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「帽子と預言者」 「鳥が鳴き止む時-占領下のラマッラ-」

「帽子と預言者」 「鳥が鳴き止む時-占領下のラマッラ-」

名取事務所

「劇」小劇場(東京都)

2020/02/20 (木) ~ 2020/03/01 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2020/02/25 (火) 19:00

座席E列1番

「帽子と予言者」
「不条理」というと、何かそれだけで何か分かった風な気分にさせられる。では、この舞台は、不条理かと言われると、そうかしらと思う。主人公の男、その男の子を宿した女、その女の母親、そして、宇宙から来たらしい生物を殺してしまった男を裁こうとしている検事(あるいは裁判官)。彼らがどういう存在なのかといえば謎多く、判然としない。この話自体、寓話なのかSFなのか、現実にはなさそうな話ではある。
パレスチナの作品と聞けば、「帽子」はユダヤ教のラビを、「預言者」といえばイスラム教のナビーを思い起こさせる。母親は宇宙生物を帽子だと言って、頭に被る。主人公はそれに倣い、帽子としてその生物を被るが、一方では彼らを大事な友人と呼び、自らに裁きを加えようとする検事たちに、死の不可抗力性と自分が殺していないことの正当性を述べる。主人公が聞く生物たちの言葉は、周囲には聞こえず、彼はまさに神(=宇宙生物)の声を伝える預言者とも言える。つまり、主人公はイスラム教の預言者(もちろん彼も、高額な金品で生物を売ることに関心がないわけではない)で、生物を売り払い多額な金品をせしめようという母親は、ユダヤ人だ。
彼らは、自らの私利私欲のために生物をうまく利用しようとしているに過ぎない。生物は同じものなのに解釈自体でいかにようにも扱われる。ユダヤ教徒もイスラム教徒も、同じ穴のムジナに過ぎない。そんな彼らを嘲笑し、見放していく検事や裁判官たちは、愛想を尽かせた理性の権化かもしれない。

「鳥が鳴き止む時-占領下のラマッラ-」
突如として訪れた占領軍蹂躪されたラマッラ-に住む作家の独白劇。秀逸。日々の生活風景が、淡々と描かれる。それは戦時下という日常。作家の言葉の陰に埋もれた悲惨に、どれだけ想像力が喚起されるかが問われる作品。それでも、人は日々生きていかなくてはならない。田代隆秀氏の明るく、しかも時々戸惑う口調が、生きるということの切実さと楽しさを同時に醸し出している。

こういう作品こそ、アフタートークのある回を観るべきだった。

少女仮面

少女仮面

metro

テアトルBONBON(東京都)

2020/02/19 (水) ~ 2020/02/24 (月)公演終了

鑑賞日2020/02/24 (月) 16:00

座席4列5番

やはりこの舞台、最大の目玉は、元宝塚男役の月船さららが、春日野八千代をどう演じるかということ。この舞台に関わる月船さららは、何とも不思議だ。まずフライヤーの写真が、月船さららではない(に見えない)、登場してきた春日野八千代が月船さららではない(に見えない)。フライヤーにはただ単に女子高生が写り、舞台には春日野八千代が鎮座する。
月船さららはどこだ?
 けして宝塚の男役としては大柄ではない月船さらら。しかし、舞台に春日野八千代として登場する段の、ボリューム感、威圧感、押し出しは、どんなもんだいというほどに観客に迫ってくる。何か見つけたな。今回の役を演じるにあたって、いろいろ逡巡があったようだけれど、何を言わんか演じて御覧じろ、という感じ。
 少女という仮面をかぶり続け、それを取れなくなった春日野八千代。唐作品には「仮面」というテーマが時々出てくるが、この作品ではまさにそれが作品全体を通底する。仮面=本来の自分とは何か?
 井村昂の水道水を飲む男と久保井研の腹話術師、生という仮面と自我という仮面を被った存在が死にゆく中で、春日野八千代は自身の仮面を剥ぎ取って生きていくことができるのか。年齢に、性差に、虚実に、現代と過去に分裂させられた春日野が自己を取り戻す流浪の物語。見事、大団円を迎えるラスト、春日野八千代は月船さららに昇華してしまった。
 全てを力で歪ませ尽くす、岩松力のバーテンダーは、舞台の異化を強烈に突き進めて圧巻。タップダンスも、腹話術人形演技も、観客を舞台の中へと引き擦り込む強力な磁場だ。
 metroは、まだまだ堀尽くせぬ大きな鉱脈を発見したのかもしれない。
 

社会の柱

社会の柱

新国立劇場演劇研修所

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2020/02/21 (金) ~ 2020/02/26 (水)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2020/02/23 (日) 14:00

座席RB列31番

 まずは「社会の柱」というイプセン作品を舞台で観られたことには感謝したい。
イプセン作品の上演に特化したシリーズか、あるいはこうした研究生公演のような、実験的・メモリアル的な舞台でしか上演されることはないであろうから。
研修生の皆さんの演技について言うと、主人公の13期生宮崎隼人によるカルステン役の頑張りは認める。しかし実際の舞台は、その敵対者、同調者たる周辺の人々を、ヨーハン役の河野賢治を除き、すべて修了生が演じることで舞台が安定するといった結果になった。主人公の懊悩や欺瞞が席巻して物語が進むのではなく、周囲の演技によって、主人公の性格や言動が増幅され、彼がこれから犯すであろう過ちの恐ろしさが際立っていく展開だ。要は、主人公役と周辺の役柄との技量の差が、如実になっているということ。ヨーハン役の河野賢治の、ルステンに対する抗いや怒りの熱量も決して高くはない。
古川龍太、原一登ら商人の驕り、椎名一浩の偽善、小比類巻諒介の狼狽、野坂弘の抵抗、それらがルステンに人間としての血肉を供給している。
13期では、大久保眞希演じるローナ、姉さん肌の気風の良さは、賞賛もの。彼女の語る過去、未来そして現在は、周りの空気をしばしば躍動させる。

ネタバレBOX

の舞台、ラスト近くまで予見される大惨事が観客をハラハラさせる。自分の過去の罪を隠ぺいするために、ルステンは旧友の死を図り、それに巻き込まれるように養女と実子の命が奪われようとする。そして何よりも恐ろしいのは、ルステンの目論見の結果、もたらされるであろう船の転覆による多くの乗船者の死。結局、この大惨事は幾つかの幸運を前に、ルステンの改心をもって回避されるのだが。
イプセンならば、そうした悲惨な結果を受け入れるのかと思ったけれど、そうではなかった。そんなことでは、ただただ主人公は嘆き悲しむしかないではないか。彼は、ルステンの改心をもって、その先に訪れるかもしれないベルニック家の没落と家族の苦しみを暗示させたかったのかもしれないと思った。彼はけしてモラルに耽溺するような作家ではないから。
VOICARION-ヴォイサリオン-「龍馬のくつ」

VOICARION-ヴォイサリオン-「龍馬のくつ」

東宝

シアタークリエ(東京都)

2020/02/20 (木) ~ 2020/02/25 (火)公演終了

満足度★★★★

2時間の朗読劇。
有名な声優さんの朗読は最高でした。
完璧すぎるが故にもう少し遊びの部分があっても良かったような気がしました。

エブリ・ブリリアント・シング 【高知公演中止(2月29日(土)・3月 1日(日))】

エブリ・ブリリアント・シング 【高知公演中止(2月29日(土)・3月 1日(日))】

東京芸術劇場/新潟市民芸術文化会館

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2020/01/25 (土) ~ 2020/02/05 (水)公演終了

満足度★★★★

佐藤隆太さんの人柄の良さが出ていた。
開演前に既に佐藤隆太さんが舞台のあちこちに用紙を配っていて
初見の人はなにをやっているんだろう?というちょっとした疎外感?がありました。
私が見た回は誰も失敗することなく、みんな大きな声で用紙に書かれた単語を読んでいました。
最前列に座っていたら緊張して劇の内容が入って来なかったかもしれない。
新しいものが見れた感じがしますが、欲を言えばアドリブ部分をもっと見たかった。
こういうのはお笑い芸人さんが得意なのでお笑い芸人さんで見てみたいな。

ギョエー! 旧校舎の77不思議

ギョエー! 旧校舎の77不思議

ヨーロッパ企画

本多劇場(東京都)

2019/08/15 (木) ~ 2019/08/25 (日)公演終了

満足度★★★

ヨーロッパ企画=笑える劇団ということで観劇する前からハードルを上げすぎてしまいました。
前半は物に頼った笑いばかりで人と人の掛け合いで発生する笑いが少なく、
来たことを後悔していました。後半くらいから言葉のやり取りで笑わせる展開に変わってから
一気に面白くなりました。前半と後半でこうも評価が変わるとは自分でも驚きました。

ドクター・ホフマンのサナトリウム 〜カフカ第4の長編〜

ドクター・ホフマンのサナトリウム 〜カフカ第4の長編〜

KAAT神奈川芸術劇場

KAAT神奈川芸術劇場・ホール(神奈川県)

2019/11/07 (木) ~ 2019/11/24 (日)公演終了

満足度★★★★

ケラリーノさんのオープニング演出は毎回、素敵ですね。
できればオープニングで遅れてきた客の誘導はやめてほしかったな、
そこがいい区切りかもしれないけど…。
カフカとか全く知らなくてもわかりやすい内容だったので助かった。

あつい胸さわぎ

あつい胸さわぎ

iaku

こまばアゴラ劇場(東京都)

2019/09/13 (金) ~ 2019/09/23 (月)公演終了

満足度★★★★★

iakuさんの作品は2本目。
観劇で泣きそうになった作品はこれが初めてです。
たまには、こういう悲しい話も見たいものです。

『国府台ダブルス』

『国府台ダブルス』

filamentz

新宿村LIVE(東京都)

2020/01/22 (水) ~ 2020/01/27 (月)公演終了

満足度★★★★★

発表せよ!大本営!を見てからアガリスクのファンになりました。
昼と夜で2本連続で見ましたが、どちらも面白かった。
観劇の途中で一切、眠くなることがなく最初から最後まで笑いあり、
熱い展開で良かった!

あと、川口知夏さんはかわいかったのでチェキを一緒に撮れば良かったと
いまさらながら後悔している。

銘々のテーブル

銘々のテーブル

劇団キンダースペース

シアターX(東京都)

2020/02/19 (水) ~ 2020/02/23 (日)公演終了

満足度★★★★

 二幕劇。
説明文を読むと、何か不遇な作品のようにも思われるが、実際はロンドンでの初演が726回のロングランとなり、ニューヨーク公演も実現。映画化(邦題「旅路」かなり評価は高い)もされている、テレンス・ラティガンの代表作である。私は舞台初見で、映画は未見。
 ホテルで起こる2つの事件。とはいっても、よりを戻そうとする元夫婦の話と、小心者の退役軍人が自らの不評から名誉回復する話。それぞれの話には、1年半以上のブランクがあるらしいのだが、登場人物(宿泊客やホテル従業員)の大半が同じということ以外に関連はない。
 本来は、1幕目の美人で勝気なアン(元妻)と2幕目の臆病者で内気なシビル(退役軍人に恋心を抱く)、1幕目の虚勢を張り勝気なジョン(元夫)と2幕目の卑屈で虚言を吐くポロック(退役軍人)を、それぞれ同じ女優と男優が演じるという興趣があったそうなのだが、今回の舞台では実現していない。(うまく、この主人公たちは登場場面が各幕で入違っている)これは観てみたかったな。
 とはいえ、アン役の榊原奈緒子さん、シビル役の古木杏子さんは出色の出来で、それぞれの配役で各幕を牽引しており、相手方男優の印象が薄れるくらいに痛烈な印象を残していた。まさに役者がその役そのものであるように。
 そして、ホテルの支配人ミス・クーパーを演じる瀬田ひろ美さんの、節度と哀切の入り混じった人物像もよい。宿泊客が主人公となるホテルにおいて、ジョンの婚約者として、ポロックの陰ながらの擁護者として、ほとんど他の登場人物に顧みられないのがかわいそうなほどの慎ましさがしみじみと心に残る。
 副題「あるいは孤独に向かって」、これは宿泊客全員に捧げられている。言いえて妙。
皆孤独だけれども、けして皆孤立しているわけではない。2幕終わりでしみじみとそれを見せている。ラスト、食堂でのポロックの嬉し恥ずかしの仕草、シビルのきっぱりとした母への抵抗、それらを遠目にそしてほんのり温かく見守る登場人物たちに、この舞台の創作意図が見て取れる。

パズル

パズル

A.R.P

小劇場B1(東京都)

2020/01/28 (火) ~ 2020/02/02 (日)公演終了

満足度★★★★

一攫千金or大逆転を狙って結婚詐欺師が、youtuberが、謎のカップルが、店長が、銀行員が、刑事が、探偵が、鑑定士が…
そしてアルバイト2人が良い味出してた。
失神シーン大好き、面白かった。

思わぬ展開、人の想いをのせた様々なピースがはまって行く感じ。
何も考えず楽しめた。

第13回公演 明日花ーあしたばなー

第13回公演 明日花ーあしたばなー

日穏-bion-

「劇」小劇場(東京都)

2020/01/29 (水) ~ 2020/02/09 (日)公演終了

満足度★★★★★

戦時中、中止された花火大会復活に奔走する男。応援する中国人店主、豆腐屋、花火職人、姉弟、未亡人…
全てのピースが深い絆で繋がっていく。
後半、涙無しでは観れません。
見事な伏線、役者さんも凄く良かった。
室井さんや柴田さんから花が届いてるなんて…流石、東京!
見応えのある公演でした。

バンザイきゃらふる!

バンザイきゃらふる!

声のプロダクション キャラ

ABCホール (大阪府)

2020/01/24 (金) ~ 2020/01/26 (日)公演終了

満足度★★★★★

ラスト公演『バンザイきゃらふる!』千秋楽観劇

父、母娘、そして役者さんの想いがてんこ盛り詰まった公演。
おじさんには超懐かしい、あの歌、あのCM、あの有名人…
笑って泣いて、楽しめた。

毎年行きたいと思いつつ、お初の観劇がラスト公演千秋楽!
もっと早くから観劇しておけば良かった。
また別の形でも良いので、イベントを催してもらえれば、参加した。

装×奏×想

装×奏×想

装×奏×想

東大阪市立男女共同参画センターイコーラム・ホール(大阪府)

2020/01/25 (土) ~ 2020/01/25 (土)公演終了

満足度★★★★

「人魚姫より」を観劇

人との恋が成就せねば泡となる神の定めで、母を亡くした侍女は、仕える姫が同じ定を辿らぬか心配で…
人魚姫ベースにしたお話は、人と神の一途な想いが描かれていて心にしみた。

バイオリンとピアノの生演奏、生着付け、着物ショー、今まで観たことがないコラボ、とても楽しめた。

我愛你

我愛你

Marble Market Project

天満天六・音太小屋(大阪府)

2020/01/23 (木) ~ 2020/01/26 (日)公演終了

満足度★★★★

HOKORIチーム観劇

往来さんのも拝見したが、War I needからの変化等、亀井さんらしい演出一杯で楽しかった。

ブレードランナーや原作「アンドロイドは電気羊の夢をみるか」を思い出しつつ拝見。

いつもの飴屋さん餅子さん、初舞台の方等も良かった。

弱法師

弱法師

ツレヅレ

collé cave(兵庫県)

2020/01/24 (金) ~ 2020/01/26 (日)公演終了

満足度★★★★★

俊徳は関東大空襲の大火で失明したトラウマから抜け出さずにいた。気遣い過ぎる育ての親と、生き別れた産みの親は…
子の暗闇と親のエゴ。

俊徳の演技が圧巻。調停委員とのやり取り良かった。
調停委員の言葉は、複雑に見えるトラウマと親子関係を解きほぐせるか?

ゆうめいの座標軸

ゆうめいの座標軸

ゆうめい

こまばアゴラ劇場(東京都)

2020/03/04 (水) ~ 2020/03/16 (月)公演終了

満足度★★★★★

『弟兄』観劇

ネタバレBOX

作演の人の中学時代に虐められた経験、具体的には学校の掲示板に死ねのポスターを貼られたこと、首を絞められたリバスケットボールを顔にぶつけられたリ身体的苦痛を強いられたこと、どぶに落とされザリガニを食わされたこと等、そして高校の時に知り合った同じく虐められ経験者の友人のこと、更には虐めた側の現在の心境等を描いた話。

心が激しく揺さぶられました。素晴らしかったです。

今から10年程前のことだと思いますが、ひどい話です。ただただ驚き、怒りがこみ上げてくると同時に、虐めの現場を見た先生が素通りするこんなことが本当にあるのかと驚かされました。

虐められる側が悪いとか、虐めた側は忘れていたりさほど気にしていなかったりしている現状を踏まえ、日本全国各地でどんどん公演してほしいと思いました。
北向きのヴァルキュリヤ

北向きのヴァルキュリヤ

BALBOLABO

大阪市立芸術創造館(大阪府)

2020/03/04 (水) ~ 2020/03/08 (日)公演終了

満足度★★★★★

初日観劇。女性が主役でありながら、男性陣もまとまっていた。相撲のシーンも熱が入って、ダンスも楽しめる。個性豊かなキャラクターが揃って、男女問わず観劇出来る内容。

ゆうめいの座標軸

ゆうめいの座標軸

ゆうめい

こまばアゴラ劇場(東京都)

2020/03/04 (水) ~ 2020/03/16 (月)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2020/03/04 (水) 20:00

「弟兄」85分。休憩なし。

グロリア

グロリア

ワンツーワークス

赤坂RED/THEATER(東京都)

2020/02/27 (木) ~ 2020/03/08 (日)公演終了

満足度★★★★

小劇場が見つけてくる海外戯曲には、時に思いがけず面白い本がある。昨年は俳小の「殺し屋ジョー」。この「グロリア」はアメリカのオフで評判の作品の由で、誰にもわかってもらえない孤独な市民生活の絶望的ないら立ちが描かれている。本は面白い。
真っ先に社会の規範となるべきメディア(文芸雑誌)の編集部で起きる人間疎外に。耐え切れず、補助職員のグロリアが、銃を乱射、二人の死亡者が出る。第一幕はそこへ至るまでのいきさつ。動機は前の晩に準備されたグロリアのパーティに編集部からは一人しか行かなかった、そのことを陰でみな物笑いの種にした・・・・というような無関心の差別というようなことなのだが、職業の場でも、家庭でも疎外されているアメリカの下流市民の暗い絶望がよく描かれている。二幕と三幕はその悲劇の後日談、まずは二か月後、現場にいた仕事仲間が体験談を書いて売ろうとし、次には二年後、ロスの映像企画会社が商品化しようとする。事件は風化して、当事者たちの欲得ずくだけが残る。メディアの貪欲さと、そこに生きる人たちの徹底した商品主義、個人主義が、アメリカの現代社会の深い病癖を素通りしていく。アメリカの現代劇にはよくある人間相関図なのだが、よくできていて、NYにもロスでもいかにもありそうな話だ。(たまたま似たシチュエーションの映画「スキャンダル」が封切されている、比べるのは酷だが、映画は本場だけにリアルで強い)
しかし、このドラマ、今回の上演では、シリアスな社会劇なのか、風刺コメディなのかよくわからない。俳優の演技は揃って、セリフの順番が来たら異常な速さでまくしたてる、演技の終わりに形を作る、という単調なステレオ演技で、話は分かるけど、どこを訴えたいのか、笑っていいのかさえもよくわからない。
時間もとび、場所もNYからロスにうつり、場面も人も変わっているのに代わり映えがしない。本ではドラマの推移がよく考えてあるのに同じ調子が続く。「殺し屋ジョー」では客演していた、いわいのふ健が本の面白さを引っ張っていく牽引車になっていたが、こちらには目立つ俳優がいない。索漠としたドラマというコリッチ批評も多いが、それは舞台の未成熟だろう。折角いい本を探してきたのにそこが惜しい。

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