大きくなった未来
時々、かたつむり
シアター711(東京都)
2023/08/09 (水) ~ 2023/08/13 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★
・戯曲…場面がとにかく多い、もう少しワンシーンでの積み重ねが見たい。雨がなぜ降るか・なぜ記憶が消えるか・未来人は何だったのか・宇宙デブリは?等々仕掛けるだけ仕掛けて何もなかった。もう少し絞って効果的に見せたい。作者の頭の中ではいろいろと思い出や裏側の広がる一瞬なのだろうか。種々ほかの芝居や映画で見たのか「やりたいことはわかるけど」のつまみ食いだった気がする。ああいうのは丁寧な伏線や言葉があってこそだと思う。
・演出…場面が多いゆえか場転が毎回同じような照明でのゾーン分けになっていて飽きる。最後の入場が上手客席横だったのは面白かった。ベンチを使うのもよかった。床に座ると角度の関係であまり見えなかった。ベンチやイスをもう少し使えたらいい。
・演技…台詞を噛む人が多かった。それだけ稽古が足りていないんだと思う。度忘れした人もいたっぽかった。まあそれはそれとして。喧嘩のシーンで流れもなく怒ったり、進路を話すのに謎の間があったり、それらは俳優が「こう言おう」と正解を持ってきているのだと思う。言葉通りの感情とは限らないしやり取りしてほしいと思った。作った声が多い中で、菅原さん・萱さん・五十里さんあたりはいろんな声が聞こえて好きだった。宮坂さんの大声好きだったのでもっと見たい。本宮さんの寄り目の徹底ぶりに感動。所作が丁寧すぎる方もいたので雑になってもいいのかも。そこまで稽古したものを見たい。とにかく稽古が難しかったのかなと思わせた。
・美術…天井からつるされた雨はきれい。シーンがたくさんなので美術も難しいと思うが家の中が多かったのでそこは抽象的にでも作ったらよかったかも。ベンチの形きれいでした。
いろいろ書きましたがこれだけの人数で公演を開けられたのは素直に尊敬します。
私の感想も正解ではないので気にしなくてもいいと思います。(実際ツイッターには称賛の声がたくさんでした)
犬と独裁者
劇団印象-indian elephant-
駅前劇場(東京都)
2023/07/21 (金) ~ 2023/07/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
戯曲としては、歴史もよく調べてあるし物語としても面白いし、最後の独白もとても熱くてよかった。心のきれいな少年が差別を受けた経験から(ほかにも理由はあるけど)独裁者になるというのは悲しくも人間的で、それに共鳴しつつ断固として愛さない・粛清を恐れない(書きたい)作家の姿勢も史実としてより人間として面白かったです。戯曲として、事実を並べるのではなく想像力で人間足らしめているのが素晴らしいと感じました。
だからこそ、演技や演出が気になってしまいました。俳優の立ったり座ったりが、それが演劇的であるということに終始して選択されているように見えてしまったり、歴史上の人物としてデフォルメして演技してしまっているのでは?と感じたり。作品から飛び出していないのかな。まるで授業を聞いているよう。もう少し不真面目でもいいのかも?前作のカレルチャペックが、そういうところが端々に見えつつそそられたのは二條正士さんによるところが大きいのかもしれない。彼は今作でも生きているように見えました。武田知久さんの身体能力の高さ・柔さには驚かされました。自由でとても面白い。ご本人も面白がっていらっしゃるのでは。後半までその自由さと狂気さとをあわさっていけたら。
舞台美術はシンプルながら目の形をはけ口等としてうまく取り入れているのが美しい。難しいですが花がたくさん出てくるところでもうすこし造花じゃなさ・土っぽさがあるといいなあと思いましたその他の衣装や道具が具象で重厚が故。リュボフィの赤に対してエレーナの緑もよかったし、全体的に深い色や茶色でまとめられているのも好きでした。リンゴや傘やお札が「赤」なのも象徴的でした。星空の照明や最後の照明が美しかったです。指定席はうれしいけど、イスが硬くておしりが痛かったです笑。仕方ない面もありつつ、100分くらいになったらもっと好きです。
共演者/同級生
2223project
小劇場B1(東京都)
2023/07/01 (土) ~ 2023/07/11 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
「共演者」観劇。前に吉祥寺シアターで短編を拝見して以来でしたが、相変わらず人間模様はドロドロしつつ戯曲としてはからっとわかりやすいです。個人的にはもうすこし入り組んでいても好きですが、それはさておき、俳優さんたちが素敵でした。とても真摯。劇団だなあ~と思いました。主演?の近藤さん素晴らしい。パワー。
お客さんのなかにすこしマナーの悪い方がいたのと(スマホ電源切らない、開演して着電・席を立つ、小声でおしゃべり、タブレットを召し上がる)、開演して結構経ってからイスの追加もあったので、制作さんのほうでなにか対応できなかったかなあと思いました。席の誘導等ももう少ししてほしかった・・・!(席に座るまで左手側に別の客席ゾーンがあることに気づきませんでした。。。)
Show me Shoot me
やみ・あがりシアター
三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)
2022/09/02 (金) ~ 2022/09/11 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
面白かった!けど今ひとつ突き抜けず!構成の巧さとか場転の面白さとかはすごかったんだけど結局会話一つ一つの積み重ねかなあ。いろんな形式を使ってるけどそれぞれでちゃんと会話できてるかどうかが結局最後まで生きてくるんだと思う。中心の夫婦二人は結構そういうシーンが多いこともあって健闘してたけどそういう人になりきろうとしている感があって、うーんなんか、何をしてほしかったり何を葛藤してたりするのかがわからないところがあった。関西弁の夫婦はそのあたりすごく会話になっていて、面白かった聞いてるだけで。やっぱ空気読める人って面白いんだな俳優として。聞けているというか。同じことはしてないんだろうなと思った。
ゆっくりのところあんま聞き取れなくて、重要なシーンだし後ろ黒かったからあそこに字幕投影してほしいと思った〜。
最後夫婦が笑うところ、お互いにちょっとベタベタしすぎててそれはちょっと違う気が、、、って思った。
しかしあの場転、私だったら絶対こんがらがる笑。すごい練習したんだろうなあ〜尊敬する。体力にも。全員すごく真面目なんだろうな。
序盤のコントが後半に効いてくる感じすごく好きだった。コントもう少し面白くなるといいなあ!すごく難しいけど。なんかいかにコントらしさから抜け出すというか、面白いでしょ!みたいな感じをなくすというか、テレビで見てるやつからどう離れられるかというか、そういうのが大事な気がした。もう演劇なんで!って開き直っちゃったほうが逆に面白いと思った。コント部分も脚本はすごく面白いと思うので。そういう意味ではOLのやつとかすごいよかったなあ。
笑顔の砦
庭劇団ペニノ
吉祥寺シアター(東京都)
2022/09/10 (土) ~ 2022/09/19 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
すごい。究極なくらいの具体。ちょっと引くくらい。具体だからこそちょっとした所作が気になってしまったりするのは損なのかもしれないけど汚しとかすごすぎて圧巻。あの美術だけですごい情報量。物語の進みはゆっくり。両者の問題?というか寂しさ?みたいなものの浮きぼらせ方はお見事という感じ。個人的には解決方法が今ひとつピンとこなくて、まあ解決させているわけじゃないのかもしれないけど。とにかく食べる食べる、いい匂いまでしてきて。体験でしたまさしく。
人の作ったご飯って美味しいし、元気出るし、希望だよなあ。朝。生きるってつらい。つらくて嬉しくて寂しくて笑えて。続いてく。くりかえす。
伯爵のおるすばん
Mrs.fictions
吉祥寺シアター(東京都)
2022/08/24 (水) ~ 2022/08/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
初日観劇。再演を観たことがあるのでわかっていても、やっぱり泣く。やっぱり素敵な戯曲。何度でも観たい。前回観劇させていただいた時は暗転の多さに慣れなかったのですが、今回はあまり気になりませんでした。でもスタンバイの関係かちょっと長めに感じるところもあったので、公演を重ねるごとに慣れて短くなったらより好きだなと思いました。
初日だったこともあると思うのですが序盤はちょっと台詞を噛んでいたり出てこなかったりが多かったです。ここがもう少し引き締まってくるとスムーズに最後まで観れる気がしています。
イン・ザ・ナイトプール
コンプソンズ
王子小劇場(東京都)
2022/04/05 (火) ~ 2022/04/10 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
4作とも楽しかった。テイストは全く異なるのに好みじゃないものが1つもないの不思議。
1作目は、どんどん情報が上書きされていくのが面白くて、全部見えないのが不穏で良かったです。
2作目は、固定観念を覆されるのがずっと面白くて、大宮さんのツッコミの安心感がすごかったです。
3作目は、じわっとロマンチックなのがちょうどいい塩梅でした。
4作目は、盛り沢山なのが小劇場らしくてめちゃ笑いました。
劇団って常に存続の危機と戦ってるよね、と改めて思って、その危うさが愛おしかったり、継続への努力が本当に尊いなと思いました。劇団員たちのあの、なんとも言えない、友達とも家族とも違うあの距離感が感じられて面白かったです。
こどもの一生【4月23日以降の東京公演中止・宮城公演中止】
パルコ・プロデュース
東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)
2022/04/03 (日) ~ 2022/04/28 (木)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
とてもクオリティが高かったけど好みではなかったのかもなあ。そういうときの評価ってとても難しい。ダンサーたちの場転やおどろおどろしい空気や回想中の表現はとても素晴らしかった。舞台装置も面白かった。キャストとダンサーとで机などを動かして場転するところなどもよく訓練されているなあと思った。もう少しホラー要素があっても良かったのかな。怖さが足りない気がした。女性陣は、子供だからと言って声を高くしたりとかしなくてもいいのかもと思った。だけど演技はさすがのものだったと思う。特に今井朋彦さん・丸山智己さんあたりの掛け合いは流石だった。
夏の砂の上
玉田企画
北千住BUoY(東京都)
2022/01/13 (木) ~ 2022/01/23 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
今更書く。今更書くくらい価値のある舞台でした。すごい。すごすぎる。最後の方のシーン、すごく自然に、「ああ生きてかなきゃならんもんね」と思って涙がぶわあっとあふれて、そこから止まらなかった。めでたしめでたしじゃないけど、あのふたりはこの先、何度でも思い出して、希望をもらって、生きていくんだろうなあ。
奥田洋平さん、舞台上でめちゃくちゃ居らっしゃる。尋常じゃないくらい居る。聞いてる。話してる。浅野さんとかも、あんなに生き生きしていらして、居られなくなりそうなのに居るし。すごいなあ。終わって結構ぼーっとしちゃうくらいよかった。ああ、儚い。
スケールⅡ
劇団献身
OFF OFFシアター(東京都)
2021/10/15 (金) ~ 2021/10/20 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
すごくよかった。笑いと泣きのバランス、めっちゃ好きだった。俳優さんたち、すごく引き算を感じて、でも笑える面白い、会話してる、話せてる感、すごかった。皆さん感じが良いし、すごいメンバーでは?と勝手に感じました。個人的には抱きしめたくて抱きしめられないごまかす母、好き。怖いところちゃんと怖いって好きだな。結構ドン引いちゃうけど。落差すごかった。嫌いの怖さも保身の怖さも見捨てる怖さも、愛の怖さも。あと、演技どうこうよりも「感じがいいか」みたいなのって私は結構感じてしまうし大事だと思わされた。
カナリヤ
日本のラジオ
こまばアゴラ劇場(東京都)
2021/11/18 (木) ~ 2021/11/23 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
何も起こってないといえば何も起こってないけど、終わって前後のことをめちゃくちゃ考えちゃう。みんなすごく愛らしいのがしんどい。うまく生きられない・愛せない人たちのことをサイコパスとか言って遠ざけるけど、世界のバグみたいなことじゃなくてもっと助け合う方法がないのかなあと考える。それぞれが抱えるものの描き方がさりげなくてよかった。普通ってなんだろう。いい社会ってなんだろう。誰もが、階段一つ踏み外すだけで、もしくはいつの間にか、ああなる危うさが現代にもあると思う。私にはめちゃくちゃ自分と地続きの世界に見えた。
柱によって姿や表情が見えなかったり動線が複雑になるのが都合よくなくていいなと思いました。
柔らかく搖れる
ぱぷりか
こまばアゴラ劇場(東京都)
2021/11/04 (木) ~ 2021/11/15 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
うーーーーん。描こうとしている題材も、それぞれの抱える問題も、ゆっくり首がしまっていくような息苦しさもわかるし、描ききれていないとは思わないのだけど、うーん、なんとなく噛み合わない。必要十分かあまりはっきりしない。ちょっと説明的。掘り下げられている人物とそうでない人物の差が気になる。いや〜な動きをしている人について背景を知れないのが意図的であったとしてもキャラクター化してしまっているように感じてしまって苦しい。やや登場人物が多すぎる気も?もう少しそれぞれが絡み合いたい。
ことことパートナーが抱き合いながらゆらゆら揺れるシーン、「ことこがおるけんね」で何故か涙がポロポロ流れた。いろんな不満を持ちつつも、感謝して、頼って、生きていくんだなあと思ったら急にいろんなものが愛おしくなった。大切にして生きていかなきゃいけないなあ。
リョウタの家族への興味の失い方がすごくよかった。夫婦のシーンではとても優しく見えたから、ああ本当はいい人なんだろうなあと思ったらせつなかった。
暗転が多いのかなあ。こういう感じならもう少しさらさら流れたい。セットももう少し効果的なものが作れそうな?(車内のシーンとか)
ザ・ドクター
パルコ・プロデュース
PARCO劇場(東京都)
2021/11/04 (木) ~ 2021/11/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
ものすごく良質でした。緻密な前半戦、怒涛の後半戦。公演後、別の席で観劇していた友人と落ち合った瞬間二人して号泣(笑)。内容を鑑みてあのラストはすごい。日本ではあまり見ない。一日経った今も余韻がすごいです。たくさんの問題に触れながらもすべてが中途半端でなくしかし議論の余地を観客に残す戯曲の隙のなさに圧倒されます。俳優陣も予想通り素晴らしいのですが、すこしキャラを作ろうと前のめりに見える方がいらして、その場のリアルを作り出している名優たちの中ではすこし浮きます。大竹しのぶ×益岡徹、天野はな、床嶋佳子あたりの会話は胸に来るものがありました。
ベンバー・ノー その意味は?
はえぎわ
新宿シアタートップス(東京都)
2021/11/03 (水) ~ 2021/11/14 (日)公演終了