『RUR』 公演情報 「戯れの会」「『RUR』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

     原作はチェコの作家・ジャーナリストとして活躍したカレル・チャペックが1920年に発表した「RUR」初演は1921年である。

    ネタバレBOX

    元々労働や賦役を意味する“robota”というチェコ語から語末のaを取り除いて創られた造語で、これが現在のロボットという言葉になったことでも有名な作品であるが、興味深いのは、現在我々がロボットという言葉からイメージする金属や超合金、歯車や様々に組み合わされた駆動装置とコンピュータは、今作のロボット概念とは全く異なるという点である。寧ろここで描かれたロボットはフランケンシュタインやその後医学分野で発展するDNA操作などによって創造される“生体”としてのロボット(ヒューマノイド)なのであり、その目的は安くて合理的な労働力の供給である。
     極めて重要な点は、この“生体”としてのロボットが、人間をして正しく生き物としてのロボットという認識に至らしめることである。今作でロボット解放を提案するのが、母性を持つ人間の女性であることは極めて示唆的であるといわねばなるまい。また時代的にも近い1926年の映画フリッツラング監督の「メトロポリス」が、極端に機械化された社会に於ける搾取される労働者階級と資本家というテーマの作品を描き、女神が労働者の救世主として描かれていることも考え合わせると極めて興味深い。
     また歴史的事実に即して言えば、10月革命以降、実権を掌握したボルシェビキが1918年~干渉戦や内戦を何とか終息させ22年ソヴィエト連邦を成立させるに至った。
     世界初の社会主義国家誕生のみならず第1次世界大戦が勃発して長い戦争の時代が続いた後、世界は再編されるに至ったのでもあり、極めて変動の激しい時代であったということができる。それまで支配的であった為政者の顔ぶれも大いに変わったのである。恰も現代の価値観の大変動に拮抗しているかのごとく。

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    2018/02/24 01:48

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  • Shintaryoさま
     とても良い問題提起を含む作品を拝見できて嬉しく存じます。
    アメリカでは現在ナノテクとAIを組み合わせた軍事技術開発が
    行われているのはご存じのことと思いますが、為政者たちの発想と
    政治屋に付き従うことで自らの安定と出世を目指すだけの品性に悖る
    官僚達は、人類の敵のみならず地球上に存在する総ての生物の敵ですね。
    余りに絶望的な世の中なので、自分も現在ディストピア小説を書いている
    所です。では、また。
                        ハンダラ 拝

    2018/02/28 01:10

    ご来場ありがとうございました。
    10年前、初めてこの作品に取り組んだ時は、まさに「クローン」技術の倫理的な問題について、稽古場でも多く議論したのを覚えています。

    そして今回の社会の話題は人工知能。自然か、自然の模倣か。
    人間の歴史を振り返るとともに、私たちは何に向かっているのか、改めて考えさせられる戯曲です。ありがとうございました。

    2018/02/27 16:58

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