Amy,の観てきた!クチコミ一覧

1-3件 / 3件中
胎内

胎内

京葉演劇研究會

まるた石井園梨直売所(千葉県)

2020/03/07 (土) ~ 2020/03/14 (土)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2020/03/07 (土) 18:00

座席3列左1番

価格3,500円

死でも目の前にしなければ、あの兎にはなれないのだな、と痛々しく感じた芝居でした。
日常に生きていれば真実など見えやしないと言われている気がして怖かったけど、絶望を前にした人間の姿をまざまざと感じることができ、とても貴重なものでした。
絶望感一択のようで、それが再生の手前であるということ、戦後日本の人々の眼差しが見て取れるようでした。

中盤と終盤の女性ひとりでの朗読が素晴らしく感動しました。また、男性の演者さん含め、のたうち回るような動きも目を伏せたくなるほど凄かったです。
どれも獣のようで、それでいて人間を描いていました。
おぼろげな光と空間の狭さが、思考と感性を研ぎ澄ませてくれたように思います。

原作も深く読み直してみようと思います。
素晴らしい舞台をありがとうございました。

ネタバレBOX

虫かごの外に並んだワイシャツはころころと態度を変える人間を着替えに例えたのでしょうか、それとも脱落していった人の象徴なのでしょうか。
配役があるのに女性に一人で喋らせたり、一人の台詞なのに「佐山」を読み上げたりする仕方や、鳥の複製、人形の頭から生えたライトの舞台セットについては意味づけられなかったけど、少し神秘的に見えるのもまたよかったです。
死と其前後

死と其前後

ずるむけ般若

遊空間がざびぃ(東京都)

2019/12/14 (土) ~ 2019/12/15 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2019/12/14 (土) 14:00

有島の生きたある日へ、思念の中へ導かれるような舞台だった。原作を読んでの想像では思い至るはずもない仕上がりでした。
喜びや怒りでいちいち波立つ日常、もう一度思い出される切実で清らかな思い、動かない死。
人ごとのようだが、同じ構図で自分も生きているのだろうと思った。

演者さん方は、美しく圧倒的な力量。

ネタバレBOX

死の声は恐ろしい響きで、逃げられないという確信を余儀なくさせる。終幕の台詞は、重たい錠前が掛かった音が付随して聞こえるようだった。
影人は不気味な動きで寒気を覚えさせ、ばあや、醫師、看護婦、男、學生、刑事の方たちは、限られた台詞で性格と役割をはっきりと提示している。
主演お二方はとても美しかったです。特にA子は視線の運びがすごく魅力的。夫婦とも、表情と声の抑揚が、日常の幸せと荒んだ心、伴侶に尽くしきれぬ苦しみを、まざまざと感じさせた。

場面的には、第一の夢が好きでした。影人の動きと謎の音楽、通り魔の演出が、夢っぽさと刹那を感じさせたせいだと思う。
あと開幕時の、姿見えぬ登場の主演たち。飽くまでも死は人間の悲しみなど見はしないし、ただの小さなできごとのよう。時代性と終焉を思わせる最後の音楽も好きでした。

男の人の動きはなんだったんだろう…
疑問も残りましたが、有島武郎プロジェクトvol.2も心待ちにしています。
素晴らしい舞台をありがとうございました。
朝日のような夕日をつれて '91

朝日のような夕日をつれて '91

劇団あんちょび

吉祥寺櫂スタジオ(東京都)

2019/07/20 (土) ~ 2019/07/21 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2019/07/20 (土) 13:00

すごく面白かったです!
秀逸な一発芸みたいなものに笑い続けつつ、様々な視点からの問いを聞き漏らさないよう気が抜けず、エネルギーに巻かれたような観劇でした。
どの場面でも、演者さんたちは見たことのないような百面相と動きと発声を繰り出し、圧倒されました。がむしゃらに生のバランスを取ろうとする人間の不安定さを見ているようでした。

病のシーンや授業風のシーンが特に面白かったです。
また、あっけなさとともに 始まりと全く同じように終わったラストを見たときは、一番感動で胸が震えました。
何よりも記憶に残った群唱は、今後 寒さを感じる度に思い出して、以前よりずっと寛大に人や自分に向き合っていけるかもしれないと思いました。
素晴らしい舞台をありがとうございました。

このページのQRコードです。

拡大