊ばせるが、そこで聞く話や噂に翻弄され、我が子も有名幼稚園や小学校へ入れたい。しかも一次(試験)は抽選だから望みもある。そんな見栄や願望が受験に拍車をかける。この地域階層の構図を鮮やかに浮き上がらせている。

京子は昭和24年生まれの団塊世代。どんなに学業が優秀でも短期大学を卒業して、わずかな期間働いて結婚し 寿退職する。仕事も男性の補助的なものでキャリア アップなど考えられない。それでも書くことは好きで、エディタースクールで学び少し認められるようになるが…。
一方 光子は京子より年下であるが、家庭環境等もあり 何となく結婚した。相手は文京区にある寺の副住職だが、自分の寺ではなく通い。その気苦労もあって 光子の話を真摯に聞いていない。「夫は声は聞くが、心の声は聴いていない」という台詞は重い。住宅環境(高級住宅、賃貸マンション、社宅の違い)や公共施設等(公園や教育)、そこにある ちょっとした蟠りや嫉妬・羨望が事件へ。

法廷での光子の供述…なぜ子供を殺してしまったのか? その明確な理由や動機が語れない。光子は 幼い頃から生真面目で融通が利かないといった性格。目の前にいる子さえ いなくなればというモヤモヤした気持が高じて…。その有り様を情感豊かに演じており感動する。この物語は、あくまで加害者(犯人)視点で描いており、犯行に至るまでの光子という女の生い立ちと お受験という状況背景を、第三者の京子という同性が客観的に語る、そこに生々しい女性のリアルを感じる。勿論、被害者視点で描けば、違う感情が生まれ 別の物語になるだろう。それだけ広く深く 考えさせる公演。
次回公演も楽しみにしております。
リドルストーリーのようなストーリー

リドルストーリーのようなストーリー

ミズタニ会議

インディペンデントシアターOji(東京都)

2025/05/15 (木) ~ 2025/05/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/05/16 (金) 14:00

125分。休憩なし。

反乱のボヤージュ

反乱のボヤージュ

松竹

新橋演舞場(東京都)

2025/05/06 (火) ~ 2025/05/16 (金)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

千穐楽…だったが、二階三階はやや空席が目立つ。第一幕80分、休憩30分を挟み第二幕が65分。一幕ラストの処理はちょっと引っかかったが、久々に鴻上らしい舞台を観たという印象。限られた人数で工夫して面白く見せていた。

ずれる

ずれる

イキウメ

シアタートラム(東京都)

2025/05/11 (日) ~ 2025/06/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

終演後、イキウメの活動休止を知ってショック。現時点での集大成だったのか。劇団員五名だけの一杯飾り。「チケット7500円は高いな」と思っていたが、観終わると充分その価値はある。後に前川知大氏を論ずる際、今作は非常に理解し易いものとなっている。作家、劇団が表現したかったことが端的に伝わる。自分的には筒井康隆、黒沢清の系譜。

かみむら周平氏作曲のテーマが心地良い。エリック・サティの「グノシエンヌ」を思わせる自罰的旋律。
全員当て書きの強さ、これが今劇団の全てだ。
後々今作を観たことを自慢できることだろう。自分は感謝した。
是非観に行って頂きたい。

ネタバレBOX

天井のアートシェードに時折もやもやとした映像が映し出される。(安井順平氏と大窪人衛氏兄弟がテレパシーで話している表現かも?とふと思ったがまず違うだろう)。もう一度注意して観たら謎が解けるかも。

色々書くことはあれど考えがまとまらない。全く関係ないことから綴る。まずは長谷川和彦だ。東大文学部英文科在籍でアメフト部のキャプテン、バリバリの体育会系。まさに手の付けられないインテリ・トンパチ。今村昌平プロダクションに面接に行った際、中退を強要される。そのまま今平の『神々の深き欲望』のスタッフとなるがこの伝説的映画の撮影風景と言えば···、そのまんまデニス・ホッパーの『ラストムービー』。沖縄の離島で2年自給自足生活。キネ旬1位の歴史的傑作であることは間違いないが、ここまで人生を犠牲にしないと映画は撮れないのか?と暗鬱たる気分。まあ観て貰えば解る。
映画に携わった一発目でこんなキチガイ作品にぶっこまれた長谷川和彦=ゴジは狂う。突っ張って突っ張って喧嘩して喧嘩して嫌われ干されどうにか名前を売った。中上健次原作のATG映画『青春の殺人者』で監督デビュー、キネ旬1位、時代の寵児に。2作目は沢田研二主演の『太陽を盗んだ男』。新宿のド真ん中でジュリーが手製の原爆を爆発させるラスト。キネ旬2位。
そして3作目に『連合赤軍』を撮る筈だった。その頃懇意にしていた「週刊プレイボーイ」の編集者に「超能力者と会ってみませんか?」と持ち掛けられる。全く下らないインチキ手品師の気分で22歳の清田益章を紹介される。だがこの清田益章は本物だった。ゴジの目の前で遊びのようにスプーンをぐにゃぐにゃ曲げてみせる。ありとあらゆることを要求し、自宅で家族の前でもやらせた。どう考えても本物。ガチガチの唯物論者だったゴジは自分が世界だと認識していたものがガラガラと崩れ落ちる音を聞いた。吐き気がする。今までの自分の認識では有り得ないことが存在している。そこからゴジは迷走する。脚本を変更し、『連合赤軍』の主人公を超能力を持った少年にした。死者と交流も出来る。そしてラスト、あさま山荘で警官隊に突入されて仲間達が捕まる中、少年は空を飛んで逃げていく。
結局、長谷川和彦は映画を撮れなくなった。ゴジの功績の一つに才能ある若手を映画界に迎え入れたことがある。立教大学在学中、8ミリで自主映画を撮っていた黒沢清を『太陽を盗んだ男』のスタッフに引き入れた。黒沢清の才能を高く評価していたゴジは「こいつはどう受け止めるのだろう?」と清田益章に会わせる。全く非科学的なものを信用していない黒沢清は自宅からトリックの使えないよう自分のスプーンを持ち込んだ。それを鼻歌交じりでぐにゃぐにゃに曲げてみせる清田。イカサマを見破ってやろうと何度も要求したものの···、本物だった。呆然と失意のまま、帰宅した黒沢清。一晩中布団の中で握りしめたスプーンを見つめて一睡も出来ず。翌日、ゴジにこう告げる。「そういうものがあるのかも知れないが自分とは関係ない」と。そこでオカルトを自分の人生とは関係ないものと切り捨てられた黒沢清はその後も映画を撮ることが出来た。
(このオカルトとの向き合い方が重要で前川知大氏の作品を紐解く鍵)。
※黒沢清は筒井康隆の大ファンで、『地獄の警備員』が筒井康隆の『走る取的』だったり『スウィートホーム』が『母子像』だったり、知ってる奴をニヤリとさせる。『回路』のラストも全人類が“死”に呑み込まれていく中、主人公達を役所広司演ずる貨物船の船長が助ける。「南米からの信号をキャッチした。まだ生き残りがいるらしい。」
筒井康隆がラテンアメリカ文学に一筋の光明を見出したことに重なる。

『人魂を届けに』同様、今作の思想も黒沢清の『カリスマ』に通ずる。「世界の法則を回復せよ」「生きる力と殺す力は同じものだ」のメッセージ。
幽体離脱、先祖返り、真実の世界。同じ死ぬにしても自分が何者かを知ってから死ぬべきだ。

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