根も葉も漬けて 公演情報 やみ・あがりシアター「根も葉も漬けて」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

     言葉の冒険がとてもシュールな感じで実践されると同時に、欲望三部作の第三部として食欲が扱われている。(追記2017.3.25:01:38)花四つ星

    ネタバレBOX

     開演前に流れるBGMは沖縄から桜前線の如く北上して日本の亜寒帯最南部で終わる。
     ちょっと気取った言い方をすれば、今作は、シュールレアリズムと実存主義の21世紀ポピュリズムというヴァーチャルに載ったふりをした知性そのものである。ポテンシャルとしては、華五十○の作品なのだが、ポピュリズムの真っただ中に居る大衆には理解できまい。そのギャップ故に四つ星とした。若手劇団の中で最もポテンシャルの高い劇団の一つであることは間違いない。
     その証拠と言ってはなんだが、明転したファーストシーンの佇まいは、若手の役者が演じているとは思えない程、雰囲気を醸成している。
     また、シナリオが進行してゆく中で物語がサスペンスの様相を呈するのだが、その表現は時空をかっとぶと同時に、其処に故郷と迷宮としての東京が立ち現れる点で正確である。その一端を挙げれば、空疎なメディアと生命のやり取りそのものの食の対比がある。この対比を通して、普段このような判断をしない人々に対しても問題の糸口をキチンと投げ掛けている。そして、このことによって我らの生そのものを問い掛けてくる。
     それは、現実の世界で生き、生活し、様々な情報判断をすると言うよりは迷っている多くの人々の姿そのものであると言って良かろう。無論、作家はその辺りの事情は重々承知の上でこのようにシュールな方法を採っているのである。
     だが、同時に「売れてから言え」と現実の芸道で生きる覚悟を盛り込んでいる点でも、つか こうへいの熱海殺人事件の名科白ではないが「今、義理と人情は女がやっております」を彷彿とさせて面白い。「根こっきり 葉こっきり」で華が無い訳だが、その花を食べる故郷によって芸人の生命が再構成される所に欲望三部作第三部としての今作の位置がある。

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    2017/03/11 12:11

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