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桜の園

桜の園

SPAC・静岡県舞台芸術センター

静岡芸術劇場(静岡県)

2021/11/13 (土) ~ 2021/12/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

今年5月駿府城公園での「アンティゴネ」野外公演以来のSPAC観劇。
静岡芸術劇場での観劇となるとコロナ直前の2020年2月「メナムの日本人」以来1年半振りだ。
早速芝居について。
フランス人演出家によるフランス人俳優と合同のチェーホフ作品舞台。舞台下(側面)の字幕表示を時々読みながらの観劇であったが位置的には見やすく大きな支障ではなかった。アート系な演出はさほど意外性がなく、大気音(ゴォォ)や明確な和音にならない音響が微かに鳴り、照明も抑え気味で、ロシアの空を思わせる鈍い光を放つ巨大なホリゾントにさえ人間が影に見える位。これらは舞台上を対象化させ、観客は地球上、歴史上の一点のはかない生を見る感覚を持つ。
実際には光は当っているのだろうが、絵画的な印象がそんな具合で、俳優も然り、各人ユニークな人物像を演じているが脱色され、だだっ広いステージの上で一人一人にフォーカスされず、観客からはどこかよそ事という感覚である。
そんな事で、今受ける印象の範囲を大きくはみ出す事はないだろう事が予想されてしまうので、眠気が襲う。またフランス語の発語というのが(仏映画もそうだが)感情の直接的アタックがなく(異言語ゆえ?)、日本人俳優が発語する場面との落差も大きい(各国俳優は母国語で台詞を喋る)が、劇が進むにつれそれは幾許か融合し解消された感はあった。
眠気は襲うが入眠には至らず、字幕の読みそびれ程度で済んだ。ただし、ストーリーを把握していなかった「桜の園」の予習をしていなければ爆睡したと思う。

その上で演出の意図を肯定的に感じた部分は、俳優らがマスクを着用している事と関係するが、現代、殊にコロナ期以降の厭世観を体現した舞台になっていた。
SPACの方針なのか、5月の野外公演でも布の口当てを着用していたのには驚いたが、今回もマスクを当てており、最初はげんなりしてしまったが、不思議と声が籠る事はなく(通気の良い素材を選んだのだろうか..とすれば感染対策ではない)、見た目の違和感もなくなり、最終的には現代を映す衣裳に思えてきた。

ネタバレBOX

ただ、せめてカーテンコールではマスクを取って欲しかった。
喋らなければ、マスクを外す事に何の不都合もない。しかし、これが地方の実情なのかな、とも思う。
コロナへの警戒心は感染爆発している都市より地方の方がナイーブであるらしい。他人のマスク着用に対する感覚も随分違うだろうと想像される。都市居住者にとっては感染は周囲で起こっている事だが、地方の人にとっては「外から入って来るもの」そして万一感染したら「持ち込む者」(=犯罪者?)である。今ここにあるものには慣れるしかないが、ここにない存在は恐怖の対象だ。

いずれにせよ科学的根拠の乏しい、あるいは他のリスクに比して突出した対策が無批判に常態化する事は危険だということは踏まえたい。ルールばかりが増えた社会は臨機応変さを手放して他者の落ち度を指摘する神経が異常発達し、それを回避しようとする(保身の)態度が肥大化し、結果人間を不幸にする。自分はルールを破っていない、というだけで社会的責任から免罪され、社会とは参加する場でなく批判を回避して生き延びる場となる(既になっている?)。
社会には減点ポイントが異常に多い網の目が巡らされている。得点とされるのはごく限られた評価指標で、一体どういう価値観に従えばそうなるのだろう。得点ポイントの少ない社会とは、負けて当り前、勝つのは希少という通念に支配された社会。業績主義に顕著なように大概それは金銭的利益をもたらすものに限られているようだ。最大公約数的な「善」以外は不要不急として減点対象にしかならない。表層的な「役立つこと」だけが残って行く。
科学的根拠が薄いことが通っていく事も、空気を読んで保身に回る事も根源は同じで、約めて言えば物を考えず、人が決めたこと(あるいは空気で決まってしまうこと)を無批判に受け入れる事(思考を放棄すること)に源を発している。成熟を拒む社会は経済低迷と歩を同じくして退行に身を委ねてしまうのか。

全く関係ない話題かもだが、、最近週刊誌のゴシップ記事で紀子さま(秋篠宮夫人)の「変節」についての記述を読んで興味深かった。皇室でも次男に嫁いだ紀子は秋篠宮の自由な(気楽な)性格もあって二人の女児と共に自由や自主性を重んじる家風を育んでいたが、長男夫婦が女児(愛子)一子のみで男子出産の気配がないため、宮内庁サイドから次男夫婦に期待を寄せる意向を伝えられたという。つまり第三子(男子)を秋篠宮家が生み育て将来の天皇とする、というプラン。ここで紀子は大いに悩んだが、ある時決意してこれに従い(子作りに励み)めでたく男児(悠仁)出産と相成ったわけであった。紀子にとってこの事は将来の天皇を育てる責任(人格形成も含め)を負うという事であり、宮内庁や皇室の「伝統」に傾倒して行く。結婚以来、皇室とはいえ「天皇」とは無関係の明るい家庭生活から百八十度転換し、内面では「重大な決意」をした、というのがその変節のきっかけらしいという。この事が生来のマイペース人秋篠宮や二人の娘との乖離を生んだ(例えば秋篠宮の訪問先での態度を注意したり、次女が熱中するダンスに反対したり、学習院以外への進学に難色を示したり)。
この記事を読んで、紀子が「決意」をした瞬間を大いに想像させられた。雅子妃、あるいは美智子妃が強いられた「覚悟」を自分に強いたという事だが、しかし決定的な違いは、具体的に何かのしきたりに従わせられたというのではなく、言わば能動的に、自ら「天皇(天皇家)ならこうすべき」という基準を求め、適合させて行ったらしい事で、この差は大きい。紀子の思う「天皇家の伝統」、あるいは見聞きしたそれを自らに当て嵌め、「決意」に見合う内容を家族に強いていったという事なのではないか。将来の天皇にはこう教育しなさい、といったお達しがあるなら、それに従うという態度、または取捨選択する態度が取れるが、まだ決まってもいない将来天皇になる「かもしれない」悠仁は未だその教育は秋篠宮家に任せられている訳であり、紀子が早合点とは言わないが一人相撲、空回りしている風景が見える。天皇家だろうが一人の人間、自分の夢もありやりたい事もある。それでいいのではないか(何なら女性天皇だって国事行為ができれば良いのだし、婿養子は世間でやってる事だし結婚したければすればいい)、と思うが、恐らく「決意」には野心の裏付けがあったに違いない。多大な負荷を引き受けるのだから、それに見合う身分や栄誉、評価を得たいと思うのは自然だ。そしてその目標をクロージングするため、伝統や慎みの態度とやらを目に見える形で示そうとする。そんなものに頓着しない家族は紀子に従わず、果ては長女の結婚と相成った訳である。

紀子にとって「決意」と共に選び取った道(将来の天皇の母としての道)は、あらゆる禁忌に囲まれた世間であり、つまりは減点を回避していくいばらの道だ。その道を行くために近親者に自由を許さず、「やがて得るもの」のための犠牲を強いる。凡そ幸福とはかけ離れた風景をその目を想像しながら視ると、我慢を強いる社会の大本が見えて来る気がする。小室氏との結婚を騒ぎ立てる人の気持ちが私には全く判らないが、これも想像するに、わけも判らず我慢を受け入れている人間が、我慢のヒエラルキーの頂点にある天皇家、皇室に属する人間の気ままな行動を見て難癖をつけたくなるのだろう(オブラートに包もうが要は難癖でしょ)。
無益な我慢もやめにしたい。
#北区の熱海「熱海殺人事件」「売春捜査官」

#北区の熱海「熱海殺人事件」「売春捜査官」

★☆北区AKT STAGE

北とぴあ ペガサスホール(東京都)

2021/12/14 (火) ~ 2021/12/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

『売春捜査官』、開演から目が離せません。パワー全開、「木村伝兵衛部長刑事」大滝樹の立て板に水を流すような流暢な台詞が良い。勿論、容姿もステキです。女優なら、演じてみたい芝居だと思いました。共演の「熊田留吉刑事」草野剛、「大山金太郎」井手大稀、「万平刑事」木村明弘も熱演。様々な芝居がありますが、初演当時の反響は想像を超えた盛り上がりだったでしょう。

誰故草

誰故草

あゆみ企画

ACT cafe(大阪府)

2021/12/17 (金) ~ 2021/12/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

舞台は女性5人による共同生活だけど「女子会」の華やかさより「女性囚人」に近い空気感を感じました★そして登場人物達もそれを自覚してるからこそ無理に明るく生きようとしてるように見えて胃がキリキリするお芝居でした★でも決して重いお芝居ではなく爽やかな印象を受けるんです♪それはカフェの雰囲気もあるし魔瑠さんのシーンで笑い所満載なのもありますが、一番は峯素子さんのカラッと明るい役作りにあると感じました☆素敵な花柄衣装も相まってケラケラ笑う姿が子供にさえ見える瞬間があって物語の印象を明るく染めてくれました☆そのおかげで爽やかな余韻に包まれてます♪あの世界観でそう感じたのは演出が見事やったからではないでしょうか☆

世界は右側でデキている

世界は右側でデキている

NPO法人FPAP

レソラNTT夢天神ホール(レソラホール)(福岡県)

2021/12/18 (土) ~ 2021/12/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

感染症のこの2年弱に起こったことを、影響が重かった方々の視点で描かれていました。
作品は、配役もあっていて、内容もまとまっていたとおもいます。

バ・グガヘラヌ

バ・グガヘラヌ

万能グローブ ガラパゴスダイナモス

福岡市美術館・ミュージアムホール(福岡県)

2021/12/01 (水) ~ 2021/12/04 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

シュチュエーションコメディがこの設定ならば違和感なく笑えるという内容でした。
椎木さんも落ち着いた演技の演出で、母と息子を知るシーンは何とも。

知らんやつら

知らんやつら

小骨座

神戸アートビレッジセンター(兵庫県)

2021/12/17 (金) ~ 2021/12/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2021/12/18 (土) 14:00

今風な感じのするセリフで2000年以降にならないと出てこないだろう作風でとても好感を持ったが、一つ一つのエピソードが弱く、見ていて退屈した。
上演時間が短くて個人的には共感した部分もあるので、今後も頑張ってほしい劇団です。

あーぶくたった、にいたった

あーぶくたった、にいたった

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2021/12/07 (火) ~ 2021/12/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

いまいち印象に残らなかった。新国の広い舞台がストーリーの雰囲気や演出とミスマッチだったような気が・・・。

vitalsigns

vitalsigns

パラドックス定数

サンモールスタジオ(東京都)

2021/12/17 (金) ~ 2021/12/28 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

パラドックス定数の舞台は1年ぶりに観たが、今回も期待を裏切らない。
最初、会話の噛み合わない不条理劇風に感じられたが、中盤以降はやはりこの作家だなと唸らされた。この作家の発想力に脱帽。

ニュー甘え子ちゃん太郎

ニュー甘え子ちゃん太郎

FUKAIPRODUCE羽衣

森下スタジオ(東京都)

2021/12/16 (木) ~ 2021/12/19 (日)公演終了

実演鑑賞

面白かったです!
じわじわ面白くなってきて、米ロ中会談、完全にやられました…深いなぁと。
最後はカエル達を応援してました。お疲れ様です!

サワ氏の仕業・特別編

サワ氏の仕業・特別編

劇団ジャブジャブサーキット

こまばアゴラ劇場(東京都)

2021/12/16 (木) ~ 2021/12/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★

■約100分■
100%理解できる人は皆無であろう劇。謎めきを楽しんでくれということだろうが、全て理解できたところで、そこまで惹きつける話ではなさそうに私には思えた。

ネタバレBOX

一番わかりやすい、娘が賭け事で父を負かす話も、ああ親を超えましたか、ぐらいの感想しかない。
美談殺人

美談殺人

タカハ劇団

駅前劇場(東京都)

2021/12/16 (木) ~ 2021/12/20 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

■130分強■
話が大がかりな方向に行き過ぎた。

ネタバレBOX

舞台は、短命化が進み、特筆すべきことを何も為せないまま死にゆく人が増え、せめて死に様だけは劇的なものにしようとする人々相手に“美談ビジネス”が幅を利かせている近未来の日本。売れっ子の女性美談作家は、ホームレス出身の男性美談作家にこう話す。
「自分の人生には意味があった。そう思いたい欲望が人間にはある。その欲望に寄り添うように書きなさい」(大意)
この言葉から、人生論的な方向に話は進むのかと思いきや、物語は大がかりな展開をみせ、「お国のために死ぬ」という美談を餌にホームレスを徴兵して日本は戦争へと突き進む。
戦争は国家レベルの美談殺人、という皮肉なのかもしれないが、正直、この大がかりな展開があまり面白くない。
人生とは何か? 人間にとっての幸福とは何か? 美談ビジネスを取っ掛かりにしてそうしたテーマを地道に掘り下げていくお話にしてくれたほうが、少なくとも私はより惹きつけられたと思う。
#北区の熱海「熱海殺人事件」「売春捜査官」

#北区の熱海「熱海殺人事件」「売春捜査官」

★☆北区AKT STAGE

北とぴあ ペガサスホール(東京都)

2021/12/14 (火) ~ 2021/12/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

【売春捜査官】観ました。ハラスメントでバイオレンスな熱い愛憎劇。もはや舞台だけの世界だろーな(そうあって欲しい)。アンジェリーナ・ジョリーな大滝樹さん、実にイイですね。

鈍色(ニビイロ)のヘルメット -20歳の闘争-

鈍色(ニビイロ)のヘルメット -20歳の闘争-

KUROGOKU

中板橋 新生館スタジオ(東京都)

2021/12/15 (水) ~ 2021/12/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

熱い、見応えのある良い舞台でした。全共闘と言えば、自分にとっては山本義隆先生。40年近く前の予備校生の頃、先生の物理の授業を受けていたのだ。独特のオーラのある方で、後に東大全共闘議長と知って驚いた。山本先生をモデルにした澤田カツトシとはかなりキャラが違うような・・・。

美談殺人

美談殺人

タカハ劇団

駅前劇場(東京都)

2021/12/16 (木) ~ 2021/12/20 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2021/12/18 (土) 14:00

座席1階

人は自分が生きてきた人生に意味を求める。どんな人生でも、それが自分にとって、あるいは世の中にとって意味のあるものであったか。これは劇中のせりふでもあるように、人間の根源的なものであろう。舞台は、このように世間一般的に考えられている「生きる意味」を逆手に取るようにして、生きる意味とは本当は何なのだろうかと問いかける。異色の傑作である。

舞台は平均寿命が50歳にまで低下した近未来の日本。超高齢化の今では想像しにくい社会だが、物語では日本人が短命化することで人口が減少し、格差が増大するという世の中だ。ゴミだらけでホームレスがあふれる新宿・歌舞伎町。「貧困化が進み女を買う男が消え、風俗店が壊滅した後にホームレスが住み着き、そのうちの一人が今回の主人公となる。一方、格差の対極にいる著名人の大金持ちたちは、短命化日本で自分の生きた意味を残そうと、死ぬときに「美しい価値ある人生の物語」をニュースで読み上げてもらうために「美談作家」に大金を支払っている、という組み立てだ。ホームレスの一人が美談作家に成り上がり、その行く末と破滅を描いていく。

設定は荒唐無稽に見えるが、実にリアリティーがある。また、歴史の針を逆回転させていくような象徴的な人物が登場するのもおもしろいし、自分には「歴史の教訓を学べよ!」と現代日本に鋭い視線を浴びせてきているようにも感じた。人が自分の人生に意味を持たせることを突き詰めていった結果、何が起きるのか。ここに劇作家高羽彩の強烈なメッセージが込められる。

舞台回しというか、主人公の妹で声を失った女性の役で、舞台手話通訳が見事な演技を見せる。単なる手話通訳ではなく、登場人物の一人として立ち回る。今回、脚本の妙で、それが非常に自然な形でステージに溶け込んでいるのがいい。聴覚障碍者もそうでない人も「通訳」でなく「役者」を見るという形になっていて、障害の有無にかかわらず同時に舞台を楽しめる。ただ、そうは言っても役者をやりながらの通訳だから、それを補うためにタブレットを貸し出してせりふの字幕を座席で見ることができるという配慮もなされていた。バリアフリー演劇の進歩系として一つの成果を出して見せた。



眠れぬ姫は夢を見る

眠れぬ姫は夢を見る

サヨナラワーク

劇場HOPE(東京都)

2021/12/15 (水) ~ 2021/12/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

女優さんだけのミステリーっぽい舞台、大いに楽しめました。多重人格なのかな、ちょっとサイコなところがイイ。

から騒ぎ

から騒ぎ

劇団東京座

阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)

2021/12/15 (水) ~ 2021/12/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

丁寧に描いており、シェイクスピアらしいオクシモロンを思わせる会話もあり楽しめた。しかし、上演時間2時間45分(途中休憩10分含む)という長丁場、丁寧ではあるが同じような会話もあり、そこは割愛してストーリー重視の観せ方でも良かった、と思う。
公演の魅力は、戯曲の面白さはもちろんだが、それを現代風に分かり易く展開する。具体的には、印象に残るような場景演出と役者陣の情景描写(演技)が上手い。【Aチーム】

ネタバレBOX

舞台美術は、暗幕に囲われ所々に煉瓦柱、中央に窓に蔦が絡みついた東屋風の衝立があるだけのシンプルなもの。場景変化に対応するため簡素な作りだが、そこに煉瓦模様の布を被せ堅牢さ、時にバージンロードとなる赤絨毯を敷き 教会に見立てるなど自在に変化させ、しっかり観客を物語の世界へ誘う。

物語は2組の恋人同士を中心に展開する。領主ドン・ペドロの従者ベネディックとレオナート邸の知事弟アントーニオの娘ベアトリスが善意の策略にかかって互いに対する愛を告白する。一方、ドン・ペドロの異母弟ドン・ジョンの悪意の策略により、同じ従者クローディオは知事レオナートの娘ヒーローを不実だと思い込んで結婚の祭壇で拒絶する。修道士の機転の利いた窮余の策でその場を収める。その後、ベネディックやベアトリス達は誤解を正すため協力する。最後は2組が結ばれダンスで祝って終わる。

物語は、善意と悪意、二種類の騙しを通して対照的な恋を描き、騙しと知ったあとでも愛を貫く強靱な精神を称える。一方、悪意の仕打ちに弄ばれる脆さの中にも美しさを観せる。対照的な恋筋は、いづれもハッピーエンドで締め括り陽気で後味が良い。しかし、物語の本当の面白さは浮ついた恋物語に悪意を投げ込み、次の展開がどうなるのか気になる、といった関心を惹かせるところから始まる。登場場面も台詞も多くないが、ジョンの悪だくみが 大らかで陽気で満ちた舞台に強烈な痛みを与え、物語を単なる御伽噺から(現実)宮廷劇へ戻す。また、立ち聞きがこの作品では巧みに用いられている。ベネディックとベアトリスが自分についての噂話を立ち聞きしたことで、レオナートたちの好意的な罠に嵌ってお互いを好きになるという効果をもやらす。
シェイクスピアらしさは、恋など馬鹿げていると言わんばかりのベネディックとベアトリスの豹変振りに表されている。人は愛する人を憎み、いけないことを楽しむ。色んな思いが混在する雑多な世界。人間は矛盾するところが面白い。機械と違って理屈や理論では片づけられないのが人間で、恋に落ちるなどというのは反理性的な行為だが、その「おめでたさ」が喜劇の真骨頂であり祝祭性であろう。それが伝わる公演であった。

役者の台詞は 早口かつ滑らかだが、テクニック優先で気持が後まわし。敢えて表面的な可笑しさとして観せているかのようだ。場面としては照れ隠しであり激情した様子を表現する所。しかし台詞であって会話の言葉ではない。言葉という伝達に魂が入らなければ真意が通じない。何故か稽古の”台詞”といった感じで上手いが心に響かないのが残念。
公演全体としては、とても丁寧な描き、演出も工夫を凝らし コミカルでありドキッとする要素(教会の十字架が取れ落ちる)を取り入れる。音響は場面に合ったSE(闇夜の梟の鳴き声や水が滴り落ちる音)、さらにクラシック音楽等を流し情緒性を表現。照明と小道具は暗がりに篝火・松明といった幻想効果を出す。最後に主な役者の衣装も、暗幕の中でも照明に映える赤い上着という拘りが良い。
次回公演も楽しみにしております。
LG20/21クロニクル(エルジーニーゼロニーイチ/クロニクル)

LG20/21クロニクル(エルジーニーゼロニーイチ/クロニクル)

極東退屈道場

大阪府立江之子島文化芸術創造センター enoco(大阪府)

2021/12/16 (木) ~ 2021/12/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

いろいろなキャラクターが登場。気持ち悪かったり、面白かったりしましたが、あまり分かりませんでした。まあ、壊れかけたのは私です。笑
お芝居観られてありがとう。

鈍色(ニビイロ)のヘルメット -20歳の闘争-

鈍色(ニビイロ)のヘルメット -20歳の闘争-

KUROGOKU

中板橋 新生館スタジオ(東京都)

2021/12/15 (水) ~ 2021/12/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

主演の富川陽花(はるか)さんが顔は岡田奈々(AKBじゃない方)、空手は大会優勝経験もある腕前。大谷翔平といい最近の天は気前よく二物も三物も与えまくっているようだ。「ゲバルト・ローザ」こと柏崎千枝子がモデル。
高校時代、『サウンド・オブ・ミュージック』を観た帰りにデモ隊と機動隊の衝突に巻き込まれ、投石で怪我。彼女を介抱してくれた東大生(小坂広夢氏)に恋をする。彼は後に東大全共闘の議長を務める存在に。モデルはカリスマ山本義隆。
フリーのカメラマン役の松本みなみさんが時代背景の語り手となり、東大全共闘に参加した少女から見た安田講堂陥落までを綴る。議長の演説の説得力。「戦争に勝った国は学問に秀でた国である。国の根幹とも言える学問の発展を阻害するものと闘う事は学生達にとって自明の理である」。
日大全共闘との抗争や共闘、田中美津をモデルにしたような女性解放運動家の登場。革命歌『インターナショナル』が轟くが政治思想は希薄で、一つの「青春グラフィティ」として仕上げてある。片桐健人氏と久原大知氏がコメディリリーフとして機能。小守航平氏のルックスがまさに当時の学生運動家顔で、山本直樹の描くキャラのような目付きに好感。
東大の少女が正義の為にせっせと機動隊に投げる火炎瓶を作る現実。これが本当に日本の風景だった。その頃の空気感を味わいたかったら、是非観劇を。

ネタバレBOX

物足りないのは”敵“が描かれないこと。大学が警察(国家権力)を導入して、学生達をどんどん追い詰めていく様が必要。徹底した暴力に晒されてこそ、武力闘争に踏み切らざるを得ない空気感に共鳴出来る。自分達の意思を超えて、予め定められていたかのように物事は着実に進んでいく。選択肢など初めからなかったのだ。
主人公の友達や家族も敵に回った方が良かった。特に高校時代からの親友(守谷花梨〈もりやかりん〉さん)に「変わったね」と決別を突きつけられて欲しかった。
ラストの『エーデルワイス』は、機動隊突入の時に流れるべき。暴力で血塗れに打ち倒されていく面々の対位法として。ジョン・ウーならスローモーションで白い鳩を飛ばすだろう。

日大全共闘を潰した日大の番犬、「関東軍」を率いていたのは今話題の田中英壽(ひでとし)前理事長。悪質タックル事件の指示で有名になった井ノ口忠男元理事もそこにいた。日大全共闘を潰した御褒美に日大の権力構造の恩恵に預かり、取り立てられていったのだ。非常に分かり易い、これぞ日本のシステム。
Mo’xtra Archive『912・3R/3C・ス』

Mo’xtra Archive『912・3R/3C・ス』

monophonic orchestra

APOCシアター(東京都)

2021/12/15 (水) ~ 2021/12/20 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2021/12/18 (土) 12:00

「リバース、リバース、リバース!」を観劇。
クスリと笑わされるシーンがありつつも、心に響く台詞が多く感動した。
登場人物それぞれの気持ちが相まって素敵な舞台でした。

ネタバレBOX

小口さんの日本体力大学の感じが素晴らしかった。
シブツ

シブツ

三輪舎

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2021/12/10 (金) ~ 2021/12/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★

説明文にあるとおり,いくつかの短編をつなぎ合わせて再構成した分,見る側としては統一感もなく,ラストに向けてのドキドキにも乏しい。演劇手法としてはこれしかないだろうとは思うが,そうすると素材の問題か?いや,やはり材料不足だったのかな?実演鑑賞は嬉しいものの,もっと感情が動かされる舞台にしてほしかった。

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