Holmes 公演情報 少女蘇生「Holmes」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    鑑賞日2020/02/28 (金) 19:00

    座席1列

    やはりホームズ物は人気がある。新型コロナウィルスの感染拡大対策を大きく打ち出したことで、同日昼に観た期待の舞台はかわいそうなくらいに空席が多かった。その後の観劇だったから、入場に人が並び満席の会場には正直驚いた。こちらのような固定客がいる劇団開催と、企画制作型の公演の観客の違いかもしれない。

     ストーリーはオリジナル。執筆に苦戦している作家エラリー・クィーン(と言っても、執筆担当のリーの方)の下に、探偵小説の原稿が送られてくる。それは、ワトソンが記述した未発表のホームズ探偵譚だった。内容は、かの有名な切り裂きジャック事件をホームズが解決した顛末である。
     誰が何の目的で、原稿をクィーンに送ってきたのか、そして、なぜこれは発表されなかったのか。これがこの舞台の骨子となっている。クィーンは安楽椅子探偵張りに、友人や相方(ダネイ)を使って、その理由を探っていく。そして、発表もされず、そしてクィーンに送られてきたのは、執筆したワトソン自身もミスリードしていたホームズの発言から、真の犯人の存在を探り出してもらい、犯人とされていた人物の名誉を担保してもらうためだった。

    参宮橋トランスミッションは、フロアのバーが楽しみ。オリジナルカクテルおいしかったですよ。

    ネタバレBOX

    よくできたプロットだと思う。時折挿入される、ジャックの殺人動機を示唆する無言劇。うまい。これがあるとないとでは、事件解決時の説得力が違ってくる。
    いかにもな怪しい人物たち(売春の元締めという裏の顔を持つ質屋、粗野で粗暴な食肉解体業者など。ただし彼らの背景の描写がないので、捜査を惑わす役割どころか、ただの賑やかしになっているのが残念)、ジャックの挑戦を仄めかすようなメスの抜かれた手術用具セット、何かを隠し通そうとする貴族、などなど、ミステリー趣味は満載。
     もちろん、舞台ミステリーの限界で、やはりなあという人物が犯人なのだけれど、そこはどうも動機の描きこみが弱すぎる。
     クィーンに原稿を送った者の目的は果たせるわけだが、それはそれで、本物の犯人が彼で構わないのか???と、どうも納得がいかない顛末。(結局、家名や肉親の名誉は、そこはかとなく傷ついていることに変わりはないし)
     でも、謎を解くならリーではなく、ダネイではないかな。本来は。 

     役者の皆さんの演技については、それなりに。まあ、朗読劇なので。
    とはいえ、リッパ―の造形は、観客を惑わせる意味でも何か工夫したものがあってもよかったのではないかな。
    ホームズ役の木下章嗣さんは、もう少し奇人風なテイストが欲しかったかな、カッコよすぎ。
     
    プロットの良さがほぼ評価の全てかもしれない。どうしても、過去の事件を解明するという展開は、謎解きや犯人当てが説明セリフのみに頼らざるおえず(犯人も関係者も不在なわけで)、舞台としての見どころに乏しい。
     
     

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    2020/03/06 14:00

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