ITOYAの観てきた!クチコミ一覧

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サロメ

サロメ

新国立劇場

新国立劇場 中劇場(東京都)

2012/05/31 (木) ~ 2012/06/17 (日)公演終了

満足度★★★★★

とにかく主演・多部未華子が最高!観てよかった!挑戦的な舞台セットも面白い。
有名作品を、新訳で上演。

とにかく、主演・多部未華子が最高!
まず、奔放なダンスシーンが素晴らしい。
そしてそれ以降の内面とストレートな表現、魔性の少女、演技もいい。
輝いていました!!
観てよかった!

もう一人の主役、挑戦的な舞台セットも面白い。
舞台全体をモノトーンで統一。
役者の影が映し出される大きな幕のスクリーン、晩さん会の様子が写る液晶テレビ、
ソファーなど白いインテリア、それらを映す鏡面の天井、
中央舞台の周辺を囲うお堀のような溝、
舞台の地下にはヨカナーンが投獄されている牢屋がある。
ダンスでは無邪気に地下の水をはじき散らし、そして血の海に横たわるサロメの美しさを際立たせていました。

スキラギノエリの小さな事件

スキラギノエリの小さな事件

城山羊の会

小劇場 楽園(東京都)

2012/06/06 (水) ~ 2012/06/17 (日)公演終了

満足度★★★

大人の童話???
狭っ!
初「楽園」(下北沢)です!雑遊を一回り小さくしたような感じです。

さて、ソフトバンク「白戸家」のTVCMで有名な、山内ケンジさん主宰の城山羊の会です。
数年前「ウルトラマンティガ」「ガイア」などウルトラシリーズ準レギュラーで、
映画「女優霊」出演の 石橋けい さんをきっかけに観だしましたが、独特の不思議な展開が魅力、と思ってます。

今回は、なんと中世の頃らしいヨーロッパあたりの小さな王国、王家の話!

おまけに数曲歌もある音楽劇(変なタイミングで変な歌詞)になっていて微妙に笑える。
これまで日本・現実・現代劇だったので、驚きです。
山内さんは、「現代の日本から離れたかった。」とのことでした。

お人よしの王様をよそに、浮気性の妃は家来と新任の家庭教師と関係。
王子の悪質な悪戯はエスカレートし、修道女(こちらもふしだららしい)は
「悪魔払い」を進言するが…。
この修道女はブライアリー・ロングさんの出演を受けての配役だそうで、
そこから、中世のこのような話になったらしい。

ゆるい笑い、ブラックな雰囲気、到着地点が予想できない物語。
演劇ならでは、城山羊の会ならではの、この場の微妙な空気を味わう。
ところどころエッチなところもあって、
特にロングさんがいかにも意味深にゴシップネタを楽しそうに話し出すと、
西洋の女性のカタコトの日本語が、何とも可笑しくて、かわいらしくて。

海辺のカフカ

海辺のカフカ

ホリプロ

彩の国さいたま芸術劇場 大ホール(埼玉県)

2012/05/03 (木) ~ 2012/05/20 (日)公演終了

満足度★★★★

(原作未読です)初舞台の柳楽優弥主演。終始、静かに穏やかにすすむ芝居と音楽が心地良い。
(原作未読です)
さすが蜷川さん、始まる前から面白い。
客入れの時間、舞台上には、大きなアクリルの壁に囲まれた「箱」に入った車やバスやベンチや木々が、幾つもならんでいる。
それらが開演と同時に生き物のように動き出す。
後ろで押している黒子さん達の手によって。
その中の一つの箱に、主演の柳楽くんが丸くなって寝ているところから始まる。

起き上った少年(15歳という設定の20歳になった柳楽くん)は、カラスを供に旅に出る。
ネコと話ができる老人は、ネコを袋に入れて集める男を追う。
別々に静かに進む物語は、いつしかシンクロしていき、意外な到達をみる。

終始、静かに穏やかにすすむ芝居と音楽。
シリアスでありながらも、着ぐるみの猫がしゃべったり、と思えば少しグロテスクになったり、と様々な表現がとられているのに、なぜか違和感を感じませんでした。
映画で大ブレイク、初舞台で主演の、あの柳楽優弥くん、中性的な長谷川博己さん、田中裕子さん、佐藤江梨子さん、そして木場勝己さんさえも静かで穏やか。
水の底に漂っているような感じがよかったです。

百年の秘密

百年の秘密

ナイロン100℃

本多劇場(東京都)

2012/04/22 (日) ~ 2012/05/20 (日)公演終了

満足度★★★★

二人の女性の友情を彼女たちと家族の半生を通して描く。
犬山さんと峯村さんが演じる二人の女性の『友情』、二人だけの秘密。
時代を行き来して描かれる二人の半生。
エピソードは時間順ではなく、
観客に「見せる順番」「知る順番」を考えて、時にさかのぼったりする。
そして、予期せぬ結末。

ネタバレBOX

最近は感動的なエンディングも多かったケラさんですが、本作では…。
一気にダークな展開をみせるのも面白い。
なまず

なまず

metro

神楽坂die pratze(ディ・プラッツ)(東京都)

2012/05/23 (水) ~ 2012/05/27 (日)公演終了

満足度★★★

月船さん魅力的!また蝉時雨蝶子に会いたい!
月船さらら さん一人になった演劇ユニット「metro」第2弾。
今回も、前回に続いて震災に関する内容で、未来の日本、東北の王国
を舞台にしたコメディでした。

個人的にはこの傾向のコメディは見ていて気恥ずかしいのが先に立って、
あまり笑えないのですが、ちらちらと風刺も効いてました。

それにしても、月船さんは、東北訛りでおっとりした東北の国の妃、
妖艶だけど笑える女性シンガー・蝉時雨蝶子、
コックリさんの力で?関西の総理になった肖像権エージェント、など
さまざまキャラクターを好演 … 蝶子のCD買っちゃいましたよ。
これまでの公演の登場人物も含めて、本当に、色々な面を持つ女優さんで、
魅力的です。

もっともっと別の顔、違った演技、違った人物像を観たくなります。
ですから、作品選びにかまり時間をかけないで、なるべく早く、次が観たい!
(と、勝手なこと言ってますが。)
もう今から次の作品に期待してます。

他には、タイトルにもある実は高度な知能をもっている「なまず」
を演じられた、ダンサーでもある池田遼さん。
水槽の中を回遊する様子を表した、くねくねとした不思議なダンスが
素晴らしかったです。

そしてmetroには欠かせない『怪優』鴇巣直樹さんは、今回はかなり普通の
役で、それが逆に味があって良かったです。

若松力さんは、metroには複数回出演のあの若松武史さんの御子息とのこと!
パンフ読んで驚いた!しかもツッコミ役!至って普通の役でした。

ちなにみに、会場である神楽坂die pratzeは、6月頃(だったかな?)には
閉鎖とのこと。metroこけら落としと、metro公演でしか来なかった会場ですが
こういう小さなスペースが無くなると聞くとすごくさびしい。

metroも同じ作風が続いたので、次は全く別のベクトル、出演者による
作品が観たい!! でも蝉時雨蝶子には会いたい!

陽だまりの樹

陽だまりの樹

キョードーファクトリー

サンシャイン劇場(東京都)

2012/04/13 (金) ~ 2012/04/23 (月)公演終了

満足度★★★★

原作手塚治虫,主演:上川隆也,寡黙な吉川晃司初舞台好演した、幕末もの。
動乱の幕末を舞台に駆け抜けた、若者二人の戦い!

初舞台の吉川晃司、演劇集団キャラメルボックス出身、すでにベテランの上川隆也 の二人主演。
上川さんは、女好きで遊び好きな蘭学医者。
吉川さんは、終始、寡黙で男前な武士!を好演。
二人の鬱積した憤りを、その頂点をクライマックスにおいて終わってしまうのがすっきりしない。
その先で爆発させる所を観てカタルシスを味わいたいのに。
その後、どうなるかが観たいのに。

他には、冒頭で、上川さんを「スケベ」と安易に連呼しすぎだったり、
きっと、幅広い客層に見やすくするための配慮からだと思いますが、勝海舟がめちゃくちゃ軽いキャラだったり、
随所に差し込まれたわかりやすいギャグなどが、こなれていなくて、妙に気になりました。

なお、本筋ではないのですが、上川さんの父親役の石倉三郎さんたちが客いじりをするシーンが可笑しかったですね。
石倉さんがうまく進められなくて、それを上川さんが(多分)アドリブで突っ込むというのが最高でした。
(その間、吉川さんは後ろを向いて笑いをこらえているという…)

海盗セブン

海盗セブン

地球ゴージャス

赤坂ACTシアター(東京都)

2012/03/08 (木) ~ 2012/04/22 (日)公演終了

満足度★★

大地さん、モリクミさん、強力!ただ生かせなくて、もったいない!無理やりな設定でした。
地球ゴージャスらしく、 笑いあり、ダンスあり、ミュージカルありで、楽しく元気になる作品。
カテコでも言っていた3.11にも負けずに元気になってほしいと。
そこは十分に伝わりますが、そのエンタメ要素が強調され、ストーリーの部分は、いつも以上に単純化されてて、物語は取ってつけたようなもの。
大地+モリクミ+イケメンによる歌+ダンス要素を前面に出すためのストーリーは無理が有り過ぎで、乗れない。
クライマックスでの全員の歌は、ミュージカル並みに聴きごたえがあって良かっただけに残念。
それにしても、最近のモリクミさんの”破壊力”は凄い。

絶頂マクベス

絶頂マクベス

柿喰う客

吉祥寺シアター(東京都)

2012/04/14 (土) ~ 2012/04/23 (月)公演終了

満足度★★★★

カッコよく、ノリも良く、面白く観れました。コロさん熊川さんがいなかったのが残念。
「悩殺ハムレット」に続く、オール女優キャスト×シェイクスピアシリーズ第2弾!
全体的なイメージは「悩殺ハムレット」に近くて、今回も終始「ノリノリ」のマクベス、主役夫妻は、執事とメイドの扮装というのもユニーク。
(これは、国王の"社畜"というイメージからきているらしいのですが)
出演女優さん達は、皆、メイク・衣装がカッコよく、舞台上の照明なども含めてなかなかスタイリッシュ。
セリフも今風でノリが良く、話も見やすくて、本当に面白く観れました。

ただ「悩殺ハムレット」と同様のアレンジ(というか、世界観というか、雰囲気というか…)だったので、
最初に「悩殺ハムレット」を観たときほどの驚きや興奮はありませんでした。

また、コロさんがいないのも痛かった!!
「露出狂」「ナツヤスミ語辞典」「悩殺ハムレット」と、毎回タイトルコールをやってた熊川ふみ(範宙遊泳)さんもいない。
この二人がいないだけで、少し物足りない感じがしました。

それでもやはり、深谷由梨香さんのパワーと七味まゆ味さんのインパクトは、印象的。
そして、柿喰う客への出演が多くハムレットに続いて出たキャラメルボックスの渡邊安理さんの、普段の劇団公演と違う面が観れるのも嬉しいです。

夜の森

夜の森

虚構の劇団

新宿シアターモリエール(東京都)

2012/04/05 (木) ~ 2012/04/15 (日)公演終了

満足度★★★

「虚構の劇団」の「虚構の旅団」第一弾は木野花・作演出。
「虚構の劇団」は、これまでの主宰の鴻上尚史作・演出でしたが、
これからしばらくは「虚構の旅団シリーズ」?として別の作家さんの作品が続く。
第一弾は、木野花さん!
旗揚げすぐに紀伊國屋ホール公演といい、本当に環境に恵まれてます。

治療のために演劇(「星の王子様」)をする「神経内科の患者によるサークル劇団」の話。
「虚構の劇団」は大好きな劇団で、これまでもなるべく観てきたのですが、
今回は大杉さほりさん、小野川晶さん、特に大久保綾乃さんが印象的でした。
劇団の皆さんは本当に成長が早くて、シアターモリエールの舞台も、すでに狭く感じます。
山崎さんがいないのと、話の展開や落とし所に、特にこれまで以上の緊張感や挑戦はあまりなく想定内でできているように感じます。
「星の王子様」というのも、「神経内科」(昔なら精神病棟)というのも少しベタでありがちか、やはり今の話題ではないかも。
(どうしてもこれまでの、今のITを題材にしていたのと比べてしまう。)
せっかくの「鴻上さん以外の環境」なので、もっと冒険しても良かったかも。

そう内容は、またしても、劇中劇がある劇団の劇ですが、偶然ですよね。
これまでも
「グローブジャングル」は、昔話を海外巡業する劇団、
「リアリティ・ショウ」は、24時間完全中継される小劇団の共同生活、
「監視カメラが忘れたアリア」は、監視カメラのもとで、演劇(天閉じ)をする大学の演劇サークル、
と続いていたので、これは意識的にそうしているのか?
劇団名は、芝居の中の「虚構の劇団」の話を演じる劇団という意味??

熱海殺人事件 NEXT

熱海殺人事件 NEXT

RUP

紀伊國屋ホール(東京都)

2012/04/06 (金) ~ 2012/04/15 (日)公演終了

満足度★★★

さすがに「ワ○ピ○ス」ネタは、ちょっと…

つかさんの超有名作品です。
が、観劇の歴史の浅い私にとって、初観賞。
独特の展開と、すべてのパワーを怒涛のごとく打ち出すセリフは健在。
山崎さんの芸風を見ているとどうしても風間杜夫さんに見えてきます。
今日は結構声が枯れかけてました。
武田さんの存在感もさすがです。
ハセキョーさんも頑張ってらっしゃいますが、線の細さが今一つ。
中村さんは、登場時のラッパー姿と、その後の工員との落差が面白い。

芝居の内容は、時代に即して次々に変わっていくのは理解できますが、
「ワ○ピ○ス」(アニメ/マンガ)ネタを安易に持ち込むのは、ちょっと…
いや、かなり違和感があり、私はNGでした。
本作の世界観とは全く異質で、壊しているように思います。

川を越えて、森を抜けて

川を越えて、森を抜けて

加藤健一事務所

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2012/05/01 (火) ~ 2012/05/06 (日)公演終了

満足度★★★★★

「なんでもない毎日」の幸福感。
3年ぶりの再演だそうですが、日本では3.11前と後では、意味が違ってきてしまった。

特別なことも何もない、毎日の繰り返し、家族との生活。

昔なら、そんな日常を打破することに価値を見出していたのに、
今ではそんな日常が何と幸福だったことか、失って初めて気付かされる。

両方の祖父母4人と孫1人の組み合わせも珍しいかもしれませんが、
みんなでワイワイと、日常のやり取りをしているのを観ているだけでも面白い。
特に景子おばぁちゃんは、ずっとみんながおなかすいていないか気にして、
料理をつくっているだけ(+少しダンス)なのに、なんとかわいらしいことか。

客観的に見れば、実際に毎日一緒にいたら、劇中の孫のように、
邪険に扱ってしまうかもしれませんが。

物語も、結局、都合良くうまくまとまったりせず、かといって悲観的にもならない、
リアルな結末も良かったと思います。

「テンゴ、ファミーリア」家族を養う、という加藤さん演じる祖父のセリフに、少し後ろめたい自分でした。

宇宙船<スペースシップ>

宇宙船<スペースシップ>

U-1グランプリ

赤坂RED/THEATER(東京都)

2012/04/25 (水) ~ 2012/05/06 (日)公演終了

満足度★★★★

作りこまれたコントの面白さ。
福田雄一/マギー二人の共同脚本・共同演出によるコント集「U-1グランプリ」第4弾です。
これまでCASE01取調室・02厨房・03職員室というように、特定の場所がテーマ。
CASE02から観てますが、前回は、野波麻帆さんの「妄想先生」が圧倒的で、DVDで何度も観てしまいました。
そして、今回は「宇宙船」。
ヤマトやロストインスペース、宇宙中継、方言、宇宙旅行などなどをネタに、
十数分のコントが次々に繰り広げられました。

今回のメンバーはお二人以外に、まず、絶対安心・ベテランの池谷のぶえさんと坂田聡さん。
さすがの安定感です。
そして、若手女性枠?では高橋真唯さんは、宇宙もののヒロインと萌えキャラを、
フレッシュに演じてました。
ジューシーズの方々は、少し弱かったかなぁとも…(アドリブとか)。

前回のDVDのコメンタリーを聞いて今回は、福田さん遂に役者デビューか!?と思い、
またチラシでは逆に福田さんはロボットのイラストになっていて顔写真が無くなってたので、
どうなるのだろうと思ったら、敵の大佐役(等)で顔出し出演し、なんと”長ゼリ”に挑戦。
そして恒例マギーさんとの着ぐるみ二人コントコーナー?では某有名キャラ役で出演。
またまた大いに笑わせてもらいました。
(XXXプロさんは懐が大きいからきっとモザイクなしで許可されるでしょう(笑))

今回も十分楽しませてもらいましたが、
どうしても前回と比べてしまうんですが、前述の野波さんほど圧倒的なネタはなく、
出演メンバーもあわせて、全体的に少し弱かったかなとも思います。
(と言いつつも、好きなので、3回も観てしまいました。)

今から次回が楽しみです。

ガラスの動物園

ガラスの動物園

シス・カンパニー

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2012/03/10 (土) ~ 2012/04/03 (火)公演終了

満足度★★★

深津さんの演技が、切なくて切なくて、痛くて、観ていられないほどでした。
有名な作品でしたが、実際に観たのは初めてです。
難解なイメージがありましたが、ぜんぜんそんなことはなく、
普遍的な物語でわかりやすい。

立石さんの母親の言うことは、いちいちその通り。
間違っていないのに、子とわかり合えずに対立してしまう悲しさ。

深津さんの演技が、切なくて切なくて、痛くて、観ていられないほどでした。

鈴木さんは「あの」ライアーゲームの人ですね。
そして、背景となり、人々の念となり、渦巻いていたパフォーマンスも、
また素晴らしかった。
広いコクーンの舞台を満たすための手段として、だけではなかった。

「銀河英雄伝説」 =第二章 自由惑星同盟篇=

「銀河英雄伝説」 =第二章 自由惑星同盟篇=

舞台「銀河英雄伝説」実行委員会

東京国際フォーラム ホールC(東京都)

2012/04/14 (土) ~ 2012/04/23 (月)公演終了

満足度★★★★

まさか銀英伝で河村隆一×中川晃教が共演!河村=ヤン・ウェンリーは富山敬テイストで、魔術師ヤンの苦悩を演じた。馬渕英俚可さんジェシカ好演!
偉大なスペースオペラ「銀河英雄伝説」の第二章。
第一章 銀河帝国篇
外伝 ミッターマイヤー・ロイエンタール編
外伝 オーベルシュタイン編
に続く、本編第二弾は、いよいよ「自由惑星同盟篇」、ヤン・ウェンリーが登場。
(ちなみに、中川晃教=ポプランによる「銀河英雄伝説 撃墜王篇」が、今年8月に上演。「天王洲銀河劇場」(銀河つながり))

まさか銀英伝で河村隆一×中川晃教が共演するとは思いませんでした。
河村=ヤン・ウェンリーは富山敬テイストで、魔術師ヤンの苦悩を演じ、ご本人も富山ヤンの雰囲気を意識されており、
また、DVDBOXを10回以上観たというだけあって、結構違和感がなく、観ることができました。
ところどころ、富山さんかと思うほど似ていたところもあり、別に真似がいいわけでは無いにしても、
イメージを壊さない努力に好感が持てて、物語にすんなり入ることができました。
中川晃教=ポプランは、こちらは中川さん個人のキャラを生かしたふざけぶりが御愛嬌。

まだ初日2公演目のためか、若いアンサンブルの男優は、「なんていうか忘れちまったぜ」とか言うし、
超ベテランの西岡徳馬さんですら、冒頭の戦争の歴史を語る部分で、結構何度か噛んでおられたりして、最初のうちは安心して観ることができませんでした。

物語のほうは、ヤンととジェシカの物語を軸に、もうアニメで何度も見た話「イゼルローン要塞の攻略」ですが、(話を知っていると)なかなか盛り上がっていて、面白く観れました。
(ちゃんと「ゼッフル粒子」が出てくるのもうれしい。)
特に、ヤンは和平交渉のためと思って味方の犠牲なしで、占領したことが、逆に、帝国への侵攻につながってしまうという皮肉。

「恒久平和なんて望みはしない。望んでいるのは、たかだか数十年の平和だ。」

ジェシカ役の私の大好きな馬渕英俚可さんは、いつもちょっときつめの役が多いので、今回もぴったりでしたが、
ジェシカは、もう少し大柄なイメージだったかも。(アニメの印象が強くて。)
歌も歌われ、好演でした。ぜひ、今後も同じ役で続投してほしいものです。

やはり、壮大なオーケストラ音楽がとても効果的で、感動的です。
エンディングで全員が主題歌を歌うのもいい。


さて、毎回問題になる、艦隊戦の表現ですが、こちらは図形で陣形を表すアニメーションを、舞台上スクリーンに投影。
また、一部、囮のニセ帝国軍宇宙艦は、CGアニメで表現。
その他大勢の戦艦は、光る点々に。

スパルタニアンの戦闘は、CGと、パイロットの俳優による格闘アクションで表現。
したがって、1隻のデザインが分かるのは、囮のニセ帝国軍宇宙艦と、スパルタニアンくらい。
スパルタニアンに撃たれるだけの帝国軍戦闘機(名前忘れました)も出てきたようですが、形が確認できなかったような…。
…という、何かちょっと中途半端な印象でした。

さて、どこまでも続きそうな『銀英伝』。
もう、ここまで来たら、本編、外伝、すべて完全舞台化しましょう。

まほろば

まほろば

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2012/04/02 (月) ~ 2012/04/15 (日)公演終了

満足度★★★★★

面白かった!超おすすめです!!
ぜひ観てほしい!
老若男女すべての人が楽しめて、考えるとってもいい芝居です!
とにかく面白いです。

15日までだから、「観て!おすすめ!」

4年ぶりの再演です。
初演も観たのですが、ここまで面白かったかなぁというのが正直な感想です。

もう、最初の入り方からして絶妙で、笑いながらぐいぐいと引き込まれていきます。
話の内容は、妊娠とか、閉経とか、産む産まないとか、終始その連続で、
しかも登場人物全員にかかわってくる非常にまじめな話なのに、
おかしくてしょうがない。

ネタバレBOX

おばあちゃんの「妊娠は本当は、おめでたいことなのにねぇ…」というのも印象的だし、
本家を常に大事にして、この際だから父親には隠して別の人と結婚しても
構わないと過激なことを言っても、最後は娘自身の身を案じるおかあさんも素敵ですし、
破天荒なキャリアウーマンなのに妊娠には非常に戸惑う長女、
あっけらかんとした発言や豊富な知識のススンでる?女の子とか、
当然ながら、みんないろいろな立場で、それぞれが交わす話がとにかくおかしい。

娘たちが、そろいもそろってうまくいってなくて、
「普通に結婚して、普通に子ども産んで、幸せな家族生活を送る」なんて、
今では5割以下の確立しかない、とかいうセリフもなかなか説得力があります。
(まぁ確かにその「普通」ってなに?という。)

それなのに、交わす会話が、いちいちおかしくって、
わざとらしくない自然な(ときにはぎりぎりの)演技のたまものでしょう。

特に秋山菜津子さん、中村たつさん、三田和代さんが素晴らしい。

ほんと、登場人物に合わせた各世代の、女性の感想を知りたい。
男である私は、これだけは直接経験できませんからね。
それを考えると、これを男性が書いたというのもすごい。
ジキル&ハイド

ジキル&ハイド

東宝

日生劇場(東京都)

2012/03/06 (火) ~ 2012/03/28 (水)公演終了

満足度★★★

石丸ジキルハイドの挑戦!キャスト一新、若返り、これからに期待。
さて、ジキルハイドは鹿賀丈史さんの当たり役で、ラスト公演で観て以来、その強烈な印象が残るばかりで、今回の新キャストはどんなものかと思っておりましたが…。
やはり、つい、鹿賀版と比べてしまいます。
石丸版は… 結果、若返ったのはとても良くて、非常にクールなジキルとハイドになった印象。
ただ、全般的に少し「細く」、迫力はまだこれから、と感じました。
濱田めぐみさんは、私はまだ、なじみがなくて。
良くお見かけする笹本玲奈さんは、今回は、ひたすら静かに地味に演られていたような気がします。
吉野圭吾 さんは、悪役のイメージが強かったのですが、今回は普通にいい人、親友役。
中嶋しゅう さんは、歌は、やっぱりちょっと厳しそうで…。
アンサンブルの方々の歌は、ソロ・パートの安定感がいま一つ。
皆さん今後、再演でさらに進化したところを観てみたいです。

演出面では、今回、各殺人場面が変わったようで、それぞれ方法に「ひと工夫」加えられていました。
中でも、ロープで吊られた荷物が、次々に落ちてくるところは、なかなか上手く出来てました。

また、いい意味で気になったのが、照明です。
くっきりとした「光の筋」が段階的に動いたりして、とても目を引きました。

サド侯爵夫人

サド侯爵夫人

世田谷パブリックシアター

世田谷パブリックシアター(東京都)

2012/03/06 (火) ~ 2012/03/20 (火)公演終了

満足度★★★★

「戯曲×六人の女優×野村演出」の密度の高さに圧倒され,特に蒼井優さんがとっても良かった!
以前、篠井英介×スズカツ版で観ましたが、何といっても、この知名度の高い6女優の顔合わせがスゴイ。

白石加代子さんのうまさ、自然さ、安定感が良くて、そして最初から最後まで出ずっぱりに近い。
麻実れいさんの存在感と強さ、潔さ。
そして何よりも、蒼井優さん。
最初は清楚で、澄んでいて、か細く、美しく、
しかし中盤からは、他を寄せ付けない自分の信念に、狂ったように一途に酔いしれていて、
その小さく細い体から溢れる強さが演じられていて、凄かった。

この難解なイメージの作品で、大量のセリフと独白に近い応酬であるのに、
非常にわかりやすく、エキサイティングに感じられたのは、
まさに、野村演出によるものでしょう。

密度の高さに圧倒されました。

※それにしても世田谷パブリックシアターの2階席のイスの【座りにくさ】!!
 どうにかならんものか!!

ワンダーガーデン

ワンダーガーデン

玉造小劇店

座・高円寺1(東京都)

2012/03/08 (木) ~ 2012/03/18 (日)公演終了

満足度★★★★★

女優4人がそれぞれ男女二役を演じる4姉妹の半生。華やかで楽しく、ホロっとさせられる。
美しい庭を舞台に、ある4姉妹の20年間にわたる人生を、女優4人が男女二役を演じて描く物語。

女優4人の個性に加えて、それぞれの男役も楽しめる面白い企画。
皆さん芸達者でよかったのですが、中では澤田さんの男役の演技が、独特のデフォルメがあってまじめなのに可笑しくて、独特の雰囲気でした。
また、ラストシーンは、ロマンチックで不思議な感じで、ほろっとさせられました。
わかぎゑふ さんは、こういう明治から大正、昭和へと移り変わる年代記ものが、非常にうまいです。

ちなみに、今日は四華・女優チームの東京千秋楽だったので、終盤パーティーの場面で、四獣の男優4人がサプライズで出演。
ハプニングが可笑しくはありましたが、せっかくの芝居の流れを止まってしまって、ちょっと興ざめでした。

蛇足かもしれませんが、カーテンコールで、すべて終わってホッとしてうまく言葉も出なかったような高橋由美子さんが、非常にかわいらしかったです。

レシピエント

レシピエント

ドリームプラス株式会社

紀伊國屋ホール(東京都)

2012/02/29 (水) ~ 2012/03/11 (日)公演終了

満足度★★★★

腎臓移植から性格が「おたく」化したヤクザ、”披移植者”の物語。G2演出にサトエリ好演!!
大事故の際、腎臓移植を受けてから性格が「おたく」化したヤクザ。
その性格は、腎臓の元の持ち主、そのままだった。

「目が不自由なだけでなく人工透析までしている女性」を演じる
サトエリの好演が光っている。
今回、初主演(意外!)というが、目が見えない演技、というだけでなく、
その視線と態度の「力強さ」が女性の生い立ちまでを感じさせて、凄い。

また、若者中心の役者の中では、最年長になる三上さん(解散した劇団M.O.P元所属)
も安定した演技で好演されてました。

重いテーマを扱いながらも、軽い笑いを随所にはさんで、
観やすくしている点で、脚本はうまいと思う。

ただし、本作に限らず最近の作品において、物語の単純化に役立つのであろう、
ヤクザ、不良、オタク、アイドルなどの安易な人物設定にはそろそろ飽きてきましたが。

ロマンサー-夜明峠編-

ロマンサー-夜明峠編-

モダンスイマーズ

シアタートラム(東京都)

2012/02/23 (木) ~ 2012/03/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

意外な題材!人を喰らう大熊を退治せんとするマタギの一行と、虐げられてきた家族、の物語。
チラシの都会的?な印象とは正反対、マタギの話、
という時点でまず驚きました。

里を襲い村人を何人も食った巨大な熊を追い、
マタギと犠牲者の夫たちは、熊狩りの宿にするため、
山奥の家を訪ねると、そこには、
里を追われて暮らす母と3人の子が居り、
彼らは納屋を借りて暮らし始めたが…。

人間たちの(特に日本人)の持つ偏見、差別、対立を描きつつ、
話の進行にしたがって、徐々に分かり合ってくる道も示しながらも、
終盤では急展開。
熊が人間を襲うことなど、個々の人間にとっては極めて大きな出来事も、
おきていることはすべて自然の一部に過ぎない…。

客演の石田えりさんには、女性の包容力(女としても母としても)
というイメージが強いのですが、本作品ではそれをベースに、
さらに女の情念とのようなものも感じます。

全編を通じて感じる緊張感、ラストの演出は、さすが。
やっぱり芝居はいいなと思わせる、演劇でしか味わえない感動でした。

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