カタブイ、1995
名取事務所
小劇場B1(東京都)
2024/03/15 (金) ~ 2024/03/18 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
沖縄のサトウキビ農家の一家の物語。反戦地主なので政府の卑劣な嫌がらせがかけられるが、死んだおじいのあとを継いだ和子(新井純)は、契約拒否を貫く。政府の離反策によって、反戦地主の一家は、集落で孤立し、かつてのユイマールは壊れてしまったというセリフもある。そこに、国会議員秘書になった杉浦(高井康行)、防衛施設局沖縄本部の久保直子(稀乃)がきて、沖縄の現実と本土の人間の考えがぶつかる。
この芝居の見どころはこの後にある。9月4日の少女暴行事件が、この一家に身近な問題としておき、見ながら心がワジワジした。和子の「50年間、あきらめていた。せめて契約はしないと思っていた。でも、それだけじゃ足りなかった。アメリカは罪のない少女を踏みつけにして、それで許されると思っている。私はもっと声を挙げなければいけなかった。自分で、自分の言葉で」のセリフが胸に響いた。
さらに10月21日の沖縄県民総決起大会の横断幕、「地位協定の抜本的見直し」の横断幕。今の辺野古の問題も、オール沖縄もここから始まったのだと、30年前が思いだされ、思いがけず涙がこぼれた。前半の杉浦の「いまも日本も沖縄も占領されたまま」という解説ではなかったことだ。
前作「カタブイ、1972」の印象的なセリフもリフレインされる。「本土にいると、沖縄のことは遠くの土砂降りなんです」「でも、あんたは一緒に雨に濡れてくれている。それで十分だ」
重い主題をストレートにぶつけつつ、笑いも多い舞台だった。孫娘役の宮城はるのの歌三線もよかった。沖縄民謡の若いスターらしい。安室奈美恵に熱を上げているという設定もほほえましい。芝居見物のだいご味を満喫した。当日パンフ、資料配布もよかった。とくに、沖縄民謡の歌詞カードのおかげで、劇の内容と歌詞が合致していることが分かり、理解が深まった。総決起集会の晩の、カチャーシーで歌う「唐船ドーイ」の「今日の嬉しさは何に例えられる」の歌詞は、何よりぴったりだった。
1時間50分
全3部作の第二部。第一部「カタブイ、1972」の概要は、以下のサイトで読める。戯曲は『悲劇喜劇』1923年5月号に掲載。第3部「カタブイ、2025」は来年11月、紀伊国屋ホール。楽しみだ。
https://performingarts.jpf.go.jp/J/play/2302/1.html
ながい坂
平石耕一事務所
シアター1010稽古場1(ミニシアター)(東京都)
2024/03/14 (木) ~ 2024/03/18 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
山本周五郎の最後の長編小説「ながい坂」を劇化。江戸時代の某藩(信州か飛騨あたりのイメージ)の平侍の少年(将来の三浦主水正=武藤広岳)が、16歳にして、その才覚を藩主‣昌治(=志村東吾)に見込まれ、若くして藩政の立て直しと治水工事の責任者に抜擢される。と同時に、藩の世継ぎをめぐるお家騒動が先々代から続いており、三浦は23、24歳で、なぜか治水工事は中止を命じられ、反藩主派に命を狙われる窮地に立たされる。
8歳で入門を願い出た恩師谷宗岳(武田光太郎)との絆、同じ門下の三羽烏の衝突と友情、城代家老の娘つるの嫁入り、幼馴染の娘ななえとの思いやりなど、20年近い人間模様の軌跡を3時間を超える舞台に仕上げた。場所も時間も異なる場面が次々展開し、テレビドラマか時代劇映画のような起伏ある物語である。時代劇では欠かせない力強い殺陣シーンもいくつもあり、主人公たちの刀さばきが見ごたえあった。
菅原道真が民の貧窮を詠んだ「寒草十首」の「何人に寒気早き」をひいて、貧しい民を大事にする政治の理想を語る。これは山本周五郎の原作にはなく、劇作家平石耕一の工夫だが、話の内容に大変マッチし、主題を深めていてよかった。主人公が、城代家老の息子(木村徹)に、「すべてをあたえられて育ったあんたと、みずから獲得した俺では、見えているものが違う」というくだりは、弱い者、貧しいものの目線から書き続けた山本周五郎らしいせりふだった。
チェロとオカリナの音楽(寺田テツオ担当)が、喜怒哀楽に寄り添って芝居を盛り上げて大変よかった。音楽が、その場その場の芝居の基調、色合いを決定するというほど重要な役割を果たしていた。
Voice!
なかはらミュージカル
川崎市立中原市民館・ホール(神奈川県)
2024/03/09 (土) ~ 2024/03/10 (日)公演終了
実演鑑賞
地域発のミュージカルは数々あれど、、これは中々のクオリティでは? キャストは小中学高校生中心でもなく十代~五十代あたりまで満遍なく丁度いい塩梅のミックス具合であるのと、歌が引き出すカリカチュアな演技と、素に近い喋り、熱の入った演技と場面に応じて良い塩梅に、噛み心地良い料理が出されるよう。
テキストはこの団体が持ち分としているらしい川崎市中原区ゆかりの「水」に関わる史実、二ヶ領用水、多摩川水害、編笠事件を取り上げ、特に県庁への直訴を敢行する編笠事件の場面は圧巻で、民衆蜂起に等しい挙行へと高まる民衆の鬱屈も、子供らの友情、大人の偏見、そして和解といった群像ドラマの各場面と共にしっかりと描かれている。
ドラムベースキーボードギターの生バンド演奏と歌、現代風の挿入がなんちゃって感を醸しつつも、押える所を押えて、観客を完全に味方にしているのが判る場内。私の前に座った夫婦とその隣には夫の父だろう人。恐らく孫の姿を愛でに来たのだろうが、ドラマが進むにつれて身体が揺れ、ざわついてる様子、舞台上の人物の声に思わず「そうだ」と答えて隣の息子夫婦に笑われ、涙を拭きながら恥じ入っていた。素直の感情を喚起する舞台に、少年少女が持つエネルギーは不可欠と思わせた。
ミュージカルという形式が持つ要素の大部分を具備していたと思うが、瞬間の快楽の後に観客の中に残るものは何か、という点で私の中では「皆のために」「体を張って」「筋を通す」勇気が押し出されたい所である。物語中の時代考証は結構な度合いで端折られており、最後は二人の男女の結婚という事実が包容する「無礼講」なエンディングとなった。それが悪いというのではないが何かもう一歩「事実の重み」を留めるフックが欲しい感じは残った。
楽曲のレベルは中々高い。
純白観想文
劇団演奏舞台
演奏舞台アトリエ/九段下GEKIBA(東京都)
2024/03/16 (土) ~ 2024/03/16 (土)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
泣いてしまいました。心理描写、脚本、安定した演技力・・・。「手毬歌」とは全く違う臨場感が素晴らしいです。新作も期待どおりでした。
「そろそろダンス。」
キルハトッテ
王子小劇場(東京都)
2024/03/14 (木) ~ 2024/03/17 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2024/03/17 (日) 17:00
初見のユニット。アイドルの話かと思ったが、不条理系に驚く。91分。
「あやや」こと松浦亜弥に憧れてアイドルを目指した「あたたかハルヒ」は卒業を迎えるが、…の話かと思ったら、途中から不条理系な夢っぽい話になったりして驚いた。ありうる様々な場合を提起しているとも思えるが、そうではない感じもあって、理解は進まない。それでも嫌な感じがしないのは、役者陣の演技に真摯さを感じるからか。それにしてアイドル系の歌には疎い私が、全曲知っていたというのは松浦亜弥のアイドルとしてのアイコン・存在感は凄い。
純白観想文
劇団演奏舞台
演奏舞台アトリエ/九段下GEKIBA(東京都)
2024/03/16 (土) ~ 2024/03/16 (土)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
流石、演奏舞台の公演、華5つ☆。ベシミル!! (内容詳細、及び解釈詳細は新生館スタジオ公演終了後に追記する)
まじめにきまじめ
猿博打
北とぴあ ペガサスホール(東京都)
2024/03/14 (木) ~ 2024/03/17 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
芝居を観たという感覚でもなくコントを観たという感覚でもなく。
3人とも個別の舞台で観て注目しているので自分のハードルを上げすぎていたのかも。ラストも感情移入難しく。
3者3様の被らない個性は凄く好き。
猿博打で所謂どストレートなプレイを観てみたい。
「そろそろダンス。」
キルハトッテ
王子小劇場(東京都)
2024/03/14 (木) ~ 2024/03/17 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
掴めず…
夢なのか現なのか、とにかく単なるアイドル卒業のお話では無いなと。場面のシームレスな転換と同じ役者が唐突に別の役で登場するあたりは純粋に演劇的で面白い。
意味深な結末含め観るものの感性に委ねる実は難易度高い作品だと感じた。
で、私の解釈は…
蛇ヲ産ム
日本のラジオ
新宿眼科画廊(東京都)
2024/03/15 (金) ~ 2024/03/19 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
未だにどう表現していいのか悩み続けている。
面白いとか面白くないとか、そんな単純な言葉では言い表せない初めて味わう空気感の芝居だった。修行が足りんな…自分。
無心で、日野さんの顔の演技に魅入り、沈さんの恐ろしくも耳に心地よい語り口を堪能した。
いい旅、現実気分。
人間嫌い
小劇場 楽園(東京都)
2024/03/13 (水) ~ 2024/03/17 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
確かにリアルなんだろなと言う印象。そういう作風ではないと思いつつも、過疎とか医療の問題に切り込んでは?なんて思いも。
演者は個性豊かで色々なキャラが見れて楽しい。特にみちさん良い味出してた。
10周年残り2作がどう展開されるのかは要注目。
諜報員
パラドックス定数
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2024/03/07 (木) ~ 2024/03/17 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
上手く言えないが、個々の正義を貫くための心理的駆け引きが静寂の会話の中で力強く表現されていて良かった。
牢を中心にその回りの空間を上手く使い物理的な距離と精神的な距離を感じさせる演出に唸った。
ラストもサラッと、しかしズシンときた。
面白かった。
純白観想文
劇団演奏舞台
中板橋 新生館スタジオ(東京都)
2024/03/20 (水) ~ 2024/03/23 (土)公演終了
『人形の家』激論版/疾走版
アマヤドリ
シアター風姿花伝(東京都)
2024/03/15 (金) ~ 2024/03/24 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/03/17 (日) 18:00
疾走版を観劇。
とても演出が凝っていて面白かったです。
アマヤドリの群舞は毎回、楽しめる。
個人的には、激論版を観てから疾走版を観ると、より良い気がしました。
『人形の家』激論版/疾走版
アマヤドリ
シアター風姿花伝(東京都)
2024/03/15 (金) ~ 2024/03/24 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/03/17 (日) 13:00
激論版を観劇。
原作に沿ったストーリーを熱い会話劇で展開され、圧倒されました。
アフタートークも、より芝居の内容を深める事が出来て良かった。
いい旅、現実気分。
人間嫌い
小劇場 楽園(東京都)
2024/03/13 (水) ~ 2024/03/17 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
女子大生3人組みが現実逃避で離島にバカンスで訪れるが…。“こんなはずじゃなかったのに”から、島に馴染んだり、現実を受け入れたりの展開がちと早い気も。あと、今時、下北・劇場すごろくを実践している劇団って意外とレアよね。
「そろそろダンス。」
キルハトッテ
王子小劇場(東京都)
2024/03/14 (木) ~ 2024/03/17 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
現実と虚構がごちゃ混ぜになったアイドル女性の一代記、ちょっと分かりづらいところもありましたが、なかなかに楽しめました。
イノセント・ピープル
CoRich舞台芸術!プロデュース
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2024/03/16 (土) ~ 2024/03/24 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
なんか混ぜるな危険な感じのモノを
原子爆弾という柱を基に集めてみせた力作という
印象を受けました
心に響いたなぁ・・・・
役者さんも上手で
引き込まれた2時間15分の作品
出演者さまから
ポテチがプレゼントされまして
ありがたく(^-^)
ホワイトデーはブラックでぇい⁉︎
FREE(S)
ウッディシアター中目黒(東京都)
2024/02/14 (水) ~ 2024/04/03 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
ホワイトデーの設定はあっちにいって、ちょっとファンタジーがかっているけど、現代のスポコン的青春ドラマなのですね。やっはりダンスシーンは楽しい。
まじめにきまじめ
猿博打
北とぴあ ペガサスホール(東京都)
2024/03/14 (木) ~ 2024/03/17 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
猿博打『まじめにきまじめ』
みっ!観てきたっ!!!!!!たっ!!!
おいおいーおいー!!河村さんも村上さんも板場さんも色んな舞台で観てたけど、3人が集結したホームってこんなにすげぇんだなぁ!!!
もうおれ、本当に幸福だ。しあわせです。笑って、泣いて、喜んで。眼の前で人が演る演劇の楽しさ、場にいることのほとんど全部があったよ。本当に素晴らしいよ。こんなにすてきな人達、もう大好きだよ。四人目のあいつも大好きだよ。なのに!!!物凄く興奮と緩和の中で写真撮るの忘れちゃった!!ごめんね!!君のケーブルすら愛おしい。
なんかもうほんと最高でしたんだけどさ、この3人凄いよほんと。そして愛おしいよ。映えるわ。この3人。なんか3人でまーまー広いペガサスホールでさ、足りなくないし!自由だし軽々としてるし!すごいな猿博打!まさかこんなに大好きになるなんて。
人並みより、ちょこーっとだけSFを愛しているつもりなんだけど(そして滅亡系大好き、神林長平大好き)、あらすじからは想像しにくいほど、SFみも適度に真面目にもあったの凄く嬉しかった。あいつも凄くちゃんとソレに見える!!
ふざけて、ふざけて、でも、そこ踏んだらさ、人間だものって感じとかさ。そんでさ、そんで3人が本当にもう、残された3人とあいつでさ、ぶわぁってなるじゃん(´;ω;`)...一見安易とも言える泣き所が、悔しさがこれまでがふわーって巡るじゃん...細かいこたぁわかんないけど、役者のチカラなんだろなぁ。もーほんと抱きしめたくなった。ぼくは猿博打『まじめにきまじめ』現場で観ることが出来て本当にしあわせです。ありがとー!そしてありがとー!!!めっちゃおもしろかったーーー!!!!!
愛だね。愛。愛です。
愛が満ちていた。
うちの子は
MODE
上野ストアハウス(東京都)
2024/03/13 (水) ~ 2024/03/17 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
親子の会話を主体としたシーンからなるオムニバス風の舞台、毒親の話も多く、なかなかに考えさせられました。遺体確認のシーンはブラックが効きすぎていますね。