実演鑑賞
満足度★★★★★
最初はTPOに合わせて笑うのを我慢していましたが、やがて同じ思いをしていたであろう忍び笑いが耐え切れずにあちこちから
あぁ~これで少しは解放できる、それにしてもブラックでずるいなぁ(笑)
何より役者さんの等身大な感じの演技がとても心地よい
自虐が入った女優さんに対しても「等身大」というのは失礼な話だけれど、いやホントそんなスピリッツも素敵でした
当事者には全く見えていないけれど、観客には見えてくる彼等の“鳥かご”
がんじがらめの“鳥かご”は当の本人の思考や行動が材料になっている事を興味深く体感できる公演
第10回記念公演、拝見するのはまだ3回目が言うのも何ですが、甲斐ファクトリーさんの真骨頂キターーーーという思いがしました
何故に甲斐ファクトリーさんの描かれる“闇”がこんなに魅惑的なのか
日常生活の中で存在は知っていても、危険な香りがしてとても近づけない世界
そこを覗き見できる魅力というのもありますが、その磁場から派生する偏った価値観
当人がそれを絶対だとこだわるほどに”闇”は甘美に広がっていくよう
心の震えは恐怖なのか歓喜なのかもはや見分けられない
先に「とても近づけない世界」と書いたけれど、それは本当にさりげなく日常に入り込んでくる場合もありそうで自分だけは安全圏にいるとは決して言い切れず
その立場になれば”闇”の中で陶酔し、冷静な判断はすっかり消え去り、自ら破滅の方へと進んでいくのではないかと想像できてしまうのにはゾクッとしてしまいます
エピソードの絡み方、個々の存在感、観客目線の移させ方、象徴のように置かれた鳥かごと主人公の絡み方、どれもが素晴らしかったです