
北向きのヴァルキュリヤ
BALBOLABO
大阪市立芸術創造館(大阪府)
2020/03/04 (水) ~ 2020/03/08 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2020/03/06 (金)
めちゃめちゃ面白かったです☆女子相撲を題材にスポ根要素だけじゃなく笑いあり女子達の意地とプライドを画くドラマもありで120分ずっと面白い傑作でした☆登場する全ての女子相撲選手達のキャラ立ちが凄いんで誰が主人公か分からない程全員が魅力的なキャラでした♪なのでそれぞれのキャラを掘り下げて連続ドラマでずっと観てたい作品だなと感じました☆一回だけなんて勿体無い傑作です★出演者全員が命削った稽古してきたのが伝わる感動的な作品でした!

京河原町四条上ル近江屋二階 ー夢、幕末青年の。
Pカンパニー
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2020/03/04 (水) ~ 2020/03/08 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2020/03/05 (木) 19:00
幕末の、坂本龍馬暗殺の近江屋事件をテーマにした物語。舞台には案内役の女性と男性が登場し、竜馬と、同時に殺害された中岡慎太郎の夢が語られていく。
NHKの大河ドラマ「風と雲と虹と」の脚本を書いた福田善之氏の作・演出。パンフレットによると、もう88歳という大御所だ。近江屋事件に興味を持って半世紀、というが、事件のなぞ解きをやろうとしたわけではないという。描かれているのは竜馬と慎太郎に語らせている当時の志士たちの夢。それは妄想かもしれないが、休憩をはさんで2時間の舞台は、生のドラムやギターによる効果音とともに、なんだか懐かしいような青春ドラマのような香りで進んでいく。

グロリア
ワンツーワークス
赤坂RED/THEATER(東京都)
2020/02/27 (木) ~ 2020/03/08 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2020/03/04 (水) 14:00
レベルに差こそあれ、同一の事件を体験した複数の人がそれぞれの立場から回想録を出版するということが実際に起こっていますが、本やそれに派生して生まれるテレビドラマや映画等に、この作品で描かれているような裏事情があったと思うと興味深い。このステージのおかげで、今までより少し深いレベルで読書ができるようになりそう。

Holmes
少女蘇生
参宮橋TRANCE MISSION(東京都)
2020/02/28 (金) ~ 2020/03/01 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2020/02/28 (金) 19:00
座席1列
やはりホームズ物は人気がある。新型コロナウィルスの感染拡大対策を大きく打ち出したことで、同日昼に観た期待の舞台はかわいそうなくらいに空席が多かった。その後の観劇だったから、入場に人が並び満席の会場には正直驚いた。こちらのような固定客がいる劇団開催と、企画制作型の公演の観客の違いかもしれない。
ストーリーはオリジナル。執筆に苦戦している作家エラリー・クィーン(と言っても、執筆担当のリーの方)の下に、探偵小説の原稿が送られてくる。それは、ワトソンが記述した未発表のホームズ探偵譚だった。内容は、かの有名な切り裂きジャック事件をホームズが解決した顛末である。
誰が何の目的で、原稿をクィーンに送ってきたのか、そして、なぜこれは発表されなかったのか。これがこの舞台の骨子となっている。クィーンは安楽椅子探偵張りに、友人や相方(ダネイ)を使って、その理由を探っていく。そして、発表もされず、そしてクィーンに送られてきたのは、執筆したワトソン自身もミスリードしていたホームズの発言から、真の犯人の存在を探り出してもらい、犯人とされていた人物の名誉を担保してもらうためだった。
参宮橋トランスミッションは、フロアのバーが楽しみ。オリジナルカクテルおいしかったですよ。

グロリア
ワンツーワークス
赤坂RED/THEATER(東京都)
2020/02/27 (木) ~ 2020/03/08 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2020/03/05 (木) 19:00
面白く見せてもらったし、社会派っぽい視点に考えさせられる作品だが、翻訳劇特有の問題が見え隠れするあたりが勿体ない。1場、編集プロダクションでの他愛ない会話の連続の後、職場の変わり者で校閲係のグロリアが事件を起こす55分。2場、8か月後、事件の場にいて既に退職した編集アシスタントが元同僚と語る内、喧嘩になり去るが、そこに元上司が現われる45分。3場、さらにその1年後、TV局でドラマを作るセクションにグロリアの元上司が臨時雇いで働き始めたところに、2場で登場した元上司がグロリアの事件をドラマにするというのだが…25分。人はどうして事件を起こすのか、というテーマと、人は自分の近くで起こった事件をどう解釈するのか、というテーマが混在しつつ見事に成立しているという点で、優れた脚本である。翻訳劇特有の問題とは、そこで交わされる他愛ない会話の内容が日本人である自分にはピンとこなかったということ。それと、黒人役の俳優の顔を黒く塗るというのも、翻訳劇ではよくある手法だが、本作でその必要があったかは、大きな疑問だ。しかし、弛緩と緊張のバランスが取れた作品は興味深く見せてもらった。

お勢、断行【公演中止】
世田谷パブリックシアター
世田谷パブリックシアター(東京都)
2020/02/28 (金) ~ 2020/03/11 (水)公演終了

ダンシング・アット・ルーナサ
劇団俳小
d-倉庫(東京都)
2020/03/01 (日) ~ 2020/03/09 (月)公演終了
満足度★★★★★
まず演ってくれてありがとう♪
観る方の心構え以上に気を使っているし、座席も普通はぴっちりつけて並べるのに少し間を空けてました♪
さて芝居の方ですが、ゆったりと郷愁を語り演じていく・・・とても良い時間を過ごす事が出来ました♪

色指南 ~或る噺家の恋〜
劇団ドガドガプラス
浅草東洋館(浅草フランス座演芸場)(東京都)
2020/02/22 (土) ~ 2020/03/02 (月)公演終了
満足度★★★★
こたびの新作はドガドガの要素の一である艶路線にぐぐっと踏み込んだ作で、野坂昭如による興味深い題材を舞台化した稀有な産物を目にした。
難点から言えば、、受け止め方にも拠るが、戯曲上のお家芸は歴史の中に物語を据える作りである所、今作の舞台は太平洋戦争開戦からミッドウェー海戦の手前まで、即ち日本が破竹の勢いでアジアの広域を軍事制圧下に押えた時期まで。冒頭戦勝の報に人々が湧く場面総集編が置かれ、また別の場面では自分のためでなく自分が誰のために役立てるかを考えねば(オリンピックもあるし)、という台詞、そしてラストは軍歌が立て続けに2曲、最後はフルコーラスを歌って赤紙青年を送り出す・・で幕。「日々の暮らしに文句もあろうが今は日本が大変な時、自分が国に対してどう役に立てるのかを考え、生きがいにしよう」・・このメッセージでまとめた劇であった、と結論付けても違和感のない作りになっていた。大いなる皮肉で締め括った、というような仄めかしもなく、やや後味が悪い。
一方、主役である空気読まない噺家の台詞「軍服に髭をはやした野郎共が幅を利かせやがって」が唯一「アンチ軍国化」を言語化した台詞と言えるが、酔った彼がそう言うのを友人が必死で止める、という場面は「現代」に重ねた皮肉と読める。だがこれ一つのみで最後の軍歌代斉唱を「皮肉」と解釈するのは中々厳しい(演出意図はそうであったとしても)。また「他者のために生きる」メッセージそのものは正しい、とのエクスキューズがあるのやも知れぬが、いやいや。語る文脈が言葉そのものより重要であるのは敢えて説明する事でもない。
それにしても客席はまばらでこれは客としても淋しかった。

Pickaroon!<再演>
壱劇屋
DDD AOYAMA CROSS THEATER(東京都)
2020/02/25 (火) ~ 2020/03/01 (日)公演終了
満足度★★★★
4年前の花まる王子以来2度目の壱劇屋。評判を聞きつつも日が過ぎた・・そのせいかと訝ったのは舞台がまるで変貌、しかも世界観は確立された感があり、狐につままれた心地であった。
芝居の方は、凡そ殺陣ショーに等しい冒頭暫くから、それなりな物語が立ち上って来るあたりは見物であった。。・・いやいや、その前にやはりこの変わりようである。
結局あとで調べたら同じ壱劇屋にも大きく二系統あるらしいと知り、得心。今回のは、私がチラシで容赦なく候補から外す、時代劇風・ファンタジック・活劇(勿論殺陣有り)、演目では「猩獣」「独鬼」(作・演出武村晋太朗)等で、要は新感線ファン向けの世界(個人の憶測です)。
これに対し以前観たのは別系統(「SQUARE AREA」作・演出大熊隆太郎)、王子小劇場の四面だか二面客席の真ん中に置かれた台(スクエア)を使って目まぐるしく展開する計算された身体パフォーマンスであった。
4年前のは「型」の芸術性を指向した知的なユニットの風情であったのが、今回は座長(作演出)自ら主要人物の一人を演じ、終演後もよく喋り、体を張って汗で売るパフォーマンス集団といった面持ち。このギャップは何度でも言い募りたくなるがここまでにして、、両者に共通した印象は、場面の造形と構成のアイデアとスピード、それを可能にする俳優の身体能力。
結論的には、今回のは物語が大掛かりな分、動きの型には情緒が伴い、以前観た「目だけで味わう快楽」は減退したが、物語による高揚があった。欲しかったのは以前のであったが。
その「物語」については又、余力があれば。

死の泉 Die spiralige Burgruine【大阪公演 会場変更】
Studio Life(劇団スタジオライフ)
紀伊國屋ホール(東京都)
2020/02/27 (木) ~ 2020/03/08 (日)公演終了
満足度★★★★★
巡り合わせに翻弄される人たちの行く末に目が離せず、あっという間の3時間でした。
終演後の撮影会やアフターイベントも楽しかったです。
今週見るはずだった舞台が次々と中止になり、急遽上演している舞台の中から選んでいきましたが、見て良かったです。

死の泉 Die spiralige Burgruine【大阪公演 会場変更】
Studio Life(劇団スタジオライフ)
紀伊國屋ホール(東京都)
2020/02/27 (木) ~ 2020/03/08 (日)公演終了
満足度★★★★
オールメールのユニークな劇団の看板演目の一つ。原作は皆川博子の代表作、この作者は現代、近代を舞台にしながら伝奇的、ゴシック風なところが劇団と相性がいい。
原作小説は、確かその年のベストミステリになったはずで昔読んだ。第二次大戦をはさんでほぼ二十年、大戦に翻弄されるドイツを舞台に、登場人物もすべてヨーロッパ人、ナチのSSが登場し、人種差別や人種浄化がドラマの原点になっている。伝奇的な要素も十分で、クライマックスは古城が舞台である。複雑に組まれた人間関係が、異常な愛や憎悪を生んでいくゴシックロマンの大長編だが、ベストに上げられたくらいで、よくできている。
舞台は、原作をかなり忠実に追っていくが、何しろ長い。舞台は三時間あるが、それでも後半は説明不足で駆け足の感じがする。しかしこの物語ならやはりこの劇団だろう。初演は二十年前、4演目である。
メール劇団の色彩は、男性が両性を全部演じてしまうところから生まれる。だが、現実の社会では男性と女性の違いは、ファッションでは強調されている反面、日常生活の動作、言葉、衣装、履物、など、すべての面で急速に少なくなっている。歌舞伎や宝塚のように様式性が確立していればとにかく、日常的なドラマでは単一の性の演技で、表現が広がるメリットは少ない。単一性のカンパニーの行先は、今までのこの劇団の路線でも苦しいのではないかと思う。
今回は久しぶりに紀伊国屋ホール。かつてはもっと大きな劇場も開いた劇団だが最近は二百席位の劇場が多かった。よく見ると、なんと東映と組んでいる。東映というのは興業には独自の企画力があって、業界エエツと驚くようなことを成功させる。映画だけでなく、東映映画村、とか東映歌舞伎とか、直営館の雑居ビル化とか、前例にとらわれない事業を展開する。意外な事業でもちゃんと数字の計算もあってのことである。今回は初めてだから、見てみようということだろうが、これから東映がどんな企画を出してくるか楽しみでもある。今の業界を見ると、むしろ、2.5ディメンションの世界の方が、この劇団の色彩が生きてくるし、俳優の交流もしやすく、両方にメリットもあるのではないか。現実に、そのメリットを生かして成功した俳優も少なくない。しかも、ここも上演こそ増えてはいるが伸び悩んでいる。
創立35年という時間を経た劇団の曲がり角だ。

グロリア
ワンツーワークス
赤坂RED/THEATER(東京都)
2020/02/27 (木) ~ 2020/03/08 (日)公演終了
満足度★★★★
同僚同士のとんがった衝突、衝撃的な場面、引き込まれる語り、美しい思い出。そうしたいい場面の数々がある。と同時に、見終わってこれは何を描こうとしたのかと、コレというメインテーマを言いにくい。少し変わったタイプの芝居である。
第一に全三幕のうち、一番の衝撃は一幕の終わりにある。後の二幕はその後日譚で淡々としている。三幕を大きなクライマックスにすべきというセオリーに反している。
第二に、主人公がいない。三幕を通して出てくる人がいない。雑誌者の上級編集者?のナンシーが唯一全幕に出るが、彼女は脇役に過ぎない。脇役なのに、一番美味しいところを持っていく。そのストーリーに、部下やサポート役の苦努力も全ては、ただ地位が上だったというだけの幸運な人の功績になるという皮肉が込められているかもしれない。
第三にモノローグが多すぎる。「ハムレット」の時代でもないのに、現代劇でこのモノローグは禁じ手に近い。そこを見せ場にして引き込むのは、相当の確信犯である。
大事件の生き残りたちの語ることが、それぞれに食い違うのは、芥川龍之介「藪の中」と同じ主観の不確かさ、個々の語りの信用のなさを語ると言える。ただそれでは一般的すぎる。このシチュエーションにもっと踏み込むなら、一番の当事者(校閲部長ローリン)の証言はもっともないがしろにされ、最も事件から遠い者(編集者ナン)の回想記が最も成功を勝ち取るという、商業マスメディアの歪みだろうか。
一緒に見た友人は、事件を起こしたグロリアにしろ、ローリンにしろ、縁の下で日の目を見ない、黙々と働く労働者たちの鬱屈を指摘していた。彼らもストレスで歪められているが、その根底にはピュアな心根の普通の人なのだと。テレビ局での臨時社員の扱いにも同様の構図が見られた。

人人
くによし組
インディペンデントシアターOji(東京都)
2020/02/27 (木) ~ 2020/03/02 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2020/02/28 (金) 14:00
価格2,800円
忍者学校に新たに4人の生徒が編入してきて……な物語。
「〇〇だけれど〇〇でない」という謎の事前情報があったので割と早めに「そういうこと?」と気付き、しかしそれを上回る展開でまさかのXX〇〇〇であろうとは。

レコード1964
つきかげ座
シアター711(東京都)
2020/03/04 (水) ~ 2020/03/10 (火)公演終了

パズル
A.R.P
小劇場B1(東京都)
2020/01/28 (火) ~ 2020/02/02 (日)公演終了
満足度★★★★
始めのうちは「何がパズルなんだろう?」と良く分からない内容で、芝居のストーリーもバラバラ。正直言って途中で帰ろうかなと思ったけど、まあ、最後まで見続けてようやく「パズル」の意味がわかりました。座った場所と、カーテンコールでお目当ての女優さんが立った位置の向きが違ったのが残念。
でも終わってみたら、納得できるストーリーで、役者さんたちの熱意がわかって良かった。

グロリア
ワンツーワークス
赤坂RED/THEATER(東京都)
2020/02/27 (木) ~ 2020/03/08 (日)公演終了

トタン屋根でスキップ
ここ風
シアター711(東京都)
2020/02/05 (水) ~ 2020/02/11 (火)公演終了

ゆうめいの座標軸
ゆうめい
こまばアゴラ劇場(東京都)
2020/03/04 (水) ~ 2020/03/16 (月)公演終了
「弟兄(おととい)」約80分強。余計な取り繕いのない素直な演技の応酬で、ヒリヒリとした臨場感あり。イライラはらはらグサグサ来て、ラストにじ〜ん♪ いいものを見せていただき感謝。ダブルコールになりそうだった。俳優さん、次回からはぜひ準備を!ロビーで今回のバージョンの台本購入(千円)。緊急ウイルス対策に些少ながら寄付。終演後の役者面会もなし。徹底されている印象。

蝋老楼
モジリ兄とヘミング
テアトルBONBON(東京都)
2020/02/29 (土) ~ 2020/03/08 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2020/03/05 (木)
観てきました☆ 対面座席、まさかの最前列! 役者さんが客席の後方から出てきたりして、舞台との境目を感じないような作り。
なかなか面白かったです☆

Gengangere 再び立ち現れるもの 亡霊たち
CAPI-Contemporary Arts Project International
こまばアゴラ劇場(東京都)
2020/02/20 (木) ~ 2020/03/01 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2020/02/28 (金) 14:00
イプセンの「幽霊」といえば、同タイトルでその作品世界が広く知られている。それを敢えて今回は「亡霊たち」と訳した。確かに「幽霊」というと、日本的な情緒を引き擦るので、「亡霊」の方がピンとする気がする。また英語題名は複数形なので「たち」と付けるのも理解できる。ただ、2つの点が気にかかる、「幽霊」ないし「亡霊」は、死んだアルヴィングだと思っていたのだけれど、なぜ複数?そして原題‘Gengangere‘には「繰り返される」という意味があること。
これらの点を強調する目的で、翻訳・演出の毛利三彌氏は「Gengangere 再び立ち現れるもの 亡霊たち」という題名を付けたらしい。
そうか、これは人間の業の話なのだな。いかに打ち消そうとしても、隠し通そうとしても、けして無くすことのできない血縁による業の話。
今回の観劇は、イプセン作品ということもあったが、それ以上に登場する俳優陣に興味があった。CAPIの芝居は、2016年に原田大二郎氏をゲストに迎えた「ゴドーを待ちながら」で確認済。久保庭尚子、西山聖了、中山一朗、髙山春夫、藤井由紀という配役に食指が動かぬわけがない。
しかし当日の舞台は、平日の昼ということもあってか、かなり閑散とした入り。ちょうど、新型コロナウィルスの席巻で、多くのイベントが中止に追い込まれた時でその影響からも致し方なかったのかもしれない。それだからというわけではないが、芸達者な俳優陣の芝居がどうも噛み合わない。俳優陣が舞台の両袖で待機するという舞台構成なので、自ずと演者は役者の視線を意識する。これが閑散とした客席(おそらく、数日前までは観客であふれていたであろう)の視線をも意識させ、長台詞がうまく回らない。あの流麗なセリフ回しの中山一朗氏が、ヘレン夫人との対面で途中から四苦八苦し始めた。髙山春夫氏登場で立て直すが、これはもしや演出の問題もあるのではないかと思う。
毛利三彌氏は、パンフレット中で、従来の「幽霊」とは異なった、ライトな現代に通ずる解釈をした演劇にしたいと書いていたが、このイプセン戯曲の陰鬱さを取り除こうと、役者間の距離を意識的に離そうとはしなかっただろうか。それが判るのが、ヘレン夫人とマンダース牧師(中山一朗氏)が、孤児院建設の背景から過去の秘密を話し合う長い対話が、妙に抑揚がなく感情の起伏が感じられない点である。この軽さが、これまでの舞台上との違いで役者の重しを外して、混乱を招きはしなかったか。
西山聖了氏のオズワルドは、まさに亡霊がごとく、現在に呼び戻された因果を体現し、その生の儚さと周囲を渦巻く狂気をうまく醸し出していた。