満足度★★★
105分。元作品はロミジュリくらいしか知らない。
ネタバレBOX
「ムラサメ」
月3人の女とヤルことを目標にしている男子大学生と、ヤラせずに告白させることを目標にしている女子大学生の戦いを描く。八犬伝の朗読をバックに真剣勝負を繰り広げる男女がユーモラスな快作。相手の中に己の弱さを見るという、なんかソレっぽい話もありつつ、結局告白させた女子大生が勝利するオチも良い。
「親指姫」
小学生の間で話題の代理メール打ち・親指姫と小指侍の戦いを描く。ムラサメと形式同じようだけど、こっちのほうが、なんかじんわり湿ってる感じ。悪い意味ではなく。親指姫を演じた藤田直美の笑顔がキュート。
「絶対恋愛王政」
とある由緒ある高校のオタク部がとあるオタクな大会で入賞するも、品位を下げるとして生徒会から目をつけられ廃部に追い込まれるが、オタク部も負けじと対抗し、生徒会長のラムちゃんコス姿をネット配信する。罵りあいながらもひかれあう、生徒会長とオタク部部長は、お互いの精神的弱点を指摘しまたフォローしながら距離を縮める…。
バトルなとこは結構ウケたけど、男女の話になると、どうもウジウジさが増してどんよりした印象となる。悪くないけど、一発目が清々しさのようなバカな話だたったので、そっちに自分の意識が引っ張られちゃったのかもしれない。
長方形なプロレスリングの舞台とか趣向凝らしてるとこは好き。
満足度★★★★
120分。
ネタバレBOX
大学時代、亀島一徳と篠崎大吾と島田桃子は島田の傷心旅行で行った東北までの道のりで、占い師の女や貝殻集めしてるヒップホップな小学生らと出会う。十年後、島田の結婚式に列席するため、当時を思い出しながら車で宮城を目指す。途中、よく忘れ去られる女・望月綾乃や好きな人を探している怪獣?・油井文寧とか死んだ彼氏の遺品をハードオフで買い戻している女・石原朋香らと出会い、式場に着くもすでに式は終わっていて…。
不思議な青春ロードムービー。それでいてさわやかさとちょっとしたエロさも感じられる快作。中盤のダンスシーンとか好き。井上みなみとのラップ対決とかウケたし。ラストの、海岸で、遅刻した二人に島田が会いにくるオチも、さっぱりめで良い。キャラクタの不可思議な感じと、舞台美術、衣装が上手く溶け込んで一体感もあった。衣装の色味とかとっても好き。石原朋香はダンスやってるのか、スラリとして立ち姿も美しかった。
あと20分くらい短いとお尻にも優しくてなお良かったかな。
満足度★★★★
115分。
ネタバレBOX
いつものAKTstage演出と違う演出でみると新鮮だった。笑いのとり方はうまい。情感溢れるとこはもう一声な印象。
木村を演じた稲村梓はスリムで美人でかわいげもあってと見た目いい感じ。発声も十分。弱弱しいところでの弱弱しい感じはもっとほしかったかな。
名前わかんないけど、男三人のほうは大山を演じたクリリンの人が一番好き。
満足度★★★★
105分。
ネタバレBOX
1部。落語によるブスが子孫を残す残さないの話。ブスが障害者のようにも見えるのはよいとして、バイタリティ溢れる厭世的なとこは気に入った。ちょっと長いかな。
2部。内容はよく覚えてないけど、ゴキブリにまつわる歌を高らかに歌い上げる快作。リズム感とか声の調子がとてもよい。
3部。マンコで発酵させた健康食品「マングルト」の説明会。マジメな情報とマンコ連呼するナンセンスさのバランスがうまい。
満足度★★★
75分。
ネタバレBOX
カワモト(宮本奈津美)…お祭り行きたいけど決して行きたいと言わないOL。
オオツキ(園田裕樹)…カワモトに祭りに誘われるけど頑なに断り続けた。
トクナガ(上松コナン)…居座っているコバヤシに出て行ってもらおうと四苦八苦する。
コバヤシ(根津茂尚)…トクナガ宅に居座ってゲームばかりしてる。友人のミノベを勝手に呼ぶ。
ミノベ(澤唯)…ミノベのレベル上げは面白いらしい。
サナダ(篠本美帆)…自主的に神輿の制作にとりかかる。
ナイトウ(松木美路子)…サナダとスイーツ食べ放題に行くつもりだったが、サナダから神輿を撮影してきてと懇願される。
姉(田代尚子)…妹の作成した嘘の祭りの「ビラ」を各戸へポスト投函する。罪悪感なし。
兄(堀靖明)…「チラシ」の件で各戸へ説明と謝罪に赴く。架空のOLに囚われる。
妹(野村梨々子)…引きこもりの一人暮らし。嘘の祭りの「チラシ」を作成する。
祭りに行きたいとか行きたくないとかでモメたり、祭りとは無関係にモメたりの駄弁芝居。トクナガ部屋と姉兄妹部屋の話が基本的に面白かった。
サナダの神輿製作が小劇場演劇と同じような、モチベーションというとこはウケた。必要とされてるワケじゃないけど、一定の熱意でもってある種の敬意を湛えて作られているということか。
根津のニート演技は好き。
満足度★★★★
120分。
ネタバレBOX
西園寺(斎藤祐一)…怪談イベントの主宰。ふーみんと付き合っている。遠野物語をパクった。
ふーみん(菊池佳南)…元地下アイドルで怪談アイドルとして西園寺が売りだし中。西園寺と付き合っている。目玉焼きに雨水かける派。
弥勒院(和田華子)…怪談師。怪談の内容は中でも一番うまい。落ち着いた怪談師キャラとはウラハラに、幽霊に対してミーハー。目玉焼きに酢をかける派。
門真(永山由里恵)…怪談好きな女で、一般枠として本イベントに参加し怪談界に殴り込みした。実は家庭もち。
ソメ(成田沙織)…青森からイベントにゲストとして参加。イタコになりたい。目玉焼きには砂糖をかける派。
高橋(河村竜也)…西園寺の友人。本イベントの裏方を担うが、やる気はあんまなく、放送中も子へのプレンゼントをネット検索したりしてた。男に暴行され死亡。
男(山田百次)…スタジオ上階に住んでいる男。うるさいとクレームをつけにきた。空手黒帯。
マイアーな怪談師主宰の怪談会をネット配信するという企画で集まった面々だが、グダグダで配信もうまくいかず、主宰は怪談をパクリ、ふーみんは怒ってアイドル卒業を勝手に宣言し、空気は最悪に…という、怪談もあるけど、基本笑える舞台。キャラもたってるし、ドタバタした空気感が作れてた。同人的な空気感もなんか妙にリアルだった。
認識しないと無いも同然という、幽霊的精神的なモチーフもありつつ、基本コメディで包んでたのが良かったかな。
満足度★★★★★
休憩AT込み155分。
ネタバレBOX
フランダースの負け犬(柿喰う客)
ドイツの若き将校ヒュンケル(深谷由梨香)は有能な指揮官として前線に立つが、上官(七味まゆ味)の判断ミスで舞台は窮地に陥る。上官らはヒュンケルの部下でおバカなバラック(葉丸あすか)にミスを擦り付けるようヒュンケルを追い詰めるが、ヒュンケルはバラックを殺せず暗殺され罪を擦り付けられる…。
面白い。しょっぱなでダークな雰囲気と熱くこみあげてくる感を充満させてた。
ハルマチスミレ(吉祥寺シアター演劇部)
全日制の高校生と定時制の高校生との恋とかいろいろ。
声がやや聞き取りにくいとかあるけどカラーは出てたかな。
BBW(梅棒)
ケーキ屋に恋したデブい女の恋を応援団員らが応援して、ダイエットのため天使と悪魔が戦い、ライザップして痩せ女になって告白しようとするも、ケーキ屋のそばには女がいて、結局リバウンドして、けどやっぱりもう一度痩せて告白するという話。
ノリを作り出すのうまいかと。エンタメしてて盛り上がった。ラストのケーキ屋の女にケーキをぶつける演出からのダンスとかいいし、悪魔と天使(とデブ女)の戦いとか魅せ方うまい。
ラスト・フィフティーン・ミニッツ(キャラメルボックス)
三歳の子・雪を両親に預け旅行にでた夫婦が、雪宛にビデオレターをとっている。実は宇宙旅行で宇宙船が隕石のせいで故障しもう地球に戻れない状況になっていて、ふたりは二人の馴れ初めを語り、将来雪が理解してくれることを願い、最期の15分間で想いを伝える…。
笑いとドタバタした展開から、ジンとさせる手法はキャラメルボックスらしい。不思議だけど、二人の馴れ初めあたりのウォーミングさはどこからくるのか。二人は死ぬけど、その気持ちは地球の娘に届いているといいなと思わせるチカラがある舞台だった。
想いをひとつに(地蔵中毒)
原宿にきた日体大の女子大生三人は上半身やくみつるの三人や暴力的なガンジーらに出会い、おっぱいに爆弾入りジェンガを置かれてしまったり、原宿を川崎にされそになる。みんなは想いを一つにしようとするが、結局爆弾は爆発し、原宿は地図から消えてしまう…。
むちゃくちゃな展開や設定だけど魅力のある作品。けど15分以上見るのはちょっと怖いかも。
私があなたを好きなのは、生きてることが理由じゃないし(Mrs.fictions)
久太郎(岡野康弘)…死亡し自由になった。優子に自分のことを忘れてと願うが。
優子(徳橋みのり)…久太郎の彼女。久太郎死後も、ずっとそばにいた。徹子の部屋にも出演した。
父(岡本篤)、母(森谷ふみ)、優子に見守られ死んだ久太郎に対して、少しずつ忘れよとする父母だが、優子はずっとそばにいて、生きている時もそんなしゃべんなかったからと今後も寄り添っていく…。
笑いそこそこ。メタ作品なとこもあるけど、根底は人を思う気持ちとかそんな感じ。人が死ぬ作品だけど、決して沈痛な感じにならず温かみを帯びたまま終幕するとこがいいとこかな。イマドキかどうかは不明だけど、静かで力強い愛情の示し方。
カーテンコールの深谷がチラシ衣装で登壇し、ハイテンションで奇声をあげ、アニバーサリーを祝ってた。
満足度★★★★
100分。
ネタバレBOX
あたらしい「lady」
日本で働く外国人の会話劇。恋して破れてって話。日本語でもいいとは思う。
NAGISA巨乳ハンター
ヤクザもカタギも巨乳であることが権力という呉の町。組長らに彼氏を殺された田中渚(Aカップ)がHカップと偽って組長らに近づき、復讐を果たす…。
ウケた。いろいろコメディな工夫があって飽きなかった。田中渚のピアノとか、暗殺とか奥部分を使った演出とか。何気に高橋紗綾はコメディ感覚うまい気がする。塚田詩織というAV女優のマジ巨乳はすごかった。
席が狭いのは勘弁。
満足度★★★
85分。
ネタバレBOX
砂男(柴田順平)と寿郎(久保雄司)が立ち上げた、世間の荒波の中笑えなくなった人らに笑顔を取り戻させる「ホーム」に新人の敦司(榎本純)がやってくる。そんな中ホームでは、笑顔を取り戻すため「鼻フック」を改良し続ける砂男と、鼻フックは笑顔の補助器具だとする寿郎が対立していた。3倍鼻フックに耐えた寿郎に対抗すべくス砂男は4倍鼻フックを装着するが、限界を超えた性能に砂男は海老ぞりになり苦しむ。そんな男に寿郎は、誰も笑顔になってないと諭し、自ら神々しい笑顔をもって皆を笑顔にする…。
のけ者的な人々と、おバカな設定と演出で魅せてくれた。が、もうちょいゴアゴア感(ディープな感じ?)がほしいかったかな。笑えたけど。
久保雄司のリーダーっぽさと笑いのセンスは健在。橘にな(五十嵐絢美)とかの後光が射す笑顔演出とか、らしくて好き。あと、テコンドーのくだりとか、寿郎の「自分で決めろ」のくだりとか、ウケた。
なにげに、柴田順平の鼻フックにノタウツ演技がうまいなと思った。なんか成長したんだなという気持ちになった。
満足度★★★★★
120分。
ネタバレBOX
モテない男に疑似恋愛という夢を見せる「モテギモテオワールド」の支配人・モテギモテオ。で疑似恋愛にはまった男が現実に戻ってこれなくり、そのかたき討ちに行った新入社員は返り討ちにあい、モテギモテオ被害者の会の企みは、モテギモテオに一つずつ潰される。おまけにモテギモテオの従業員の女どもは、こぞってモテオに恋し、モテオはそれを颯爽と躱す…。
という話が終盤で、モテオの疑似恋愛だと分かり、まだ疑似を味わっていたいというモテオは延長を申し入れ、女をハベらし車を加速させる…。
いつもの入り組んだ内容よりさっぱりとした構成で、シンプルに楽しめる。ハードボイルドも味わえ、ギャグも堪能でき、満足度は高い。「RGJ」のトコはとてもウケた。
モテオを演じた橋本一郎の演技が安定してたというのもあるけど、全体的に演技は上々な印象。
モテオのラストの疑似にハマっている感も、若干のブラックさを感じさせるいい終わり方と思う。あと、モテオの秘書的な石川幸代が美人と思った。
満足度★★★
95分。チケットプレゼントにて鑑賞。
ネタバレBOX
美貌とか、笑いとか、金とかに執着する5人が、とあるバーで目を覚まし、朝までゲームをすることになる。「笑点」の大喜利的なゲームを進めていくうちに、自分らは死んでてコースター10枚ためた人間だけが生きかえれることがわかる…。
それまでのゆるい感じから、復活をかけた血で血を洗うテイストになるのかななんて想像してたけど、ポジティブなノリで終盤まで駆け抜けてた。ここらへんの心の在りどころを丁寧に描いてもいいかなと思う。それぞれが執着してたものと生死の絡まり方というか。
こういったバーは他にもあって、たまに新人が舞い込んできて、生きかえりのチャンスは何度もあるけど、そのうち消滅しちゃうことを匂わせつつ終幕する。ちょいブラックな感じも持たせてるから、やはり心の底になる黒っぽいとこを、印象深く描いてもらえるとなおよかったかなと。
従業員(樫野日菜多)のニコニコ顔が印象的。
満足度★★★
110分。
ネタバレBOX
一人暮らしっぽい男がリサクルショップのムチムチ奥さんが座ってたイスを買ってきて、それで宇宙へ旅立つという導入と、終盤のパフォーマンスなとこは面白かった。中盤のトコは冗長な感じ。
40分くらいしたとこで、キャスト体調不良による公演中止となった。払い戻し対応などしっかりしてた。
ネタバレBOX
序盤しかみてないけど、活舌が微妙なトコもあって、またちょいSFなトコもある作品だから、イマイチ状況が把握しにくかった。あと、キャラクターで笑わそうとするのもいいけど、ストーリーをテンポよく進めて引き込む姿勢がほしいかな。
キャラクタの動機的なとこももっと描いてほしいし。主人公はなぜ人を殴れないのか(単純に優しいから?)、なんかエピソード的なのあってもいいかと。
満足度★★★
65分。
ネタバレBOX
以前見た、うさぎストライプでの振り付け公演が良かったので、気になって見に行った。
ダンスだけかと思ってたら、小芝居じみたインタビューショーとかあって、何気に楽しかった。ダンスもっと見たかったかな。
満足度★★★★
70分。
ネタバレBOX
とある税理士事務所の休憩室で繰り広げられる税と恋の話。
幸恵(村田牧子)…既婚だけど恋を探している。川村に気がある。
亮子(鄭亜美)…板東の元カノ。別れたあと5か月付き合った彼氏と結婚を決める。
板東(伊藤毅)…税理士試験に落ち続ける。事務所のバイトのJD川村と付き合いだした。
鳥谷(坂倉花奈)…伊集院が好きだけど伊集院のつれなさ加減にイライラ。なのに宇田川に好かれる。
川村(尾崎宇内)…税理士試験に受かった。モテカーストの上位らしいが結婚しないと決めてる。
松山(折舘早紀)…JD。板東と付き合っている。気も利くしちょい健気。
宇田川(中藤奨)…板東の大学からの友人。鳥谷にアタックするもウザがられる。川村に説教食らった。
伊集院(小田原直也)…税理士試験に落ち続ける。松山の元彼。
近いとこで恋愛が多発するある種恐ろしい集団劇。未練あったり近づいたり遠ざかったりと、ふわふわした感じで進むのは、退屈ではないけど刺激は乏しい気もする。不思議と飽きずに見ていられたけど。ラストシーンの板東と亮子の会話で、亮子が「遅い」とイラだったとこに松山がやってきて暗転というのも、けっこうさっぱりしてるくせに、けっこう響く感覚だった。遅いとダメなんだよね。
税は全体的に意味のあることで、恋愛は個人にとって意味あることという対比なのかなと思ったけど、そこまで重要な要素でもなかったのかな。演技は皆、安定してた。
満足度★★★★
65分。
ネタバレBOX
ポップな感じもあって、見やすく楽しめる作品。ダンスだけでなく、前説で質問ありませんかという変化球で始まり、ちょこちょこ妙な演出があって、退屈しないのがよい。序盤のはイナバさんなのね。照明具合も好き。
満足度★★★★
110分。乱歩作品は未読。
ネタバレBOX
日美子(青山祥子)…伽耶子と信藤の子。パノラマ島崩壊後、燦子を追う。
建日人(金子鈴幸)…日美子の弟。パノラマ島崩壊後、自分がしたいことを思い描く。
燦子(福永マリカ)…須弥子と久貝の子。久貝から性的虐待を受けてた。犯罪者大曾根を信望し、小学生を殺した。
禰宜子(夕沈)…母からの霊能力的なものを受け継いだ女。クマの人形を持ち、口寄せする。
伽耶子(木下祐子)…精神的にもおかしい姉妹を支え生活してきた。パノラマ島崩壊で解放された。
須弥子(安元遊香)…男性依存症。燦子の出産をマジで忘れていた。
信藤(中山朋文)…菰田家使用人時代に伽耶子と子を作り、その後パノラマ島の管理人となった。久貝に殺されたと見せかけ、久貝を殺し久貝になりすましていた。パノラマ島崩壊時に打ち上げ花火とともに散華した。
久貝(佐藤誓)…菰田家の使用人。小児の美しさに固執するあまり、燦子を犯し、その罪を信藤に押し付けようとした。
罪人が作り上げた島(パノラマ島)を観光地化するという話が出て、一族から離されて生活していた日美子ら3名は菰田家に連れ戻される。パノラマ島に上陸し、燦子の殺人や信藤が久貝になりすましていたことが次々明るみになる中、大地震に見舞われ、島や菰田の屋敷は津波に飲み込まれる…。
「悪魔を汚せ」的なつくりのようでもあるが、それよりも呪い要素は少な目かな。多分、乱歩作品の要素が混入してるからかな。薄気味悪さは味わえたけど。
むしろ、終盤の気球とか人間花火とかが、舞台っぽくなくて面白味を感じた。花火にしがみつく男って想像しにくいが、よっぽどパワフルじゃないと無理だろと。あと、最終盤の建日人と(久貝の姿をした)信藤との会話で、自分の心の声に耳をそばだてた建日人のイメージにしびれた。一瞬でよくわからんとこもあるけど、鮮やかな感じがした(照明的には暗いけど)。
満足度★★★★
130分。
ネタバレBOX
三平(佐野順平)…河童というテイでニナを見守るニナの父。元都の役人?で色素を注入かなんかして緑色の体になった。ニナを守るためミドリの本をコピー?して本になった。
ニナ(重光摩美)…都の外で祖父と暮らす女の子。三平が本化した後、ヒヨスとともに都に残り、都を治め、本化を解除する方法を見つけた。
ヒヨス(佐倉井あや)…元都の研究者。三平を想っていた。ニナとともに本化を解除した三平らと対面する。
椿(くちばしやきいろ)…ニナの父母。都では学問的な見地から未来を予測するチカラで、都の人々の生活を支えていた。
大佐(鴉亭團吉)…ヒヨスの父。椿に拾われ椿を支える立場だったが、椿の命より都を治める能力を重んじるようになり、椿の能力をニナに継がせようとする。
ミドリ(沼田電池)…椿の子。椿同様先を見る力を持つ。三平に恋し、ニナを産み、自身の役目を続け本化した。
本化した祖父を元に戻すため、都の魔女(祖母)に会いに行くが、逆にニナだけとらわれてしまう。ヒヨスや三平はニナを救うため乗り込むが、ニナを助けるため三平は自ら本化してしまう。都に残ったニナはヒヨスとともに本化を解除する方法を見つけ、髪型を当時に戻し、三平を迎える…。
ボケ部分は豊富でなかなかストーリーが進まない。あと、本化した後のコピーとかって部分がイメージしにくく、一部感情移入しにくい。人の動機的心情的な部分はもうちょい色濃く描いてほしい。大佐が椿より都を優先するとした苦悩とか。ヒヨスとかはしっかり表現されたようにみえたけど。
ニナと三平が主軸の話かと思いきや、ヒヨスがメインじゃないかというくらいキーパーソンな作品だった。キャラ的にも気に入った。ただ、ラストの展開からすると、ニナと三平の親子愛的なフリがもっとあってもいいかなと思う。ちょこちょこ入るコメディ部分は面白いとこもあるけど、もうちょい絞ってもいい気がするかな。2時間超の舞台だったけど、飽きずに見ていられたのはよかった。
芝居をみるようになってバカバッドギターの作品を何作(魔女は定時にあがるとか深海ワンルームとか)か見たことがあり、せっかくなんで解散公演も見ようと思った。重光摩美とか当時にもあったコメディなヒロインっぽさそのままで、なんか安心したし、佐藤ホームランのトリッキーな役柄とかも相変わらずうまいなと感心した。見れてよかった。
満足度★★★★
80分。
ネタバレBOX
みちる(永井久喜)は娘の瑛子(金城あさみ)と瑛子出産時に死亡した夫の墓参りをする。そこでみちるは二人の人生を記した本を瑛子に読んでみてと渡す…。
という前振りで二人の一生をなぞっていく作品。幼馴染で知能の足らないQ太郎(澤原剛生)は、三賢者から祝福を受けた神の子として成長し、みちると性交してないけどみちるを身ごもらせる。一方のみちるはアイドルになったり慰安婦になったりと波乱な人生を送る。三賢者から千葉県で日本一汚い沼でQ太郎が待っていると聞き駆けつけその流れで出産し、瑛子は神の孫なんだよと告げる。
しっちゃかめっちゃかなストーリーではあるけど、要所要所のとっかかりとコメディな感じが印象的な作品
。ボケ部分は多めがうれしい。ラストのQ太郎復活は、神の子らしいオチだけどパンチは弱めかな。
みちるとQ太郎の愛情部分は、唐突といえば唐突な気もする。みちるは「受け入れる」人間で流され流され生きてきて、Q太郎はバカにされ生きてきてという人生の中に、神話性みたいなのが感じ取れると良かったかな(元ネタ?の聖書とか知らないからかもしれないけど)。波乱万丈な二人の人生を垣間見るというのは面白かったけど、根底に流れるものがなんなのかわからなかった。それはそれで楽しめけど。
満足度★★★★★
110分。
ネタバレBOX
貧乏だけど正しく生きようとしている横手慎太郎と弟・小日向星一。堂本佳世と西田麻耶、しまおみほの三姉妹の車に轢かれた後遺症で右足不随になるも姉妹からの補償も受けられず、小日向の「永遠の友」中田麦平が起こした傷害沙汰の賠償を迫られ、絶望する。横手は次女を轢いたり当たり屋として悪事を働き歪み、あげく小日向の片思い相手で元彼女の宮本奈津美をひき殺し、成長した弟・泉政宏をさらなる絶望へと突き落とす…。
正義が生きにくい街ゴッサムシティで正義を貫く弟が苦しむサマはみてて気持ちのいいものではないが、面白い。ラスト、貧乏でも正しく生きてたにいちゃんが好きだったと言う弟に対して、お前の心を離すまいと宮本の(壊れた?)トレードマークを放り投げる、兄のゆがんだ愛情が不気味でよい。今後の弟の生き方を考えるとなおさらおどろおどろしくて。
兄、弟をそれぞれ、横手と用松亮、小日向と泉が過去と未来を演じる構成でちょいひねりが利いてる。過去と未来を同シーンで見せる花火のとことか。
孤児で小学校卒の宮本が、堂本ら三姉妹の人の道徳よりカネを重んじる話し合いをしている様子を見つめる表情が好き。自身もコンビニではカネを払わない主義という道徳心なんてない人間だけど、人の心的なものは人一番持っているようなやさしさが宿っているように見えて。