『パレスチナ、イヤーゼロ』 公演情報 フェスティバル/トーキョー実行委員会「『パレスチナ、イヤーゼロ』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

     圧倒的なファクトの重さを感じさせる作品。どんなに上手く作っても、この事実性の圧倒的な迫力には及ぶまい。(花5つ星)
    (開演前に岡 真理さんによるトークが在ると思う。自分は、その情報を知らず残念なことに聴くことは出来なかったが、このトークはお勧めである。)

    ネタバレBOX

    作・演はイナト・ヴァイツマン主役を張るのはパレスチナのアル・カサバ・シアター主宰のジョージ・イブラヒム。2014年に来日しているからご存じの方もいらっしゃるだろう。
     物語は、ナクバ以来破壊され、虐殺され続けるパレスチナ人の家屋、いつ果てるともない占領の異常性が、膨大な資料と共に描かれる。例えばイスラエル当局によって破壊された結果、現代の考古学ともいうべき瓦礫の山と化した被破壊家屋の内情を、鑑定士がプロの眼で実測し、写真に撮り、綿密な資料と共にファイリングするという形で保存される。それらの破壊された家屋のファイルと共に虐殺されたパレスチナの子供たち、女性達、成人男性らが、それらの資料から立ち上がるようにして描き込まれてゆく。そこには日常的な辱めと、ドローン等を用いた空爆の他に、数々の理不尽な暴力に対し、遂に非暴力的抵抗をかなぐり捨てて立ち上がらざるを得なかった若者の非業の死も。パレスチナ人には、その能力があっても就けない職業、イスラエルの司法、軍、考古学者や他のジャンルも含めての研究者たちさえも、その多くがこの異常極まるシステムの機能でしかないというグロテスク極まる実体が、描かれる。攻撃されるのは、シオニズム、シオニストである。シオニストは批判されると直ぐ殆ど反射的にユダヤ批判だとのたまうが、今作の作家はユダヤ人である。それも極めて真っ当な人間としてのユダヤ教徒である。作品は決してユダヤ教徒もユダヤ人も批判していない。この事実はヤコブ・ラプキン氏が指摘するように、シオニズムとはユダヤ教を政治化したイデオロギーであって、宗教ではない、という見解の正しさをも補完するものであろう。また、イラン・パぺ氏らが主張するようにパレスチナ人への不当極まる仕打ちがジェノサイドそのものであるという見解をも補完していよう。先日来日したアミラ・ハス女史の被占領地からのイスラエル人記者による真っ当な報告にも呼応する。世界中の真っ当な人間から見たイスラエルのシオニストへの極めて人間的、真っ当な批判である。
    以上挙げた例からも、イスラエルが真っ当に生きる為には、国際法に則り直ちに占領から手を引き、収奪を止め、入植地建設を止めるのみならず、グリーンライン内に既に建築された入植地をパレスチナ人に明け渡して、ナクバ以降難民化しているパレスチナ人の帰還権を実現する為の取り敢えずの保証として差し出すべきであろう。無論、現在ユダヤ人専用とされている道路、社会インフラなどもパレスチナ人に明け渡すべきである。この他、東エルサレムの帰属はパレスチナでなければならないのは当然、またガザに対する安全保障も不可欠である。無論、既に人道に対する罪を犯しているのであるから、その償いが必要なことは言うまでもない。ナチスに対して追及したことは、今イスラエルに対して行われなければなるまい。最低限の弁償として、ガザと西岸、東エルサレムを結ぶ道路とその周辺をパレスチナに明け渡す位のことは必要となろう。これまで彼らに対して行って来た犯罪の免罪符として。社会正義に根差した対応が望まれるのである。今作は、このような行為とはかけ離れた、イスラエルの占領政策の実体を暴くものとして、イスラエルが、現在のような施策を続ける限り永遠にその非道徳性、非人間性を告発し続けるものとなろう。世界は見ているぞ。シオニストの非人道的行為を! そして決して忘れることはない。シオニストがその過ちを改め、被害者であるパレスチナ人にキチンと保障を与えるまでは。




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    2017/10/29 06:44

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  • 素晴らしい舞台でした。ありがとう。

    2017/10/29 07:19

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