聖なる日 公演情報 劇団俳小「聖なる日」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     タイトルの聖なる日は、誰にとっての聖別の日なのだろうか? オープニング・エンディング共にアボリジニの民族楽器・ディジュリドゥの唸る大地のような不思議な音をベースに別種の太い木管楽器2本を用いた演奏が流れる。この壮大な劇を、今演じる俳小の見識の高さ、取り組みの真剣な姿を先ずは高く評価したい。因みに今作は、日本初演である。(華5つ☆追記2021.4.4)

    ネタバレBOX

     ファーストシーン、ラストシーンは共鳴するかの如き創りになっているが、ラストシーンのそれは思わず背筋が凍るような衝撃を与える。原作者・アンドリュー・ボヴェルは、現代オーストラリアを代表する劇作家とのことであるが、白人である。然し彼は書いた。植民期に白人達が先住者・アボリジニに対し何をしたかを。
     無論、作中に描かれる具体的な非人間的行為は流罪に処された犯罪者達のものだけだが、宣教師やキリスト教教会による犯罪者を利用しつつの植民と相俟っての教化、アンダーディベロップ論というイデオロギーによる植民政策正当化による差別という人類そのものに対する犯罪を炙り出すと同時に宣教師とその妻エリザベス、曖昧宿を兼ねた簡易宿を経営するノーラ、ノーラの娘として育てられているオビーディエンス。何故オビーディエンスをノーラが育てるに至ったかについての事情。エリザベスに代表されるヨーロッパ流普遍主義のドグマ化と傲慢が、ノーラの人間的で根本的な感性に裏打ちされた生き方とが対峙するサブストーリーも実に深く考えさせる主題だ。ラストの光景はオビーディエンスに関わるものだが、実際背筋が凍るような結末である。

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    2021/03/23 15:48

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