満足度★★★★★
なぜ賢治はベジタリアンだったのか
会場を大祭報告会場に見立てつつ、観客を報告会聴講者にしてしまう数々の小技が繰り出される。また劇場らしくないシアターPOOという場所の妙もあるだろう、席に座っているだけで、自分は果たして芝居を観ているのか報告会に来たのか、自意識があやふやになって面白い。
内容は原作にかなり忠実なベジタリアンに関する滑稽なまでの議論であり、また一種の宮沢賢治考。
原作自体が賢治の宗教的(主に浄土真宗の)視点を含め、思想が物語のフィルターを通さずダイレクトに表に出ているものだったり、
間に挟まれる劇中劇など、作家宮沢賢治の作品と思想の関係を俯瞰的に示す脚色がなされていたので、
宮沢賢治の童話的な作品が好きというよりも、宮沢賢治という人間自体に興味がある人の方が楽しめるのかな、と感じた。あと議論を楽しく感じる人。
劇中劇など所々強引な点もあったように思うが、「菜食と力」を書いたという浅田さん(笑)など今の時代に合った脚色で全く古くささを感じない。
そして宮沢賢治っておもしれえなと改めて感心。