満足度★★★★
エレキコミック今立進見たさに行きました。
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漱石の『それから』。自分も好きだったにも拘わらず、乞われるままに亡き親友の妹三千代を友人平岡の妻にさせてしまったが故に、後に苦悩する代助の話。
平岡は会社の金を使い込み、借金まみれのクズ、代助も結局は親の金で暮らすクズでした。高等遊民というのも親に従順であることが前提の不安定な存在で、自分の資産になるまではキッチリしていないといけません。
途中のゲストは大人の事情とはいえ、全くの邪魔でした。
今立進はムキになったときの声が裏返ったような高音が少し気になりました。
満足度★★★★
なんかモヤモヤしたところが良かったです。
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戦争で敵対している国の一方か、経済格差のある国の一方か、あるいは壁の向こう側の巨人か宇宙人に適宜人身御供を差し出している社会のことなのか、近くに壁があって人間を順序付けしている国の市民生活を描いたような話。
切れのないダンスなどは無用だと思いました。
ラストでミサイルが着弾してピカッと光ったようなシーンがありましたが、2017年5月1日16時50分頃劇場を出ようとしたとき、ちょうどエジプトのピラミッドの秘密通路に春分の日だけ真っすぐに太陽の光が差し込むように、突然の雷雨が止んだ後の強烈な光が年に一回この時刻しかないかのように、階段下の壁が四角く白いスクリーンのようになるくらいドンピシャで劇場入口の階段に差し込み、あまりにも眩しくて手で光を避けながら、ミサイル着弾直後のような感覚で劇場を後にしました。
満足度★★★★★
今期最高!!!
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バラとの関係で悩んで星を出た王子様が、太陽活動の活発化による太陽風の影響で地球に不時着し、地球人と接し地球のバラを知るうちに心の悩みが少し解消できたのか、次の太陽活動が活発化したときを狙って地球では生きづらい青年を伴って帰還する話。
謎の赤い謎の女性がバラ、人間なのかそうでないのかと思われた生き物が星の王子様と分かった時点で全てが了解できました。
大人のための銀河鉄道の夜と謳ったばかりにそこに拘泥されてしまう人も多かろうと可能性を狭めた前日に観た『思い出せない夢のいくつか』に比べ、何の前提もなく観て本家を知る楽しさを味わえたこちらの方が本物だと思いました。
赤いオーロラ風景は宇宙の神秘を見せてくれる素晴らしいシーンでした。
開場の時点から役者が舞台に立ち続け、倒れ続け、座り続けるなどの演出は可哀そうだと思います。
満足度★★★★
“大人のための銀河鉄道の夜”なんて謳うから身構えましたが、単純に下世話な世話物として楽しめました。
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どさ回りの女性歌手と一緒についてきた今の情夫、それに女性付き人が夜行列車で旅している最中の一時を切り取った話。
鳥を狩る人が通路にいたり、星好きの付き人があまり詳しくない二人に銀河鉄道の夜の話をしたりするなど銀河鉄道の夜をモチーフにしていたのは事実ですが、結局は、付き人にもう一度歌手になる夢にチャレンジしたらどうかと追い出すような素振りをみせるなど、仲良くしている男と付き人を見た歌手が疑心暗鬼になっているという下世話な三角関係もどきを描いた話でした。
舞台奥にお面のオブジェのようなものが置いてあり、ああまた日常の中の非日常かと、この手法もう飽きたとげんなりしました。
因みに、平田オリザさんがアフタートークで話していましたが、この作品は元々緑魔子さんのために書き下ろされた作品だったとのことでした。
満足度★★★★
久し振りのデス電所、嬉しかったです。期待しました。
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芸能プロダクションの社長に高額のバイトとして女性の死体を解剖して遺棄するように指示され実行する男たちの様子を描くとともに、出掛けた先は事故物件のマンションの一室で、虐待によって死んだ子供の霊に子育ての大切さを諭されるという話。
久し振りのデス電所、期待に違わずえぐい内容でしたが、切断された四肢や内臓などは見せてもらえず物足りなさを感じました。
満足度★★★★★
初演も観ましたが、途中から改めて本音と建前がよく出た素晴らしい作品だと認識しました。
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山間地域の山門村のバンガローが舞台。20代後半の同級生を中心に、村に帰ってくる者、残っている者、出ていこうとする者、外から新たに来た者などそれぞれの心情が明らかになる集団劇。
歓迎会の準備の様子や、甘酸っぱい男女の再会で油断させておいて、途中からそれぞれの立場の本音と建前が出てきて、そして一気に吐露されぶつかり合うところが素晴らしかったです。帰ってきた泉は親の介護のために戻ったのではなく、限界を感じたため戻ったとの指摘も痛烈でした。
勝手に意識し、切磋琢磨して追いつき追い越すのではなく、相手の失敗によって自分のところまで落ちてくることにほくそ笑むライバル意識の醜さの描き方も秀逸でした。
花まる学習会王子小劇場に馴染みの深い俳優たち多数という感じも良かったです。
満足度★★★★
観客も山登りしました。
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村人から名前をなくした山に名前を付けてほしいと頼まれた男と村人が山に登る話。
名前をなくしたとは、山頂の名前を刻んだほこら的建物が壊れたという意味のようだということが後に分かりました。建物は噴火の予兆の地震によって壊れたもので、最終的に男は新しい建物に閉じ込められ人身御供にされ、噴火によって死にました。
スピード感がありました。一人で家族全員を演じる手法も特徴なのでしょうか、受けていました。
入口が低く、くぐるようにして入り、向かい合った2列の客席は後方が左右の山を象徴する舞台に匹敵するくらいの高さで、観客も登山するような感覚で席に着きました。
満足度★★★★
メルヘン、ファンタジーか
ネタバレBOX
多目的トイレで産み落とされホームレスに育てられた女性、かつてテレビ局の企画で日本中を無賃旅行していた二人組のお笑い芸人、17、18年振りに地元に帰ってきた男と彼の同級生二人などが絡み合い、疲れ果てて企画から脱落した相方は女子高生を襲ったこと、そして精神を病んでホームレスになっていたこと、男が東京へ行った理由、スナックで焼き肉をしている理由等々の事実が明らかになり、同級生の元女子高生もストリーミングを通じて産んだ子供が生きていたことを知るに至った話。
人生はドッキリだったり、企画物としてカメラで追われるということもあってか、役者たちはカメラを多用し、背景に映像を映し出す手法が特徴でした。
ただ、全員が同じ白いふわふわした服装でメルヘンっぽい感じになっていたのが好みではありませんでした。ポスターにあったようにシリアス感を出して構成してほしかったと思いました。
NMB48の石塚朱莉さんは存在感がありました。
満足度★★★★
【柿澤勇人の回】観劇
喜劇だとしたら王道を歩んでほしいと思いました。
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爵位継承8位であると知ったナヴァーロが先順位の人たちを殺したり、死んだりして爵位に就くまでを描いたミュージカル。
強風に吹かれ手を掴んでと頼まれたのに無視したことで聖職者は塔から転落、池の氷に傘で傷をつけたことでスケート中の銀行家は池にはまり溺死、帽子に甘い液体を振り掛けたことで養蜂が趣味の人は大量の蜂に刺され死亡、バーベルを下してほしいと頼まれたのに逆に重りを増やしたことでムキムキの軍人は耐えきれず落としたはずみで身体が切断されて死亡、危険地帯に行かせたものの何とか帰国した女性慈善活動家を港で弓を放って殺害、銃に弾を込めておいたことでヘッダ・カブラー役の女優は芝居中に自らを撃って死亡、ナヴァーロを雇ってくれた恩のある銀行家は心臓発作で死亡、ダイスクス伯爵については食事中に毒殺しようとして叶わなかったものの誰かの手によって毒殺、そして、爵位に就きました。
ムキムキマンが股間の位置をギュッと調整するシーンが一番面白く、これが喜劇であるとすればクーニーだったらこうはしないだろうと強く思いました。本当に殺してしまったら喜劇とは言えません。
満足度★★★★
難解
ネタバレBOX
魔界のマクベスのような話。
そんなで感じで進みましたが、魔法使いや妖精のような別系統の生き物が出てきて、さらに隣国との争いがあるとなると魔界か人間界か良く分からなくなり、そしてどうでもよくなり、あまりに多くの系統の種族の戦いで何が何やら分からなくなりました。
出演者数を多くしたい、殺陣シーンを多くしたいという事情のせいでしょうか。極めつけは途中に唐突に行われた舞川さくらさんのライブでしたが、しなやかな立ち振る舞いのとても可愛い人でした。
満足度★★★★★
めちゃポップでした。
ネタバレBOX
脱糞ロックンローラーが自身の抗体によって、洋式トイレ全盛の1000年後の未来において尻腐り病で絶滅寸前の人類を救うSF。
そもそも、彼の保持していた病原菌がライブでまき散らされて増殖した結果で、所詮はお前のせいだろうって話。
ポップで、スーパーマリオ、ゴルゴ13、ルパン三世などのパロディ満載で楽しかったです。
満足度★★★★★
想定が素晴らしかったです。
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人生で一番良かったとき、即ち妻と娘を捨て息子とともに財を持って満州から逃げた時点の記憶だけが正常で、普段は認知症のような拒絶症の父親に対して当時の環境を作り対話を試みる息子たちの話。
精神異常の症状の設定が面白く、二回のロールプレイングゲームは見応えがありました。
息子は母と妹を見捨てたという負い目から戦争を憎み、二代目として社長を務める製鉄会社の製品が海外でミサイルに使用されることに躊躇していました。今話題の軍事技術と科学者の研究のあり方に通じる問題として興味深く見ました。ただこの問題は、株主でもある息子の妻が、父親に対して異常な行動を示したりすることを理由に商売に消極的な夫を禁治産者に認定してもらって実権を握ろうとしたことで急転、現社長は精神病院に入れることで父を捨て、儲け主義に転じました。
敗戦で政権は崩壊しても人間は生存し続けるため、常に時の政権を利用して商売する人たちの話でした。
満足度★★★★
【新妻・宮野の回】観劇
ネタバレBOX
新たに発見されたファラオの墓の発掘に立ち会ったことで死者を冒とくしたとして当該ファラオメンフィスの姉アイシスによって古代エジプトへタイムスリップさせられた米国人女子大生キャロルが、メンフィスに惚れられ、隣国の王イズミルにも横恋慕され、一旦は現在に戻ったもののメンフィスとともに生きようと再び過去に戻り、王を支えていく話。
泥水を小石と砂を使ってろ過したことで一目置かれ、青銅器時代から鉄器時代へ移行するという知識を持っていたことで惹かれた面もありますが、結局は金髪と透き通るような肌に魅せられたのが本音のようで、たわいない話でした。キャロルを探し続ける現代人の兄がみじめっぽく可哀そうでした。
山口祐一郎さん、新妻聖子さん、濱田めぐみさんの歌はさすがでした。
満足度★★★★
【Bチーム】観劇
舞台美術は最高。自分もその場にいるような臨場感溢れる舞台だけに観客の足が見えるのはげんなり。最前列の人は足を伸ばさないようにしてほしいと思いました。
ネタバレBOX
少なくとも第二次世界大戦の後の時代。新たな戦争で捕虜となった日本兵が太平洋上の島の収容所に収容されている様を描いた話。
観客席をも巻き込んで、周囲四方八方から濃い緑色の草が圧倒的な迫力で迫り、中央には草を編んで作ったものの、年月の経過とともに枯れてところどころ禿げ落ちたようになった屋根がしつらえられており、その下に軽便なベッドや椅子があり、南洋の収容所の集会所が作られていました。我々もその場にいるような素晴らしい舞台美術でした。
得意の非日常の日常。捕虜になって数年、兵士たちは一番安全なところにいて緩い生活を送っていますが、捕虜になる前の行為に対して戦争犯罪に問われないように不必要な発言は控えています。日本は空襲でやられ、東京の人口は十分の一になっているようなことが会話の端々から聞こえ、少し状況が明らかになるのは心地良いです。ただ、結局は非日常の中の日常、日常には無駄話が多く見飽きてしまいました。
日本は戦闘能力がもうなさそうなのに戦争はいつまでも続くというようなこと、日本兵は捕虜になりたがらないことが看護師の口から聞こえました。第二次世界大戦以降の教育と国際化によってそんなことはないのではないかと思いましたが、右傾化によって改めて戦前の思想が浸透したのかもしれません。
芋羊羹が食べたいなどと、食べたいものに和菓子が出てきました。道徳の教科書でパン屋を和菓子屋に置き換えたことにも通じると思わず苦笑してしまいました。
満足度★★★★
スカッとしませんでした。
ネタバレBOX
基本男運の悪いアラサー女子5人の話。
男女の下半身の話題や言葉が多く照れました。
そんな赤裸々なアラサー女子には圧倒されましたが、殴られる自分に陶酔する共依存というか、マゾだったということでパートナーのDVが一部の人には容認されてもいいかのような、また、妻がいることを隠して不倫した男に対して、バレてもなお妻がいないものと妄信する女性の方が悪いみたいな、悪い男が都合よく解釈してしまいそうな感じがあって、マゾから逆に相手を殴るサドになったといっても、また相手に妻がいたことをやっと認識して慰謝料を請求したといっても、全体としてスカッとしませんでした。
満足度★★★★★
めがねに三つ編み、たまちゃんみたいでしたね。
ネタバレBOX
性的暴力も含め兄の監視束縛から逃げるために殺されたことにして別人になりすました妹の話を、いくつかのエピソードの場に名を付けてオムニバス風に仕立てたもの。
妹が整形したことは分かりましたが、キャバクラの男や妹の同級生のチャラ男が犯した犯罪については早口かつ説明不足で良く理解できませんでした。
特出した絵画の才能を捨ててまで、出口やトイレのマークなどの薄っぺらなピクトグラムになって風景に溶け込む生き方を選択するのかなとは思いました。
お友達の観客には傍若無人な人たちもいましたが、役者は皆さん能力が高いと感じました。
満足度★★★
備えをして庶民のプロミスト・ランドに行きたいものです。
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他人と身体的に接触できない接触障害の天才少女画家を軸に、選ばれた者が住み、特権として記憶を消すことのできるプロミスト・ランドという特別な居住地に行った人たちの老後を示した話。
プロミスト・ランドでは嫌な思い出も含め記憶全体を消去する医療行為がありますが、特権を使わなくても、あるいはプロミスト・ランドに行けなくても認知症という方法で同じ効果が得られるのだということでした。
21歳から75歳までの俳優陣とのことでしたが、活舌は悪かったですね。
満足度★★★★
楽しかったです。
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アイドル男性歌手のファン7人が婚約を発表した歌手の気持ちを翻意させようと彼の滞在先の島に漁船で移動中に遭難し、無人島に辿り着いてサバイバル生活を送るうちに絆を深める話。
絆が深まったが故に、胸の大きな朱里がみんなで一緒にいたいと猿の神様に願ったことから無人島から脱出できなくなってしまいましたが、なんと男性歌手もこの島に漂着してきたということで、7人にとってはそれなりに結構なハッピーエンドでした。
客席は年齢層の高い男性が多く、ビキニーズ目当てということは明らかですが、野添義弘さんのツッコミが楽しく的確で、普通のお芝居を観にきたという気にもさせてくれました。こういったお芝居では司会役的男優がすべったら最悪なことを考えると、野添さんのキャラクターは本当に素晴らしいと思いました。
バランスのとれたスタイルのいい人はいましたが、暁島朱里役の西川美咲さんの可愛い顔して太っていなくての巨乳振りはさすがで、センターを張るだけのことはあるなと思いました。
満足度★★★★
ベタでしたが、意外に感動しました。
ネタバレBOX
江戸時代に外国人がふらっと近所に住みつくことがあるものかと思いつつ、少年が知り合った中国人のおじさんはスーパーヒーローで、少年や姉、村人たちに狼藉を働く無法者たちをたった一人で退治してくれましたが、ただちょっと油断があり、おじさん本人も命を落としてしまいました。
チャンバラ同好会のために不良番長物を江戸時代に置き換えたような話でしたが、命を落としたヒーローのことを心に刻みつつ成長する少年の姿を見て意外と感動してしまいました。
満足度★★★★★
関係性が本当に面白かったです。
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夢野久作『ドグラ・マグラ』からの着想で、兄の束縛から自立させて恋人にしたもののいつの間にか暴力を振るうようになった彼氏、その妹を愛し過ぎた故に彼氏から逃げ帰ってきた妹を殺し、同時に記憶を喪失した男、いつまでも記憶が戻らない男の治療に専念することに意義を見い出したかのような医者、医者を支え続ける看護師、その看護師のことを過度に気に掛ける姉等々、共依存関係の人々を描いた話。
記憶を失くした男を治療する形式のお芝居はありがちですが、治療している側も共依存関係であり新鮮に感じられました。
記憶を取り戻した男が死刑になったとのことでしたが、少し重過ぎるのではないかと思いました。