満足度★★★
スイートピー
面白い。60分。
ネタバレBOX
会社の先輩の結婚式での余興について、鍋つつきながら手話と筆談を通して話し合う女三人。色恋沙汰や微妙な気持ちのぐらつきもありつつ、無事結婚式で、手話付きの「赤いスイートピー」を歌い上げる…。
人物とか自然な描き方で、障害者との接し方とか筆談をもどかしく思うとことか、上手いなと。聴覚障害の多香子(稲森明日香)と親しいかず代(向井咲絵)が同じ人を好きだったとわかるとことか、結構面白く感じたけど、もうちょい劇的に仕上げてもいいとも思った。終盤の暗転とか、ちょっとテンポ悪く感じたかな。
満足度★★★★★
ghj
面白い。30分×3人。
ネタバレBOX
「わたしの未来」西原希蓉美
付き合ってた彼氏との紅葉狩り中にがけ崩れが起こり、身代わりとなった彼氏は半身不随になってしまう。意思表示ギリギリな彼氏は、両足を切断し、更に両腕も切断する(コミュニケーション不能)こととなり、西原は悲しみに暮れつつ明るく振舞う。両腕切断手術の前、西原の誕生日に何かあるという彼氏のメッセージにドキドキする西原は、誕生日当日、世の中の電化製品から以前共作した二人だけの歌が流れているのを聞いて、幸せに包まれる。
という一連の話を、ハッカー容疑のかかった彼氏のため、法廷で馴れ初めを語り歌うというスタイル。彼氏への愛情溢れる西原の演技と表情が眩しく、その裏の悲劇が引き立つ舞台。ハッキングにて歌が流れるというシーンは、最初超現実的なシーンかなと思ったけど、意外と現実的(半身不随者のハッキング能力がどれほどのものが知らないが)だった。なんにせよ、心温かな作品で気に入った。
「あのとき」泥谷将
あのときああしてれば、なんてナンセンスだと、ああしてなければ今の自分はなかったと思っている男。小学校の時にセクハラな告白をして、女性に距離感を持ってしまう。そのせいで中学校で恋した女になかなか告白できずにいたが、意を決して告白するも「遅い」とフラれてしまい、部活に勉強に(別の女との恋愛に)邁進した生活を送り、満足感を得て今に至る。中学校で告白していなかったら(陰ながらネチっこい視線を送るだけ)、劣等感溢れる陰気な人生を送っていたと、陰気な自分を責める。が、陰気な自分からお前も同じだろと、逆に攻められ、中学校での最初の告白を早くしていた場合の充実した自分の姿を見て、苦悩する。
グサっと刺してくる恐ろしい作品。泥谷の機敏な動きとスピーディな展開、セリフ回しに場面転換のスムーズさなど、得もいえぬパワーに満ちた舞台だった。傑作。
「シロとクロ」米山真理
クロという犬とシロ(米山)の喜びと悲しみの日々を描く。
BGMにのせて発せられるセリフが心地よく、米山の溌剌とした笑顔から幸福さがひしひし伝わってくる。リズミカルで軽快な感じが、動きともあっていい塩梅の舞台だった。
三作品ともテンポのよさが特徴的で、30分あっという間。「あのとき」「シロとクロ」のキビキビしたパフォーマンスもいいし、「わたしの未来」の情緒のある歌唱パフォーマンスもいい彩だった。2600円でいいもの観れたと思った。
満足度★★★★
聖戦
面白い。95分。
ネタバレBOX
石川(前原瑞樹)…1年。高校で童貞卒業済。
斉藤(野田慈伸)…次期副会長。22歳童貞。文のことが好き。
浅井(木下崇祥)…DJ研究会と兼務。コンドーム持参。
細川(山科圭太)…OB。前会長。関西弁。洋子は彼女。
小川(近藤強)…社会人学生。離婚暦有。
麻央(菊池真琴)…1年。バッグにコンドームを忍ばせる。
沙織(高田郁恵)…次期副会長。洋子と文の仲立ちに四苦八苦する。
文(長井短)…1年。麻央の親友。トンがってるファッション。
洋子(森岡望)…OG。麻央が細川にベタベタしていることが気に入らない。
店員(玉田真也)…カラオケ屋店員。高卒。
とあるサークルの選挙後の飲み。男だけでの悪ノリ、バカ騒ぎなシーンと、女だけのジットリしたシーンの後、男が女のバッグを漁っていたことが発覚し、テンションだだ下がりになるという話。
洋子の文とのバトルシーンの沙織が、いじらしくて面白い。
歳童貞の斉藤は、メリハリのあるキャラクター(と演技)でいいアクセントだった。その斉藤が童貞とわかった際の石川のやや上から目線もいい。
バカな感じと微妙な人間模様を堪能できる、単純にいい作品だった。
満足度★★★
弱者の人権
面白い。95分。
ネタバレBOX
暴対法のあおりで、お得意先のヤクザにピザを販売できなくなったピザマッチョの山口店長。そのヤクザの不幸話に同情し、隠れてピザを販売していたが、むしろ問題行為として警察沙汰になる。熱烈なピザ愛からヤクザの嘘を許した店長だったが、結局ヤクザを続けるというヤクザに雇用してくれと頼まれ、難色を示す…。
題材がとっても面白い。ヤクザという社会のクズの「人権」という観点で、色々考えさせてくれる。ただ、発言での意思表示がすぎる気もする。ストーリー的な面白さももう一声ほしい感じもするし。
バイトの松葉の言った、弱者(ヤクザ)は人権以外で守られていないというのは、中々突き刺さった感がある。人権こそ、最後の砦(セーフティネット)なのかしら。
満足度★★★
サワガニ
面白い。90分。
ネタバレBOX
柴「死なない死体」
北村恵に刺殺され、穏やかな心持ちの死体(吉田亮)。そんな死体にあっち行けと性格の悪い北村は、死体処理のため、吉田の友人の柳沢茂樹を呼ぶ。北村の態度にイラだった柳沢は北村を殺す…。
死体との会話ってだけでもいいシチュエーションだけど、北村の悪態ぶりがほどよく気持ちいい。笑えるし。穏やかな死体との対比もよい。
柴「おばけ指南」
とある閉館後のおばけ屋敷。ヤル気のないおばけバイトの有吉宣仁は、おばけ演技に熱のある濱野ゆき子にダメ出しされイヤ気が差している。そこに濱野に彼氏を殺されたと思い込んでる名児耶ゆりがやってきて、有吉におまえも殺されると忠告する。期待していると濱野に説得された有吉はおばけを続けようと奮起する。一方、名児耶に刺された濱野は、おばけとなり名児耶に恨みを晴らそうとする…。
一番ホラーな作品。それでいてけっこう笑える。そこらへんのバランスが良かった。
鳥山「スプリングス(ピーク)(ブリッジ)」
二作品。地続きなのかよくわからんかったが、ワワフラミンゴな作品。ホラーなのは最初くらいな感じだけど、女子二人の会話シーンは楽しめた。風で吹き飛ばされる演出はウケた。
ふじき「クリーミーマミ」
双子の生まれた吉田、多賀麻美夫妻宅に多賀の弟(有吉)とその彼女(濱野)がやってくる。そこに、近所の変わり者で男児殺人の疑いのあった男(柳沢)とその妻(島田桃依)がやってきて、多賀夫妻は落ち着かない。帰り際、双子の片方をもらうと言い出す妻に激怒する吉田だったが、霊感のある彼女が、男児殺人は吉田が犯人だと言い出す…。
実は、彼女と柳沢夫妻はグルだったというオチ。柳沢夫妻の気色悪さは上手いと思うが、もうちょいアクの強さがあると良かった。
満足度★★★★
解散
面白い。105分。おまけ演劇10分位。
ネタバレBOX
岳人(加藤岳史)…117のオーナー。色々試行錯誤し経営建て直しを図るが2016年夏、閉館となる。
龍範(後藤剛範)…バイト。亮介のネーミングライツ話にのる。
裕太(河西祐介)…バイト。沙希子と付き合うも、里子と浮気し別れる。
沙希子(大竹紗絵子)…バイト。裕太の浮気に気づく。内川とちょっといい感じだった。
竜二(林竜三)…117の元オーナー。岳人の父。引退後、認知症を発症する。妻にプロポーズした日をシアター名につけた。
奈美子(藍屋奈々子)…竜二の娘。岳人とともに経営を行うが、発展的な岳人のやり方に懸念を示す。
綾香(望月綾乃)…岳人の妻。妊娠するも出産まで漕ぎつけられなかった。後に子持ちの人と再婚した。
亮介(松本亮)…龍範の悪友。刑務所帰りで保育士となった。ネーミングライツの金を持ち逃げした。その後、死亡した。
エイミー(えみりーゆうな)…亮介の彼女。フィリピン人。亮介の棺に岳人から託されたミニ四駆を入れる。
内川(前田昴一)…画家。117で個展を開き、コラボった里子と結婚する。
里子(笠井里美)…歌手。裕太と浮気しつつ内川と親しくなって瀬戸内海へ移住した。
会場の711を彷彿させる、シアター117が舞台。映画だけでなく色々とやって演劇の会場まで手を広げる(広げざるを得ない)が、終に閉館するまでを描く。
プロローグで竜二の引退を祝い綾香の懐妊を喜び、明るめなトーンで始まるも、愛憎とカネで次第にどんよりしていくという流れ。閉館になって片付けをする際に、微妙に再生感もありつつエピローグ?に突入し、117が生まれる日の二人を描くという構成。過程があってこそではあるけど、終わりと始まりに印象深さを置いた感じで、まとまり感のある舞台だった。
花まる保育園シアター117ネタは、けっこうウケてた。王子小劇場が閉館しないといいなと思う。
あまけ演劇は相変わらずバカでシモネタな感じ。「ダルビッシュ沙絵子」は毎回同じ名前なのかな。
満足度★★★★
りんご220個
面白い。50分。
ネタバレBOX
35歳でアイドルスターになったトール(佐藤達)。ライブをやってもファン一人という体たらくで、マネージャーの関村(関村俊介)もあんまヤル気なく、ついに卒業となる。唯一と言っていいファンの渡辺(渡辺裕也)は、妻がいながらトールの旅に着いていこうと思い立つが…。
ゆるくて愉快な芝居。1800円、50分にマッチした気軽さが魅力。しじみ関係の仕事をしてて友達いない(けど奥さんはいる)渡辺さんが、いちいちかわいい。素朴な喜怒哀楽なとことか。
傍目にはキモい、中年男子の演劇だけど、いい雰囲気が作られてて満足した。
満足度★★★
R
面白い。135分。
ネタバレBOX
オノマリコ「DOG」
疾病抱えて自分の子供をつくりたくない女性と飼い猫(去勢済)が部屋で戯れつつ、女の独り言が始まる…。
妊娠への嫌悪とか厭世感漂う作品。同属嫌悪という言葉もあったが、野良犬に自分を見たのか、女が失踪して終幕。どんよりしたやや病的な印象。象徴的なとこは好きかな。
モスクワカヌ「だるまかれし」
戦争で手足を失った男の妻、自称シリアルキラーな女、発達障害に苦しむ女の三人を描く。
いまいちピンと来ない。シリアルキラーな女のとこは面白味を感じたけど。
坂本鈴「絶対恋愛王政」
とある高校の、お嬢様な生徒会vsアニオタサークルの話。ラムちゃんコスプレの生徒会長とアニオタリーダーの恋愛成就までを描く。
前半のくだけた調子から、双方の性質を認め合い、自身も成長し、カースト?の垣根を越える愛が芽生えるという展開。テンポも軽快で展開も面白かった。
黒川陽子「幻燈」
保健会社のサラリーマンな男が、同僚の不当解雇に怒り社長に直訴。クビとなる。心配する妻に実はクビになったのは、自分の隣の男だと打ち明ける…。
活弁要素を盛り込んだ作品。映像自体結構面白く、ちょっとしたミステリー?(藪の中的)な感じも味わえる。それでいて、仕事に追われ赤子にも碌に会えない人生とか生活のこととかに悩む一般男性像を描き、現代の多忙な社会性にも切り込んだ、バランスのよさもある。若干のコメディさと家族愛、仕事感の盛り込まれた舞台で、結構よかった。
満足度★★★
不眠普及
70分。
ネタバレBOX
前回上演時にも観たけど再度。前回と違って?三人の女性でストーリーを紡いでいく感じ。
話的な面白さはあるけど、イマイチのれなかった。不気味さみたいなのがもっとあってもいいかも知れない。単純に、前回の女優さんの異様な演技が気に入ったというのもあるけど。
満足度★★★★
ありがとう
面白い。120分+AT30分。
ネタバレBOX
役所から指定管理を受け運営している、福祉的NPO。立ち上げからのスタッフ・春山(辻美奈子)の夫が盗撮で捕まり、NPOの存続とか春山の辞意への懸念に揺れる。加えて、妙な相談者の三田村(富田真喜)とか、DVも懸念される相談者の夫・原口(小林智)もやってきて、所長(能島瑞穂)の悩みは尽きない。微妙なとこでは、非常勤スタッフの志村(島田曜蔵)のスタッフ・児玉(堀夏子)への片思いや、サポーター鮫島の義理の息子・たかし(河村竜也)の再就職支援もあって、センターはとてもせわしない…。
淡々とした感じと、ちょいちょいピリっとした空気の二時間会話劇。そんな中にあって、志村とたかしのネタはウケた。スーツの決まってるたかしの、ゆるキャラな動きを想像すると笑える(アフリカの人権蹂躙話でエピソード自体、引き締まってるけど)。
防音遮音な面談室の使い方も面白い。現実とは別世界の戦場のような、教会の懺悔室(というのがあるか知らないけど)のような、ちょっとした異質感があって。扉が開いて、こちらとつながる際の緊張感のようなものが見え隠れしてて。まあ、こっち側はこっち側で、色々と悩める人々で蠢いているんだけど。
時代の移り変わりとか人の感覚の遷移とか、ちょこちょこ感じさせられる作品。
満足度★★★
キス
面白い。30分。
ネタバレBOX
女子高生(玉置玲央)は、国道4号線沿いに住む先輩に恋し、陸上の部活も頑張り、勉強にも精を出すパワフルな生活を送る。先輩と同じ大学を受けるも落ちて先輩ん家に行く途中、陸上の先輩?らにボコされ血だらけになる。先輩からはオデコにキスを受け一度帰るも、1,000円出して口にキスをもらうため、再度先輩宅を訪問しようとするが…。
終盤の展開と調子は、柿喰う客っぽさもあり、いいトーン。女子高生の狂気も混じって異様な殺気が満ちてて良かった。前半はもうちょい、惹きつけるモノがあるとなお良いかな。つまんなくないけど。
なんか、命がけの青春劇という異次元さは気に入った。ラストのぶっ倒れながらの暗転も、印象的。
満足度★★★★★
エンドロール
面白い。80分。
ネタバレBOX
モモコ(山脇唯)…高校時代、SEX目的な彼氏を拒否ったため、嫌がらせを受ける。ケンジロウと付き合うも、なかなか会えず欲求不満が溜まり、シゲオに迫ったり、ヘイスケに迫ったり。結局、他の男と結婚して幸せになった。
シゲオ(竜史)…東京行ってサークル入ってヤリまくるんだと宣言してた。自分嫌いの人好きな男であることをアヤナに見透かされ、寂しがり屋な側面を自覚する。SEXはあまり好きじゃない。ブスで童貞卒業した。
ヘイスケ(古木将也)…高校時代からモモコに片思い。モモコに迫られた際もキスだけで終わり、友達だからと思いを隠し続け、手紙のシーンでも友達として居続けた。シゲオらの結婚式前に彼女ができた。
アヤナ(湯口光穂)…シゲオら仲間のことをよく理解している。シゲオへの想いに気づき、結婚した。性欲は強い。
ケンジロウ(斉藤マッチュ)…なんだかんだ付き合いの良い不良。浮気し続けモモコとは破局。アヤナらの結婚式のエンドロールで、その人の人生にいたんだなと、感動した。
友達5人の友情愛情な話。75分程度の短さの中で揺れ動く5人の心に光を当てて、成長物語的(ロードムービー?)な、感じで語りかけてくる作品。
ヘイスケの中に溜め込んじゃうとことかSEXを拒否しちゃうとことか、シゲオの自分嫌いだけど人は好きでいつまでも一緒にいたいと思っちゃうとことか、どこか子供な感覚な人物像が、こっちにライト当てられたみたいで恥ずかしい心持ちにさせてくれる。童貞非童貞ってステージを越えたとこでのやりとりに、心がキューっとなった。
友情的な意味でも、ヘイスケの結婚式で5人集まったらいいなと思わせるとこがいい。なんか眩しくて、いい作品だった。
満足度★★★
結束
面白い。100分。
ネタバレBOX
性格悪いがサッカーが上手い、御器(長尾友里花)、佐反町(七味まゆ味)、白峰(葉丸あすか)、比留(福井夏)の同期4人は、4vs11の不利も吹き飛ばし先輩ら蹴散らすが、公式戦に出られず困惑する。と同時に、4人の結束は深まり練習後はカラオケでレズり合い、結束は増していく。2年3年と進級し部員も増えるが、色恋沙汰で結束は弱まり不穏な空気が増していく。しかし、アベックメソッドで結束を取り戻した一同は、輝かしい戦績を収めていく…。
アップテンポな作品で、異色ながらも青春を駆け抜ける感はある。ドロドロしてて、爽やかでないけど。程よいコメディ感もあって飽きない。
女の同性愛、女の結束、女の友情、愛情という、やっかいそうなトコを主軸に、エンタメな舞台に仕上げてて楽しめた。終盤、真今井(松永渚)が恋愛禁止と極端に走り、さらなる好成績を修める皮肉さも○。そして、そこに若干の寂しさが残るのも良かった。
満足度★★★
安倍
面白い。110分。
ネタバレBOX
白川(松本大卒)が店長候補なコンビニ。世間は、明日の憲法改正国民投票で賑わっているが、白川はバイトのドタキャンや売り上げ低迷、廃棄食料不正などでそれどころじゃない…。
国を想う気持ちと店を想う気持ちを重ねつつ、ドタバタしていく舞台。ちょっとダルさも感じるテンポで、もうちょいスリムな作りのほうがいい。笑えるとこもちょこちょこあるけど、スカっとするまでいかないし。
終盤で、野村(米田弥央)や荒井(和田千裕)に改憲是非を語らせるのも、やや野暮ったいと感じた。
小松(藤本紗也香)の、いかにもコンビニバイトそうな若者演技は上手かった。白川の起こし方のとことか笑った。
満足度★★★
洗濯機
面白い。80分。
ネタバレBOX
「クリエーター」
色々言い合ってたときが幸せだった九(板橋廉平)は、堅苦しくなった今がイヤになり洗濯機に洗剤ぶっこんでは選択する毎日。妹・十八(杉浦実佳)は今の方がいいと思っているが、ひょんなことから火事を起こし、九は洗濯機に執着したまま焼死する…。
「プロメテウス」
九の父・六彦(村尾俊明)は、百合(染谷敬子)のアロマキャンドル教室でアロマの魅力に取り付かれるも、妻・三代子(石田雅利絵)からはダメ出しされてしまう…。
「デトックス」
合コンに勤しむ千尋(佐瀬恭代)に対し、デトックスに金をかけて王子様の出現を夢みる一美(榊木並)。千尋はスポーツクラブの十樫(小黒雄太)に片思いし筋トレに励むが、体調不良を起こした一美の方が十樫と近しくなってしまう…。
「デコレーション」
医薬品デコラジックを愛用する、自分に自信の持てない八木(高野アツシオ)にそれじゃダメだとインストラクターの十樫は言葉を投げつけ八木は、デコラジックに依存していく。八木を取材するAD五樹(工藤佑樹丸)も、妻との関係(と自分の気弱さ)を嘆きデコラジックに手を出すが、妻からダメ出しされ困惑する…。
「ロンダリング」
五樹の上司で百合の夫の七海(関幸治)は、妻から離婚を切り出され仕事ではやっかいな難題を抱え悩んでいる。たまたま出会った九に洗濯をお願いすると難題は無くなっていて、七海は歓喜する。しかし、九と出会った日のパンツ(童貞を捨てた際のパンツ)を洗濯することで、無くなったことになってたすべてが元通りになってしまう…。
各短編が微妙につながり一編の作品を構成する舞台。しっかりと組み込んであって、見ごたえあった。もうちょいテンポ良くしてほしい部分もあり、メリハリ利かせてほしいと思う部分もあるけども。
九の絡む話とか、「デコレーション」は、やや重めな感じなので、ここらへん膨らまして終盤に繋げてもいいかなと。個人の好みの話だけど。
ラストの水モノ含め、舞台セットとか、しっかりしてた。彼らは、しっかり洗われたのかな。
チラシの案内含め、ホスピタリティ高めで、そこらへんは好感。
満足度★★★
報告
面白い。80分。
ネタバレBOX
上司(石川彰子)…移民の男の教育係。色々苦労する。
事務員(坂倉奈津子)…移民の男がちょっと好き。
社員(藤松祥子)…派遣の男と付き合うも、放置され気味。
移民(代田正彦)…移民の男。ポルトガル語しかわからないが、けっこう一生懸命。事故の責任を感じる。
派遣(中藤奨)…ヘラヘラした派遣男。代理店の女をクドく。事故の責任を取らされクビに。
代理店(藤松祥子)…上司の妹。スペイン語が堪能で、移民とも会話できる。
新移民(石川彰子)…事故後、雇われた移民の女。デキる人。そのあおりで、派遣は追いやられることに。
隣の男(中藤奨)…禁煙な屋上でタバコを吸う男。
移民の雇用が進む社会で、現場ではちょいちょいトラブルな感じの日々が繰り返されるとある工場で、社員(日本人)と移民のコミュニケーション不通で事故が起こる。そうしてその責任を派遣社員が引き受けさせられ、有能な移民社員が一人増える…。
今の時代と近未来を感じさせる不思議な味わいの作品。淡々としつつもどこか力強さがあって、面白く感じられた。上司や事務員、社員の低調な会話トーンとか好き。移民を抱えた職場の閉塞感みたいなのもじわーっと伝わってくるようで良い。新移民のハキハキ加減も気に入った。
短めな公演時間でも全体的にユニークで、けっこう良かった。
満足度★★★
命
90分。
ネタバレBOX
淡々と始まり、進んでいって、男(太田宏)がタイムリープしたということがわかる。リープのタイミングは舞子(小瀧万梨子)が死ぬこと。そんな背景があって、複数の男女の愛情関係が描かれる…。
どこかすんなり入り込めない感じの作品。人物に興味を持てなかったせいかな。
満足度★★★★★
血
面白い。110分。
ネタバレBOX
資産のある美樹本家。祖父はボケ老人ながら好色家で、長女・春野(猫田直)は精神疾患を患い、春野の3人子(父は不明)のうち、謙人(祁答院雄貴)は厭世的で佐季(福永マリカ)はトラブルを起こしては家族の困る顔を見て楽しんでいる。長男・夏彦(斉藤悠)は美樹本の穢れた血を呪い子を作ろうとしない(笙子の血筋を知り更に決心を固くする)、秋良(秋澤弥里)は夫・保雄(杉木隆幸)に当たりちらす毎日。そんな美樹本家にあって、笙子(高橋恭子)や一季(秋月三佳)は、まっとうな精神で家を出るかどうか悩み続ける。佐季に祖父が殺され、会社にも怪文書が届き、ワケありで家を出た三女・冬子(奥野亮子)がやってきて、祖父と冬子の間の子は堕胎せず生きていることがわかる…。
まっとうな人間が蝕まれていく様の描き方や蝕んでいく空気の作り方が上手い。美樹本家の穢れた「血」というのが、非科学的な感じもあるが、いかにも呪われているようで、恐怖を覚えるくらい(奥の間のご先祖の遺影も不気味)。いや~な感覚が蔓延してるいい作品だった。
ラスト、先に笙子を送り出し、美樹本家とケリをつけようと、深夜家に火を放つ一季。そこに。佐季から電話がかかってきて青ざめる一季に、佐季の部屋で寝ているのは笙子だと、佐季は告げる。
うーん、気分悪い。けど、いい感触。上手いなと思う。一季も、アンタを殺すと、内に黒いモノを携えながら終幕するという、ダークな作品に満足した。
満足度★★★
セツコ・ハラ
75分。
ネタバレBOX
ブレーキ(赤星マサノリ)とオカマなオリーブ(坂口修一)は、うまく脱走するが、捕まり再度投獄される…。
思ってた以上にコメディな作品。ちょいちょい笑えるが、突きぬけ感はないかな。東京物語を知らないとかも影響しているかもしれないが。
満足度★★★
バッドエンド
面白い。110分。
ネタバレBOX
イクオ(泉政宏)…ミステリーのドラマ作家。バツイチ。コズエと子を作らない約束してたが、サヤカを孕ませる。ナツコも孕ませ、堕胎してと願い出る。
ナツコ(根本宗子)…イクオの妻。イクオとの約束で子を作らないとしたが、最近欲しくなった。結局、イクオとは疎遠に。
ゲンキ(中田麦平)…イクオの階下の住人。イレズミなシングルマザーと浮気したことを責められ続ける。サヤカの子が自分の子でないと知りつつ、二人で育てようと決意する。
サヤカ(田中のり子)…ゲンキの妻。メンドイ女を自認する。
コズエ(名嘉友美)…イクオの元妻。イクオとの間の子を育てるシングルマザー。イクオとは、仕事のパートナー。
ひょんな関係から、スワッピングに乗り出し、夫婦仲が好転する両夫妻。しかし、双方が妊娠することで、関係が崩れていく…。
倦怠期夫婦の再生と破滅とちょっとだけ前向きな作品。コズエとイクオとナツコの気持ちが、裏側でうごめいて、なんとなく空気が滞留している舞台。一方のゲンキ夫妻も、どこかしっくりこない展開。大人な空気を纏った作品で面白くもあるが、ちょっと言葉が過ぎる気もした。
あと、手前の舞台が見にくいのが残念。