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短編劇集 volume 7 秋カフェ 『ジェラシーいろいろ』

短編劇集 volume 7 秋カフェ 『ジェラシーいろいろ』

劇団桃唄309

RAFT(東京都)

2014/09/25 (木) ~ 2014/09/28 (日)公演終了

満足度★★★


舞台見にくい。60分。

ネタバレBOX

リケチカ「ラフレター」
まあまあな容姿の女(立蔵葉子)が、双子の妹(中野架奈)へ嫉妬し殺し、社交界にてのし上がり王妃になる。女が一番美しいという正直な鏡(中野)に疑いを持ち、鏡も殺す…。
結局、妹もいて父と3人で家に戻るという展開。ユニークな空気感と展開で面白いと思う。女優二人も魅力的。

桃唄309「水の盆」
位牌婚のため位牌と一晩過ごすことになったユウちゃん(高木充子)の前に、位牌の主・スグちゃん(森田匠)が現れる…。
徐々にスグちゃんとサワちゃん(山西真帆)も関係とサワちゃんの嫉妬心が見えてくる展開が面白い。
アリはフリスクを食べない

アリはフリスクを食べない

青年団若手自主企画 伊藤企画

アトリエ春風舎(東京都)

2014/09/26 (金) ~ 2014/10/05 (日)公演終了

満足度★★★★

優しい子
面白い。90分。

ネタバレBOX

アユム(海老根理)…兄の件で結婚できず弟を施設に入れようとする。モテる。
トモユキ(石松太一)…アユムの兄。精神障害者。弟の結婚の邪魔をしたくないけど施設への行きたくない。
舞子(長野海)…アユムの彼女。妊娠中。桜田に家族じゃないといい放つ。
西(舘そらみ)…トモユキの彼女。アユムのことが好きでもある?。
桜田(江原大介)…アユムやトモユキの勤める工場の社長。トモユキを家族と思っているといいつつ、給料は3万円/月。
ちはる(中本恵)…工場勤務。アユムが好き。舞子に気持ち分かる気がすると声をかける。
寺田(伊藤毅)…工場勤務。アホ。
林(朝比奈竜生)…トモユキのいたグループホームの先生。吃音。
三上(横島裕)…アユムらのアパート住人。トモユキと通じる。胡散臭い。

障害者の兄との同居で結婚を反対されている二人が、兄を施設へ入れようとし、兄も同意する。兄の誕生パーティで施設入りが発覚し言い争いになる。明朝、二人だけの部屋で西はトモユキに結婚すると尋ね、涙が溢れる…。

障碍者の身内を材料に率直な感覚で人間を描く。先生が言ってたとおり正確も不正解もない、その利害関係者の判断がすべてといえるけども、それぞれの立場で物を考えると面白い。実際、障害児の親(家族)の苦労は並でない気もするし、誰かを支えるってのは単純に人間には荷が重いのかなと考えてしまう。
パーティ後のアユムの昔話シーンはなかなかいいと思う(兄と取っ組み合いになったとこより)。アユムの心の底がちょっとだけ見えるようなね。彼女でもあり理解者でもある西の見せかたもいい。トモユキと付き合っている理由にアユムが関わっていると思わせるところがいい。ラストシーンのプロポーズもいい〆。

舞台セットがしっかりしてて小道具等も上々。先生が健常者だったとか、三上のインチキ占いシーン(後の和解)とか、ちょっとしたハズしが上手いと思った。
ファーム

ファーム

サンプル

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2014/09/19 (金) ~ 2014/09/28 (日)公演終了

満足度★★★★

リボーン
面白い。105分。

ネタバレBOX

父(古屋隆太)…生物科学者。天才。インポ。家庭を顧みず研究に打ち込んだ。
母(町田マリー)…父が離婚しないため、パート先の店長と結婚できない。OL時代、ピル飲んで不倫してた。
息子(奥田洋平)…ファーム。老婦人と結婚して、癌で死んだ。
老婦人(羽場睦子)…息子の犬の目玉を植える。
ゾーン・トレーナー(野津あおい)…店長の入信するバーのママ。
店長(金子岳憲)…バツイチ店長。息子にダメ出しされ、母ともSEXできず、悩む。自称、生まれかわった。

成長早くて、体内で細胞を組成(再生)させることのできる特殊なファームを中心に描く群像劇。
父、母が仕事に打ち込んだり離婚でモメたり不倫したりと「一般」なところで右往左往してる中、人間であり治療器具でもある特異な息子の泰然自若なふるまいがユニーク。息子を家族だと一方的に慕う老婦人と本当の家族となった息子が「一般」な人間として死んでいく様(ゾーントレーナーの舞)に不思議な感覚に魅せられた。
息子が自分の存在をどう思っていたのか、店長が生まれ変わったように、生まれ変わりを期待していたように感じた。

町田マリーの美人奥さんな感じがいい。老婦人役の羽場の異常と人間味が同居した演技が上手かった。可動机はシンプルな見た目ながら、最終的な祭壇の姿が美しく見えた。
宇宙船

宇宙船

3.14ch

王子小劇場(東京都)

2014/09/19 (金) ~ 2014/09/29 (月)公演終了

満足度★★★


面白い。115分。

ネタバレBOX

一幕
科学が進んだ未来。平和な地球から他の生命体のいる星へ移動する宇宙船。真の平等を訴えるテロ組織の人間が貴族階級の人間を皆殺しにし、実権を握る。
二幕
自由と平等を標榜し満喫する、テロ人間の子孫たちだったが、次第に綻びが出て、更に宇宙的災害?に会い全滅する。宇宙船の性処理アンドロイド・ニャンニャン(鵜沼ユカ)と頭の狂ったミシマ(佐藤拓之)だけが生き残る。
三幕
寿命150年のはずが何年たっても死なないミシマは、孤独を叫びさらに狂う。そこに、テロの際にコールドスリープしたミシマの友人アラノ(山川恭平)とミシマの元妻・パンドラ(松本みゆき)が姿を現し、3人は学生時代に戻ったかのように楽しく過ごす。しかし、目的地に着く前に二人は150年の寿命を迎え死ぬ。目的地についたミシマは発狂しかけるも、ずっと想っているS(ニャンニャン)が新たな子を生みともに生きていく…。

エロティックでありしっかりした世界観をみせつけ、一風変わった空気感で人間ドラマをみせてくれる作品。精霊とか意味不明な存在も不思議と受け入れられる器の大きさが魅力なのかなと。話自体はけっこう王道寄りと思うけど。

二幕が若干パワーダウンした感じかな。ヒャッハーしてる空気が薄いというか。
ニャンニャン演じた鵜沼の独特のしゃべり口調がハマっている。ミシマを演じた佐藤もいい。舞台のつくりがしっかりしてるのもいつも通りかな。扉の開閉がスムーズなのが地味に素敵。
コンタクト

コンタクト

水素74%

アトリエ春風舎(東京都)

2014/09/12 (金) ~ 2014/09/23 (火)公演終了

満足度★★★★

読モ
面白い。90分。

ネタバレBOX

井上(田村健太郎)…フリーター。田中のダメさに呆れる。直子とホテルへ行く。
田中(用松亮)…井上の先輩。ナンパ経験を偽る。結婚してた増美に怒る。タダでやりたい。
武史(植田崇幸)…未来人。増美の子。ダメな夫(用松亮?)との関係を止めようとする。うんこ漏らした。
早苗(後藤ひかり)…未来人。武史の彼女。献身的。
増美(鄭亜美)…夫はいるがけど、ふわふわしてる地雷女。
直子(島田桃依)…増美の唯一の友人。色々振り回されてるが井上をゲットする。
水野(永山由里恵)…ラウンドワン店員。井上らを注意する。さらに武史に押し倒されたかわいそうな人。

ラウンドワン前で2時間もナンパできずにいる井上と田中だったが、増美と直子に声をかけ、田中は増美とメシに行く。未来から来てた武史は、自分が消えてもいいと、増美が不幸になることを防ぐべく二人を探す。ホテル街で顔をあわせた6人。武史は自分が誰か言えない中、増美に好きと言ってと願い、増美に大嫌いだと言い返す…。

屈折した人間の関係性をユニークな味付けで舞台にのせるいつもの感じと違い、比較的まともな人々が出てくる本作品(未来人も含め)。ナンパという触らんでもいいけど、もしかしたら良い物が手に入るかもしれない、逆に怪我するかもしれないおっかなビックリな材料で親子の情を描く。
ナンパで生まれた自分を半分呪いつつ、母親を気にかけつづける武史が生きる未来では、ほんど人と触れ合わないという設定が皮肉めいてる。何も生まれず0でいいのか、マイナスかプラスか分らず何かに手を出すのか。母を救おうとした武史は、ナンパと同じように、触らんでもいいものに触れ(過去に戻り母と会う)、プラスを得たんだろうなと。

井上、田中、増美、直子のシーンは笑えた。特に島田は上手いと思った。鄭の地雷女演技も上手い。声の調子とか素敵。
怪人21面相

怪人21面相

パラドックス定数

SPACE EDGE(東京都)

2014/09/19 (金) ~ 2014/09/23 (火)公演終了

満足度★★★★

アジト
面白い。110分。会場的に、夜公演だともっと良い感じかもしれない。

ネタバレBOX

蓮見(植村宏司)…グリコ会社役員。部落出身の父が馬車馬のように働いたにも関わらず解雇され自殺した。
鳥羽(小野ゆたか)…朝日新聞記者。海上自衛隊の機密情報が朝鮮総連へ流れたことをすっぱ抜き、干された。
幸村(井内勇希)…韓国諜報部員だったが、暗殺時にヘマをやり追われるハメに。皇居の濠で白砂に助けられ、白砂の手足となる。事を思い出すと過呼吸
になる。
白砂(西原誠吾)…元公安刑事。グリコ森永事件のブレイン。公安時の部下(現警視正?)と接触後、部下が焼身自殺したことにショックを受ける。

グリコ森永事件の犯人4人のアジトが舞台。あまり事件のことは知らないけども、作品自体が事件よりも4人の男とそのバックグラウンドに重きを置いているため支障ない。むしろ、韓国大統領暗殺事件とか部落とかの内容に予備知識あったほうがよいかもしれない。

距離感のある4人が終盤でみせる人間味がホットな舞台。特に、公安刑事だった白砂と自殺した警視正との関係とか幸村との関係とか、感情移入できないけど見ごたえある。幸村が韓国CIAを殺したため、窮地に陥る終盤、それでも幸村を助けてやると気概をみせる白砂に向ける幸村の表情が得もいえない。
組織とか会社とか社会とか「人」の集合であるものを、歴史的犯罪者たちの視点で斬っていくとこも面白い。

客席から見えない2階を使用した演出も上手いなと。声が聞き取りにくいとこもあるけど。ラスト、紙飛行機が2階から飛んできて、幸村が終息宣言文を書いたと2階へあがっていくところで幕となる〆も上手い。

毎回凝ってるチケットは今回も凝ってた。新札使うなと警察に知らせるなはウケた。
自然消滅物語

自然消滅物語

野鳩

市田邸(東京都)

2014/09/18 (木) ~ 2014/09/28 (日)公演終了

満足度★★★★

パーティー
面白い。80分。

ネタバレBOX

夫(加瀬澤拓未)が起きて妻(佐伯さち子)が入ってくる和室。お腹空いてない、何か食べたかなと言う夫に、何も食べてませんよと妻。そこに妻の後輩・マサ子(ワタナベミノリ)がチラシを見て犬を貰いに?やってくるが、二人はそんなチラシは知らないという。さらにそこにピザ屋(服部竜三郎)がピザを持ってくるが、二人は頼んでないという。犬のお礼に買ってきたケーキを妻に渡して帰ろうとするマサ子だったが、夫妻と一緒に飯を食べることになり、ピザ屋もピザあげるから一緒に食べようとする。ピザ屋の彼女・みち子(雪港)も加わり突如サプライズをしようとするが、上手くいかない。夫は見かねて段取りを始める。夫から叱責されたマサ子だったが、一転段取りが悪いと夫を責め犬語で謝れと迫る。そして犬の鳴き声に吊られ庭園に飛び出すマサ子。残された4人でサプライズを決行し、ピザ屋がみち子にプロポーズし二人は結ばれる。思い出のあつあつピザを30分でお届けすると行って飛び出すピザ屋だったが、みち子はピザ臭い指輪に驚き、帰ってしまう。
妻はケーキのイチゴを酸っぱいと食べ、夫妻はお茶漬けを食べる。妻が外出しようとし追う夫だったが、扉を開けると誰もいず、夫は横になる。起きると妻が入ってきて、夫はお腹空いてなくて、妻は何も食べてませんよといい、玄関からすいませーんと声がかかる…。

物忘れのように何してたんだっけという展開が不条理劇なのかどうか知らないけども、面白い舞台だった。キャラ5人の味付けが絶妙で、単純に笑える。細かいとこが非常に上手いと思った。
仕事帰りにゆったり観れるのがいい(座席は狭いけど)。

立ち上がりが昭和な(大正な?)感じで、中盤のナンセンス感溢れるユーモラスな舞台を経て、夫妻だけの静かな空気に戻る(ループする)ワケだけども、中盤から終盤へのつなぎ目がもっとなだらか(ナチュラル)だと、もっと感覚的にグッときたかなと思う。
デジタル

デジタル

うさぎストライプ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2014/09/10 (水) ~ 2014/09/16 (火)公演終了

満足度★★★★★

おいしい麦茶
面白い。60分。木皮成がイケメンだった。

ネタバレBOX

亀山(亀山浩史)…義肢装具士。作られた義足は兵士の足となる。色が分らない。
カナコ(坂倉夏奈)…亀山の妹。成が死んで、成のいない世界をみないよう家に引きこもった。
菊池(菊池佳南)…亀山の彼女。そじんの義足を担当。海外(戦地?)へ研修に出ることになった。花火は苦手。
マコ(小瀧万梨子)…亀山の元妻。ネイリスト。そじんのネイルを担当。
そじん(李そじん)…義足利用者。大学で彼氏に振られて開眼。ボランティア経験あり。
滋(佐藤滋)…亀山の幼馴染。パイロット(自衛隊?)で戦地に行くことに。カナコが好き。わかりやすい人。
成(木皮成)…亀山の幼馴染。目に見えるものが全てだと、ジャーナリスト(カメラマン?)として戦地へ行き、死亡。

戦争の雰囲気が漂う日本の、亀山周辺の話。
木皮成のダンス振り付けとBGMのポップさ、玉突きのような人間ピタゴラスイッチのユニークさがマッチしてた。照明もカラフルで序盤の軽快なダンスからワクワクさせてくれる。「ぎりぎりセーフ」とか演者の笑顔が素敵。

そんなダンスとは一転、話は重め。壁押しシーンの滋のカナコへの想いとか、終わっちゃう(続かない)哀しさが見えるようだった。「なんで夏休み終わっちゃうかな」というセリフのとおり、幸せが続かないやるせなさが最大限に膨らむ。舞台上で抜群の笑顔を見せてたカナコがどんな表情をしていたのか、小さな後ろ姿から滲むようだった。
ピタゴラスイッチ的パフォーマンスが続くことを表現していることの対称として、滋(他の人物もだろうけど)の哀しい想いが際立つ演出だった。

ケン・ケン・パシーンで一人参加できない(死んでる)成の、死を感じさせない笑顔のような爽やかな表情がよい加減。成の件で、戦争とか死を近くに認識している登場人物らのなんとも無いようなセリフの内側に、戦争(死)がぼんやりと存在しているようだった。
逆立ちした色がわからない亀山は、夢で色を見た成をどう思っているのかが何気に気になる。
親愛なる我が総統【ご来場ありがとうございました!次回は4月!】

親愛なる我が総統【ご来場ありがとうございました!次回は4月!】

劇団チョコレートケーキ

サンモールスタジオ(東京都)

2014/09/12 (金) ~ 2014/09/15 (月)公演終了

満足度★★★

悪魔
面白い。80分。

ネタバレBOX

ヘース(浅井伸治)…アウシュビッツ元所長。ユダヤ人虐殺を命じられ、実行する。手記をバタヴィアへ託す。
バタヴィア(西尾友樹)…精神科医師。ヘースの初審に参加。家族を戦争で亡くす。
ノヴァク(谷仲恵輔)…ヘースの初審に参加。家族を戦争で亡くす。
シマノフスキ(岡本篤)…ヘースの初審に参加。家族を戦争で亡くす。ヘースへの怒りを露にする。

裁判前に行われる初審。ヘースは落ち着いた様子で虐殺の経緯や虐殺の誤りを3人へ打ち明け続ける。3人はそれぞれの想いを胸に初審が終了。移送の前にバタヴィアがヘースにユダヤ人についてどう思うか問うが、ヘースはユダヤ人は浅はかだと言い切る。そしてユダヤ人も人間だというバタヴィアをヘースは怒鳴りつける…。

大虐殺を行ったヘースも悪魔でなく人間だと、感情とは裏腹に複雑な想いに至る3人に対して、最後の最後でユダヤ人への人種差別意識を見せつけるヘースの描き方が上手い。人間として死のう(処刑されよう)と素直で冷静に審理を受けていたヘースの内にこびり付いた悪魔的思想とヒトラーへの忠誠が爆発。一人になったヘースは苦悩し叫び、ヒトラーの名を呼ぶ…。これもまた人間というのか。

最終盤の爆発力は見ごたえあり。それまでさめざめとしてた空気が不気味に破裂する。虐殺を命じられたヘースが、物事の善悪や道義よりもどうすれば目的を達成できるかという「対応」に頭を傾けたように、目の前の問題しか見えなくなる、そんな人間の弱さと状況の恐ろしさが胸に迫る作品だった。
蕎麦屋の兄妹

蕎麦屋の兄妹

あひるなんちゃら

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2014/09/06 (土) ~ 2014/09/15 (月)公演終了

満足度★★★

男友達ver.
蕎麦が食べたくなる作品。70分。

ネタバレBOX

兄(根津茂尚)…蕎麦の味はわかんない。バレーが下手。同僚を招待する。
妹(篠本美帆)…蕎麦の味のわかる女。徳川埋蔵金探しに明け暮れる。一人暮らししたい。
スギモト(澤唯)…蕎麦屋(兄たちの父)に弟子入りした。修行したせいで蕎麦がまずくなった。
カネコ・コバヤシ・ゴトウ…兄の同僚。蕎麦を食べにくる。室内でバレーをしようとする。
モリタ・イシカワ・イノウエ…妹の埋蔵金探し仲間。モリタがリーダーに決まった。

星のホールのだだっ広い舞台を兄と妹のリビングルームにして展開するふにゃっとした作品。ちょっとふにゃっとし過ぎかなと思うけど。ニヤニヤするところが少なめでね。座席がゆったりなのは最高に良かったけど。

何気にセリ(迫)を使った単純な舞台転換がなぜか可笑しかった。あと、江崎穣の控えめな笑顔がなんか良かった。篠本のニートなダメ加減が上手かった。
クジカン×キカク

クジカン×キカク

シアターKASSAIイベント部

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2014/09/08 (月) ~ 2014/09/09 (火)公演終了

満足度★★★★

プロンプター
面白い。50分位。

ネタバレBOX

沼田(奥田努)…拓也の彼氏。
優子(川添美和・中谷真由美)…拓也の彼女。
拓也(横田純)…優子の彼氏。沼田の彼氏
賢一(佐藤仁志)…優子の浮気相手。
ストーカー(栗生みな)…拓也のストーカー。
泥棒(松田信行)…拓也宅に侵入した泥棒。拓也の家賃を盗む。

10時に劇場入りして顔合わせして配役決めて稽古して19時に開演するというチャレンジングな企画。通し稽古してないので公演時間が不明ですという案内が、ワクワク感を煽る。

作品の良し悪しでなく企画のツボにハマった。舞台製作の大変さは知らないけど、9時間でいいもの作れるハズもないだろうと。そこの不完成さ自体をコメディに変換するという趣向。セリフ忘れや色んなタイミングの不完成さがどんどん笑いを生み出す源泉って感じ。邪道な舞台の楽しみ方というのか。
けども、前半はかなりしっかりした感じだったし、後半もいい感じの崩れ具合だったのが良かった。
ワクワク感を感じられるいい舞台だった。

ゲイ役の沼田を演じた奥田は流石。ゲイ演技(特徴あるコメディな役どころではあるけど)で湧かせるだけでなく、泥棒がトイレに逃げ込もうと申し出るシーンで、「トイレに行きたいなんて言うんじゃないだろうな」と自然に客にもわかるようにセリフが出てくるとこは大笑いだった。
止まらない子供たちが轢かれてゆく

止まらない子供たちが轢かれてゆく

Cui?

アトリエ春風舎(東京都)

2014/09/03 (水) ~ 2014/09/16 (火)公演終了

満足度★★★

空気
面白い。70分。

ネタバレBOX

生徒が生徒を裁く「学級裁判」が横行する小学校での、小学生と教師と親の話。

学級崩壊だけでなく、教師も親も皆問題な要素を抱えてて歯車が狂って的な舞台。劇的な作りだけど、リアリティのある内容にも思える。作品の持つ気味悪い「空気」をうまく充満させてたし。
パンフにあるように小学生には見えないが、むしろ、小学生も教師も親も、年齢や立場は関係なく、通底しているものを描いたのかなと。嫌なものを見せてくれたという意味で面白い作品だった。
瀕死の王さま

瀕死の王さま

札幌座

こまばアゴラ劇場(東京都)

2014/09/04 (木) ~ 2014/09/07 (日)公演終了

満足度★★★

死の概念
面白い。80分。

ネタバレBOX

若い第二王妃マリー(坂本祐以)とイチャイチャしてて、国が破綻しかけて、国王(斉藤歩)もあと1時間の命という玉座の間。第一王妃マルグリット(橋口幸絵)と外科医(弦巻啓太)は、国王に生を諦めさそうと説得をするが、国王はあーだこーだとわめき散らすばかりで…。

ユーモラスな調子を保ちつつ、人生の真理的?なセリフが溢れる舞台。イヨネスコ作品ってのもあるのかもしれないけど、中盤以降の滞留した感じがどうもしっくりこなかった。「授業」は全編的に面白いと思ったけど。
演技は皆特徴的でいい感じだった。
マナナン・マクリルの羅針盤

マナナン・マクリルの羅針盤

劇団ショウダウン

シアター風姿花伝(東京都)

2014/09/05 (金) ~ 2014/09/07 (日)公演終了

満足度★★★

最強の女神
チケットプレゼントにて鑑賞。面白い。140分(休10分)。

ネタバレBOX

28歳で死んだ実在の海賊ベラミーの幼少期が一幕
黒人少年アジクが海軍提督の羅針盤窃盗容疑で極刑となることをきき、救出、他の奴隷らも含め海賊となり海へ出る。

海賊となったが、海軍らの猛攻により絶体絶命の危機に陥る二幕
羅針盤と海図、六分儀をそろえると神の国へいけるという伝説があり、くろ髭ティーチの協力もあり3つを揃えるベラミー。神の国を羅針盤が指し示すが、軍艦50隻がベラミーの行く手をさえぎり最期の戦いが始まる。ベラミーの幼馴染ピエトロも倒れ自身も銃弾を浴び海へ落ちるベラミーだったが、羅針盤の精(モリガン)の加護を得て、新たな舟とともに再生(転生)する…。

王道少年漫画チックな展開。仲間想いで実直なとこもある主人公が、まず助からないだろうって状態で奇跡が起きる。ラストの戦いシーンは見ごたえあったし、いい盛り上がりと思う。
全体的にコミカルな調子のシーンも多々あったので、もっと笑えるとこがあったらメリハリがついたかなと。
ベラミー幼少期の「友人」であり召使でもあった黒人女性(奴隷として売られた?)を、モリガンと重なるように描く手法は面白い。ベラミーのルーツであり、奇跡の布石であり、舞台に厚みを持たせてた。終幕直前に、そのシーンを再度挿入するのが上手い。少年漫画っぽい話をいい感じに引き締めていた。

セリフのトチリも若干あったかもしれないけど、つっかえるのがちょっと多すぎと思う。2時間の一人芝居だから負担が大きいのだろうけども。体力的にも終盤に疲労感があったように見える。終盤でエネルギー最大出力になるような舞台運びだったらなお良かったかなと。海賊話で男(若い男が主人公だけど)メインの作品を若い女性が2時間演じるってだけで凄いこととも思うけど、もう一段上のパワフルさを感じたかった。

とはいえ、魅力的な女優さんとも思ったし、全く違うテイストの演技(作品)を見てみたいと思ったし、おへそキレーだなと思ったし。
こわくないこわくない

こわくないこわくない

クロムモリブデン

赤坂RED/THEATER(東京都)

2014/08/30 (土) ~ 2014/09/15 (月)公演終了

満足度★★★

ちくわがかわいい
面白い。105分。

ネタバレBOX

元太(武子太郎)とやすよ(渡邊とかげ)の子供できない夫婦が近所の民家地下でキララ(川村紗也)らに会う。自称育ての親の持田(金沢涼江)から3万でキララを買い家に持ち帰る。良心が咎めるが、幸せを感じるやすよたち。元太の元恋人で浮気相手のアキ(葛木英)は元太がひき逃げして殺した子を探し、ヨリエ(幸田尚子)らに、元太の子とキララを拉致ってくる。キララの実の親もキララを探している。そんな中、一同が顔をあわせることになり…。

ネグレクトや人身売買、児童ポルノと歪んだ社会問題を材料に、気味の悪さとユーモラスなキャラクター性でひた走る作品。場面転換の歩行演出はシンプルながら、作品の気味悪さと同調してて好き。
正直、終盤まで大きなヤマがないように思え、ちょっと退屈。扱っている内容がシリアスなのだが、舞台上でのパンチが足りない気がする。
ただ、終盤の勘違いにより殺人拳法シーンは笑えた。かっこいいし。たじたじ(花戸祐介)の見せ場である、未来に賭けるってセリフが厭世的でグッときた。登場人物は基本自己中心的な作品で(現実もそうだけど)、何も知らないクララたちの無垢さに対する希望を描いたのかなと。コールドスリープから目覚めた先での、クララの爛漫な笑顔が素敵。この世がわかっちゃたよってセリフが作品をいい感じに〆てて(象徴してて)印象的。

なにげに理央(一川幸恵)の殺人拳法の表情(ラストダンス時)が妙に魅力的。
ベネディクトたち/ミッドナイト25時

ベネディクトたち/ミッドナイト25時

ナカゴー

3331 Arts Chiyoda(東京都)

2014/08/30 (土) ~ 2014/09/14 (日)公演終了

満足度★★★★

ミッドナイト25時
面白い。60分。

ネタバレBOX

女(二宮未来)…栄町在住。彼氏有。追われてハンバーガー屋の姉妹の部屋へ逃げてくる。姉の洗脳にかかるが、なんとかふっきる。ガラス片を吹いて攻撃できる。
姉(菊川恵里佳)…上中里在住。人肉ハンバーガー屋店長。母の件で女をハンバーガーにしている。牛。
妹(真寿美)…上中里在住。人肉バーガー屋副店長。姉に殺しをやめるよう説得する。牛。
追手(土田有未)…彼氏と一緒にカナダからやってきた鳥。彼氏が手羽先食べたのでボコボコにした。英語が流暢。
シェフ(古澤健)…人肉バーガー屋のシェフ。行方不明の奥さん(幽霊)に再会する。絵が趣味。鳥。
幽霊(石森愛望)…シェフの奥さん。不思議なチカラを使う。女の洗脳を解こうとする。
ローラーガール(川村麻実)…人肉バーガー屋の接客。田端のカラオケで姉に拾われる。兄から逃げてきたが姉が兄を殺したと分り帰宅する。

ストーリーはあってないような感じ。わかるようでわからん感じ。が面白い。絶叫してとっくみあって、たまにホラーでスカッとできる。仕事帰りにナカゴーはいい感じ。
女性陣の崩れた表情とゼーゼーいいそうなかすれ声に変なユーモアと恐怖がある。女の「寸劇やってる場合じゃねぇ」とか、追手の英語で恐怖しまくる女と姉妹の表情とかがとても笑えた。

(マイナーな)北区のマイナーな地名をもってくるとこがいいセンス。王子には狐がいっぱい(人間に化けている)とか、田端はタヌキとかも。
ベネディクトたち/ミッドナイト25時

ベネディクトたち/ミッドナイト25時

ナカゴー

3331 Arts Chiyoda(東京都)

2014/08/30 (土) ~ 2014/09/14 (日)公演終了

満足度★★★★

ベネディクトたち
面白い。60分。

ネタバレBOX

ベネディクト(篠原正明)…超人。清掃員。女にモテる。
シナモンアップル(日野早希子)…ベネディクトの現彼女。ライライとベネディクト暗殺を企てる。
ライライ(高畑遊)…ベネディクトの元彼女。アジアを旅して戻ってきた。日本人。
えんちゃん(鈴木潤子)…北川の彼女。ベネディクトに惚れ、味方となる。
チェルフィーチェ(北川昇吾)…ベネディクトの同僚。ベネディクト暗殺を企てる。

ベネディクト(B)ら一同がピクニックに出かける。そのバス待ちでシナモンとライライがBに襲い掛かり、北川も殺しにかかるが、返り討ちとなる。無敵に思えたBだったが、シナモンら3人から言葉で攻め立てられ追い込まれる。本気を出したBは世界を夜にし、みなを追い払い、樹となる…。

パンフ配布ミスがあり役名忘れた。ところどころでニヤニヤできるのは相変わらず。
ピークは北川とBが取っ組み合ってる脇でシナモンとライライが「殺せ」「もぎ取れ」などと盛んに暴言吐いているとこ。絶叫し続ける演技が笑いのツボを押しまくる。
Bが3人に責められるシーンもいい。もちろんクドいし。正論を数と声の大きさでやり込める理不尽さみたいなイライラ感というのか。

ラストの〆は意味わからんかったが。何気に北川の正統派な見た目とキャラ(発言や思考)のギャップがウケる。鈴木のBに惚れた演技とかも好き。乳首舐めようとするとか。
妥協点P

妥協点P

劇団うりんこ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2014/08/27 (水) ~ 2014/08/31 (日)公演終了

満足度★★★★

生徒指導
面白い。65分。

ネタバレBOX

山懸(牧野和彦)…宮武の台本の教師と生徒の恋愛が不適切との主張を繰り返す。
熊楠(宮田智康)…鼻に特徴のある教え子と結婚した。
宮武(藤本伸江)…台本執筆した生徒。語らず台本で主張する表現者の鑑。
三好(山中真理子)…山懸の同調するが、台本の修正で不眠症っぽくなる。
結城(朝比奈緑)…図書室司書教諭。山懸の行為に検閲だと迫る。

文化祭まで一ヶ月。宮武の台本が「不適切」だとして修正を「お願い」する山懸だったが、修正された台本が更に「不適切」なものになっていて、苦悩する山懸と三好。残り1週間でまだ良くならない台本に、階段から落ちる山懸。残り3日となって、宮武の台本を尊重する方向に動く山懸だったが、宮武はそうじゃないとつき放す…。

学校という小さな(模擬)世界における権力による表現抑圧。それに対抗する表現者という構図。堅苦しいテーマをかなり砕いて提示してくれる作品。権力(山懸)が、理屈の伴わない狂気っぽいおバカな描かれ方をされているのはご愛嬌か。対してじっと座ってほとんど言葉を発しない表現者(宮武)の芯のある雰囲気が印象的。
中盤で、山懸が廊下から落ちて死んで、先生は命を懸けて意見を通すことの大切さを教えてくれたと「創作」してみせる宮武が、なんとも皮肉たっぷりで愉快。
終盤でも、主張を譲ってきた山懸に、とことんやり合いましょう的に振舞う宮武が「文化祭っぽいでしょ」と言い切るとこがニヤっとしちゃう。妥協点ってタイトルのとおり、対立する物事が妥協点を探るには時間と対話が必要で、それがないといいとこに落ちないよということか。妥協って言葉にピリっとした質感を感じた一作だった。
青春再来我愛你(セイシュンサイライウォーアイニィ)

青春再来我愛你(セイシュンサイライウォーアイニィ)

かのうとおっさん

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2014/08/22 (金) ~ 2014/08/25 (月)公演終了

満足度★★★★

つるおん
チケットプレゼントにて鑑賞。面白い。110分。

ネタバレBOX

「青春再来」
村田(河口仁)…妻持ち私立高校英語教師。人生マンネリで風俗で気持ちを向上させる。
小川(井関友香)…美少女女子高生。ダンサーを目指す。袴田と付き合いだす。
山科(是常祐美)…イェイ、イェイと言ってるテンション高めな女子高生。袴田と寝た。
袴田(大沢秋生)…クラス委員長。小川に惚れたことで村田に嫌われる。
大竹(有北雅彦)…村田の同僚。やはり風俗で気持ちを向上させる。
妻(中島真央)…村田の妻。クビになった村田に嫌味をいう。

村田が小川のダンスを見て、恋して人生にハリが出る。が、恋心が暴走して転落してゆく…。
小川のNYへの夢を阻止しようと息巻く村田の言動がただただウケる。王道コメディな感じ。河口の演技もいいし、他のキャラの色づけもいい。


「いけいけのやまちゃん」
山科のスピンオフ。友人のきみえ(中島)とまゆこ(くにえださわこ)と「トヨトミヒデヨシ」のライブに行くとかテンション高い生活をおくるが、自宅では犬のコロ(大沢)だけが出迎えてくれる寂しさを感じていた…。
バンドのキャラも含めて見ごたえ十分。それでいて、しんみりできちゃう二面性もある。コロがかわいい。

「すみれ高校生徒会事件簿」
演劇部からの依頼で、死んだ音響の呪いを調査するかなこ(嘉納みなこ)とひとし(有北)だったが…。
センス0の音響に好き勝手にオペさせ成仏させるという展開。細かいとこでちょこちょこ笑わせてくれる。音響の霊が言ってた、ひとしは社会で通用しないは大いに笑った。

「ハカセ in USA」
袴田のスピンオフ。宇宙飛行士になる夢を抱えてマサチューセッツ工科大学に入った袴田だったが、女らの誘惑で自堕落になりモテなくなる。そこに地球の女(黒柳徹子以外)を攫おうと企てる宇宙人がやってくる。袴田は平凡さでモテを取り戻し宇宙人を諦めさせ、オバマから表彰される…。
袴田のキャラがすでにベタコメディだけど上乗せで面白かった。てかハカセがモテ過ぎだろと。

いい感じのコメディ集。小さなネタとガッツリ笑えるとこ両方用意してある。キャラの作りと話の絡ませ方が上手いのかな。テンポもいいし。色んな意味で安っぽくないのが良かった。
うみがめくれる

うみがめくれる

fragment edge

プロト・シアター(東京都)

2014/08/22 (金) ~ 2014/08/24 (日)公演終了

満足度★★★

うみ
面白い。75分。

ネタバレBOX

かえで(嵯峨ふみか)…高二。美術部。作品のテーマ「愛」がわからず苦戦。みやこと百合になり失踪。
みやこ(柳瀬晴日)…高二。ささから真剣に好きじゃないと突き放されかえでと百合に。哲学好き。
ささ(山本沙和)…高三。モテる。妹のちづるが好きなシスコン。なるべく人を傷つけないよう振舞うが。
ちづる(シミズアスナ)…高一。美術部。きりかに憧れているが、きりかが彼氏といるとこを見て傷つく。
きりか(青海アキ)…高三。美術部部長。モテる。彼氏あり。同性愛に理解はない。
とも(田中佑果)…高二。美術部。明るい性格。同性愛に理解はない。

ささを好きなみやこを応援するかえでは、愛が良く分らない。よく分らないがみやこと同性愛に落ち、ともに現場を見られ失踪する。
女子高の話と小魚(嵯峨ふみか)が地上を目指す海中の話が交互に演じられる。小魚と傷を負った白魚(柳瀬晴日)が地上を目指し、最終盤で二つの話が混ぜ合わされるという構成。かえでとみやこが、幸せになるかどうかもわからない未踏の領域(同性愛)に踏み込んで幕。

百合ってテーマ自体に魅力はあまり感じないけど、要所を押さえた舞台展開とか、海中の話の幻想的な空気と学園シーンのメリハリ感でもって飽きずに見ていられる。骨組のしっかりした舞台だった。

かえでとみやこの関係が中心だけど、なにげにささとちづるの関係が見ごたえある。妹を大事に想う姉と自立心の芽生えた妹。先輩への憧れと現実を目の当たりにしたショック。姉は姉で、人を傷つけないようにしてきたことの考えに揺るぎが生まれみやこに率直な指摘をぶつけ、傷つく。
ラスト、失踪したみやことかえでが裸足で飛び込むシーンも美しいけど、この姉妹の若若しさというのか不器用さというのか、に心惹かれた。

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