ソウル市民五部作連続上演
青年団
吉祥寺シアター(東京都)
2011/10/29 (土) ~ 2011/12/04 (日)公演終了
巌流島でまってるね
劇団FREE SIZE
ザ・ポケット(東京都)
2011/09/22 (木) ~ 2011/09/25 (日)公演終了
満足度★★★★★
笑って泣いて笑ったオススメの舞台!!
今年も劇団FREE SIZEらしく、笑いあり涙ありのおもしろい舞台だった。何より、笑いに対して押し付けがましいところがなく、俳優それぞれが与えられたキャラクターを通し、誠実にまっすぐに演じる姿は好感がもてる。題材は、宮本武蔵を取りまく人間模様の時代劇でありながらも、オリジナルの脚本でポップな作風の背景には、人間の本質と普遍的なテーマが散りばめられており、感情を揺さぶられる作品であった。
主演の武蔵役、前内孝文と又八役の末野卓磨は、ゲスト出演としての貫禄と若手人気俳優に見合う華も兼ね備えていた。昨年に続きゲスト出演した大久保ター!も、独特なキャラクターを自らのものとし確立させていた。 5人の町の男性陣は、稽古量に比例しているであろう安定感で物語の解説と進行を担った。 又、劇団のベテラン俳優、橋倉靖彦も芝居のスパイスとして魅力を存分に発揮。副島しんごとの辻風兄弟ペアは絶妙におかしかった。劇団の得意とする殺陣に加え、アクションに重厚感を出していたのは織笠福之。役作りにも一貫性があり、昨年より遥かにおもしろ味が増していた。そして、新人のお空役の都は、良い意味でフレッシュ感にあふれ、裏の主役ではないかと思わせる程に舞台上でキラキラと輝いていた。セリフの声を的確に観客に届けるという基本を実行させることの大切さも示していた。
大型台風の影響は大きかったのだろう、本番までの段取りに遅延が生じたのか、初日に鑑賞した故なのか、全体的な精度に欠けた感は否めなかったのが残念。特に、制作の運用におけるチケット整理券配布のノーアナウンス、雨の中での会場待ち等改善の余地はあったはず。又、演技面においても、俳優陣の実力の差を埋めるまとまりに乱れを感じる箇所が垣間みられ、芸能プロダクションがバックアップする際のメリットデメリットに課題が残った。千秋楽に向けての向上を期待すると共に、再度、足を運んで観てみたいと思える充分な見応えある公演であった。
父が燃える日
劇団青年座
青年座劇場(東京都)
2011/09/14 (水) ~ 2011/09/19 (月)公演終了
満足度★★★
THE家族劇
家族の断面を様々な角度から垣間みれる舞台だった。
ザ芝居、ザ演劇を純粋に心地よく楽しめた。
それは青年座という歴史ある劇団の実力だからなのか、
もしくは脚本の力、演出家のマジック、俳優陣の力量なのかが明確にわからないところが今回の魅力であった。
家族とは絶対的なつながりの中で温かく、そして、はかないものである日常の積み重ねを、『父の還暦を祝う旅行』というイベントを通してそれぞれの人間の心理が最後まで綿密に描かれていた。何気ないことが切なくおもしろかった。最後の60本の蝋燭を吹き消すシーンは、結末を予想できながらも、人々の家族に対する素朴な理想像への願いが込められているようであり、見えない一体感を体感することができた。
ケネス・マクミラン振付「マノン」
小林紀子バレエ・シアター
新国立劇場 オペラ劇場(東京都)
2011/08/27 (土) ~ 2011/08/28 (日)公演終了
満足度★★★★
貴重な演目バレエ『マノン』
英国ロイヤルバレエ団の傑作の一つ、マクミラン振付のバレエ『マノン』を、小林紀子バレエシアターは見事にオリジナルの演目として消化していた。
マノン役、島添亮子は、映画『ブラックスワン』のニナ役と重なる要素を持ち合わせ、真面目さ故のつまらなさを感じていたが、洗練された踊りの技術とひたむきなキャラクターのイメージは、日本での新たなマノン像を創りあげていた。わかりやすい色気を排除することにより、逆に女の無意識の中に隠れるいやらしさを浮き出たせていたように思う。残念ながら、レスコーとレスコーの恋人役は重要な役柄でありながらその演技力はコピー止まりであり、ウィットに富む酔いながらのパ・ド・ドゥで観客を引きつけることは出来なかった。今後の再演に期待。看守役の冨川祐樹が好演。完全に役を演じきり、悲劇に向けての最後のオブザーバーをつとめ物語に厚みが増した。日本でのマノンの上演が増えることは嬉しい限りである。
ONEMAN
ルドビコ★
サンモールスタジオ(東京都)
2011/01/26 (水) ~ 2011/01/30 (日)公演終了
満足度★★★
続編も期待!
3部構成の流れは、短編小説のような良い意味での軽さがあり非常に観やすかった。それ故、ストーリー展開における流れの甘さや音響面での演出の荒さが随所に気になってしまったのが残念。全体的にもう少し洗練された感があれば独自のファンタジー性も明確に際立ったのではないかと感じた。
その中で、カリスマ性の高い俳優MARCOが中心としてしっかりと物語を引っぱり、ペアとして上谷佳澄の計算された抜く演技も好感が持てた。
役を演じきる、という面においては断トツ三森淳子が実力を発揮。
続編を観てみたいと思わせてくれる作品だった。
トキワ荘の夏
劇団俳小
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2010/09/29 (水) ~ 2010/10/04 (月)公演終了
満足度★★
演出家のための育成公演
日本演劇協議会「次世代を担う演劇人育成公演」が背景とのことで、
それ以上でもそれ以下でもなかった。
題材は非常に興味深かったが、脚本自体で魅力半減。
更には、抑圧され過ぎている(と感じる)俳優の演技に、
俳優の育成公演というより、演出家のそれにあたる練習台と感じられてしまったのが残念。演出家は誰に対して何を媚びたかったのだろうか。
藤本&愛甲役のペア、駒形亘昭と大庭光皓が好演。
島本役の手塚耕一もアクセントとして全体をしめた。
2役こなした岩岡光美の漫画的なキャラも好感度有り。
キラキラとした原石を垣間見れたのが唯一の救いだった。
椿姫
公益財団法人日本舞台芸術振興会
NHKホール(東京都)
2010/09/16 (木) ~ 2010/09/22 (水)公演終了
満足度★★★★★
最高の幸せ:代役でアンナ・ネトレプコ!!
世界中のオペラファンに自慢したい夜でした。
当日の会場でのキャスト発表で見たアンナ・ネトレプコの名前!!
度重なるキャスト降板の知らせの上、良い公演情報があまり入ってこなかったので、正直、期待してなかった中でのサプライズ。
素晴らしかったです。とても幸せな時間を過ごしました。
ネトレプコのヴィオレッタは、他の誰かと比較するものではなく、
ただそこに、命果てるまで本物のヴィオレッタが存在していました。
↓
【転送記事】
英国ロイヤル・オペラの18年ぶりの日本ツアーも、明日最終日を迎えます。
今回の「椿姫」においては、大変残念ながらアンジェラ・ゲオルギューが愛娘の手術に立ち会うことを余儀なくされ降板せざるを得なくなってしまいました。彼女の降板の意志はたいへん固く、それからすぐに私たちは代役探しに奔走いたしました。そしてエルモネラ・ヤオを確保することできました。ところが、彼女は初日と3日目の公演で、突発性のアレルギーによる音声障害によって、第1幕のみで降板するハプニングに見舞われました。両公演にお越しいただいた皆さまには、このような予期せぬ事態になりましたことを、心よりお詫びしたいと思います。
当初、ロイヤル・オペラとしてはゲオルギューの降板をうけて、あらゆる可能性を考え、アンナ・ネトレプコを含め、さまざまな歌手にあたりました。当然、ネトレプコは今回「マノン」に出演していますので、全公演には出演できません。しかし、通常中2日休んで出演しているところを、「マノン」の最終公演を無事歌い終えた後に調子がよければ、(中1日しかなくても)「椿姫」最終公演のみ歌えるかもしれないとのことでした。ですから、我々も最終決定を今まで待たなくてはなりませんでした。
ロイヤル・オペラとしては、二度にわたるエルモネラ・ヤオの途中降板をうけ、再びネトレプコに打診しておりましたところ、ネトレプコから明日のヴィオレッタを歌うという確認をもらいましたので、ここに皆さまにお知らせしたいと思います。
ネトレプコはすでに2年前ロンドンにおいて、このリチャード・エア演出の「椿姫」に出演し、大成功を収めています。
日本の観客の皆さまのご理解をお願い申し上げます。明日の英国ロイヤル・オペラの日本公演の最終公演をお楽しみいただければ幸いです。
英国ロイヤル・オペラハウス
オペラ・ディレクター
エレイン・パドモワ
バカとロミオとジュリエット
劇団FREE SIZE
ザ・ポケット(東京都)
2010/07/07 (水) ~ 2010/07/11 (日)公演終了
満足度★★★★★
オススメです♪
とても面白かったです!
今まで数々の小劇場の芝居観てきましたが純粋に楽しめました♪
主宰のコンセプトにある、『芝居を観た事のない人が観ても面白い作品』の通り、非常にシンプルでわかりやすく、俳優の台詞と共にダイレクトに身体に伝わってくる作品でした。
かといって、ただ単純で浅いわけではなく、人間の本質を鋭い視点と客観性をもって見つめ、何度も何度もフィルターにかけた結果、笑いの中にも切なさが表現されていて見応えがありました。
お芝居に興味のなかった友人達にも、
自信を持ってオススメできる舞台です♪