ザ・ドクター 公演情報 パルコ・プロデュース「ザ・ドクター」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    ものすごく良質でした。緻密な前半戦、怒涛の後半戦。公演後、別の席で観劇していた友人と落ち合った瞬間二人して号泣(笑)。内容を鑑みてあのラストはすごい。日本ではあまり見ない。一日経った今も余韻がすごいです。たくさんの問題に触れながらもすべてが中途半端でなくしかし議論の余地を観客に残す戯曲の隙のなさに圧倒されます。俳優陣も予想通り素晴らしいのですが、すこしキャラを作ろうと前のめりに見える方がいらして、その場のリアルを作り出している名優たちの中ではすこし浮きます。大竹しのぶ×益岡徹、天野はな、床嶋佳子あたりの会話は胸に来るものがありました。

    ネタバレBOX

    冒頭電話のセリフが最後チャーリーの死につながるところは鳥肌ものでした。重ねる声は、それでもなお自分として選ぶのは医師なのかと思わせます。サミとの会話を経て、ルースが涙を流し、それが次のシーンにも引き継がれてしばらく涙をながしているさまに演劇を感じました。きっと大竹さんの心が強く揺れたんだと感じました。人種や宗教、それぞれの立場から議論をしているうちは互いの寛容さも見られずつらいシーンが続きましたが(それでも現実ではこういうことが往々にしてあると納得感があったのが悲しい)、ルースの家で神父と話しているときには立場なんかなくなって穏やかに話ができたのが救い。「希望は希望」と言っていたし。と思ったら最後、会いたいとむせび泣く大竹さんの姿にもらい泣き。救いで終わらないのが新鮮。洗練されたセットと演出。特に上下両方に設置された照明(ドアが開くと強く明るくなる)が好きでした。肩を押したかどうかわからない演出も巧み。大竹さんが頭を掻いたり腕を組んだり、自然に所作を取り入れていることに感服しました。とかく素晴らしい戯曲、他の団体でも観てみたい。

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    2021/11/13 20:10

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