蜚蠊 公演情報 劇団女体盛り「蜚蠊」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

     観たいにも書いたから読んだ人も居るかも知れないが、

    ネタバレBOX

    タイトルは“ヒレン”と読む。まあ、人間に最も嫌われている虫の一つ、ゴキのことで、沖縄ではアマミと言い、大和に居るのとはまるっきりサイズが違う。By the way,海外のジョークで~国人に対して、それぞれのお国柄をからかった傑作ジョークがあるのは、良く知られた事実だが、以下日本人の特質を見事に表したジョークを引用しておく。
    豪華客船が航海中に沈みだした。船長は船客たちに速やかに船から海に飛び込むように指示しなければならなかった。
    彼は、それぞれの船客にこう言った。
    アメリカ人には「飛び込めばあなたは英雄です」
    イギリス人には「飛び込めばあなたは紳士です」
    ドイツ人には「飛び込むのがこの船の規則です」
    イタリア人には「女性にもてますよ」
    フランス人には「飛び込まないでください」
    日本人には「みなさん飛び込んでますよ」
    良くそれぞれの特質を掴んでいると思わないか? 
    さて、本題に入ろう。主人公は3地区に住むエリート家庭に生まれ、親に期待される通りに歩んできた。だが、勤務地が変わる。この地区は貧しい同種族が住むが、主人公のようなエリート地区居住者との激しい格差社会を為している。当然乍ら、基本的に互いの行き来は無い。だが公にされていない人口問題がある。非エリート地区の人口増加率はエリート地区より遥かに高く中央管理局は非エリート地区内に対策施設を設けそこにエリート地区の中から選抜されたメンバーを送り込み非エリート地区の妊婦抹殺を行い続けて人口調整をしていた。ここに送り込まれたエリートたちが、任期を全うすれば彼らは栄転、1区住民となる資格を与えられていた。施設周囲のフェンスには猛毒が塗られていて、非エリート達は施設内に入ることができない。だが、この秘密は一部に漏れ、反対するエリート住民が非エリート地区にも徐々に入り込んで地域住民をサポートするようにもなっていた。
     所謂、優生保護思想に基づく差別問題を扱った作品で相模原の凄惨な殺傷事件が直ぐ頭に浮かぶが、自分が作品を拝見しながら思い浮かべていたのは、アンナ・ハーレントがアイヒマン裁判を傍聴した後の証言である。1963年ザ・ニューヨーカーに発表された(Eichmann in Jerusalem: A Report on the Banality of Evil)余りにも有名な記事だからご存じの方も多かろう。彼女は、アイヒマンの凡庸に驚きを隠さなかったが、そもそも優生保護という発想をすること自体、陳腐な頭脳と自己判断の欠如を示し、凡庸であるが故の無責任と狡さを表しているに過ぎないことは、アイヒマン裁判を検証するだけで良く分かることだろう。

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    2020/03/12 18:12

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