コナンの観てきた!クチコミ一覧

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アカシアの雨が降る時

アカシアの雨が降る時

サードステージ

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2023/10/14 (土) ~ 2023/10/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鴻上尚史作品は大人数というイメージがあるので3人芝居というのは珍しく感じる
自分の知る範囲では「トランス」だけれどそれとも全く違った柔らかい雰囲気であったのも意外
3世代3人の役者さんそれぞれの持ち味がしっかり活かされないと成立しない内容だけあって、そこはちゃんと押さえられておられる

心だけ女学生に戻ってしまったお祖母さん(竹下景子さん)とその妄想に寄り添おうとする孫(鈴木福くん)の姿が何とも微笑ましい
それに比べると息子(松村武さん)の立場といったら何とも無粋な存在になってしまってオジサンって寂しいなぁと思うものの、作品的には非常においしい(笑)
歴史的背景に想いを馳せ、ちょっと哀しみを伴う物語でありながら柔らかい温もりが感じられる秀作だと思いました

恋の焔炎

恋の焔炎

ARTE Y SOLERA 鍵田真由美・佐藤浩希フラメンコ舞踊団

日本橋公会堂ホール「日本橋劇場」(東京都)

2023/10/17 (火) ~ 2023/10/18 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

日本の古典芸能と融合する事でスタンダードなフラメンコ舞踊の枠を飛び出しているのだけれど、全てが完成度の高いフラメンコの世界
プログラムもオリジナリティーあるものから「智恵子抄」に曲をつけた作品、義太夫の古典からなど、趣向を凝らした作品ばかりで盛り沢山なのが嬉しい
特にフラメンコダンサーと日本舞踏家の競演はあまりに艶やかで象徴的な作品だったと思いました

ちょんまげ手まり歌

ちょんまげ手まり歌

劇団演奏舞台

演奏舞台アトリエ/九段下GEKIBA(東京都)

2023/10/13 (金) ~ 2023/10/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

どんな贅沢な設備を整えた大劇場だろうと、このアトリエ空間での生身に響く迫力は叶わないだろうなと
初っ端からドラマチックな音響と共に生演奏と生の効果音
日本昔話の趣もあり馴染みやすい世界観が広がるも、その内容はとても残酷
配役表を見ると「客兵衛」=「平民の中のひとり」が ご来場頂いたお客様 と表記されている
当然 客兵衛に発言権は無く、右にならえのスタンスで息を呑みながら目の前の出来事を見守る事しかできない
悪政が横行する中「真面目で無知なる者」が幸せなのかどうか否応なく突き付けてくる
考えさせられるエピソードが非常に多く、哀しみに満ちた物語ではあったけれど、劇団さんの“おもてなしの心”がとても伝わってくる運営だったこともあり、どんより感よりも貴重な体験に巻き込んでもらえた感の方が断然強い

明後日のガラパゴス

明後日のガラパゴス

ホチキス

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2023/10/04 (水) ~ 2023/10/09 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

某国民的長寿アニメをモチーフにした制作現場が舞台
老舗番組を担当する作家チーム、制作プロデューサー、番組プロデューサーなど様々な業界人、出入りしている人々の強烈な個性で笑わせてくれるが、普通の業界モノに全く収まっていない吹っ飛び具合が気持ち良いくらい面白い
楽しい仕掛けいっぱいのジェットコースターみたいだったけれど、絶対に振り落とされず余す所なく楽しめるのは圧倒的な共感性と、やっぱり構成テクニックが抜群に巧いからだろうなぁと

フィクションな部分があってもこの某国民的長寿アニメ、久しぶりに観てみたくなりました
この舞台の事を思い出しながら楽しめそう

とのまわり

とのまわり

山田ジャパン

シアター・アルファ東京(東京都)

2023/10/04 (水) ~ 2023/10/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

いとうあさこさんと松田大輔さんの大人カップルが純愛というよりエロ繋がりの雰囲気がして面白い
余命宣告を受けているというのに、生命力に溢れている(笑)
役者さんと芸人さんの息が合った座組になっているのでもう笑いのツボはバッチリでした
「家族のあり方」というテーマも盛り込まれハートフル
でも一周回ってやっぱり「笑い」の勝ち だったかな

ネタバレBOX

どうしようもない不安感は理解できるのだけれど、だからといってその行動は・・・う~ん(笑)
とりあえず家族視線で観ると、お母さん何やってんだよ!感満載で楽しめたので、まぁいっか!

A.R.P festival ~2023~

A.R.P festival ~2023~

A.R.P

小劇場B1(東京都)

2023/09/29 (金) ~ 2023/10/02 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

千秋楽を観劇
祭りの最終日にふさわしく満員御礼
笑いに溢れた舞台で、自分も一緒になって笑いに笑った、もう笑い過ぎて涙が出ちゃいましたよ
どの作品も起承転結がしっかりしていて簡潔明瞭、設定が超面白い
長めの作品ほどストーリーが濃くなって面白味が増し増しになっていくのは、さすが劇団さんが創り出す笑い
6パートあって本当に盛り沢山でしたが、"喫茶店"を舞台によくこれだけ色違いの作品を生み出せるものかと感心しました

燕のいる駅

燕のいる駅

ニッポン放送

紀伊國屋ホール(東京都)

2023/09/23 (土) ~ 2023/10/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

のどかな駅舎の風景、思わずこぼれる笑いに溢れているのだけれど描かれているのは世界の終わりの日
心地良い波長、豊かな人間描写、のどかなやり取りの中に忍び寄る異常と悲劇の匂い
とにかく観る側の想像力をかき立ててくれる演技・演出力が凄い
会話の端々から今何が起こっているのか、何故こんな事態になってしまったのか、そして今目の前にいない(舞台から捌けている)登場人物の姿など、余白の部分もイマジネーションで肉付けされていくのだから

かなり昔に同作品を観ており「おだやかなのにインパクトの凄い公演を観たぞ!」という記憶はしっかり刻まれていたのですが、今回の観劇で 間違いなく名作!と再認識
むしろ時代が作品世界に近づいてきている様で、当時以上に感慨深く観ることができたかもしれない

新宿羅生門

新宿羅生門

舞台新宿羅生門製作委員会

こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)

2023/09/22 (金) ~ 2023/10/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

幕末転生奇譚、先祖の記憶から覚醒した若者達の戦い というストーリーゆえ殺陣シーンがたっぷり用意された舞台
どの殺陣シーンにもドラマが存在するので、それぞれに趣が違って楽しめるのだけれど、とにかく終盤に向かっての演出が素晴らしい!
ここってファンの方には萌ポイントなんだろうなぁ、などという楽しみ方をしていたけれど、もう笑っちゃうくらいカッコいい
より妖しく変貌した新宿、緊張感をほぐす笑いを織り交ぜながらも美意識は徹底して高く、覚醒の物語が収束していくエンディングにはただもう圧倒されました

ジャングルジャングル9

ジャングルジャングル9

アイビス・プラネット

王子小劇場(東京都)

2023/09/20 (水) ~ 2023/09/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

「戯曲と即興のハイブリッド演劇」という謳い文句ですが
「真剣と遊び心のハイブリッド演劇」とも言える企画公演

スタートは野口オリジナルさんの一人芝居「異界の魚」
演劇に賭ける情熱は人一倍、なのにこれまで一度も報われることの無かった劇団員、これってデフォルメされているにしても実際モデルになっている役者さんがいるのかもなぁと
彼にとって最後の通し稽古
コメディーのカテゴリーには収まりきらない涙ぐましい笑いと突き抜け感
こちら客席に語りかけてくる熱量が凄すぎる
生の迫力ですっかり熱くなっている状態から、第2部の演目「尋問」に移行する流れが巧い

「尋問」
この演目は他の誰でもない明日以降の6号役で出演される役者さんに全く情報が入らぬよう徹底されているのでネタバレに繋がる事は一切書けない
日替わりで演じられる6号役が事前に知らされているのは共演する9号役 高田淳さんと2号役 星璃さんから尋問されるらしいという事だけ
観客も6号と同じ状況ではあるけれど、反応のしかたは十人十色
6号を演じる役者さんの個性が絶対出てくる、もう直ぐに“”らしさ”が滲み出てくるのだから面白い
9号、2号を演じる役者さんは6号の行動パターンを幾つも想定したうえで挑まれているのだけれど想定から外れた場合、いやでもアドリブで対処しなければならないという
戯曲と即興、演技の裏で駆け巡っているであろう心理も想像しながら観るということで2倍楽しめるのでした
その駆け引きの確認という意味でもアフタートークは必見

ネタバレBOX

観た回の6号役は演劇ユニット*pnish*の主要メンバー森山栄治さん
個人的には何度か劇団外のプロデュース公演での“気の良い兄ちゃん”っぷりを記憶していたので、すっかりダンディーな雰囲気になっていたのも感慨深かったけれど、何と言うかクイズ!ヘキサゴン‼的な面白味がある役者さん
そのギャップが面白い!

ガクヤ

ガクヤ

ナミプロ

劇場HOPE(東京都)

2023/09/12 (火) ~ 2023/09/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

Teamルージュ千秋楽を観劇
登場人物は皆タイプこそ違いますが、そう人気があるとは言えない女優さん達
なけなしのプライドを糧に、なにかにつけてはマウントの応酬
何だか見てはいけないものを見てしまっている様な背徳感があってか、笑いを噛み殺しどうにか頑張っていたけれど、似たような思いをしているお客さんがほとんどだった様で、やがては我慢しきれずに会場全体で噴き出してしまう事に 
同時に本当に大変な業界なのだと感じ入ってしまいます

観終わった後に残る感慨深さには元祖「楽屋」を観た時の感覚と共通した部分あり
そこは狙い通りなのでしょう
巧くツボを押さえた面白さで充実の1時間、トリプルコール

福寿庵【再演】

福寿庵【再演】

演劇企画アクタージュ

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2023/09/14 (木) ~ 2023/09/18 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

「福寿庵」しっとり情緒ある人情物語をイメージしていたところ、アクタージュ恐るべし、そう単純ではなかった、超カオスな面白さでした
ベースが人情劇 という事で違いないのだけれど、サンドイッチで言えばそれはパンの部分で、中には色んな具材がてんこ盛りに挟まれていた感じ

主に人情劇の部分を担うのは「福寿庵」の店主と亡き妻、そしてかつてお店で働いていた訳あり女性
問題の(笑)具材となるカオスドラマは、店を閉めちゃいそうな店主を引き止めようと奮闘する常連さん達
(狸と一緒にお酒を飲みたい女性とか、全員を列挙しきれないけれど何て摩訶不思議な発想力、是非アフタートークとかでキャラ誕生秘話を伺いたい)
その両者を繋いでいるのが店主の妹夫婦と現店員男性といったところだろうか

観終わった直後は、いっそのことはっちゃけ作品というカタチではっちゃけても良かったのでは・・・と思ったのですが、愛妻を失った店主の心情、このミスマッチとも思えた哀しみが後々になって妙に沁みてくるのでした

加えて
よく考えれば大所帯17人の役者さんひとりひとりの個性を輝かせるのは至難の業
カオスなどという表現をしましたが、なんやかんやとひとりひとりの個性を輝かせる構造になっていたのだなぁと、これも後々になって思い出し笑いとなって沁みてくるのでした

チョークで描く夢

チョークで描く夢

TRASHMASTERS

駅前劇場(東京都)

2023/09/07 (木) ~ 2023/09/18 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

あまりに胸がいっぱいに、感動に包まれ終演後しばらく席を立てなかったです
長きに渡って知的障害者雇用を続けてきた企業の物語ではありますが、社会生活を営むうえで、全ての人に共通する大切な考え方がギッシリ詰まった公演であったと強く思いました
できるだけ多くの方々が、可能であれば一緒に働く会社の人達と(学生さんであればクラスメイト達と)観劇して感想を共有することが出来たのなら、かなり貴重な体験になるのではないかと願いにも似た気持ちになりました

TRASHMASTERSさんの公演であるから徹底した取材をもとにリアルな迫力をもって訴えかけてくる作品であろう事は過去の公演で実証済
なので障害者雇用に伴う問題点やその会社の奮闘ぶりを部外者の立ち位置からドキュメンタリー的な観点で堪能するつもりだったのですが、いつの間にか一緒になって解決の糸口を見つけだそうと躍起になっている
登場人物それぞれの想いを噛みしめてはどうすればいいのかと困り果て、どっぷり作中にハマり込んでいました

障害者と健常者、いやそれだけでなく色んな立場の人間が己の利益や尊厳をかけてぶつかり合うのは至って自然な事
現実にはもっと自己中心的な人間(他者の事情を一切気にかけない人間)がいて、ただでさえ難しいコミュニケーションを修復不可能にしてしまう事もあり得るわけで、その方がよりリアルかと一瞬思ったりしましたが、あえてそこまでの配置をしなかったは見事な英断
全ての事には意味がある
とことん他者を理解しようという意義と難しさ
その先に待ち受けている「幸福」がテーマであったと思えました
力強く とことん深い、素晴らしかったです

俺たちはどう生きるか!

俺たちはどう生きるか!

株式会社L4

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2023/09/06 (水) ~ 2023/09/12 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

★魅惑のロマンスチーム★を観劇
イカれた博士っていうのはてっきりモジャ頭でチョビ髭の御爺さんかと思っていたら若くて長身のイケメン博士、そして傍らには可愛い助手が
そのクールなマッドサイエンティストっぷりと無邪気にヤバい助手娘の組み合わせが、ちょいブラックに皆をかき回してくれる、面白かった!

困窮した登場人物がスペシャルなアイテムや能力を手渡されて思わぬ騒動を巻き起こす展開部分は「ドラえもん」や「笑ウせぇるすまん」なんかも彷彿させるのだけれど、手塚治虫だとかどこか懐かしい漫画のテイストが随所に感じられ不思議に惹きつけられてしまう
全編に渡って“生きている意味”や“正義vs悪の立ち位置”などなど、角度を変えてどこか固定化してしまっている概念を揺さぶってくるのは、普通のコメディーとはまたひと味違った面白さ

悪魔が願いを叶えるパートは、博士たちではなく悪魔(この悪魔もヤバい(笑))が運命の案内人となる異色パート(どれも異色のパートと言えるが)
ここで前のパートに起きたおもしろトラブルをちゃっかりアドリブで組み込んでしまうチームワークの良さ
その俊敏さに笑いながらも感心してしまったのだけれど後で確認してみたら仕掛けたのは本公演の演出家さんでもありました、さすが柔軟にして大胆!

怪獣は襲ってくれない

怪獣は襲ってくれない

株式会社スタイルオフィス

新宿シアタートップス(東京都)

2023/08/30 (水) ~ 2023/09/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

歌舞伎町、あの混沌とした磁場みたいなものが世間とは全く異なった社会を生み出していっても全くおかしくない
殺人や自殺、売春問題などトー横キッズにまつわる事件の数々
これまで頻繁に報道されてきたような部分も作中では描かれ、もうせっかくの若さをむやみに切り売りしているとしか思えない、狂気さえはらんでいる
この子達の将来はどうなってしまうのだろうと思っていたところ、まるで観客につかみかかってくる様な勢いで迫ってくるという・・・えっ!?と驚いたけれど、抜け殻になってしまう様な結末よりはずっと良かったのかもしれない
良識ある大人が手を差し伸べたとしても、中々簡単にはその手を握ってはくれない、ここに集う若者の繊細で強烈な拒絶を感じる舞台でした

ロリコンとうさん

ロリコンとうさん

NICE STALKER

ザ・スズナリ(東京都)

2023/08/30 (水) ~ 2023/09/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

何という可愛いロリコンとうさんだ(笑)
これは観た人なら分かってもらえる
取材で得られたという実際の「ロリコンの方々」の貴重データ(数多くの心情)がうまい具合にロリコンとうさん他、ロリコンである登場人物達に落とし込まれていたと思う
がっつり「性」を扱っているというのにポップな感性が加わってめっちゃ面白い仕上がりに
その面白いの中にはもちろん笑える面白さもあるが、決して満たされる事のない嗜好を持ってしまった者の哀しみや畏れ、恋人や妻といった周りの人間の思惑など色んな要素が入り混じった面白さで、これなら2時間10分の長尺になっても仕方ない、むしろ納得

子供に性的被害を与える=犯罪 であって
ロリコン=犯罪 ではない
この犯罪と犯罪ではない との間にどれだけのせめぎ合いがあるのだろうと思うと何だか切なくもなってくるのでした

ネタバレBOX

ロリコンの方は一生の片想いみたいで何だか切ないと思ったけれど
「少女への凌辱」が好物という流れもあって、あ~そっちもあるのかと
性というのは本当に多種多様で厄介
First Love

First Love

アーティストジャパン

あうるすぽっと(東京都)

2023/08/28 (月) ~ 2023/08/30 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

別荘地、お隣に住む令嬢に対する少年の初恋
「初恋」といえば瑞々しさを連想するものだけれどみんな大好きドロドロ系
少年時代からの回想というカタチで藤本隆宏さんが作品の大部分を担っておられ、恋と嫉妬の間を揺れ動く多感期な少年の心の内を熱演
そして彼の恋愛対象となる年上の令嬢を中村壱太郎さんが演じられるという異色のキャスティング
とても集中できる環境で生演奏も雰囲気を盛り上げてくれたのはとても良かった

その一方で台本を前にした朗読劇とはいえ、エンターテイメントとしての様々な工夫を凝らした公演をこれまで幾つも観てきたせいか、心のどこかでちょっと物足りなさを感じてしまったのは贅沢というものだろうか

あいつをクビにするか

あいつをクビにするか

ぽこぽこクラブ

新宿シアタートップス(東京都)

2023/08/17 (木) ~ 2023/08/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

サイコパスが家族の中にいたら・・・中々にゾッとする話でしたが、エンターテイメントを意識した盛り沢山な内容
最初は3時間もあった脚本を2/3に縮めた作品と言うのだから、もともとはどれだけボリューミーな内容だったのだろうか

サイコパスの少女 という歪みが周りの人間をどの様に捻じ曲げていくのか、含みを持たせながら徐々に惹きつけられていく展開
印象的なシーンが多く、どのシーンにも「怖いな、怖いな、何かいやだな~」という雰囲気が漂っていて、その正体はオバケでも何でもなく、人の心に棲むモンスターなのだろうというのは予想できるのだけれど、その実体をひとつひとつ紐解いていくという面白味
オバケは出てこないけれど、ちょっとお化け屋敷にも似たスリルがあった様に思う

前レビューの旗森さんの言われる通り焦点をどこに合わせれば良いのか戸惑う所もあったものの、どこか突き出た勢いを感じる舞台でした
劇団10周年と劇場復活から3周年の記念を合わせたアフタートークがあった回で、それも大変興味深かったので満足度プラス

イエスタデイランド

イエスタデイランド

青春事情

劇場MOMO(東京都)

2023/08/23 (水) ~ 2023/08/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

時代の流れに取り残された遊園地、そこで働く従業員たちの日常
この遊園地における日常的なやり取りだけでも わび・さび ある可笑しさと言えば良いのか、大変そうな中にも思わず笑みが
園内に一石を投じる出来事に至ってはもう大笑いしてしまったけれど
共感できたり、親近感を覚えたり、笑いをメインに狙ったコメディーとはまた違ってそれらの何気ないやり取りが何とも心地良い

“職業もの”としてもかなり面白いが、何より“人間”が素晴らしく魅力的に描かれた上質な舞台
不器用であっても全部ひっくるめて愛おしくなる人達、猛烈に胸が熱くなりました

アオハルがやりたくて

アオハルがやりたくて

リブレセン 劇団離風霊船

OFF OFFシアター(東京都)

2023/08/16 (水) ~ 2023/08/20 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

個人的には「ローマの休日と東京の仕事」から2年ぶり、2回目のリプレセンさんの公演
リプレセン2度目の観劇にして確信したのは、美術のこだわりと映画愛がめっちゃ深い劇団さん
開演前、小劇場には珍しく緞帳が
一体どんなセットが用意されているのか楽しみに待っていましたが、ジャ~ン!現れたのは期待通り、凄く丁寧に作り込まれたセット、役者さん達の演技も冴え渡って響いてきます
映画ネタがふんだんに盛り込まれ、それらがみな超有名作品ばかりゆえ一つたりとも取りこぼしは無かったと思う、これは楽しい!
加えてこれまで流行ってきた言葉を取り入れるのが妙に上手
前回は“草”の使い方にウケたものだけれど、今回はそれ以上、ふんだんにその手腕が発揮されていて大いに笑わせて頂きました

笑いだけでなく苦味も含んだ面白さ、こだわりがギュッと詰まった1時間5分
自己肯定感が著しく低い主人公”山田佳菜子”
例えが古くて恥ずかしいけれど歌謡曲「わたし心はお喋りだわ♪」のフレーズが思い浮かびました
そんな彼女の内面世界にどっぷり浸ってきた感じ、すっかり取り込まれました

マテリアルパレード

マテリアルパレード

LUCKUP

ザ・ポケット(東京都)

2023/08/09 (水) ~ 2023/08/20 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

舞台全体を彩るプロジェクションマッピングに動線豊かな高低差ある舞台、抜群のルックス揃いな役者陣、そしてストーリー的にもこれはまさしく2.5次元舞台の世界
しかし2.5次元舞台は漫画やアニメ等の原作あり の前提があって、もう当然内容は知っているでしょ的な原作を知らない場合の不安要素があるものだけれど、本作の場合はフライヤーのあらすじだけ読んでいればもう予習は充分

ハイスピードーでストーリーは一転も二転もしていくけれど、凄く分かりやすくて見事なほどにノーストレス
何よりアクション満載のエンターテイメントを臨場感たっぷりで楽しめたのが最高でした
そ、そこでぶち込む!?な笑いも嫌いじゃなかった

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