超訳古事記 やまとたける 公演情報 劇団 祭氏「超訳古事記 やまとたける」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    蝙蝠
     設定されたエルマフロディットとしてのやまと たけるは、いわば蝙蝠の立場である。鳥でも無く獣でも無い。薄気味悪いとされ、忌み嫌われ、恐れられ、蔑視もされる者の代表格だ。
     
     古事記をベースとしているということもあろうが、物語の文法をキチンと踏まえたシナリオと、出口なしのエルマフロディットが、自身納得できる人生航路への出口としてのアイデンティファイの方法を発見した点に、作家の才能の芽と方向の正しさを見る。役者陣は若く、まだまだ修練を積まなければならない者も多いが、一所懸命に役に体当たりしている姿勢に好感を持った、主役の女優は、変幻するヲウス・たけるを好演。

    ネタバレBOX

     やまとの大君に子が生まれる。ヲウスと名付けられた子は、予知能力を持ち、異様な力を持っていたが、肉体的には、男でも女でも無いと同時に男でもあり女でもあった。所謂、エルマフロディットである。
     大君は兄のオオウスに長の地位を譲り、ヲウスは、兄を助けて統治せよと命ずるが、オオウスは、特別の力、能力を持たず、神の血を引いただけということがコンプレックスとなって、男として育てられたヲウスを妬み、大君の主催する会議を無断欠席し続けた挙句、ヲウスを襲うが、逆に殺されてしまう。大君は、ヲウスに、西に住み、大和にまつろわぬ熊曾討伐を命ずる。ヲウスは父母からも国からも追われ、女の衣装を身につけて熊曾の地へ向かう。偶々、彼の地で難渋していた折、熊曾の王、タケルに気に入られ、預かりの身となるうち、ひょんなことから、具合の悪い民を助けた。このことが幸いして、皆の信頼を得、タケルの求愛を受けるが、ヲウスは半陰陽の身、タケルの子を産むことはできない。初めて愛した男に、初めて愛された身でありながら、愛する男の子を宿すことのできないヲウスは、熊曾の因習である名を魂とする風習に従い、己を己として生き抜く道を選ぶ。
     それを実行するのは、婚礼の宴。この席でタケルの腰の剣を抜いて舞うヲウスは、その剣でタケルを殺し、タケルの魂を自らの名とする。但し、苗字は大和だ。こうして大和 尊が誕生する。
     

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    2013/02/26 19:50

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