アキラの観てきた!クチコミ一覧

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蠢雲

蠢雲

鉄秀

ザ・スズナリ(東京都)

2018/01/07 (日) ~ 2018/01/08 (月)公演終了

満足度★★★★

絵・舞踏・音楽のコラボ。
踊るように絵を描く“舞描”の鉄秀さんと絵師の東學さんの2人の描き手が、交互に墨と金(金泥・金粉?)で描く。その姿がコトバを使わぬ「禅問答」。

ネタバレBOX

舞台後方全面がキャンパスになっている。
2人の描き手は客席側を向いて座っており、自分の番が来るまでそこに何が描かれているのかを知らない。
振り返り、それを瞬時に見て自分の筆(あるいは手)を墨に浸してキャンバスに向かう。

最初は、東學さんがキャンパス一杯に描いた、迫力のある龍の絵からスタートした。
バトンタッチ後、鉄秀さんは素手でビルのようなものを龍の背に書き加えていく。さらに、中心には人の顔が浮かび上がる。
見る見る間に、龍が消えていく……。

時々刻々と変わっていくキャンパスの上から目が離せない。
互いの絵の上に自分のインスピレーションを瞬時に描くので、それを活かす、または破壊、創造が、とにかくスリリング。

無言で行われる禅問答。

舞踏の向雲太郎さんは、冒頭、暗闇から登場する。
このシーンに鳥肌。

舞台の上にいる向雲太郎さんよりも、彼の影が墨絵のようにキャンバスの上で踊る。
これも時々刻々と変わるドローイングのひとつだ。

ラストに向かい、舞台の上はカオスとなりつつも、「作品」として仕上げる意識が全員にあり、到達点を目指す。

築山健一郎さんの生音楽は、ジャーマンプログレ風。
盛り上がる。

最後に禍々しさと神々しさが同居したような絵が仕上がった。
この絵は撮影可。
しかし本来は、描き手と踊り手がこの絵に加わって完成だと思うので、彼らには舞台の上にいてほしかった。
ハイサイせば

ハイサイせば

渡辺源四郎商店

こまばアゴラ劇場(東京都)

2018/01/06 (土) ~ 2018/01/08 (月)公演終了

満足度★★★★

とてもいい舞台だった。沖縄だけの問題にせず、青森を入れることで物語に広がりが出た。
ただ、帰りながら少し冷めた頭で思い出すと、解せないというか納得できない2つの点があった。

(以下、ネタバレBOXへ長々書いてます)

ネタバレBOX

『ウインドトーカーズ』という映画があった。ニコラス・ ケイジ主演だったので覚えている方も多いのではないだろうか。
この映画は実話に基づき、第2次世界大戦時にアメリカがナバホ族を無線通信のための暗号兵としたというものだ。もちろん敵国である日本人にはナバホ族の言葉は理解できないから。
日本でも同様のことが行われていた。劇中でも出ていたように薩摩の言葉を使い、国際電話で会話をしたという。

そういう歴史的事実があっての、本作品である。
沖縄語と津軽弁を使って、国際電話によって秘密の通信を行うために沖縄の人、青森の人がそれぞれ2名ずつ集められた。
「何のために集められたのか」という疑問から引っ張られて、上記のためだということが明らかになってくると、「なるほどな」と思ったのだが、実はスパイをあぶり出すための作戦だったというカラクリがあった。

ストーリーの展開も面白いし、なによりネイティブな沖縄語と津軽弁の会話自体が面白い。
観客たちには、ほぼ会話の内容がわからないのに、会話している様子が面白いのだ。
自分たちのコトバがわかる同士の安心感から来る会話の弾み方が上手い。
いちいち会話内容の説明をしないところがさらに上手いと思った。

そもそも青森の人たちと沖縄の人たちが組んで作った作品ということは、あえて脇に置くが、この物語を単に沖縄の問題だけにしなかったところで、物語の広がりが出たのではないだろうか。

「標準語」は富国強兵を目指した政府が軍隊を作る上で、命令が通じないと困るから生まれた、という説もあるように、標準語と軍は切っても切れない関係にある。
それなのに今度は敵国に通信内容を知られないために「方言」を活用するという矛盾がある(アメリカもネイティブ・アメリカンを散々迫害していたのと同様)。そこが面白いし、さらに、イヤな雰囲気をまき散らしている(笑)海軍少佐の吐き捨てるような発言で、標準語が方言よりも「上」であるという彼の考え方(多くの「都会人」の考え方)に否定的になっていく。

方言こそが「人のコトバである」ということが、4人の楽しげな会話からうかがい知れるのだ。
そこが楽しいし、面白いのではないだろうか。

そして笑いが多い。
笑いながら沖縄や青森のことを少し知ったりする。

関東大震災時に日本人と朝鮮人の見分け方に使われたという「十五円五十銭」と言い合う青森の人たちの姿が哀しかったりもする。

4人の会話はほぼわからないのだが、なんとなくわかりそうになってくる。特に津軽弁のほうは。
その方言の案配が上手いので、ラストの電話にはグッときてしまう。

このラストの電話、受け取る人によっては受け取り方が違うのではないかと思った。
つまり、「電話の相手がだれだったのか」という点で。

掃除婦は「自分の夫が電話の向こうにいるのではないか」と言うのだが、オレオレ詐欺のように電話では相手の声は分からない。したがって、ラストももちろん相手は夫ではなく、すでに電話は切れているのだが、掃除婦は何も音のしない受話器に向かって話しているのではないか、というもの。

または電話の相手は彼女の「夫」であり、ラストもその夫に向かって話しているというもの。

私は前者と思ってしまった。

掃除婦を演じた三上春佳さんのコトバのトーンや仕草がとても愛らしく、ラストシーンでは涙を誘う。

本当に素晴らしい作品だったと思う。


しかし、帰り道、少し冷めた頭で考えると2つの点で疑問、というか納得できないことが浮かんだ。

1つめは、沖縄の人の、作品の上での扱い方。
沖縄語を話すことで「スパイ呼ばわりされてきた」という沖縄の人たちなのに、この作品では登場する2人ともが「スパイ」なのだ。それも「強要」されたわけではなく、「自分の意思」によるものだ。
特に元漁師は沖縄に帰りたいということだけで「郷里の人を裏切る」。
そういう時代だから、というのとも違うように思う。
さらにこの元漁師は、不用意に「帰らぬ夫を浜で待つ妻」の歌を、戦争に行き安否のわからぬ夫を待つ女性(掃除婦)の前で歌う(もし違っていたらすみません)。この人は郷里の人を裏切るばかりではなく、デリカシーもないのか、となるではないか。
沖縄語は相手の掃除婦にはわからないのだから、うっかり歌ったとしても「漁から帰ってくる夫を迎え、喜ぶ妻の歌」というウソをついても良かったのではないだろうか(ウソをついたことはほとんどの観客には分からず、沖縄の人にしか分からないが、それも意味があるのでは)。
結局、そんな扱いしかされないのか、沖縄の人たちは、と思ってしまったのだ。

2つめは、衣装の問題。
衣装は少佐のみが、なんとなく日本海軍の軍服っぽいだけで、少尉もそのほかの登場人物の衣装も、どこかおとぎ話の中の登場人物のようなのだ。リアリティをあえて出さなかったのはなぜなのか。
戦争末期の「日本」の話でなくなってしまうと、発信するメッセージも受け取るメッセージも弱くなってしまうのではないだろうか。
寓話的な内容にするならば、例えば「日本の標準語が沖縄語」であり、「(いわゆる)標準語(あるいは江戸弁)が一般の人には分かりにくい方言」であるという設定ならば、風刺も効いたかもしれない。

以上の2点がどうしても納得できなかった。

どうでもいいことだが、電話でやり取りした内容は、ドイツから来るものだから「赤い鳥がジェット機またはロケット機」「黄色い石がウラン」「青い魚はUボート」じゃないかな、と思ったりした。
君のそれはなんだ

君のそれはなんだ

オイスターズ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2017/12/22 (金) ~ 2017/12/24 (日)公演終了

満足度★★★★★

オイスターズらしい奇妙で、さらに気持ちのワルイ作品。(そう)見えたり見えなかったり、で「演劇であること」を最大限に(逆手に?)利用した演出。いかにも、なラストもシャレのよう。平塚直隆さん演じるおじさんの佇まい感が上手い。
(後ほど加筆予定)

お祭りやってるらしいよ

お祭りやってるらしいよ

あひるなんちゃら

駅前劇場(東京都)

2017/08/31 (木) ~ 2017/09/04 (月)公演終了

満足度★★★★

もう、お祭りやってなくても誰か一緒に行ってやってくれよ、と言いたくなるような、ゆる面白い舞台。
困ったちゃんが多すぎ(笑)。
堀靖明さんの突進ぶりに大笑い。
宮本奈津美さんの声のトーンが良すぎる。

ファインディング・ネバーランド

ファインディング・ネバーランド

フジテレビジョン/キョードー東京/ホリプロ

東急シアターオーブ(東京都)

2017/09/08 (金) ~ 2017/09/24 (日)公演終了

満足度★★★★★

どのシーンも楽しく、美しい。
『ピーターパン』を演じるシーンやラストは特に。
いい曲が多い。
演出の手際が良く、一瞬も飽きずに楽しめた。
久々に感動した素晴らしいミュージカル!

バージン・ブルース

バージン・ブルース

うさぎストライプ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2017/05/04 (木) ~ 2017/05/21 (日)公演終了

満足度★★★

怪作+ベテラン俳優2人という、非常に面白い設定なのに、もうひとつ面白くなってこない。
というか、もっと面白くなるのでは、という期待値が大きすぎたか。

身毒丸

身毒丸

演劇実験室◎万有引力

世田谷パブリックシアター(東京都)

2017/03/16 (木) ~ 2017/03/19 (日)公演終了

満足度★★★★★

2015年に万有引力で上演されたものを再演。
非常にクオリティが上がった。

アコーディオンが奏でるジンタのリズムに導かれ、隠微で猥雑な幕が上がる。
天井高のある世田谷パブリックシアターの舞台を一杯に使ったセットに圧倒される。

一見泥臭いのに、すべての動きがきちんと計算・整理され、役者の指の先まで神経が行き届いている。
その緊張感で舞台の上は充満している。

J・A・シーザーさんたちの生演奏による、呪術的プログレ曲も含めて、大きな美術世界の中にある。
自分の「穴」を探し彷徨う身毒の内面への旅。
観客は全身で受け止める。

モダンスイマーズ実験公演

モダンスイマーズ実験公演

モダンスイマーズ

高田馬場ラビネスト(東京都)

2017/11/07 (火) ~ 2017/11/12 (日)公演終了

満足度★★★★

『魔女の夜』

生越千晴さん、笠井里美さんの2人芝居。
2人の台詞のやり取りの緊迫感。
どちらがどう攻め、どう返すかがドキドキ。
笠井里美さんはやっぱ上手い。

チョークで描いたようなセットも効果的。
チョークなので簡単に消えてしまうような部屋(関係)を表していた。

『青いポスト』/『崩れる』

『青いポスト』/『崩れる』

アマヤドリ

王子小劇場(東京都)

2017/11/04 (土) ~ 2017/12/03 (日)公演終了

満足度★★★★

『青いポスト』

一見「いつものアマヤドリ」であって、「いつもの」ではない。
もう1本の『崩れる』が台詞(会話)の緩急・動静でリズムを生み出し、物語を先に進めていたが、こちらではシーンのつながり・重ね方で、物語を進めるリズムを作り出していたように思う。

(以下はネタバレBOXへ)

ネタバレBOX

前後で行われるシーンと、次のシーンへ前のシーンを残したままつなげる手法。
しかもそのテンポは速い。
テンポの速いシーンの連続に、背中を押されるようにストーリーにどんどんとのめり込まされていく。

これには「声のトーン」もあるだろう。
双子たちの高くて揃ったトーンが要所要所で効いている。

物語の中心には「善・悪」がある。それは以前の作品の延長線にあるようにも感じる。だから「いつもの」感があるのかもしれない。群舞もあるし。

双子の姉妹はどう見ても「悪い」が、消されなければならないほどか、と言われれば、そんなこともないのではないかと思う。
そもそもこの町の掟は、上から決められたものであったのではないかと思う。
住民たちが自ら考え出したルールとは思えないからだ。つまり「消す人を選ぶ」なんて誰もやりたくはない。

「多数決」による「住民の総意」とい形をとることで、「住民自らの選択」と思い込ませるというルール。
「ルール」ありきで、「おかしい」と感じても元には戻れない。
これこそが「大きな悪」なのかもしれない。大きな力による悪。

毎年消される人が必ず1人選ばれるということは、いずれは「良い」「悪い」と関係なくなってくる可能性があることや、こんなに悪そうな双子が今までなぜ選ばれてこなかったなど、突っ込みどころのある「設定」が、この作品の要点ではなく、それをベースとして人との関係(距離)や自分自身のことをクッキリさせる。

どう接して、どこまで踏み込んでいいのか、あるいはどこまでの関係なのか、がわからなくなってしまうことがある人もいるだろう。「これ、言ってもいいのか」などと迷ったりすることなどだ。
委員会での関係がいい例で、そこでの関係はその場限りが前提のようだ。「人が消えること」を扱うのだからもっと人間味があってもいいのではないか、と思うサユリのような人も出てくる。

また、双子とその育ての親の関係もそうだ。双子から叔母への距離感と叔母から双子への距離感にはズレがある。ズレがあるから哀しくなるのだ。
ミズキが文通をしたり妹と話すときの感覚も、距離感が違いすぎる。一見「無害で人の好い」ミズキが、実は人を真綿で首を締めるように傷つけている、のではないかということが個人的に共感できすぎて痛い。良かれと思ってやる「お節介」は他人を苦しめることもある。

先に「シーンのつながり・重ね方で、物語を進めるリズムを作り出していた」と書いたが、それは逆に登場人物たちの、それぞれのシーンでの役割・位置づけを観客の中で醸成させるには短すぎたのではないかと思う。また、その時間では登場人物たち役者もそれぞれのシーンで役を固定されるのがあまり上手くできなかったのではないか、とも思った。

おばあちゃんを演じた中村早苗さんと、姉・ミズキを演じた小角まやさんの、全体の急な流れとは違う進み方が良かった。
しかも、おばあちゃんと姉の役割が違うので、それぞれのテンポであるところが上手いのだ。
ロミオとジュリエット

ロミオとジュリエット

地点

早稲田大学大隈記念講堂(東京都)

2017/01/20 (金) ~ 2017/01/21 (土)公演終了

満足度★★★★

地点のメンバーが舞台衣装のまま観客を座席に誘導する。
大隈講堂が満席になった(2階は不明)。

大きな八百屋舞台がそびえ立つ。
空間現代との共演は、フェスティバル/トーキョー『ミステリヤ・ブッフ』以来。

『ミステリヤ・ブッフ』は、観客が演劇空間を囲んでの公演だったので、観客の姿も見え、カオスな感じもあったが、今回は舞台と客席は別なので、すっきり。

空間現代の音楽も演劇のBGMではなく、役者の台詞と同等に立っている。
リズムと台詞のバランスが良すぎるので、歌と音楽になりかけていたかもしれない。

役者は傾斜のある舞台の上で、反復横跳び。大変。
多くの登場人物が司祭のようなフードありコートを着用。
『ロミオとジュリエット』では、そもそも司祭が余計な入れ知恵をしたために起こる悲劇と言ってもいいので、悲劇を呼び込む人たちが悲劇を嘆くという図式に。
観客もまた司祭なのだ。

散歩する侵略者

散歩する侵略者

イキウメ

シアタートラム(東京都)

2017/10/27 (金) ~ 2017/11/19 (日)公演終了

満足度★★★★★

2011年版を観ているが、今回はさらに完成度が上がった。
演劇らしい、見せ方、面白がらせ方を知っている。
ラストは泣いている観客が多かった。

そして大窪人衛さんの、あの身体を捻りながらの台詞回しのイヤったらしさは、やっぱり最高だ! これぞイキウメ!

前川戯曲は前川演出のイキウメが一番面白い、というか前川演出であったとしても、なぜかイキウメ以外はそんなに面白くならないのだ。
正直、『散歩する侵略者』もドッカンドッカンと、微妙にいろいろ見せてしまう映画版よりは数百倍はいい。

「標〜shirube〜」

「標〜shirube〜」

劇団桟敷童子

すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)

2017/12/12 (火) ~ 2017/12/25 (月)公演終了

満足度★★★★★

終戦前後の九州の寒村が舞台、古い言い伝え、風車。
こうした、桟敷童子的には「ワンパターン」とも言える素材なのに、最後まで引き込まれて見てしまう、それが桟敷童子の面白さだ。セットの作り込み、装置の動きもいい。
死と隣り合わせであっても「生きる」というテーマが強いのも魅力的だ。
大量の紙吹雪とラストの風車は、わかっていても感動してしまう。

劇団桟敷童子の役者さんたちはどの人もとても素敵だ。
客演ではあるが、ワタリを演じた朴璐美さんはややオーバーアクトではないかと思いつつも、ものすごい熱演。
リュウを演じた板垣桃子さんは落ち着いた役なのに存在感がさすが!
ハナ役の大手忍さんもいい!

「煙草の害について」「夏の夜の夢」

「煙草の害について」「夏の夜の夢」

劇団東京乾電池

明治座(東京都)

2017/04/15 (土) ~ 2017/04/15 (土)公演終了

満足度★★★★

なんと劇団東京乾電池が明治座で公演!


第一部 柄本明一人芝居『煙草の害について』
何が何でも観客を笑わせてやろうという強い想いが舞台の上にあった。
そして笑った。
明治座で一人芝居って今まであったのかな?


第二部劇団東京乾電池公演『夏の夜の夢』
かつてスズナリで観た『夏の夜の夢』の再演。
スズナリの狭い舞台に劇団員総出演。柄本さんが登場し、すべての面白さを自分1人でかっ攫って行った公演だった。
それを広い明治座で上演した。
スズナリのときの熱量とは違ったが、それで役者全員の熱を感じられ、やっぱり面白かった。

ハイバイ、もよおす

ハイバイ、もよおす

ハイバイ

KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)

2017/07/29 (土) ~ 2017/08/12 (土)公演終了

満足度★★★★

夏祭りの仮説舞台のようなセットが組まれている。
そこで出し物のように中編の作品が上演される。

舞台の袖にある岩井秀人さんもアロハに雪駄(だったかビーサンだったか)、腕に金色の腕時計の、香具師か地回り風。

ネタバレBOX

いつものシリアスなハイバイではなく、笑って笑って笑ってのハイバイだった。
『ごっちん娘』にはほろりとさせ、撮影可の『大衆演劇のニセモノ』では決めポーズごとにシャッターチャンスが訪れて大笑い。
3本ともあらすじだけを聞くと、「ん?」のストーリーだが、「えっ?」な、どさくさ紛れ的なラストへのなだれ込みが凄まじい。どの作品にもなんとも言えない「哀しさ」がある。それがハイバイ的。
大衆演劇のニセモノ『天魔・十文字伝』。大衆演劇でイメージする、さまざまなことを鍋に入れて煮込んでから、うっかり炎天下に1日中置いたら発酵しちゃったよ、な舞台。
壮絶すぎる! (笑)

『ごっちん娘』は、笑いながら鬱々となってしまう。コンプレックスのない思春期の人はいないだろうから、ごっちんは自分だ、と思った人多いのではないだろう。ハイバイ版「山月記」か。

楽しすぎる!
どうせ茗荷谷で降りるくせに

どうせ茗荷谷で降りるくせに

GORE GORE GIRLS

シアター711(東京都)

2017/08/22 (火) ~ 2017/08/27 (日)公演終了

満足度★★★★

面白い!
独特の台詞の掛け合い・センスに笑いが生まれる。
GORE GORE GIRLSっていつもこんなテイストなのかな。
だったら次も観たいと思った。
ただ、鼻フックがなあ……。

バルバトス

バルバトス

TABACCHI

小劇場B1(東京都)

2017/08/16 (水) ~ 2017/08/20 (日)公演終了

満足度

本編(?)は、演技が大げさすぎてまったく乗れなかった。
そしてハッピーシステム??? 上演権が高いから?? 
ダイジェスト?

『超人』『擬人』

『超人』『擬人』

大駱駝艦

世田谷パブリックシアター(東京都)

2017/09/28 (木) ~ 2017/10/08 (日)公演終了

満足度★★★★★

『擬人』はAI編だという。なるほど!
少しのズレが生じてから暴走し、祈祷で対処するのが笑ってしまう。
インチキな祝詞(のりと)とともに。

それにしても麿赤兒さんは、可笑しさと哀しみを、一瞬で同時に表現する。凄い。
後編、『超人』はAIGであり、「ヒト」の行く先を描いた。

ベネディクトたち

ベネディクトたち

ナカゴー

あさくさ劇亭(東京都)

2017/01/21 (土) ~ 2017/01/29 (日)公演終了

満足度★★★★★

超人「ベネディクト」を取り巻く人々を描いた60分程度の作品。
特殊演劇集団(と勝手に名づけた・笑)「ナカゴー」の公演。
いろいろ逸脱しすぎて中毒的に面白い。

(以下ネタバレBOXへ)

ネタバレBOX

ナカゴーを見ていると「これは何なのだろう」「一体何を見ているのだろ」と思ってしまう(観ているときには思ってないが)。
たぶん、それは「演劇」ではないか、ということはわかるが、自分の知っている「演劇」とはずいぶんズレていうるよう思う。
と言うか、「素晴らしい演劇」「良く出来たお芝居」というものとは大きくズレている。

いろいろめちゃめちゃだし、役者の演技も「上手い」「下手」という範囲を逸脱している。
もう、何が何だかわからないことになっている。演出のほうも。手作り感満載でもある。

でも「面白い」のは確かなのだ。
とても笑えるのだが、「笑える」=「面白い」ではない。
自分の中のいろいろな基本的な設定をひっくり返されてしまう面白さがあるし、暗さや闇さえも感じてしまう「面白さ」もそこにはある。

この作品、「超人」って何? と思っていたが、どうやらベネディクトは人を虜にしてしまう超人らしい。
男も女もベネディクトに関わりたいと思うのだ。

相変わらずのしつこい台詞の応酬。いや台詞と言うよりは「叫び合い」。
ベネディクトが立っている次元(階層)が違うのか、まったくお互いが理解できない。
というか理解するつもりさえない。

ベネディクトは、自分が正しくて相手が間違っていると考え、それをわからないのは相手が劣っているからだと主張するだけで、歩み寄ることなど絶対にしない。相手も同様。ただ責め立てるだけ。

どこからどう見ても聞いてもまったくの平行線のまま怒鳴り合いが続くし、パンチも出る。
というあらすじを紹介しても何にもならないことはわかっている。
「結局人はわかり合えない」なんてそんな当たり前のことも言いたくない。

ナカゴーって「演劇」というよりは「ナカゴー」を見せているのだ。

ナカゴーが舞台の上で見せる、登場人物同士のズレは、ナカゴーと我々の間にあるズレと同じで、そのズレを楽しいという、自虐的で暗い感情が、ナカゴーの楽しさなのかもしれない。

ラストの唐突さは驚愕! としか言えない。

同時上演は『話したい人』。
膝に出てきた人面瘡の話。
膝にペンで書いてある人面瘡が「消えちゃう」というワンアイディアだが、かるいパンチで面白い。

ベネディクトを演じた篠原正明さんは、ほかの舞台に出るとどうなるのか気になる(Eテレでは見たけど、あれは篠原正明さんではないように思う・笑)。アメリカンなのかなあ(笑)。
悪童日記

悪童日記

サファリ・P

こまばアゴラ劇場(東京都)

2017/03/25 (土) ~ 2017/03/29 (水)公演終了

満足度★★★★★

アゴタ・クリストフ『悪童日記』をどうやって上演するのか、と思っていたが、見事に『悪童日記』だった。
ダイジェスト版やあらすじといった感じではなく、芯を捉えていたような気がする、と言ったら褒めすぎか。
5人で演じ切っていた。

髑髏城の七人 Season花

髑髏城の七人 Season花

TBS/ヴィレッヂ/劇団☆新感線

IHIステージアラウンド東京(東京都)

2017/03/30 (木) ~ 2017/06/12 (月)公演終了

満足度★★★★

最高に面白いエンターテインメント。
というか、
贅沢なヒーローショー。

善悪が誰の目からも分かるし(色でも・笑)、後ろからでもわかるような笑いもある。
それぞれの見得の切り方もいい感じ。こけら落としは新感線がまさにマッチしていた。

これだけの大きな客席が回転するのには驚く。
しかも意外とスムーズ。

ホントにウルトラマンショーとか仮面ライダーショーを夏休みのロングランでやったらウケそうな気がする。
次はどんな作品がかかるのか、楽しみだ。
映像がないとツラいかもしれないので、ロングランで人が入る演劇となると大変かもしれないが。

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