犬と独裁者 公演情報 劇団印象-indian elephant-「犬と独裁者」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

     作・演を担当している鈴木 アツト氏は役者上がりではない。これが原因か否かは不明であるが、ダメだしに役を生きるような演技をどれだけ出していたのかには興味が湧いた。演技にそれを感じることが余りできなかったからである。演劇は一旦上演が開始されてしまえば、役者の演技が勝負である。(追記7.30)華4つ星

    ネタバレBOX

     舞台美術のセンスが良い。板中央に目の形をした造形があり、瞳の処に書棚がある。この部分は恐らく回り舞台になっているのだろう。グルジアで若い頃詩を書いていたスターリンが、ソソという愛称で登場するが、これはブルガーコフの深層心理が造形した幻であり、ロシアに抑圧されたグルジアそのものであるから、犬のイマージュを纏って現れるが、ソソの書くグルジア語の詩に現れた詩想はこの戯曲中最も素晴らしい。但し詩は、詩才のある者にしか分からないという傾向を持つ文学の王であるから戯曲や散文とが混在する今回のような作品では極めて演出が難しい。然も描かれる時代は革命時代のソ連である。折角戯曲が良いのだから、演出はあまりスタンダードに拘らずもっと前衛的にした方が良かったと自分は感じている。例えばカンディンスキーの「コンポジッション」を舞台上に映写しつつ、シェーンベルグの「月に憑かれたピエロ」を流す等である。「コンポジッション」は絵画の構成要素である円、三角、四角等を恰もそれぞれが音符であるかのように軽妙に描き、今にもその各々の要素が踊りだしそうな感覚を齎す抽象画であるが、革命の齎す一種の高揚感はこのような作品で表し同時に「月に憑かれたピエロ」の持つ不気味で昏い詩想が齎すもの・印象を重ねるのである。このような操作を更に効果的にする照明とセットで用いたら更に舞台はその造形を深めたように思われる。大前提として眼を現した造形が板中央から観客席を監視しているのだから、オーウェルの「1984」の監視社会は、はなっから今作の不可欠の条件として予め視覚化されている。脚本にはゲーテの「ファウスト」を彷彿とさせるような内容も含まれることだし、ソポクレスの「オイディプス」に通じるシーンもある。詩想を舞台で現実化させる為には、このような奇抜な演出が大切だったと思うのである。

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    2023/07/27 12:14

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  • 皆さま
     追記アップしました。
    ご笑覧ください。
            ハンダラ

    2023/07/30 10:35

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