阿Q外傳 公演情報 NAT「阿Q外傳」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★

    演出家が余りに鈍感
     辛亥革命を風刺した作品ということで期待していたのだが、演出家が、今作の演出に当たって革命について真剣に考えているという印象は全然無い。Beseto演劇祭のコンセプトに合わせて著名作家・大作家であり、日本に留学していた経験もあることから、影になり日向になりしながら、日中友好に心を砕いた魯迅の作品を下敷きにした宮本 研のシナリオをアリバイ的に持ち出したとしか思えないのである。

    ネタバレBOX

     そも、今作が、今の日本、韓国、中国のどの国にヴィヴィッドに受け入れられると考えたのだろうか? 革命が成功する為には、民衆の逼迫、権力者の横暴・堕落、軍内部の反乱傾向、更に革命の中心を担う指導層の成熟、資金、革命勢力への民衆支持、転覆の好機、社会情勢、世界情勢等々の的確な分析などが、最低限必要である。革命が出てくる作品の演出をするのであれば、命懸けで闘った多くの名もなき革命家が、世界中で何をどうしていたかに目を配って当然なのだ。そういった視点が一切ない。だから、必然性の無いダンスなどが出てくるのだ。
     大体、今の日本で革命ということを、それも、関係も表さずに出すこと自体、考えが足りない。出すならば、辛亥革命を支援していた日本人をっもっときちんと作品の中に出し、その辛苦をも表出すべきであっただろう。宮本のオリジナルシナリオを読んでいないので何とも言えないが、オリジナルをそのまま踏襲したシナリオであるなら、ちょっと、今の日本の状況とは距離が在り過ぎる。
     何故なら、今作を今回、日本で2013年秋に上演しているわけだが、安倍政権は、今や反革命・反民主主義の尖兵、ファシズムの前衛である。然も、愚衆は、一切、危機感を持っていない。それどころか、相変わらず、その日、その日の小市民的発想にしがみつき、アメリカの植民地であることに屈辱すら感じていないようである。その鈍感、その退廃をこそ、撃つべきであった。そこに中国の民衆を介在させる必要は無い。中国民衆を介在させるなら、中国と日本との間に在る差異についてもっとエッジを効かせて描くべきであった。

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    2013/11/04 03:10

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