祀(MATSURI) 公演情報 劇団め組「祀(MATSURI)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    吉祥天と福禄寿
     何れにせよ、吉祥寺の起こりとされる明暦の大火を幕府の仕業として描いた物語である。

    ネタバレBOX

     リーフレットの説明に在る通り吉祥寺の縁起に関する物語だが、増え続ける江戸住民に手を焼いた幕府は材木商人とも結託して、江戸の町に火を放った。付け火は、死罪で購う重大犯罪であるが、権力者がそれを為す場合は、無論“お咎めなし”は万国共通の事実である。物語は、此処までの深読みはしていない。然し、我ら観客は、ここ迄は最低、推し測るべきである。
     ところで、今日は、このような視点からは、論じない。寧ろ、劇場のサイズや構造と演劇について論じたいのである。
     観客の達ばから、自分は、この吉祥寺シアターは好みである。何といっても、段差を充分とってある客席の何処に座っても、舞台が見やすい。前の観客の頭部などによる観切れが無い。音響や、照明の設備が充実している。サイズの大きさも手頃だし、前後左右の比率が適度で舞台に集中しやすい等々である。今回、演出を担当している演出家は、この辺りの事を良く弁え、実に効果的に、音響(吉祥天の吹く横笛の空気を切り裂く音によって観客に空間を感じさせる方法及びD.J.の作り出す横笛程の緊張感のない音響によって別の空間を醸成する技術)と舞台上の舞いで、劇の視覚的効果を高め、上手に自然に観客に見せてくれた。キャパ100前後の小劇場で観る芝居は、観客がその想像力によって参加できるような演出をすれば、必要充分だろうし、それ以上であれば、作品によっては、過重な演出になってしまう可能性がある。然し、中規模以上の劇場になれば、見せる芝居作りを心掛けなければなるまい。その意味で、舞いと音響を巧みに用い、森を動かしたりすることで摩訶不思議な神々のすまいを表現する等の工夫が凝らされていた他、衣裳、舞台美術なども過不足のない良いできであった。
     無論、この演出に出演した役者達がキチンと応えていた点も評価できる。

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    2014/08/03 15:00

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