死と其前後 公演情報 ずるむけ般若「死と其前後」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    鑑賞日2019/12/14 (土) 14:00

    有島の生きたある日へ、思念の中へ導かれるような舞台だった。原作を読んでの想像では思い至るはずもない仕上がりでした。
    喜びや怒りでいちいち波立つ日常、もう一度思い出される切実で清らかな思い、動かない死。
    人ごとのようだが、同じ構図で自分も生きているのだろうと思った。

    演者さん方は、美しく圧倒的な力量。

    ネタバレBOX

    死の声は恐ろしい響きで、逃げられないという確信を余儀なくさせる。終幕の台詞は、重たい錠前が掛かった音が付随して聞こえるようだった。
    影人は不気味な動きで寒気を覚えさせ、ばあや、醫師、看護婦、男、學生、刑事の方たちは、限られた台詞で性格と役割をはっきりと提示している。
    主演お二方はとても美しかったです。特にA子は視線の運びがすごく魅力的。夫婦とも、表情と声の抑揚が、日常の幸せと荒んだ心、伴侶に尽くしきれぬ苦しみを、まざまざと感じさせた。

    場面的には、第一の夢が好きでした。影人の動きと謎の音楽、通り魔の演出が、夢っぽさと刹那を感じさせたせいだと思う。
    あと開幕時の、姿見えぬ登場の主演たち。飽くまでも死は人間の悲しみなど見はしないし、ただの小さなできごとのよう。時代性と終焉を思わせる最後の音楽も好きでした。

    男の人の動きはなんだったんだろう…
    疑問も残りましたが、有島武郎プロジェクトvol.2も心待ちにしています。
    素晴らしい舞台をありがとうございました。

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    2019/12/15 20:45

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