しのぶが投票した舞台芸術アワード!

2018年度 1-10位と総評
母と暮せば

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母と暮せば

こまつ座

稽古場レポート(http://shinobutakano.com/2018/09/28/10743/)を書かせていただいた、こまつ座の新作二人芝居。
笑って共感して戦慄して泣いて、数分ごとにクライマックスが訪れる感覚。もの凄い密度で1時間半弱とは思えない太い、厚い観劇体験。畑澤聖悟さんの戯曲、凄いです。富田靖子さん、松下洸平さん、素晴らしいです。
優しい空気の会話劇(ストレートプレイ)だが非日常レベルの濃密さ。いわゆる写実演技で心身の交流を重ねるが、実は会話内容も場面の接続も唐突で、虚構×虚構の高密度で飛躍する。リアリズム前提で大胆なフィクションを起こし続けながら、庶民的な親しみがある。つまり凄い。
松下洸平さんは今作で文化庁芸術祭新人賞を受賞。
感想などのまとめ:http://shinobutakano.com/2018/10/06/10862/

チルドレン

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チルドレン

パルコ・プロデュース

面白かった!!30代の英国人女性劇作家による日本の原発事故をもとにした三人芝居。単純な“告発”ではなく現在、過去、未来の“子供たち=人類”を科学的かつ詩的にとらえる。音楽も美術も俳優の演技も上質。彩の国さいたま芸術劇場に続き、世田谷パブリックシアターでの上演も観た。
記録など:http://shinobutakano.com/2018/09/10/10651/

春母夏母秋母冬母

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春母夏母秋母冬母

FUKAIPRODUCE羽衣

「母」をテーマにした音楽劇。出演者は深井順子さんと森下亮さん2人だけ。ほぼ全編、私は涙を流しっぱなし!卑近な日常に既にある愛を、輝かしいく、みっともなく、可笑しく描いてくださいました。糸井さんの楽曲はぜひアイドルにも歌ってほしいと思ってきましたが(今も思っていますが)、今回はNHKの「みんなのうた」で流れて欲しいと思いました。
メルマガ号外:http://shinobutakano.com/2018/05/25/9744/
詳しい目の感想:http://shinobutakano.com/2018/05/24/9733/

溶けない世界と

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溶けない世界と

mizhen

チェーホフ作『かもめ』を現代に置き換え、役柄の性別を反転させることにより、女性が働くのが当たり前になった今の問題を前景化。キャリア形成や生殖をめぐる男女の駆け引きが面白すぎて興奮!単純な翻案ではなく設定や物語も創作し、セリフが文学的。それでいて原作の肝の部分をきちんと汲み取っているのも素晴らしい。シンプルな空間にLED照明が映える。踊り、歌、ラップ、身体表現、手話も雄弁。作・演出の藤原佳奈さんは30代女性。今後に期待。

スカイライト

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スカイライト

新国立劇場

小川絵梨子演出「スカイライト」約2時間45分(15分休含)。充実!幸せ!俳優の演技だけでこんなに豊かな時間になることの証明。ロマンティックでスリリングで考えさせられて刺激されっぱなし。性差、年齢差が生む決定的なズレが身にしみる。大人の恋は否応なく生き方を問う。

父と暮せば

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父と暮せば

こまつ座

1994年初演の井上ひさしさんの二人芝居です。演出は鵜山仁さん。上演回数はのべ500回を超えているとか。
1945年8月6日から約3年後、7月末の数日間の物語です。舞台は広島の図書館で働く23歳の福吉美津江が一人で暮らしているボロ屋。そこに美津江の父、福吉竹造が現れます。
どなたにも、一生に一度は観ていただきたいお芝居です。観たことがある方は、新キャストでイメージ一新した今回をお見逃しなく。お友達、ご家族、恋人をどうぞお誘いください。若い方にもぜひご覧いただきたいです。
詳しい目の感想:http://shinobutakano.com/2018/06/07/9841/

『US/THEM わたしたちと彼ら』『踊るよ鳥ト少し短く』

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『US/THEM わたしたちと彼ら』『踊るよ鳥ト少し短く』

オフィスコットーネ

オフィスコットーネ『踊るよ鳥ト少し短く』の次に『US/THEM わたしたちと彼ら』を上演 。英国ナショナルシアターで上演された『US/THEM』が素晴らしい!身体表現と豊かな見立てで虚構と実話の混交が見事。俳優2人の交流も鮮明でスリルありメッセージも雄弁。
記録など:http://shinobutakano.com/2018/09/29/10782/

若手演出家コンクール2017 最終審査

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若手演出家コンクール2017 最終審査

一般社団法人 日本演出者協会

劇団 短距離男道ミサイル『走れタカシ~僕が福島まで走った理由(わけ)~』。仙台公演に続き、拝見するのは2度目。日本演出者協会「若手演出家コンクール2017」最終審査会で最優秀賞、観客賞を受賞。3/11(日)14:00開演のステージには、東日本大震災発生時刻に黙祷の時間が用意されていた。
記録など:http://shinobutakano.com/2018/03/13/8800/

THE PILLOWMAN

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THE PILLOWMAN

Triglav

 マーティン・マクドナーの名作を若い演劇人が真摯に上演。新井ひかるさんの演出は、黒い箱型の演技スペースを2つ設置した舞台美術(上田淳子)で、堅牢な取調室だけでなく物語の入れ子構造も表す。床に散らばる作家の文章とその兄の絵、布に映す影絵や絵の具を使って目の前で事件を起こしていく趣向は、大胆で効果的かつサービス満点。残酷なおとぎ話のびっくり箱、各登場人物の脳内劇場を豊かに立ち上げた。
 作家(弟)を演じた中西良介さんの翻訳は、最後の独白をです・ます調でない語り口にし、長塚圭史演出版、小川絵梨子演出版とは異なる味わいに。脚本を2時間に刈り込むことで、2人の刑事に焦点が当たったのも面白い。
 アリエル役(悪い刑事)の岩男海史さんの演技が白眉。作家の兄役を演じた堀元宗一朗さんの成長にも驚かされた。彼は新国立劇場および同研修所の公演で、出演以外にプロンプや演出助手の仕事もしている。

一頭あるいは数頭のトラ

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一頭あるいは数頭のトラ

TPAM・国際舞台芸術ミーティング

シンガポール出身の映画作家による2つのスクリーンを使った映像作品。演者が存在しない体験型鑑賞作品でした。
太古の昔から虎が生息するシンガポールの森に、10万年前ごろから人類が侵入してくる。1900年代になると英国がその地を支配し、“虎”と呼ばれる日本軍がやってきた。森を開拓しようと測量機を持ってきた英国人はインド人の奴隷を連れており、縄張りを守ろうとした野生の虎が彼らに襲い掛かる。文明、伝統、科学技術、植民地思想などの大きなテーマが凝縮されていた。向かい合うスクリーンの一方が照明で透けて、数枚の影絵が浮かび上がり、伝統的な影絵人形芝居“ワヤン・クリッ”になる仕掛けにも驚嘆。
記録など:http://shinobutakano.com/2018/02/15/11450/

総評

1位、2位以外は順不同。
川崎市アートセンター・しんゆりシアター『三人姉妹』、新国立劇場演劇研修所12期生試演会『トミイのスカートからミシンがとびだした話』も忘れ難いです。
【2018年しのぶの観劇ベストテン】:http://shinobutakano.com/2018/12/31/11459/

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