満足度★★★
身体のメタ化
5月23日19時開演の本作を拝見したが、導入部の主演、あれでも演技のつもりだろうか? 科白の内在化は愚か、そのようなことに気をつけているということすら感じられない所作の連続であった。溜めなどの発想もなければ、きちんとした人間観察もしていないのではないか、と疑われるほどの出来であった。板に上がる以上、そういうテンションで上がって欲しい。
以上のような方法を採らないなら、呼吸や、心拍数の調整で年齢を表現するような、生理学に基ずいた身体表現の基本を身につけるべきである。観客の目は節穴ではない。漸く、所作に締まりが出て来たのは、休憩直前のお富が亡くなるシーン辺りからだ。
休憩後は、年齢設定が、主役自身の実年齢に近い、ということもあったのであろうし、テンションが上がったという側面もあろうが、合格点に達した。