『冒険王』『新・冒険王』 公演情報 青年団「『冒険王』『新・冒険王』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    ネタばれ
    平田オリザ中毒になりつつある

    ネタバレBOX

    平田オリザの【冒険王】を観劇。

    日本人バックパッカー達(1980年)のイスタンブールでの宿泊所の話し。

    そこでは長い間、旅をしている者やまだ始まって数カ月の旅行者達が安宿で情報交換をしている。
    旅行者達は今までの出来事や他国の情勢などの情報を得て、次に行く予定の国などを検討している。
    そしてその安宿で知り合った旅人達の出会いと別れを通して人生を語るなんて展開には全くならず、ただただ互いに旅の話だけで話は進んでいく。
    そこで彼らは何故、旅をし続けるのか?何故、日本に戻らないのか?将来はどうするのか?などの疑問を観客が感じて始めると同時に旅人達も同じ様な疑問を感じ始めるのである。
    決して言葉にもせず、話題にもせず、その事を旅人自身は既に分かっているようでもあるのだが、旅をするという行為の為によって、本来の持っていた目的を失いつつもあるという感じだ。
    ただその事は舞台では一切表現されてなく、旅人が発している空気を観客は如何に感じ取るかによって、観客の琴線の触れ具合が大きく変わってくる描き方になっている。
    観客は、観劇しながらこの旅人達とどのように自分自身と向き合う事が出来るかによって、この作品の良しあしが分かれてくるであろう。

    平田オリザはどの作品を観ても素晴らしいが、今作はあの【東京ノート】と同等の傑作舞台である。

    かなりのお勧めである。

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    2015/06/13 12:07

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