ものすごい覚せい剤 公演情報 宇宙論☆講座「ものすごい覚せい剤」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

     公演タイトルに“覚せい剤”と入っている分、当に幻覚と幻聴のミュージカルなので、ウーロン茶や照明機材が俳優となって演技し科白も吐くのだ。各自脳内麻薬最大限に発揮して観賞せよ!

    ネタバレBOX


     無論、覚せい剤(広義にはコカイン等も含むが、通常はアンフェタミンかメタンフェタミンを指す。)はとてもヤバイ。止めて何年、何十年経ってもフラッシュバックを起こし、その幻聴・幻覚に惑わされて犯罪を犯してしまうことがあるのは、化学的に作られた覚醒剤が、脳内麻薬(ドーパミン、セロトニンやエンドルフィン)の制御をしている部位を溶かしてしまい、その細胞が新陳代謝によっても再生できないからである。打たずに、公演打とう! というフレーズは、表現者としての誇りを意味していよう。
    因みに、今作多くの人が捉えているほど訳が分からない訳ではない。その証拠に、前説をやろうとして殆ど何も言えない“やってる人”役の演技などただ事で無いレベルの演技力であり、一見ハチャメチャで何処迄が脚本で何処からがアドリブなのか不明と見える舞台もかなり脚本に忠実だ。おまけにモニターには映るが現実の舞台には参加していない社長役は、今作の中で矢張り異次元領域を見える形にしている訳で幻覚・幻聴に対応している訳だし、覚醒剤婆婆役は亡くなった母なのであり、電子的イタコとして再臨している訳だから、これも幻覚・幻聴と近い関係にあろう。更に言えば、今作はSFでもある訳だから、2重、3重…以上の重層化を為した舞台なのである。この作り方で何を表現しようとしているかと問われれば、我らが生存の根底に持つ本能の混沌、生命の予知不能性及びその鋳掛屋的成り立ちそのものであろう。掛かるが故に今作は面白いのだ。
     一応、言っておくけど、今作でも作品中でやっちゃいけないと何度も繰り返しているように、そしてちゃんとオチもつけているように、絶対やっちゃダメだよ。結局、苦しむのは自分なんだからさ!

    0

    2019/12/31 14:45

    1

    3

このページのQRコードです。

拡大