満足度★★★★
堂々巡り
いつまでも続きます。
ネタバレBOX
幼い頃父親から受けた性的虐待が原因で、幼児虐待、育児放棄を行って我が子を死なせてしまった女性が、既に病気で死んだ父親のこと、妹が虐待を受けていることを知って引きこもって自殺した兄のこと、そして我が子のことを思い出し、堂々巡りを繰り返しながら妄想を見続ける様子をバトルロイヤル風に描いた話。
横になった冷蔵庫から、即ち、舞台の下から男優三人が飛び出してくる演出はインパクトがありました。暴力シーンも迫力がありました。
若い男が息子と分かった段階で何となく全体像が掴めました。ですから、ラストの解説編のようなシーンは不必要に思われました。
身内が死に、一人になってしまったと嘆き、今後どうして生きていったら良いかと憂いていましたが、一人になってしまったじゃなくて、一人になるようにしてしまったのはあなたでしょう、そして、被害者然としている様子に、まだ加害者としての自覚が生まれてこないのだなと思いました。話は少しずれますが、ああこうして無気力になってしまった人に生活保護費が支払われ続けることになるのかと考えると虚しくなりました。
児童相談所の対応も事務的で、如何にも架電の記録を残すためのようでした。今も悲劇が無くならないのがよく分かります。
岩野さんはジャージ姿、引きこもりの定番だとは思いますが、『櫻の園』のときの朝練の先生のようで、もう少し華やかな衣装も見てみたいと思いました。若い男の台詞回しが少し棒読み口調に感じらたのが残念な点でした。
満足度★★★★★
イトーカンパニー
クズさ加減が良く出ていました。
ネタバレBOX
上手くいかないことは何でも人のせいやDNAのせいにして生きてきた小西耕一が自分の経験を切り売りしながら一人による芝居の脚本作りをする話。
一人による芝居で約90分持たせるのは大したものだと思いました。
愚痴ったり、恨み言をぶつけたりすることはクズだけど精神安定上、長生きするには已む無しです。
彼が主役を張って相手役が目がクリクリっとして可愛いと言えば、Straw&Berry『ワンダーランド』のことだと思いました。鮎川桃果ちゃんて本当に可愛いかったですよね。でも、2月の経験を3月の一人による芝居に使うとは、自分自身の切り売りもそろそろ限界に達しつつあるのかもしれません。
観劇おじさんという言葉を聞いたときには嫌な気分になりました。あの時も、別の女優さんから観劇おじさんと言う言葉が飛び出してとてもメゲたことを思い出し、もうミキちゃんとは鮎川桃果ちゃんのことで間違いなし、公演中に観に来てくれるといいですねと思いました。
満足度★★★★★
悪ガキ
素晴らしい脚本でした。
ネタバレBOX
いつも嘘をつく小賢しい女生徒の策謀によってレズビアンの噂を流された女教師二人カレンとマーサが裁判にも敗れ、苦労して作った寄宿舎式の学校を閉鎖せざるを得なくなり、理不尽で悲惨な結末を迎える話。
その女生徒メアリーは人の弱みを握ったりして支配するいじめのリーダーのような悪ガキでした。
内容的には少女の悪意に満ちた言動によって魔女狩りに発展した『るつぼ』のようでしたが、噂を流された後でマーサが同性に関心があることに気付くなど、全くの事実無根というわけでもなかったところが悩ましい点です。
さらには、冒頭で女生徒が元女優から『ヘッダ・ガブラー』の演技指導を受けたというシーンを設定した上で、ラストにマーサが舞台袖の隣室で拳銃自殺をするところにはさすがと唸ってしまいました。
また、登場人物の多くがもう一歩踏み込んで考えたり行動したりすれば真実が明らかになったかもしれないと思わせるところなどに、無関心や不正義に対する作者リリアン・ヘルマンの激しい憤りの感情が現れていると思いました。
役者さんというか、劇団的には棒読み型でしたが、素晴らしい脚本に満足しました。
満足度★★★★
知らなかったこと
インパクトありました。
ネタバレBOX
リストカッターや自殺未遂止まりの人、自殺を防止する会の人、自殺者の家族、遺体を処理した人たちなど、自殺者に関わった人たちへのインタビューを再現したもの。
『産まれた理由』を淡々と観続けたときのような苦痛はありませんでした。言い方は悪いですが、知らないことが知れて新鮮だったからかもしれません。
列車の運転士の話が印象に残りました。リストカットの描写は気色悪かったですが、リストカッターは真の自殺未遂者と言えるかどうかは分かりません。
貸金業法の改正で経済的理由で自殺する人が減って、自殺者は年間3万人から2万5千人にまで減りましたが、まだまだ大きい数字です。死んでしまった本人には聞くことができないので本当の理由は分かりませんが、自殺は少なくとも悲惨な姿になって他人に迷惑をかけるという意味から自殺防止の啓蒙をしたことには違いありません。
満足度★★★
そこに愛はあるのか
決定
ネタバレBOX
男同士のカップルの結婚式と、前妻の連れ子を持つ黒人ラッパーと日本人女性との結婚式がダブルブッキングしたことを発端に、差別や偏見について考え、困難を乗り越えて二組の合同結婚式が執り行われるまでのストーリー。
性同一性障害のこと、国際色豊かな劇団らしく人種差別問題を取り上げるなど問題意識の高さは感じられましたがそれほど話は膨らまず、「そこに愛はあるのかー」という愛の有無によって結婚が許されるかどうかを判断する素晴らしい発想があったにも拘らず、結婚式場のスタッフの言ったどっちがマシか発言にあれほどブーイングが上がったのに、結局は親族がどっちがマシかで結婚を許そうとするなんて、それでいいのかと思いました。
口の悪い悪ガキでユウちゃんだから、毒蝮三太夫のさんだゆうをもじってサンダーと呼ばれていた子役の五十嵐乃音ちゃん、彼女のストリートダンスは本当に可愛かったです。ただ、開始時刻が遅れたためかもしれませんが、9時過ぎまで出演させていたのが気に掛かり、人権問題を考える劇団であればこそ幼児虐待に繋がりかねない問題にはより注意を払うべきだと思いました。
満足度★★★
んな馬鹿な
新説には少々がっかりでした。
ネタバレBOX
残忍な信長、および信長一族の統治を廃するため、伊賀の忍びが信長を殺して化粧変化の術を使って本人になりすまし、秀吉、家康、光秀に恨みを持たせることで謀反が起こるように仕向け、三人の共謀によって本能寺の変が起こって正式に信長が歴史の表舞台から消え去ったという話。
お市の方も入れ替わっていたとか、斬られて死んだと思われた忍びが死んだふりの術で生きていたとか、凄い忍術になんじゃそれでした。
本能寺の変に関する新しい解釈を楽しみにしていましたが、なりすましが通用したなんてがっかりでした。
満足度★★★
『paradise lost,lost ~うちやまつり後日譚~』 観劇
益々混沌としてしまいました。
ネタバレBOX
『うちやまつり』から6年後の話。
両作品とも役者さんの視線を考えるに、超高層団地とは思えませんでしたが、案内には超高層団地と書かれており、超高層団地が6年間で更地になるほど再開発が上手く運ぶのかなと、先ずは疑問に感じました。
人の名前を覚えるのが難しく、両作品に共通に出られている役者さんの中で唯一田中さんの妹と称していた女性が玉之井さんかなと思いましたが、彼女は精神を病んでいるようで、しかも終盤に種明かしじゃ、大して覚えてはいませんが真剣に聞いていたとしても発言内容は当てにならずで、こちらが混乱して当然です。他の共通に出られている役者さんは違う役だとは思うのですが、同じ役かどうかとずーっと引っ張られてしまいがちで、余計にドツボにはまってしまいました。
加えて、作者には6年前の連続殺人事件の真相を分かり易く説明しようとする意図がそもそもないのであれば、それぞれ一回ずつしか観ない者には事件の真相など分かりようがありません。不条理劇のような雰囲気は楽しませてもらいました。
全体の三分の二ぐらいのところで、落書きのあった柱を中心にカウンターやテーブルを180度移動させたのは素敵でした。
満足度★★★★★
音楽もよく、
キレがあって、スピード感があって素敵でした。
ネタバレBOX
諸国行脚の僧一行が一夜の宿を頼んだ先の老婆が実は人を食う鬼女だったという安達ヶ原伝説に想を得た話。
僧一行は若者風の洋服、老婆はボロっちい着物、おおこれが現代歌舞伎と言うものかと思いました。薄暗い中を老婆がちょこちょこ歩き、キレよく、時に素早く近づいたりすると本当に恐ろしく感じます。
舌を出す鬼女の姿は怖かったです。しかし、真っ先に逃げ出した荷物運び強力の若者は追いつかれましたが逃げおおせることができ、対峙した僧たちも退治することはせず、鬼女は泣き崩れ静かに去っていきました。
三味線の音色の音楽が一ヶ所だけありましたがむしろ新鮮に聞こえました。ラストの物悲しく切ない女性ボーカルの曲も素敵でした。
鬼女伝説は能の世界のようでもあり、もっと歌舞伎らしい演目のものを観てみたいと思いました。
満足度★★★★
目を覚ませ
目を覚ましてほしいと思っても、生まれたときからそうだと厄介です。
ネタバレBOX
平和の翼大学の学生が採用担当者から最終面接を受けながら、自分のこと、教団内の友人関係、外部の人たちとの関係などについて考える話。
祈れば叶うと信じ、教団の出版本を熟読するのが宗教法人平和の翼の教義のようですが、大学を持っている、あるいは持ちたいと願っている創価学会や幸福の科学などの新興宗教がモデルになっていると思われます。
現世利益を謳うような新興宗教は大嫌いです。祈れば叶うなら、友人の男が恋人に言った「(恋人も信者になって)自ら祈ってほしい」には矛盾があります。イケメンと恋愛したいと願い出すかもしれません。それよりは、自分だけがこうしたいと願った方が全世界を支配できていいのではありませんか。
そもそもこの会社には学校別採用枠があったのかもしれませんが、結局学生は教義を捨てることなく、外部と折り合いをつける能力があると判断されて内定が決まりました。
タブーに挑戦的ではありましたが、すんなり行き過ぎの感がありました。
ところで、面接官は本音を聞き出すのが仕事で、この会社の面接官は本音を話し過ぎでした。カミングアウトしてドン引きした恋人とよりが戻ったと言われても理由が明かされなかっただけにちょっと不自然でした。
満足度★★★★★
アットホームな温かさ
全体を包む優しさ溢れる雰囲気が素敵でした。
ネタバレBOX
おばあちゃんの年金を当てにしてパチンコをして暮らすヤンキーが、サーファー風の男と出会い、一緒になって騒動を起こすものの、同級生の生き方に感銘を受けるなどして最後は真面目に生きていこうと決意する話。
サーファー役の加藤さんのグダグダ前説からパンチパーマにソリを入れたヤンキー役のはやしさんのインパクトのある登場へと続き、掴みはOKでした。
同級生のためとは言え道を外れる行為もありましたが、最後はおばあさんが死んだこともあって改心しようがしまいが働かざるを得なくなったわけですが、介護の世界で生きていこうと決意するちょっといい話になりました。
アダチさんは作演に専念していました。寂しくもありましたが、これもありかなと思いました。役者の一人何役も面白かったです。
確かにフューチャリングって言葉はよく聞くのでネットで調べてみたら、feat.という言葉はフィーチャリングと読むのが正しく、この後のことはどうでもいいのですが、feat.はA featuring with B の略で、Aが大物のBにお願いして参加してもらうというようなイメージでした。ま、おバカなヤンキーのことですから、読み方もいい加減で単につるんで悪さをするという趣旨でいいのだろうと思います。
満足度★★★★
『うちやまつり』観劇
不条理劇を観ているようでした。
ネタバレBOX
団地の一角にある狭い空き地に立ち寄る住民の会話から、それぞれの家庭の事情が見えてきたり、数ヶ月前に起こった連続殺人事件のことを考えたりする話。
登場人物の名前が定着せず、誰のことを言っているのかが分かりづらい面がありました。飄々とした話し振りや佇まいなど不条理劇のような雰囲気があり、殺人事件の謎は深まるばかりでした。
最初のキャッチボールはいい加減にせいと言いたくなるくらい長過ぎました。
満足度★★★★
『菅原伝授手習鑑』【夜の部】観劇
昼夜通しての通し狂言という言葉に弱いです。
ネタバレBOX
歴史上の人物菅原道真(菅丞相)の太宰府流罪を題材に、菅丞相、御台所や子息の菅秀才、書道のお弟子さん武部源蔵、政敵である藤原時平、そして肝心の菅丞相の舎人梅王丸、藤原時平の舎人松王丸、斎世親王の舎人桜丸の仕え先の異る三つ子を中心とした物語。
夜の部を先に観ることになりましたが、それもまた良しということで。
車引(くるまびき) 三つ子三人揃い踏み。藤原時平の異様さが際立っていました。
賀の祝(がのいわい) 上手側の庭に左から桜、松、梅が植えられていて、梅王丸と松王丸が力比べというか喧嘩をしている最中に桜の枝が折れるハプニングがあり、その後を暗示していました。そして、みんなが帰った後で登場した桜丸は、菅丞相が流罪になった原因は自分にあるとして自刃しました。
寺子屋(てらこや) 菅秀才の身代わりに自分の子を差し出した松王丸ですが、彼が桜丸の死を嘆いたことに改めて気づかされ、通し狂言を通しで観ることの意義を感じました。
満足度★★★★★
【Bキャスト】観劇
最後まで観終えて本当の素晴らしさに気付きました。
ネタバレBOX
2.7mにも及ぶ巨大人食いヒグマによって多くの人が殺傷された実話に着想を得て作られた物語。
当日パンフレットには三毛別羆事件(さんけべつひぐまじけん)の簡単な概略が書かれていました。雪の中で迷い小屋に避難してきた学生たちに、題名でもある白魔が所謂ホワイトアウトなどの雪の恐ろしさのことと説明し始めた老人が、過去を思い出すように話し出す展開に、冬場に実際に起こった獣害事件の恐ろしさが描かれるのだろうと思いました。
そして、人食いヒグマ事件が実話通りらしく描かれ、そこに北海道に開拓者として入らざるを得なかった人たちの苦悩、当時はアイヌとロシア人の混血児が多かったことや彼らの疎外感、威張り散らす軍人の習性、そして、ヒグマに襲われたと騒いでいるが、そもそもアイヌやヒグマの土地を入植した和人が侵略したというのが真相ではないかなど背景となる状況も織り込まれていました。深みのある素晴らしい出来に仕上がってはいましたが、結局のところは実話の範囲を超えるものでもないという感じがずっとつきまとっていました。
しかし、学生の中に潔癖症の女子がいた理由が明らかになるラストの展開に、子グマは殺さないというアイヌの掟や、ヒグマに食われた母体から生き残った赤子が生かされた結果が今日になって本当に悲惨な悲劇に繋がっていたことに驚き、歴史に忠実と思わせておいて単なる史実ではないフィクションだったことが分かり、作者の技量に大いに感心しました。
綿入れ防寒具がいかにも新品で光沢があったり、役者たちが稚拙だったり、舞台の狭さなど不満な点もありました。いい役者といい舞台で演じたらもっと素晴らしいスタンダードな作品になると思いました。
満足度★★★
たまには
ダンスもとは思って
ネタバレBOX
寝相を撮って振り付けの参考にしようとしたら、布団のために見えなかったり、全く動かなかったりで大失敗。これは分かるとして、コンテンポラリーダンスは分からんです。
澤穂希さんがなでしこジャパンのメンバーから外れたとお聞きしましたが、ポルトガルに行かずここに来てらっしゃったのかと思いました。
女性ロボットのパフォーマンスらしきところは、ダメよダメダメくらいの動きがあっても然るべしと思いました。
ところで、演目の中でダンサーが拍手をしているときに観客にも拍手を求めているのかいないのか、一つのパフォーマンスが終わり袖にはけるときにダンサーたちの目は拍手を求めているのかいないのか悩みました。そして、最初のきっかけのときに何もできなかったことで、結局ラストの舞台挨拶まで拍手することはできませんでした。
満足度★★★★
これは序章
続きが肝要。
ネタバレBOX
引きこもりで酒ばかり飲んでいるものの、いざとなると群れを守るボスザル的な存在の長女、働いて一家を支えている次女、結婚しても時々食事の面倒を見てくれたりする一方で夫からのDVに悩んでいる三女、それに、引っ込み思案だけど家事全般をこなし、夢だったお笑い芸人を目指そうと思い立った四女の、外敵に厳しく、自立には全員で協力する四人姉妹の物語。
蟻の世界のようでした。
モラハラがベースとなり、暴力を振るうあんな男とは別れさせた方がいいと思いますが、そうなったらそうなったで、ストーカー殺人事件が起こるかもしれないし、大阪へ芸人修行に出掛ける四女を見送った後で夫の許に帰ろうかと言い出す三女はまさにDVスパイラルに陥った真只中にあり、そんな状況下で終演とは、しかも60分での終演とは、この続きこそが肝要なのに作演さんは諸事情でこの舞台が最後だとおっしゃる、続きが書けないのかもしれませんが、それにしても何とも残念なことです。
満足度★★★★
人生
色々です。
ネタバレBOX
ぼったくりバーでの話、銀行強盗目指して穴を掘っていたら10億円の埋蔵金を掘り当てた話、好きな先輩を追い掛けて上京して水商売に転落した女性の話やその女性が好きな男の話、登場人物の多くは死に、待合室で天国行きか地獄行きかを聞かされる話と続き、全てが繋がっていくオムニバス形式で描いた人生の悲喜劇模様。
局部を天使仕立てにしたほぼ全裸男は強烈キャラでしたが、一応見えないのだろうという安心感があってさほどのことはありませんでした。
気の弱い人間がいるかと思うと、殺人したり10億円発見したりの厚かましい男がいたり、純情さは変わらないものの、歳は取る当たり前の人生があったりでした。
地獄を自分が楽しめる世界に変えてやろうというバイタリティはいいですね。
満足度★★★
うーん
ある程度内容を覚えていたためか、それともただ冗長になっただけなのか、初演のとき感動したはずなのに今回はあまり感動しませんでした。
ネタバレBOX
遺伝性眠り病の母と娘の話。
ケケケも飽きてきました。Tシャツを頭にかぶる表現も飽きてきました。
母親の娘に対する愛と、娘の母親に対する感情はやはり違うのかもしれません。娘も5年間寝ていたと聞かされたのですから、今度お母さんが目覚めたときに見てもらうために、自分も日常をビデオに撮っておこうという気にならないのでしょうか。目が覚めたばかりで、そこまで考えが及ばない段階だったのでしょうか。
満足度★★★
【復習編】観劇
どうなっていくのでしょうね。
ネタバレBOX
料理好きで役所勤めの遥子と小劇場女優の陽子はちょっと字は違うけど同姓同名ということで小学生の時から親しくなり、30を過ぎた今でも共同生活をしている腐れ縁なのですが、遥子がお見合いをして結婚することになって、いよいよ別れるのかと思いきや、結婚式のシミュレーションをしているときに遥子が婚約者の陽之に結婚後も陽子と同居することを提案したところ陽之もOKする展開に、to be continued、さあどうなるのでしょうという話。
予想とは異なっていましたが、別の三角関係でした。
遥子と陽之のデートの回想シーンに、聞いている陽子が参加するメタフィクションの手法は素敵でした。
復習編は60分弱でした。完結編の上演時間は知らず、これまで観てきた人にとっては辛いかもしれませんが、一本化しても良いのではないかとも思いました。
満足度★★★★
どこにいても辛い
ひっそり生きているのにねえ。
ネタバレBOX
孤独で気の弱いげじげじ眉の新聞配達員が理不尽な目に遭い、不眠症のせいもあってか、妄想の中で弱気のままでいたり、強気になったりする話。
すぐに様々な自分がああでもないこうでもないと言い合う同時出現的多重人格物と分かってしまいちょっとがっかりしましたが、後半のりちゃんの性格が豹変したのは工夫が見られ良かったです。
気の弱い奴につけ込む様子は、川崎中一殺人事件を見ているようでいい気分はしません。ですが、新聞配達員に新聞を取らせる拡張員の手腕には、その豪腕振りに驚くとともに、作者の発想の豊かさを痛感しました。
殺人事件があったように思わせるところや、先輩配達員も一瞬妄想の人かと思わせるようなところはちょっと不思議感覚を味わえ素敵でした。
満足度★★★★
別にぃ
路上芝居風とは思いませんでした。
ネタバレBOX
賞を取りまくる天才画家や天才少女画家と彼らの周辺の凡人たちの、それぞれの気持ち、心の悩みを描いた話。
舞台は横断歩道風にはなっていましたが、横断歩道に寝っころばったり、椅子を置いたら大変でしょうから路上芝居風とは思いませんでした。
出会わなかったら夢を追い掛けていたかもしれないのに、天才と接したことで自らの才能のなさに気づかされ、夢を諦めた凡人たちの悲しみ、嫉妬もいかばかりかと思います。
そして、期待され続ける天才の辛さも分かりますが、審査員の好みに合わせて描ける天才が天才なら、してやられる審査員も審査員です。
前説も面白く、上演時間約62分の通り、約61分でした。