住み込みの女の観てきた!クチコミ一覧

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ジュリアス・シーザー

ジュリアス・シーザー

彩の国さいたま芸術劇場

彩の国さいたま芸術劇場 大ホール(埼玉県)

2014/10/07 (火) ~ 2014/10/25 (土)公演終了

満足度★★★

ネタばれ
ネタばれ

ネタバレBOX

蜷川幸雄の【ジュリアスシーザー】を観劇。

阿部寛がブルータス、吉田鋼太郎がキャシアス、藤原竜也がアントニーを演じている。

3人とも舞台慣れしているので、上手すぎて何も文句のつけようもないのだが、やっぱりシェイクスピアが書いた戯曲はどうにもこうにも面白くないというのが、観れば観るほど分かっていくようだ。
蜷川幸雄のダイナミズムな演出は迫力満点だし、今作で描こうとしている焦点も明確なのだが、やはり話しそのものに納得いかない箇所が結構ある。決して演出の問題ではないような気がする。
蜷川幸雄が同じような演出方法で作る清水邦夫の戯曲の場合はどれもが面白いし作品ばかりだし......、
やっぱりシェイクスピアはもういいや!という感じである。

シーザーがブルータスに言う名セリフ
「ブルータス、お前もか!」はブルータスの心情表現が上手くなければ成立しないセリフなのだと今作で始めて気がついて次第だ。

舞台においての藤原竜也は一体どこまで上手くなっていくのだ?と疑問符を投げてしまうほど一段と良くなっている。
どこをみている

どこをみている

オイスターズ

七ツ寺共同スタジオ(愛知県)

2014/09/05 (金) ~ 2014/09/08 (月)公演終了

満足度★★★★

ネタばれ
ネタばれ

ネタバレBOX

オイスターズの【どこをみている】を観劇。

労働環境の悪さに仕事を辞めた男1と男2。
家に帰ろうとする男1に何かと理由をつけて側を離れない男2。
男1が男2を追い払おうと軽く嘘をつくのだが、それを難なくかわされてしまい更についてくる男2。
また男1が更に嘘をつくのだが、それもかわされてしまい後を付いてくる男2。
そしてそれからも嘘を付き続けるのだが、それも毎回簡単にかわされてしまい、離れない男2。
そんな離れられない男1と男2の不条理な話。

圧倒的な量の台詞劇であり、名古屋市内を延々と徘徊する二人の男のロードムービー的な芝居であった。
軽い嘘が大きな嘘になり、それを毎回いとも簡単にかわしていくという設定が非常に面白く、歴史に残る傑作芝居【あの大鴉、さえも】のエッセンスをたっぷり含みながら、延々と終わらない会話劇という感じだ。
兎に角、会話の内容、お互いのリアクションと二人芝居の良い処を徹底的に取り入れた演劇という感じであった。
今の時代には決して万人受けしない芝居ではあると思うが、あの竹内銃一郎の後継者がここにいた!という発見があっという事は間違いない。

傑作である。

アリはフリスクを食べない

アリはフリスクを食べない

青年団若手自主企画 伊藤企画

アトリエ春風舎(東京都)

2014/09/26 (金) ~ 2014/10/05 (日)公演終了

満足度★★★

ネタばれ
ネタばれ

ネタバレBOX

アリはフリスクを食べないを観劇。

障害者を持つ家族話しなのだが、どうみてもこの作家は、今作では作品において決着をつけてない?つけられなかった?ようだった。
家族と友人、職場の同僚などのひと悶着後のあの終わり方はないだろう。
じゃ、何故この題材を取り上げたんだ?と文句も言いたくなるが、その観客の怒りこそが今作の狙いであり、障害者を持つ家族の苦しさなんです!
何て言ったら許せんな。
もしそれなら構成そのものが間違っている。

でも90分間見入ってしまったのは間違いない作品だった。
騒音と闇 ドイツ凱旋ver.

騒音と闇 ドイツ凱旋ver.

革命アイドル暴走ちゃん

こまばアゴラ劇場(東京都)

2014/09/25 (木) ~ 2014/09/30 (火)公演終了

満足度★★★

ネタばれ
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ネタバレBOX

革命アイドル暴走ちゃんの【騒音と闇】を観劇。

何だこりゃ?
という感じだが、この団体は数年前にバナナ学園純情乙女組という名で一世を風靡した劇団である。
内容はライブ公演という形を取りながら、50人という俳優陣が歌や踊りを披露しつつ、世間の不正や不満をぶちまけていく内容である。
そしてある公演中、嫌がるお客を無理やり舞台に連れだし、そのお客がネットでつぶやいた瞬間、あっという間に世間に炎上してしまい、責任追求という形で解散に追い込まれてしまったようだ。
自らが行って内容で、墓穴を掘ったようだ。
そしてその数年後、劇団は名前を変えて再出発したというところである。

劇団名を変えたとはいえ、演目は以前と変わらずで、俳優陣の暴走具合は衰えず、熱量は半端ない。
ただ以前ほどの大量の俳優陣が出演していないの寂しいところか?
でも初見の観客は、度肝が抜かれるのは間違いナシ!
雨合羽を着用しても、洋服、靴が濡れるのは間違いないので、お勧めではない。
コンタクト

コンタクト

水素74%

アトリエ春風舎(東京都)

2014/09/12 (金) ~ 2014/09/23 (火)公演終了

満足度★★

まぁまぁ
今作は、ちょっと玉田企画を観ている感じがして期待外れかな。
まぁ、それだけ毎作の期待値が高いというところかな。

背信

背信

葛河思潮社

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2014/09/18 (木) ~ 2014/09/30 (火)公演終了

満足度★★★

アル中の妄想か
ネタばれ

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ハロルドピンターの【背信】を観劇。

演出は長塚圭史。

出版社社長(長塚圭史)、編集者(田中哲司)、画廊のオーナー(松雪泰子)の3人のみの登場人物だ。

長塚圭史と田中哲司は長年の親友であり、長塚圭史と松雪泰子は夫婦である。そして松雪泰子と田中哲司の長年の不倫関係の終えんから話しは始まり、そして二人の初々しい出会いの頃に戻りながら展開していくのである。
ここで描かれる夫婦は、既に不倫を容認していながら生活を送っている家庭が描かれている。
そこでの男女は決して取り乱さず、冷静に立場をわきまえていながら、互いに憎んだり罵ったりはせずにいる事が、何とも腑に落ちないというところだ。宗教観の違いか?価値観の違いか?などと勘ぐってみるのだが、それでは全くないようだ。妻や夫が背信行為をしている事に対して、夫婦自らが互いの問題点を言及せずに、それがあたかもこれこそが正しいイギリス人の夫婦生活の在り方であり、他人同士が長い期間に渡って一緒に生活する方法であるという奇妙な考えに浸っていて、それは己に対して正しいな感情ではない、まさしく自分自身に嘘をついている、それこそがタイトルの背信だと言っているような気がしてならない。他人に対する背信を匂わせておきながら、実は自分自身に対して背信しているという事が今作のタイトルの意味であり、テーマではなかろうか?
この解釈が正しいかどうか分からないが、ハロルドピンターを理解するにはこういう事かもしれない。
背景にベルディーのオテロが流れていたり、長塚圭史と田中哲司の芝居は、常に一面の部分しか見せないのに対して、唯一、松雪泰子のみが状況に応じて、いろいろな表情を作ってきている事が、長塚圭史がハロルドピンターの戯曲のテーマに対してのアンチテーゼではないかと思う。

現在の最高の舞台女優の大竹しのぶ、宮沢りえ、松たか子は、常に戯曲を頭脳ではなく、肉体で解釈する(特権的肉体論)の演技法だが、
松雪泰子は頭脳で解釈して、そして頭脳で演じる。その後に身体が付いてくるという変わった演技法だ。
それはアクション満載の劇団・新感線で演じていた時もそうだった。
多分、彼女の中ではベストな芝居かもしれない。
(因みに個人的には、松雪泰子の事は全く知りません)

観劇後は煙に巻かれた感はあるかもしれないが、少しだけお勧め。
デジタル

デジタル

うさぎストライプ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2014/09/10 (水) ~ 2014/09/16 (火)公演終了

満足度★★★

ネタばれ
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うさぎストライプの【デジタル】を観劇。

常に誰もが他者と心と身体のつながりを望みながらも、自分の現在の位置、社会の現状などを踏まえるとそれは難しい事ではあるけれど、その部分を大切にしようとしている人達の話し。

言葉と身体は同じ様に呼吸するという事を最初のテーマにして、その後に徐々に登場人物達が生まれてきたような感じすらした。
物語らしいものはないかもしれなが、人との関係性をリズムと皮膚感覚で感じられる芝居であった。
何時もながら分かりずらい内容だが、今作でやっと作・演出の大池容子のやろうとしている事が少しだけ分かったようだ。

女優の李そじんは、何時観ても良いのである。
瀕死の王さま

瀕死の王さま

札幌座

こまばアゴラ劇場(東京都)

2014/09/04 (木) ~ 2014/09/07 (日)公演終了

満足度★★

ネタばれ
ネタばれ

ネタバレBOX

王様の残りの人生が僅か1時間ちょっと。
決して悲観的にならず、コメディ調に展開していたのが救いかな。
特別に際立った箇所がなかったの残念。
止まらない子供たちが轢かれてゆく

止まらない子供たちが轢かれてゆく

Cui?

アトリエ春風舎(東京都)

2014/09/03 (水) ~ 2014/09/16 (火)公演終了

満足度★★★★

ネタばれ
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ネタバレBOX

Cui?(キュイ)の【止まらない子供たちが轢かれてゆく】を観劇。

小学校のいじめ問題、先生による体罰などで生じる親の過剰反応をよそに、子供達は自分達の社会があるが如く、大人との対立をものともせずに恒例行事の学級裁判を行っていく。

え、小学生たちがそんな事をするのかい?これは宮部みゆきの【ソロモンの偽装】だな?と思うかも知れないが、それとは全くで別で、成長過程の子供たちの未熟な視点には成らずに、一個人の視点として描いている点が興味深いところだ。
それに今作は学級裁判を物語のクライマックスに持っていかずに、
いじめをする側とされる側、親の視点、教育者側の視点などを描きつつ、大人と子供が対等に罵倒し、罵りあって、事の過程を暴露していく辺りが非常に面白い。
そして今作の最大の長所は、台詞回しが口語ではなく、一言一言が独立している辺りが戯曲の良さを際立たせている。まるで唐十郎、つかこうへいを想起させるようだ。
でも口語演劇に慣れしたしんでいる観客にはちょっと違和感があるかも。

妥協点P

妥協点P

劇団うりんこ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2014/08/27 (水) ~ 2014/08/31 (日)公演終了

満足度★★★

ネタばれ
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ネタバレBOX

劇団うりんこの【妥協点P】を観劇。
作・演出は【ままごと】の柴幸男。
高校の文化祭で催す演劇で、戯曲を書いた高校生に先生達が内容について訂正を求めていく先生VS生徒の戦いの様な物語。
すったもんだの挙句、皆の妥協点を掏り合わせていった結果は、最初に戻っていくという展開にはどうしても腑に落ちないのだが、それよりもそこまでに至る先生の言葉による攻撃、生徒の文章による反撃という武器を違えども、妥協というP点に向かっていく道筋は、観客をも険しさを感じさせるほどであった。

只今公演中の作・演出の柴幸男【わたしの星】とは全くの別の作風だ。
わたしの星

わたしの星

ままごと

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2014/08/21 (木) ~ 2014/08/31 (日)公演終了

満足度★★★★

ネタばれ
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ネタバレBOX

ままごとの【わたしの星】を観劇。

作・演出・柴幸男の待ちに待った新作。
高校生俳優、スタッフによる芝居だ。

人類の殆どが火星に移住してしまい、まだ僅かに地球に残っている高校生たちの文化祭(演劇発表会)の話。
9人の学生しかいない高校達は、文化祭への準備に余念がない。
そんな最中、発表の当日に火星への転校が決まったスピカは仲間に告白が出来ない状態だ。そんな時に火星から転校してきたヒカリを代役に得て、難を得る。
そしてスピカとの悲しい別れと共に高校生達の文化祭が始まっていく。

見事なまでに期待を裏切らない出来であった。
文化祭の準備で起こる数々の仲間同士のいざこざ、恋愛模様などがたっぷりに盛り込まれた内容だ。10人が常に登場している群像劇だが、それぞれのキャラクターの作り方、見せ場などを毎回出してきて、登場人物ひとりひとりに感情移入させてしまう演出力と高校生俳優の力量は大したものだ。
そして10人のキャラクターが結集したラストのクライマックスは当然の如く、【わが星】(柴幸男の代表作)で締めくくっていくのである。
兎に角、高校生俳優たちがものすごく良いのである。上手い下手というレベルではなく、それぞれが己の役をしっかり掴んでいて、自分の青春時代とダブってしまうほどだ。
もし【わが星】を観ていたら面白さ倍増だが、観ていなくても満足出来る芝居である。

だから今作はすごくお勧めである。
ヒューマンエラー

ヒューマンエラー

青年団若手自主企画田上企画

こまばアゴラ劇場(東京都)

2014/08/20 (水) ~ 2014/08/24 (日)公演終了

満足度★★★★

ネタばれ
ネタばれ

ネタバレBOX

田上企画のヒューマンエラーを観劇。

建設現場での起きた顛末を描いた作品。

新築マンションの内覧会に来たお客さんが、部屋のど真ん中でうんこの固まりを発見してしまう。思わず卒倒してしまうお客さんだが、現場は大慌てで、犯人探しに躍起になってしまう。
その犯人探しだが、うんこの中身を解析したり、うんこの形状を分析したりと色々可能性を探していくのだが、いっこうに犯人は見つからず、身内を犯人に仕立てようとするのだが、どうも無理があり、混乱していく。
そしてある時、以外な出来事によって犯人は見つかるのだが、そこには悲しい過去が隠されていたのだが……。

建設現場で起こった事実に基づいて脚色しているらしいのだが、工事現場のあり方、職人さんの人間性など、3Kと言われている工事現場こそが一番のネタの宝庫だ!といわんばかりに様々な出来事を巧みに利用しつつ、うんこと悲しい過去をつなぎ合わせるなんて何て上手いんだ。
ブラボー!これぞ快作!と叫びたくなるような作品であった。

今作は面白いのである。
インザマッド(ただし太陽の下)

インザマッド(ただし太陽の下)

範宙遊泳

こまばアゴラ劇場(東京都)

2014/08/09 (土) ~ 2014/08/17 (日)公演終了

満足度★★★★

ネタばれ
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ネタバレBOX

範宙遊泳の【インザマッド(ただし太陽の下)】を観劇。

マームとジプシー、ロロなどと並ぶ20代の劇団で、若手の中では先頭を走っている劇団。

ある試合で63-0の大敗を喫した日本代表。
そこに関わっていた関係者、選手、観客などはそれを機に堕落してしまう。それは国そのものを、いや全世界の環境さえも変えてしまうほど落ちて行ってしまうのである。

今ある日本の姿を描いていると言っても過言ではないほど、現実を直視した芝居である。落ちてしまった愚かな人間が行う行為とは何か?と問いかけながらも、結局の処、人間の根底はそんなに変わらないのではないか?
というふたつの疑問符を投げかけてくるのだが、それの表現たるや舞台に写された映像内での記号や台詞とその前で演じる生身の俳優との対比によって、観客自身が今作に堕落するのかしないのかと投げかけてくるようでもあった。メッセージ性が強い部分はあるにはあるのだが、それ以上にそれを如何に受け取るかどうかが問われる内容になっている。

傑作である。
キープレス

キープレス

劇団森キリン

アトリエ春風舎(東京都)

2014/08/02 (土) ~ 2014/08/07 (木)公演終了

満足度★★

ネタばれ
不満

ネタバレBOX

劇団森キリンの『キープレス』を観劇。

個人の記憶、思い出、郷愁などがキーワード即座に出てきそうな個人の昔の日常の出来事を題材にした芝居。
今の若手にありがちな着眼点だが、到達点をどこに持っていくかが作家の資質が問われるとこだが、そこは全くと言っていいほど何もなく、ただ単に観客に投げかけているだけあり、作品の余白を作っているように見せかけているだけで、演出家の描きたい事は何?と疑問符を投げかけたくなる。
まだ20代の作・演出の若者がついこないだの過去を振り返るより、未来を描く事が先決だろ!と言いたくなってしまった。
それは秘密です。

それは秘密です。

劇団チャリT企画

こまばアゴラ劇場(東京都)

2014/07/24 (木) ~ 2014/08/03 (日)公演終了

満足度★★★★

ネタばれ
前作は失敗作であったが、今作は何時もの見応えのあるチャリT企画であった。
やっぱりこれだよねチャリT企画の魅力は。

ネタバレBOX

チャリT企画の【それは秘密です】を観劇。

ある日突然、アラフォー芸人の小島圭が公安に連行される。
逮捕の説明がないまま取り調べが始まるのだが、小島圭にとっては身の覚えのない事なので、終わりのない尋問が始まる。
そして小島圭とコンビを組んでいる仲間たちも彼の逮捕に慌てふためき、原因を追求し始める。
そしてそれを境に小島圭を小島健さんと勘違いして訪ねてくる主婦、ジャーナリストたちの出現によって、実は小島健は小島圭の弟であり、元自衛官であったのだが、自殺して今はいない。じゃ、何故自殺をしたのか?という事の真相を探っていくうちに、自衛隊後方支援活動の時にあった衝撃の事実にたどりついて行くのである。

特定秘密保護法を題材にして、国家が世間に隠蔽していた事実を追求していくドラマである。反国家主義を掲げている訳ではなく、一市民が理由も分からずに逮捕され、釈放され、理由は何?それは秘密です!という国家の答えに釈然としなまま進む展開を市井の視点で描いていて、見終わって改めて、国が行った行為について言及したくなるような理想的な社会派ドラマであった。
何時もながら見応えのある芝居を作る劇団である。
五反田の夜

五反田の夜

五反田団

アトリエヘリコプター(東京都)

2014/07/22 (火) ~ 2014/07/27 (日)公演終了

満足度★★★★★

西田麻耶万歳!
ネタばれ

ネタバレBOX

五反田団の【五反田の夜】を観劇。

3.11の震災後のボランティ活動の話。
五反田に住む住人たちは、震災について何が出来るのか?と仲間たちと協議しながら、真剣に活動について話しあっている。
がしかし、そんな話し合いの中で、個人のエゴなどで組織が簡単に分裂してしまい、ボランティをするという目的から外れていってしまう。

前田司郎が描く震災についての考察でもあるのだが、かなりシニカルに描いている。ここで描かれる人たちにとっての震災は、他人事ではないと思いつつも、彼らの行動は、ただの暇つぶしでしかないのか?とも解釈する事が出来る。そんな風に観客を仕向けていくのが、今作の面白さでもあるのだが、前田司郎が描く世界は、常に99%がおふざけであり、わずか1%でしか作品の狙いを提示してこないのが毎回の常なのだが、批判精神たっぷりの毒舌感はたまらない。
そして今作は本当に面白い。
西田役を演じた西田麻耶は観るだけでも一見の価値あり。

お勧めである。
母に欲す

母に欲す

パルコ・プロデュース

PARCO劇場(東京都)

2014/07/10 (木) ~ 2014/07/29 (火)公演終了

満足度★★★★★

ネタばれ
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三浦大輔の【母に欲す】をパルコ劇場にて観劇。

前作の【おしまいのとき】で三浦大輔の新境地をラストに垣間見えたが、今作では見事までに自身の過去の作風を封印?いや全否定して新しい表現方法で攻めてきた。
過去の自分自身との決別ともいえる作家の新たなる始まりでもある。

六畳一間で、家賃、電話代滞納、ゴミための様な部屋、親に嘘をつき金を無心して女を買うという人間失格の若者の日々で始まる。過去の作品で描かれた【人間失格】というキャラクターと全く同じである。そんな若者のもとに実家の弟から母の危篤の連絡があり、帰郷するのだが、母の死に目に会えず、弟から罵倒される。そんな兄も母親の死を正面から受け止め、自身の懺悔の始まりである。
そして父も妻を失った悲しみから、新しい女性を受け入れるのだが、兄弟は母の思いからかなかなか受け入れられないでいるのだが、やはり寝食を共にしていくうちに馴染んでいく。
そして父と新妻、兄弟の関係がまさしシェイクスピアの様な関係に発展していき、そこで兄弟と義母との近親相姦という展開にいくだろうと観客に思い込ませながら、二転三転していくうちに、息子にとっての母親とは?という究極のテーマにたどりついて行くのである。

ポツドールファンなら誰しも兄弟と義母との近親相姦というエグイ展開を期待してしまうのだが、今作ではシェイクスピアすら行き着けなかった終着駅にたどりついたという感じだ。
過去に描いたどうしようもない若者たちのたどり着いた先にあったものは何なんだったのか?その答えは今作で出したのである。
そして三浦大輔にして初めてのメッセージ付きの作品であった。
明らかに演劇史に残る大傑作であり、永遠に残る作品である。

お勧めである。




朝日を抱きしめてトゥナイト

朝日を抱きしめてトゥナイト

ロロ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2014/07/11 (金) ~ 2014/07/21 (月)公演終了

満足度★★★

ネタばれ
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ネタバレBOX

ロロの【朝日を抱きしめてトゥナイト】を観劇。

若者に人気で、評価の高い劇団。

地方の街での町子ちゃんと周辺の人々の話し。
以前なら混沌?、今で言うならごった煮?という感じの劇団だ。
学生演劇的なお遊戯的な見せ方、痺れるセリフ回し、郷愁を感じさせるシーンの数々、役者の熱量など数々の表現の良い箇所を全てミックスさせていく辺りは自分としては全く受け付けないが、決して悪くない表現方法だ。
長く演劇を観ていると、自分にとっての最良の方法で表現されて、満足いくものが面白いと解釈してしまいがちだが、20代の若手演出家は、そんな観客の思惑をあえて外していきながら、独自の世界観を築いているようだ。

女優・島田桃子の存在感は何時もながら刺激的だ。
映画

映画

ワワフラミンゴ

王子スタジオ1(東京都)

2014/06/27 (金) ~ 2014/07/06 (日)公演終了

満足度★★★★

ネタばれ
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ネタバレBOX

ワワフラミンゴの【映画】を観劇。

以前に短編を観た時の衝撃度が強く、期待の新作をやっと観る事が出来た。

物語というか内容が全くない演劇。
女性たちがぬれ煎餅の話題について語り合ったり、毒キノコのエピソードなど
普段の日常から少し外れた事についての会話集という感じだ。
アバンギャルか?アングラか?現代口語演劇か?はたまた不条理か?とジャンル分けを考えてしまいそうだが、全く何にも当てはまらないが、ちょっとだけかじっているともいえる。
展開の面白さや俳優の熱演というのが皆無に等しくても、こんなに面白い物を簡単に作れてしまうのかと驚くばかりだ。
兎に角、面白くて面白くてしょうがないのである。
お勧めだが、今日まで。
臘月記

臘月記

虚飾集団廻天百眼

こまばアゴラ劇場(東京都)

2014/06/29 (日) ~ 2014/07/03 (木)公演終了

満足度★★★

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虚飾集団廻天百眼の【臘日記】を観劇。

戯曲は岸田理生で、この劇団は寺山修司などのアングラを主に行っている劇団だ。
劇場に入るや否や、客席に血のりがかかるので要注意!と防御用にビニールシートを配ったり、前席を陣取っている熱狂的なコスプレギャルがいたりと、アングラがやや秋葉的なノリで変だが、劇場は熱気ムンムンだ。
そして久しぶりの小劇場で味わえる高揚感はたまらない。
がしかし........、岸田理生のアングラ感をただの奇妙な世界観としているのが解釈の間違いで、背景に描かれる政治的背景をお座成りにしている辺りが世界観を全く駄目にしている、いや理解していないのではないのかと感じてしまう。世代的には岸田理生には関係ない、観た事もない世代のようだが、現代口語演劇が演劇界を席巻しているなか、このような反逆精神は非常に交感が持てる。
次はオリジナルで勝負してもらいたいものだ。
でも二度と観ないと思う。

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