幻想の方舟 公演情報 ミームの心臓「幻想の方舟」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★

    空中分解
     箱舟に乗り込めば救済されるとの情報で、我がちに人々が集まる。然し、乗り込めるのは、ごく一部の人間だけであるから、当然、競争は苛烈なものになり、多くの者は、残されたまま滅ぶと考えられている。然し、実際に船に乗り込んで見ると、乗船している人々が幸せだとは思われない。幸せでも不幸せでも無い状態は、極端な悪さにも陥らない為、これがベストなのだという発想が、主流を為しているのである。
     然し、新しく乗船したシャンスラードは、この船の救世主になる可能性があると、この船の歴史を総て知っている道化が、彼に告げる。
     乗船者達は、それぞれ個性を持っているはずであるのだが、毎日、同じ議論を繰り返していて、一向に結論は出せない。然し、革命を目指す者が一人、彼女は情況を打開する為に先を見越すことを提言する、が。
    演者たちの演技が空中分解していたように、この革命議論も幻想論の域を出ていないことが、一弾深みのある論理によって浮き上がってこない。このことに象徴される舞台であった。
    本来、役を振られた役者が、己の実態と役の間にある溝に悩む姿を形象化しなければならないはずのこの舞台で、演出がその点に気付かず、きちんと駄目出しもできていない。 
    ここで描かれているキャラクターは前に進もうとはしない、が、幻想を持つほどに進みたいとのアンビヴァレンツやアンチノミーを表現したかったはずの舞台で、脚本の意図を汲んでいないであろうからである。
     ハッキリ言って演出・役者の力量不足。道化を演じた役者に役者としての芽を感じた他は、見るべき所無し。それぞれのキャラが立つような演出になっていないのは、脚本の読みが浅いのと、脚本自体が頭でっかちなのであろう。
    脚本に直接あたっていないので定かでは無いが、恐らく脚本自体コンセプチュアルなものであったろうことは想像できる。演劇は身体性に根ざしていなければならないだろうが、その点についての考察の甘さも感じる。

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    2012/10/01 03:40

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