喫茶ティファニー
ホエイ
こまばアゴラ劇場(東京都)
2019/04/11 (木) ~ 2019/04/21 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/04/17 (水) 19:30
なかなかの問題作だと思う。東京から45分の町にある、かなりオールド・ファッションなゲーム喫茶で常連しか来ないような喫茶店に、新たな客が来る。実は、過去にバイトをしていた女性が元カレを連れて来て、マルチの勧誘を始めるが…、という物語。マルチだと思っても、それにハマらなければならない環境の人々の事情が次々に明らかにされる流れは、結構厳しい。演出も巧みで、役者もしっかり演じて、緊張感のある105分だった。
血と骨
トム・プロジェクト
ザ・ポケット(東京都)
2019/04/10 (水) ~ 2019/04/14 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/04/11 (木) 19:00
梁石日の小説と映画で有名な作品の舞台化だが、小説も読んでないし、映画も見てない。在日の家族を扱った、シビアな物語ではあるが、芝居でしか表現できないものが観られた舞台だった。梁の父親をモデルとした暴力的な男を主人公にしているが、映画の評を調べると、暴力的なシーンが多いのがツライという記述を良く見る。だが、舞台ではリアルすぎる暴力的表現は少なく、むしろ家族の関係を主軸に描いているので、ツライとは感じずに済む。長編の小説なので、どの部分に軸を置くかで、違った物語になるのだと思う。主人公を演じる金子由之もさることながら、妻を演じる名越志保、息子を演じる筑波竜一にも軸を置いているところが良い。暗転が多いのは、ちょっと気になる。
フラッシュバック
チタキヨ
恵比寿天窓.switch(東京都)
2019/04/11 (木) ~ 2019/04/14 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2019/04/11 (木) 14:30
チタキヨの4人が40歳になったのを記念しての公演。物語の達人・米内山の実力を遺憾なく発揮してて、役者陣もしっかり演じて、非常に面白い舞台になっている。20年前にアイドルとしてデビューし、1曲だけヒット曲「フラッシュバック」を出した3人組「イエローバード」が、あの人は今、的な番組で取り上げられる。3人の現状はさまざまで、それが絡み合ってのさまざまな出来事が面白い。最後は少しジンとさせてくれるのも、米内山らしい。チタキヨ3人の女優の歌って踊る姿も興味深い。男性と女性では感じるものが違いそうだが、面白い作品であるのは間違いない。
1つの部屋のいくつかの生活
オフィス上の空
吉祥寺シアター(東京都)
2019/04/06 (土) ~ 2019/04/14 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2019/04/09 (火) 19:00
チーム「黄」、アガリスクエンターテインメントとStraw&Berryを観た。
アガリスク『エクストリーム・シチュエーションコメディ(kcal)』は、いつものようにシチュエーションコメディを始めるが、30分頃に突然、劇団員の熊谷がレフェリー・ウェアでホイッスルを吹いて登場。実は、この作品はシチュエーションコメディをやりながら、俳優がエネルギーをどれだけ費やすかを競う「競技」だと言う。そのアイデアはなかなか見事なものだし、無理にエネルギーを使おうとするものの芝居として成立させていて、エンディングもちょっと泣かせるあたりは巧い。
Straw&Berry『サイケデリック』は、何人かの男女が普通の会話をしているが、何かおかしい…、と感じさせて、実は見事な物語になっている。作・演出の河西を「頑ななロマンチスト」と思ってる私だが、まさにその通りの作品だった。物語と人物の描き方が巧みで、緊張感が続き、切なく終わるエンディングが見事。
1つの部屋のいくつかの生活
オフィス上の空
吉祥寺シアター(東京都)
2019/04/06 (土) ~ 2019/04/14 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/04/08 (月) 19:00
チーム「青」、鵺的/かわいいコンビニ店員飯田さんを観た。
鵺的『修羅』は、いつもの鵺的を更に濃密にしたようなドロドロした展開だが、笑える場面もあり、主宰の高木によれば「結構エンタメ」なのだそうだ。中盤から、こうなるのかな、と思わせる通りの展開になるが、それでも慣れた役者陣と展開の凄さは見事だ。女優6人がいずれもキャラクターが切り分けられているが、特に川添と途中から登場のハマカワが凄い。
飯田さん『我がために夜は明けぬ』は、アイデアは買うのだけれど、それが切実に感じられにくい、という問題が若干ある。登場人物も多いので、キャラクターの切り分けも巧くいっていない印象があるのが残念。
1つの部屋のいくつかの生活
オフィス上の空
吉祥寺シアター(東京都)
2019/04/06 (土) ~ 2019/04/14 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2019/04/08 (月) 15:00
チーム「赤」、シンクロ少女/mizhenを観た。
シンクロ『メグ THE MONSTER』は、2組のカップルの出会いと別れと出会いを描くが、そこには名嘉らしいトリックが隠されていて、笑いつつ、少しシンミリしつつも、愛を感じさせてくれる好作品だった。
mizhen『小町花伝』は、いつもは抽象舞台で上演することが多いmizhenが具象舞台で上演することになり、能の『卒塔婆小町』に辿り付いたということで、15分ほどの小編を4本上演する。抽象性が高く、モノローグが多いため、1団体だけ毛色が変わって見える。
LIFE LIFE LIFE
シス・カンパニー
Bunkamuraシアターコクーン(東京都)
2019/04/06 (土) ~ 2019/04/30 (火)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/04/06 (土) 18:00
タイトル通り、ほぼ同じ設定での物語が3回繰り返される、不思議な作品だった。若い物理学者とキャリア・ウーマンの家で、子どもを寝かせるための方針で対立している。そこに物理学者の上司の夫妻がディナーに訪れる。実は、予定していた日より1日早いので、若い2人は全く準備をせず、そこに玄関のベル…、というような展開で、起こり得ると思われる3つの展開が繰り返される。1場は背景の説明もあり40分、2場は子どもを寝かせる場面も若干含めて30分、3場は上司の来訪以降のみで20分、という、全体で90分の作品である。ヤスミナ・レザらしいトリッキーな展開だが、何故3回繰り返されるのはよく分からない。それを除けば、結構笑えて、ビクビクしたりもして、楽しめる舞台ではあると思う。
ハイライト
うさぎストライプ
こまばアゴラ劇場(東京都)
2019/04/03 (水) ~ 2019/04/08 (月)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2019/04/03 (水) 19:30
不思議な芝居だった。菊池佳南が演じる「安全太郎と結婚したい女」とヘンな義足を履いた男と、その職場の同僚2人の、計4人が紡ぎ出す「サヨナラ東京」の物語。時間軸も空間も移動しながらの展開で、シュールな作風だが、うさぎストライプらしいと言えば言える。笑えるシーンも多く、70分はアッと言う間に過ぎる。
ロボットとわたし ご来場ありがとうございました。
演劇ユニットG.com
ウエストエンドスタジオ(東京都)
2019/03/27 (水) ~ 2019/03/31 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/03/28 (木) 19:00
物語はチャペックの「R.U.R.」で、外形としてアシモフの「I,Robot」を用いたという作品と言えよう。ロボットものの古典2つをつなぐというアイデアは買うが、文明批判的なチャペックと、ロジカル・ミステリーのアシモフの合体には若干の無理があったと思う。ただ、役者陣の力量と演出や照明で充分に見応えある舞台になっている。もっとも、劇場の広さに比して大声でしゃべるシーンが多いのは、ややいただけない気もした。145分はやや冗長な感じも否めない。
劇団の責任ではないが、上階の音楽スタジオの音が響いてくるのは、完全な興醒めであった。
クラッシャー女中
森崎事務所M&Oplays
本多劇場(東京都)
2019/03/22 (金) ~ 2019/04/14 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2019/03/23 (土) 19:00
昨年末の『愛犬ポリー…』と似たテイストの、根本らしくないとも言える作品だった。ちょっと奇妙な人達を登場させるのに50分ほど使った感じで、物語が動き出すのは、その後という印象である。この辺はやや冗長。人物達の引っ掛かるポイントがそれぞれ違っていて、そこから生まれる齟齬の奇妙さ・面白さを扱った作品に思えた。エンディングも奇妙だが、不思議に納得させられるのは巧い。
パラドックス定数第45項 「Das Orchester」
パラドックス定数
シアター風姿花伝(東京都)
2019/03/19 (火) ~ 2019/03/31 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/03/19 (火) 19:30
ナチスドイツ下でのオーケストラの葛藤を描く。重くタイトな劇作はパラドックス定数らしい作品だが、野木が劇団を作る前の作品の再演だとのこと。緊張感に溢れる125分だが、ちょっと長く感じてしまうのは已むを得ないか。
ハルサメ
あひるなんちゃら
駅前劇場(東京都)
2019/03/14 (木) ~ 2019/03/18 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/03/14 (木) 19:30
いつもながらの「駄弁芝居」が炸裂してた(^_^)v。演劇関係者も多かったが、みんなで大笑いした77分だった。亀を飼う男が、兄弟や会社の人やら見知らぬ侵入者に翻弄される物語だが、とにかく登場人物が皆少し変わっている人で言動がちょっとずつズレてる。こんな脚本を書く関村は頭おかしいとしか思えないけど(誉めています)、それを演じる役者陣も手慣れた人が多く、楽しい舞台だった。よく考えてみると、松木の役が最も変、かな(^_^;)?
見よ、飛行機の高く飛べるを
ことのはbox
中目黒キンケロ・シアター(東京都)
2019/03/13 (水) ~ 2019/03/17 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2019/03/13 (水) 18:30
この戯曲は大好きで、どこかでやればできるだけ観に行くようにしているが、小野寺ずるが出るとあっては必至である。本劇団で3回目の上演だそうだが、見事な舞台だった。明治期の終わり、第二女子高等師範で、出自も立場も違う2人の女生徒がストをやるという物語だが、戯曲の力もさることながら、キャスティングが重要な作品だと思っていた。で、今回は当たりで、貧農の出で直情型の初枝を小野寺に割り振った外、各キャストが的確で、しっかり仕事をしている。良い戯曲を適切な俳優で巧く演出すれば、良い舞台になるという典型に思われた。見るべし!
平田オリザ・演劇展vol.6
青年団
こまばアゴラ劇場(東京都)
2019/02/15 (金) ~ 2019/03/11 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/03/09 (土) 18:00
『忠臣蔵・OL編』Bチームを観た。会社の給湯室(?食事を摂る部屋)が舞台。そこで、OLらしい言葉で「殿」が切腹された後の対応を相談する…、という物語。確かに忠臣蔵らしい展開になっているのに、会話や時折混じる無関係の話題がOL風という、ある種シュールな展開だが妙な説得力があったように思う。OLの会話らしく、まとめをホワイトボードに書くのだが、それの書き方や添えられているイラストなどが興味深かった。
平田オリザ・演劇展vol.6
青年団
こまばアゴラ劇場(東京都)
2019/02/15 (金) ~ 2019/03/11 (月)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2019/03/05 (火) 20:30
『隣にいても一人』Cを観た。ある朝起きたら夫婦になっていた、という不条理劇。会話は普通に続くのだけれど、なぜ、夫婦になっていたと思っているのかが分からないままに物語が進む。不思議な風合いの作品だった。役者が変わると、その風合いが変わるのだろうと予想できるのだが、このキャストは不思議感が続くメンバーだったなと思う。他のバージョンが観られないのが残念。
平田オリザ・演劇展vol.6
青年団
こまばアゴラ劇場(東京都)
2019/02/15 (金) ~ 2019/03/11 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/03/05 (火) 18:30
『思い出せない夢のいくつか』を観た。夜汽車で旅する、芸能人(兵頭久美)とマネージャー(大竹直)と付け人(藤松祥子)による、平田オリザ流「銀河鉄道の夜」という雰囲気の芝居。心地好い感触が残る抽象性の高い劇。
音楽劇『母さん』
俳優座劇場
俳優座劇場(東京都)
2019/03/04 (月) ~ 2019/03/10 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2019/03/04 (月) 18:30
素晴らしい舞台だった。詩人のサトウハチローの生涯を、母との関わりを軸に構成された音楽劇で、何度もいろいろな所で上演されているそうだが、初めて観た。いきなり、晩年のフォーク・クルセダーズ「悲しくてやりきれない」で始まり、世代的にジャスト・フィットの私は心を捕まれる。詩人として名を為したハチローが息子を叱る戦時中の場面から始まり、時間軸を大きく前後させて、ハチローの生涯を描く。また同じ役者がハチローの息子と若き日のハチローとか、ハチローの娘とハチローの母とか、いくつもの役を演じるのは巧い作りだと思うのだが、芝居を見慣れていない人には分かりにくいかも知れない。しかし、時折はさまれるハチローが作詞した歌が見事に場面にフィットし、役者陣もバランス良く演じていて、とても素敵な時間を過ごすことができた。使用曲のリストがあるのだが、終盤でリストに無い「悲しくてやりきれない」の3番が歌われたときには、ちょっと泣きそうになってしまった。いい作品である。観るべし。
サンカイ
やみ・あがりシアター
サンモールスタジオ(東京都)
2019/02/27 (水) ~ 2019/03/03 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/03/03 (日) 16:00
面白い舞台だった。7階建てのマンションの1階に住む市村家では、父が念願のガラス職人になるため離婚するという。婚約破棄されて戻って来た長女が焦る中、次女がかっていたペットの蛇が逃げ出す。捜索するために、マンションの各階を訊ねるが、それぞれが何かの別れを迎えていた…、という物語。3階だけ空き部屋で、タイトルはその意味が一つ。それとは別に、散会という意味もあり、それぞれの階での別れが一種のハッピーエンドになる。同じ間取りという設定を活かして、同時にいくつもの階の人間が混じって会話する作りなど、巧みな作劇が楽しく、役者もしっかりと演じていたと思う。
『ワンダーランド、跡地』
遠吠え
王子小劇場(東京都)
2019/02/27 (水) ~ 2019/03/03 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2019/03/03 (日) 13:00
不思議なファンタジーの作品だった。元「南の島」だったワンダーランドにあった民宿を改装した、シェアハウス的下宿が舞台。長く飼われていた犬のぽつりが死んで、7日毎に供養にパーティーをやるという。ちょうどその頃、新たな入居者としてやってきた藤倉にだけ、ぽろりの姿が見える……。消えていくもの、消えていないもの、等へのさまざまな思いを描くファンタジーとして、変わった感触を残してくれる舞台だった。
毒モ
くによし組
「劇」小劇場(東京都)
2019/02/27 (水) ~ 2019/03/02 (土)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/03/02 (土) 12:00
くによし組『毒モ』を観た。「異常で、日常で、シュール」を謳う國吉咲貴ならではの物語と演技はいつもながら面白い。國吉は、このくらいの長さの作品で真価を発揮するようにも思った。