住み込みの女の観てきた!クチコミ一覧

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ハムレット

ハムレット

新宿梁山泊

芝居砦・満天星(東京都)

2015/02/13 (金) ~ 2015/02/22 (日)公演終了

満足度★★★

ネタばれ
ネタばれ

ネタバレBOX

新宿梁山泊のリア王を観劇。

新宿梁山泊を観るのは何十年ぶりだろうか?
確かサンシャイン60の屋上で、テントを張って、それを飛び出し、縦横無人に屋上を走り待っていた記憶がある。
その当時は状況劇場(唐組)を超える勢いすらあったようだ。
そんな新宿梁山泊のリア王だが、正直のところ全くの期待ゼロであった。
どのようにシェイクスピアを解釈しようが、アングラ劇団のオリジナルではない芝居は観る気がせん!というのが本音だ。
だがところがどっこい作・演出の金守珍の狙いには恐れ入ってしまった。
所謂、シェイクスピアで描かれる裏切り、憎しみ、悲しみをリア王やその家族には一切持っていかず、全てオフィーリアに投げてしまう辺りだ。そんなに多投されたオフィーリアはたまったもんじゃないのだが、そんな中でもオフィーリアは歌すら歌ってしまうのである。それも何曲もだ。更に英語バージョンすらある。オフィーリアを演じた俳優も大変だったろおに。
ある意味、リア王を食ってしまったオフィーリア版といったとこだろう。
流石、金守珍!
でももう唐十郎が新作を書けない今、金守珍よ、新作を書けよなぁ~と言いたいところだが.....。

あの松田洋治がこんなところにいるのは驚いたが、やはり抜群に上手い。
南へ

南へ

青年団

こまばアゴラ劇場(東京都)

2015/02/10 (火) ~ 2015/03/01 (日)公演終了

満足度★★★★

ネタばれ
ネタばれ

ネタバレBOX

平田オリザの【南へ】を観劇。

20年ぶりの再演らしい。

とある豪華客船の船上が舞台で、乗客は日本人のみで、何処か遠い南の島へ避難もしくは移住をするようだ。
その船上では記念写真を撮ったり、詩を朗読したり、船長に悪ふざけしたりと裕福な人達の怠惰な風景であり、楽園のような時間が永遠と続いているようだ。
そして彼らは何故日本を捨て、南の島へ向かうのか?
その答えがまるで見えないまま、いや探そうとしないまま、その日本人達は永遠と無目的な旅に向かっているようだ。
そしてそんな何故?という疑問を残しつつも、作中には何も答えを提示すらせずに、乗客の台詞「今夜は綺麗な月が出るかなぁ?」で終わってしまう。
平田オリザ特有のテーマである、舞台で行われている疑問の答えは、蚊帳の外にあり、それをどのように捕まえるかは己の考え方次第と言っているようだ。
舞台ではテーマが何で、言いたい事は何を語る西洋かぶれの演劇手法ではなく、今現状に置かれた社会の状況をあえて同じく舞台で再構成して、
提示してしまう手法は、劇場に夢を求めにくる演劇ファンには悪夢である。

昨日【城山羊の会】が岸田戯曲賞を取ったのだが、過去の受賞暦の【ポツドール】【五反田団】【ハイバイ】【城山羊の会】などは青年団出身のようだが、彼らの行っている新鮮な作劇法は、結局は平田オリザの現代口語演劇の延長でしかないという事がはっきりと分かってしまうのだ。

何度見ても女優・李そじんは良い。
雲の脂

雲の脂

ホエイ

アトリエ春風舎(東京都)

2015/02/07 (土) ~ 2015/02/16 (月)公演終了

満足度★★★

ネタばれ
前作の山田百次の作品はかなり面白かったのだが.......。

ネタバレBOX

青年団リンク・ホエイの【雲の脂】を観劇。

日本海に面するとある神社の社務所内での顛末を描いている。

社務所内に出入りしている業者、身内、お客さんの話を面白おかしく描いている。
鳥居が倒れていながらほっといている神主、いらなくなった他の宗教の銅像などを買い取っている身内、理由なく仲の悪い兄弟、突然巨大化してしまう登場人物たち、唾液でお酒を作る巫女さんなどの色々な話が現れては消え、これが伏線になるかと思いきや全くならない展開には唖然とするのだが、これはこれでなかなか面白い。
作・演出の山田百次は、とりとめのない話しや展開のズレから見えない部分の物語を作っているようだが、今作に関しては観客にはほとんど理解されていないようだ。
同じ様な方法論で最高傑作を作った長塚圭史の【荒野に立つ】を超える事はしょせん無理なのである。

雲の脂とは頭皮の事である。
悲しみよ、消えないでくれ

悲しみよ、消えないでくれ

モダンスイマーズ

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2015/01/23 (金) ~ 2015/02/01 (日)公演終了

満足度★★★★

ネタばれ
ネタばれ

ネタバレBOX

モダンスイマーズの新作【悲しみよ、消えないでくれ】を観劇。

今作では山小屋の中のみで展開する愛憎劇。

学生時代の登山仲間が、登山中に事故で亡くなった友人・一葉を懐かしむ為に、毎年彼女の父が経営している山小屋に集まっている。
彼女の元恋人・忠男はそれ以来ショックの為か、下山出来ずに一葉の山小屋に身を寄せている。
そしてある事がきっかけで、一葉が亡くなったのは事故でなく自殺であり、その原因が忠男のせいではないか?と皆が疑い始めていくのだが.......。

友人や家族を失った悲しみは、どれだけ他者と分かち合えば良いのか?
本人はそれほど悲しいと思っていないのに、何故世間に対して悲しいフリをしなければいけないのか?そんな事がテーマに描かれている。
忠男は恋人を失っていて、悲しいには悲しいのだが、周りが思っているほど心では深い傷を負ってはなく、建前上では悲しみを装っている。
忠男の態度は、とても優柔不断で、酷い人間に見えるのだが、人は誰でも悲しみや辛さを持っている相手に同情した時は、相手もそれなりの態度で示してくれないといけないと勝手に決め付ける節がある。
そしてその同情した相手の反応の仕方次第では、相手に対して怒りすら覚えたりする。だが逆の立場になった場合はどうなるのか?
実はそこが今作の最大の焦点であり、観客の誰もがハッとしてしまう、心に深く刺さってくる作品であった。

早くも今年ナンバー1の予感。
そしてモダンスイマーズの新たなる代表作になったようだ。

傑作である。
こわれゆく部屋

こわれゆく部屋

水素74%

こまばアゴラ劇場(東京都)

2015/01/16 (金) ~ 2015/01/25 (日)公演終了

満足度★★★

ネタばれ
ネタばれ

ネタバレBOX


水素74%の【こわれゆく部屋】を観劇。

日本における家父長制を扱った物語。

小さい頃に父を失い、姉と妹と二人暮らしだった姉妹なのだが、
妹は家出をしてしまい、その間もひとりで家を守っている姉の下に、
妹がひょっこり彼氏を連れて戻ってきたのである。

家を守らなければいけないという家父制度の女性版だ。
ひとりぼっちの姉は結婚しないまま、家を守り、内縁の夫らしい人とはしっくりいってない。
そして何年か振りに再会した妹との和解を出来ずにいるのだが、どうやらそれは長男(今作では長女)は家を守らなければいけない、家族の面倒をみなければいけないという家父制度の呪縛にしばられてしまっているからだと気がつかせてくれる内容であった。決して姉はそんな意気込みなどはないのだが、知らず知らずのうちに掏り込まれている日本の風習にのっとって生きてきただけなのだが、それで家族間で誤解を生んで、家族関係が壊れてしまうのだという事なのかもしれない。

不条理ドラマを得意としている劇団だが、不条理という題材がこんな日常の身近にあるのだという事を気がつかせてくれる作品であった。
スタニスラフスキー探偵団

スタニスラフスキー探偵団

創作ユニット スタニスラフスキー探偵団

明石スタジオ(東京都)

2015/01/08 (木) ~ 2015/01/12 (月)公演終了

満足度★★★★

ネタばれ
ネタばれ

ネタバレBOX


映画監督・細野辰興の【スタニスラフスキー探偵団・リターンズ】を観劇。

今作は再演である。

映画【貌斬り事件】の脚本直しに集まった風間監督、脚本家、助監督、プロデューサーらが、事件のまだ見えない真相に迫ろうとしている。そんな中、風間監督の提案で、スタニスラフスキーシステムを用いたロールプレイングゲームを行い、事件の闇に自らが演じて入っていき、その謎の部分を解明してみようと提案する。
そして演じる事によって見えてくる事件の真相とその行為に潜む罠に、スタッフ一同が落ちていってしまうのである。

真相追求の為にロールプレイングゲームをしているのだが、その罠に自らはまってしまう風間監督の葛藤の物語である。
映画を撮れない葛藤、女性を捨てた葛藤、そんな葛藤をどのようにして解いていくのか?
その答え探しというレールの上に乗らされたスタッフはたまったもんじゃないのだが、実はそれは観ている観客達までもが気がつくと乗っているのである。
そして今作の最大の見所は、舞台上で行われているスタニスラフスキーシステムによって観客までもその罠にはめてしまおう!という作家の裏の狙いがあるのである。
その罠にはまった観客のみが今作を大いに楽しめ、己の人生について葛藤して、高円寺の飲み屋街を徘徊してしまうのである。
そして今作は、いち観客としては罠にはまらず、冷静に風間監督の人生を垣間見る事が出来たのだが、ただ彼の選んだ人生の選択には、大いに不満を感じてしまったのである......。

一瞬の油断も許さない程の緊迫感に満ちた、演技と台詞のやり取りの攻防がなされている2時間である。
作・演出の細野辰興の映画を愛するが故に出来あがった見応えのある舞台であった。
そして草野康太、山田キヌヲの好演が、今作の面白さを後押ししたのは間違いない!と観客全員が思ったであろう。
プロジェクト7

プロジェクト7

田上パル

こまばアゴラ劇場(東京都)

2015/01/05 (月) ~ 2015/01/12 (月)公演終了

満足度★★

ネタばれ
ネタばれ

ネタバレBOX

田上パルの【プロジェクト7】を観劇。

中国の結婚にまつわる話しで、フィアンセの家族の奥深い背景を描きながら、果たして貴女は彼を選ぶか?という話し。

面白そうな感じがしたのだが、結局のところ、よく分かりません!というのが正直な本音だ。
男女が出会い、そして相手を選び、結婚を意識しだしてから生じる最初の出来事を描いているようだが、途中、途中の展開が脱線が多すぎて、何処へ行こうとしているのかが分からずじまいだった。
男女の出会いから結婚、そして生活という壮大な生きざまをちょっぴり抒情詩っぽく攻めて行こうという狙いはうなずけた。
それも何故日本ではなくて、中国を選んだかという事も。

まぁ、続きがありそうな話しなので、次に期待かな?
止まらずの国

止まらずの国

ガレキの太鼓

こまばアゴラ劇場(東京都)

2014/12/19 (金) ~ 2014/12/30 (火)公演終了

満足度★★★

ネタばれ
かなりのネタばれ

ネタバレBOX

ガレキの太鼓の【止まらずの国】を観劇。

全く期待もせずに観た劇団。

何処かの国のバックパッカーが宿泊している日本人宿が舞台。
旅に何かの希望を持っているバックパッカー達の宿泊所では様々な情報交換がなされている。そんな中でも既に何カ月も様々な国に行っているつわもの達は、旅を謳歌しているが、まだ経験の浅い旅人は、金やパスポートの扱い、ビザの申請などであたふたとしているが、そんな様子も見ていて微笑ましい。
そして突然の爆撃音と共に外の様子が一変し、街全体が恐怖に落ち込んでいく。戦争そのものに経験すらない日本人バックパッカー達は、恐怖におののきながらも、自己に目覚める者、この出来事を伝えなければいけないと必死に耐え抜きながら、現状を突破しようとしていく。
それは観客がまるで出演者と同じ経験をしているような錯覚を覚えてしまうほどである。彼らが感じた恐怖体験を我々が体感できる瞬間でもある。
そして辺りが静かになり、街の外に出て見ると.......、
実はドッキリでしたぁ~!という終わり方にはかなり後味が悪かった。
ただそれほどまでに異文化の中で生きていく事の難しさを徹底して伝えたかった作・演出の舘そらみの意図は十分に伝わってきた。

なかなかの出来である。
空想科学

空想科学

うさぎストライプ

アトリエ春風舎(東京都)

2014/12/21 (日) ~ 2014/12/28 (日)公演終了

満足度★★★

ネタばれ
ネタばれ

ネタバレBOX

うさぎストライプスの【空想科学】を観劇。

科学の話かと思えば、死んだ男性と女性の夢の話し。

ベットでは斧が頭に刺さったまま寝ている男性がいる。
そして側には、知り合ったばかり女性がいるのだが、それは一夜限りの付き合いの関係であった。
そんな出会いの二人だが、人生の苦楽を共にしようと決意をするのだが、運命のいたずらか男性は亡くなり、女性は末長く生きていく。
そんな場面と同時進行で、亡くなった婆ちゃんの葬式にいそしんでいる家族がいる。その家族はそんな婆ちゃんの昔の思い出や男性関係などを思い出しながら、遺品の整理にいそしんでいる。
女性(婆ちゃん)の一生を女性の視点で、そして家族の視点で描いていて、やや人生のロードムービー的な匂いを漂わせる作品だ。
決して郷愁的にはならずに描いている辺りが非常に良い。
何時ものうさぎスタライプスの18番の雑物が舞台を駆け廻ったり、奇妙なダンスは抑えがちだが、ちょうど塩梅が良いくらいの効果を出していた。
ただ何度なくこの劇団を観て思うのだが、まず最初に構成ありきで、人の人生を描く深さまでには達していないのが残念だ。
ホーン

ホーン

ワワフラミンゴ

アトリエヘリコプター(東京都)

2014/12/05 (金) ~ 2014/12/08 (月)公演終了

満足度★★★★

この劇団は大好きでしょうがありません
ワワフラミンゴの【ホーン】を観劇。

待ってました!という程の期待大の新作である。
でも何時も思うのが、これは果たして演劇なのか?お遊戯なのか?不条理なのか?と物語すらない世界観は奇妙なのだが、個人的にはかなり好きである。
まぁ、この劇団は個人の嗜好に左右されそうなので他人には決してお勧めは出来ないが、個人的にはかなりお勧めである。

新しい祝日

新しい祝日

イキウメ

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2014/11/28 (金) ~ 2014/12/14 (日)公演終了

満足度★★★★

ネタばれ
ネタばれ

ネタバレBOX

キウメの【新しい祝日】を観劇。

久しぶりの新作。

深夜遅くひとりで会社勤めるしているサラリーマンが煙草にライターで火をつけようとするのだが、なかなかつかない。何度もライターでカチカチしているのだが、それでもつかない。
そしてそのサラリーマンがカチカチした瞬間に異次元に入り込んでしまい、そのサラリーマンの前に現れたピエロと共にもう一度自分の実人生をやり直すのである。

我々観客への生きるとは?についてのメッセージを含んだ作品だ。
何時も周りに同調してしまい、己を捨てて、社会を優先してしまう我々の人生は果てして良いのか?という事が大まかなテーマである。
自分の心の声であるピエロと偽りの自分とが常に一緒に人生を歩んでいくのだが、心の声のピエロは何時も正しい導きをしていくのだが、自分は自身への背信行為ばかり犯してしまい、遂にその事にすら気がつかなくなってしまう怖さを描いている。
何時もに比べると世界観が小ぶりだが、小ぶりな分だけ観客の心は鷲づかみにされたようだ。

お勧め。
トロワグロ

トロワグロ

城山羊の会

ザ・スズナリ(東京都)

2014/11/29 (土) ~ 2014/12/09 (火)公演終了

満足度★★★

ネタばれ
ネタばれ

ネタバレBOX

城山羊の会の【トロワグロ】を観劇。

1年ぶりの新作。
これでかれこれ7本連続での観賞だ。

添島専務のホームパーティーでの顛末を描いたドラマ。
会社に出入りしている様々な業者たちは、建前上では倫理的に楽しく振舞っているのだが、その時だからこそ、女性に手を出そうとう輩は沢山いるのである。その中で異常に腕が綺麗な女性がいて、その彼女を巡って、男性たちとそれに嫉妬する女性のバトルが始まっていく。

何時も通りの微妙な空気感で描いていく手法は抜群だ。
特にのっけから男女の絶妙な距離感といやらしさ感がたまらなく、城山羊の会のファンとしては待ってました!という感じである。
そしてそこからの展開は何時も通りなのだが、今作は何時も通りの空気感のみしか描かれず、ややネタ切れ感を感じ取ってしまった。
作・演出の山内ケンジの良い所は、他人同士の距離感を適度に取りながら、ある瞬間に爆発していき、そこから先を観客に深読みさせる面白さが満載なのだが、今作に関しては、それが欠けていて、どうしたんだ?と言いたくなってしまった。ただただ空気感のみを誇大妄想的に描いていて、根幹の部分が欠けてしまったようだ。
前作、今作と共に不発感は否めないが、毎回新作を作っているのでしょうがないか?

初見の方にはお勧めだが、何度も観ているファンにはお勧めではない。
宇宙のこども

宇宙のこども

玉田企画

こまばアゴラ劇場(東京都)

2014/11/20 (木) ~ 2014/11/26 (水)公演終了

満足度★★★★

ネタばれ
ネタばれ

ネタバレBOX

玉田企画の【宇宙のこども】を観劇。

大学生の旅行先の旅館での顛末を描いた話。

温泉を浴びて、卒業後に実家に帰ってしまう友人のお別れ会を始めるのだが、やはり話題の焦点は、誰が好きか嫌いかの話題で終始盛り上がっていくのが玉田企画のパターンである。
概ね描くのが思春期の若者が多いのだが、その中で男性視点、女性視点をきっちり描き分けているのが良いところで、ほぼ恋愛問題しか描いてないのだが、恋愛問題の中だからこそ見えてくる、男性と女性の違いを浮き上がらせてくる辺りは上手いところだ。
巷では恋愛問題を扱っている女性誌、男性誌などが沢山出回っているが、玉田企画の芝居を観ていれば、その辺りの悩みは簡単に解消してくれそうだ。

お勧めである。


トーキョー・スラム・エンジェルス

トーキョー・スラム・エンジェルス

Théâtre des Annales

青山円形劇場(東京都)

2014/11/14 (金) ~ 2014/11/24 (月)公演終了

満足度★★★

ネタばれ
ネタばれ

ネタバレBOX

【トーキョー・スラム・エンジェルス】を観劇。

2020年の東京オリンピック後の疲弊した日本が舞台。

経済格差、老人問題などを抱えながら、国がそれに対して目をつむったままの末、貧富の差が極端に激しくなってしまった日本。
そんな最中、常に自分の尺度で生きようとする屋台のラーメン屋のオヤジ、未来に希望を持ちながら働く証券ウーマン、そして希望を失ってしまった若者たちの物語である。
何れ訪れるであろう東京オリンピック後の日本の惨めな姿を予想しながらも、どのようにすれば安定した経済、人間らしい生活を送れるかを経済を通して描いていて、様々な立場を通して見つめているので、今後の我々の生き方について考えさせてくれる芝居であった。
ラーメン屋のオヤジが吐く「俺は常に自分の物差しを持っていて、それを元に生きている!」という青草い人生論がたまらなく、観客を痺れさせ、虜にさせてくれるのだが、「それこそが間違いだ!」とそこに経済論で切り込んでいく証券ウーマンとの激論がたまらなく、実は議論に次ぐ議論こそが、今後の日本を変えていく最初の出発点ではないかと作家は語っているようだ。
メインテーマは経済なのだが、あくまでも切り込み口であって、日本が今後どのように進むべきかを一作家が提案している芝居であった。
別れても好きな人 2014

別れても好きな人 2014

劇団競泳水着

こまばアゴラ劇場(東京都)

2014/11/06 (木) ~ 2014/11/17 (月)公演終了

満足度★★★

ネタばれ
ネタばれ

ネタバレBOX

劇団競泳水着の【別れても好きな人】を観劇。

一組の夫婦の破綻から始まり、それにつながる妹、友人などの恋愛模様を現在、過去(10年前)、未来(10年後)に渡る恋物語。

恋愛ものの題材を多く扱う劇団で、作・演出が男性なのだが、それほど男性目線にはならずに描いているのが何時もながら良いところだ。
恋愛ものを扱う場合、女性作家が描くとエログロく、はしたない作品が多いのだが、その辺りは男性作家らしく、恋愛ものは常にロマンチックに、そして男は常に女々しく!を定石にしているようだ。
そして今作は、恋愛とは美しいもの、そして生きる糧になる!がテーマであったようだ。

何気に何時も目にしている俳優の村上誠基と亀田梨紗が非常に良い。
薄暮(haku-bo)

薄暮(haku-bo)

intro

こまばアゴラ劇場(東京都)

2014/11/01 (土) ~ 2014/11/03 (月)公演終了

満足度★★

感想書けません
もう一度出直してこい!と叫びたい。

神ノ谷㐧二隧道

神ノ谷㐧二隧道

烏丸ストロークロック

こまばアゴラ劇場(東京都)

2014/10/25 (土) ~ 2014/10/27 (月)公演終了

満足度★★★

ゾッとした
時代に翻弄された地方都市とその人々。
決して土着的にならず、伝説的にもならず、そしてサンプルのようにならず。
ちょっとした恐怖を味わえる作品だ。

半神

半神

東京芸術劇場

東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)

2014/10/24 (金) ~ 2014/10/31 (金)公演終了

満足度★★★★

ネタばれ
平田オリザの翌日は野田秀樹。

ネタバレBOX

野田秀樹の【半神】を観劇。

夢の遊眠社時代の戯曲を韓国人キャストにての再演である。

最近の野田秀樹にはあまり見られなくなった言葉遊び、瞬時の場面展開、現代と神話のおとぎ話、同時進行する複数の物語、激しい俳優の運動量など満載の舞台である。
初見の観客はかなり混乱するだろうが、それ以上に描かれている世界観には圧倒され、震えてしまう。
兎に角、見応えがあり、面白く、大満足である。
今ではなかなか観れなくなった初期の野田作品。
韓国人キャストだからだろうか?祭日なのに空席が目立っているようなので、チケットは簡単に取れそうだ。

今作はまさしくお勧めである。
暗愚小傳

暗愚小傳

青年団

吉祥寺シアター(東京都)

2014/10/17 (金) ~ 2014/10/27 (月)公演終了

満足度★★★★

ネタばれ
ネタばれ

ネタバレBOX

平田オリザの【暗愚小傳】を観劇。

高村光太郎夫妻とそれを囲む友人達の話し。
今作は再演で、初演が1984年だ。

戦争と智恵子との夫婦生活、そして妻を失った夫の悲しみが元に描かれているのだが、物語自体はそこには持っていかず、変化のない日常に焦点を当てながら、突然に襲ってくる妻への悲しみ、高村光太郎の戦争批判に対する行為を描いている。
自身に起きた悲しい事、辛い事、嬉しい事などは日々の生活を過ごしていたら、それは生きている上ではほんの瞬間の出来事でしかなく、そんな中でも我々は生きていかなければならない。そして毎日の日常に追われていながら、ある時突然に喜怒哀楽の感情が湧きあがってくる、そんな人間の感情の一瞬の間を瞬間、瞬間で描いている作品である。

平田オリザが何故、西洋演劇とは相対する現代口語演劇という方法論に行きついたのか?
それは今作を観れば観るほど納得してしまうのである。
【東京ノート】を作った頃は、既に完成されていた方法論でもあるようだ。

傑作である。
アンドロイド版『変身』

アンドロイド版『変身』

青年団

KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)

2014/10/09 (木) ~ 2014/10/13 (月)公演終了

満足度★★★★

ネタばれ
ネタばれ

ネタバレBOX

平田オリザの【変身・アンドロイド版】を観劇。

原作はフランツ・カフカの【変身】で、ある朝、男が目覚めると虫になっていたという話だが、平田版では、2040年のある朝、男が目覚めるとロボットになっていたという設定だ。

出演はイレーヌ・ジャコブ他、全員フランス人俳優で固められている。
今作は実存主義に則って描かれており、その当時の主義がこれからの近未来において、ロボットとの実存とは?から発して、人間とロボットの共存について論議している芝居だ。
ただ芝居自体は決して堅苦しい作品ではなく、ある朝息子がロボットになってしまい、それにあたふたする家族の顛末が描かれている。
息子の外見はロボットになってはいるが、あくまでも外見だけで、記憶や心は息子のままなので、家族は意外とすんなり受け入れるという事が出来る。その家族の行動を見ていると、当然観客は己の身になりながら観るのだが、これから必ず起こりうる人間とロボットの共存という出来事は、実はそんなに頭を抱える問題ではなく、実存主義を通して考えていくと意外に答えは簡単である様な気がする。
それは己の感情を優先にしてこそ実存主義が存在しており、それによって他者などの存在を認める事が出来るとカフカが変身で言っているようであり、平田オリザが時代を超えて同じ様な説を唱えているようであった。

野田秀樹がイギリス人と芝居を作っている間に、平田オリザはフランス人と演劇を作っていたとは驚きだ。
平田オリザの提唱する現代口語演劇は、現代演劇をつまらなくしている張本人だとずっと思っていたが、平田オリザの芝居は野田秀樹同様、どれもが問題作でありながら、興味を掻き立てられる刺激的な演劇である事は間違いない。

傑作である。

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