#15『朱の人』 公演情報 キ上の空論「#15『朱の人』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     小劇場演劇に関わる状況をよくここ迄描いた、劇中背骨に衝撃が走るほどのシーン、台詞に何度も打たれた、見事である。(追記楽日)

    ネタバレBOX

     板は、前段・後段の二段構え。後段上手奥にギター、エレキギターの生演奏用セットと演者の載る平台。大道具の殆どは可動式。白いカーテンの掛かった床まで届く窓枠、階段の付いたオブジェ、重さを軽減する為骨組みに間隔を空けて板を均等に打ち付けた大きな箱、通常の横長テーブル、椅子等。シーンによってこれらを適切に移動して配置。
     出捌けは上手のみ仕切り用の幕を下げ2カ所、下手1カ所。
     物語は小劇場演劇と謂われるジャンルで表現に携わる劇作家・演出家・役者・制作・サポーター等のリアルを当事者相互の葛藤、爆縮、主人公の弟の兄評価を中心とした家族関係及び14歳で男の子を卒業した兄の14歳らしい女性関係等を振り出しにその時点でのステディ。無軌道な可能性を可能性のままに突っ走ろうとした兄が、主であろうとすることが朱に染まることと同義である表現する者の生き様を、表現欲求とその現実化に際しての才能の多寡、演劇という表現形式で現実化する為の下部構造としての収支という経済的現実、相変わらず絶えない複数女性関係の齎す人間関係の歪み等々を実にリアルに、即ち観ている観客自身の問題と感じさせるまでに作品化した舞台。独りでは決して実現することができない舞台芸術であるが故に何れの主体も自らの目指したもの・内容を完全に現実化することはできないが故の諍い、内面の葛藤、現実社会で起きていることと、その現実が表現者に与える様々な負荷とそれらの負荷との決闘、倫理的問題等々日々生活の中で我ら観客自身が関わっていることと地続きなレベルで表現する者達の世界が入れ小細工になる。このことこそ、今作がこれほどのインパクトを観客に齎す所以であろう。
     By theway,表現する者が人の死を描くことに関しては、兄が弟と地元「彼女」の同乗死を経験することによって表現の側に帰ってゆく点は実に示唆的である。

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    2022/04/15 12:13

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  • 皆々様
     いきなりログインが出来なくなった為、
    追記が遅くなり申し訳ありませんでした。
               ハンダラ 拝

    2022/04/17 13:06

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